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子育て支援員って何?資格の取得難易度と仕事の範囲、保育業界での求人ニーズ

著者: めんたいパスタ

更新日:2023/12/22

公開日:2019/08/27

子育て支援員とは、2015年に国によって設けられた資格です。待機児童問題や、保育士不足問題を解消するための人員確保が課題となっている今日、保育士資格がなくても保育現場に就労するためのサポートを目的としてスタートしました。子育て支援員は、試験を受けなくても、自治体で定められた研修(「基本研修」及び「専門研修」)を修了することで取得できます。ここでは、そんな子育て支援員資格の取得方法や料金、取得した場合のメリット、子育て支援員を活かして働く場合の求人例をご紹介します。

子育て支援員の資格の取り方と料金は?難易度はどのくらい?

子育て支援員は、保育士不足解消のための政策の一環として、育児経験がある主婦を主な対象として、経験を活かして地域の保育事業や子育てのサポートに関わってもらおうという趣旨で作られました。

とはいえ、育児経験や主婦経験は必須ではありません。「保育、幼児教育、子育て支援に関わる仕事をしたい」と考えている人すべてが対象です。国が主導して設置した資格ではありますが、国家資格ではなく、試験も存在しません。自治体ごとに定められた研修を受講すれば、基本的に誰でも取得できる民間資格と言えるでしょう。研修時間はコースによって異なりますが、トータルで20時間~40時間程度。ムリなく受講できると言えるでしょう。資格を取ることで、保育や子育て支援分野の事業に従事する上で必要な知識や技能等を修得したと認められます。

各自治体の福祉課では民間の保育士養成スクール等と連携して、研修の支援を行っています。令和1年度(平成31年度)の東京都による研修支援制度を紹介します。

分野 事業内容 基本研修 専門研修
地域保育コース 小規模保育事業 定員6~19人の少人数の子供を対象に、家庭的な雰囲気のもとで、きめ細やかな保育を行う事業です 8科目・9時間 11科目・15時間 6科目・6.5時間 +2日
家庭的保育事業 保育者の居宅やその他の場所等において、少人数(定員5人以下)を対象により家庭的な雰囲気のもとで、 きめ細やかな保育を行う事業です
事業所内保育事業 会社の事業所の保育施設等で、その会社の従業員の子供や地域の子供の保育を行う事業です
一時預かり事業 家庭において保育を受けることが一時的に困難になった子供について、保育施設等において一時的に預かり、必要な保護を行う事業です 6科目・6.5時間+2日
地域子育て支援コース 利用者支援事業・基本型 子育て家庭のニーズを把握し、様々な情報提供や、相談等の支援を行うと同時に、地域の関係機関との連携や協働の体制づくりを行う事業です 9科目・16時間+1日
利用者支援事業・特定型 子育て家庭のニーズを把握し、地域の保育施設の情報提供や、相談等の支援を行う事業です 5科目・5.5時間
地域子育て支援拠点事業 公共施設等の身近な場所で、子育てについての相談や情報提供、その他の援助を行ったり、親子の交流の場を設けたりすることで、地域の子育て支援機能の充実を図る事業です 6科目・6時間
放課後児童コース 放課後児童クラブ 保護者が就労等により昼間家庭にいない児童に対し、 放課後等に適切な遊びや生活の場を提供する事業です。 6科目・9時間
社会的養護コース 乳児院・児童養護施設等 保護者のない児童や、保護者に監護させることが適当でない児童を、公的責任で社会的に養育・保護し、養育に大きな困難を抱える家庭への支援を行います 9科目・11時間

保育士との違いは?保育現場での役割期待と待遇の違い

保育士は子育て支援員と違い、国家資格であり、年に2回の試験に合格する必要があります。子どもが大きくなり、自分の育児経験を活かして保育業界で社会復帰したいと思った場合、学校に通うにしろ、独学で勉強するにしろ、保育士の資格を取得するのは難易度が高いと言えるでしょう。

この点、子育て支援員になるには学歴や経験は必要ありません。自治体が実施する研修を受講し、修了することで資格が取れるため難易度はかなり低いと言えます。仕事内容は保育士の補助的業務の域を出ず、そのため給与は高いとは言えません。

なお、研修は自治体が実施するものの、全国共通の受講内容です。そのため「東京都で資格を取ったけれど、大阪では子育て支援員を名乗ることができない」ということはありません。

保育士 子育て支援員
資格の種類 国家資格 民間資格
難易度
受験料 1回受験につき20000円弱 研修を受講すればOK(基本無料)
仕事内容 保育業務 保育補助
想定給与 年収357.9万円 時給1000円前後
※地域による
参考:厚生労働省「平成30年賃金構造基本統計調査」
※年収は、給料に12を乗じて、年間賞与その他特別給与額を足したもの

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子育て支援員、実際にどんな求人がある?

資格を制定した際、国が子育て支援員の就職先として想定したのは保育園、放課後児童クラブ、乳児院や児童養護施設、育児相談施設(子育て広場)などです。最近では求人で「子育て支援員歓迎」といったような記載を見かけることも多くなりました。大手の保育園事業をしている会社は、数十名単位で子育て支援員を募集をしていることもあります。

職種 保育補助
勤務地 ソラスト武蔵関保育園
仕事内容 保育士資格を持った社員のサポート役として、保育業務・食事の介助、掃除・洗濯、タブレットを利用したかんたんな日誌・連絡帳入力などを担当していただきます。
雇用形態 パート
給与 時給1030円~
交通費支給あり(全額支給)
9時以前、および18時以降は時給1290円になります
期間 1年毎(試用期間3ヵ月)
勤務時間 週3日以上
07:15~21:00の間で時間応相談
社会保険 時間数により各種社会保険制度あり(法令通り)
福利厚生 健康診断(年1回)、育児・介護休暇、育児・介護短時間勤務制度、制服貸与、財形貯蓄制度、資格取得支援制度
応募条件 子育て支援員資格をお持ちの方
無資格の場合、時給-30円になります

子育て支援員の待遇ですが、実業務が保育補助であるということもあり、保育士と比べて子育て支援員の給与は決して高くはありません。働き方も、正職員ではなくアルバイトやパートが多いでしょう。しかし、実際に子育て支援員として働こうとしている方の中には、子育て中やもともとは専業主婦だという方が多く、アルバイトやパートで、自分に合った時間で働けるというのは一つのメリットととらえることもできます。子どもが学校に行っている時間や、子どもの面倒を見ることができる他の家族が休みで家にいる日などを利用する働き方もできるかもしれません。

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資格取得のメリットは?保育業界での将来性について

前述の通り、研修さえ受講すればほぼ誰でも子育て支援員になれます。そのため、資格によるキャリア面・給与面での優遇制度はあまりないのが現実です。しかし、以下のようなメリットはあります。

実務経験がなくても、履歴書の資格欄に書くことができる
ハローワークや求人サイトに「子育て支援員歓迎」のお仕事が多数ある
無資格と比較して、手当がつく求人がある

実務経験がなくても、履歴書の資格欄に書くことができる

今まで子供にかかわる業界で勤務したことが無い場合、経験がないことで求人に応募することに不安を感じたり、「面接で落ちてしまうのでは」と思う方もいるでしょう。子育て支援員は民間資格ですが、国が定めた業界では有名な資格です。履歴書の資格欄に書けば、子ども(乳児・幼児含む)とかかわる仕事への意欲をアピールできます。未経験の方や、産休・育休等によるブランクがあって、復職に不安を持つ母親を勇気づけ、保育現場で働くことを後押しする資格であると言えそうです。

ハローワークや求人サイトに「子育て支援員歓迎」のお仕事が多数ある

2019年8月時点、筆者がハローワーク インターネットで「東京都」「子育て支援員」と検索で検索した結果は80件前後でした。しかし大手のアグリゲーション型求人サイト(自動でインターネットの求人情報を収集するタイプの求人サイト)において、「東京都」「子育て支援員」でヒットする求人件数は、少ないサイトで980件、多いサイトで7000件超ありました。

サイトごとにシステムが違うので、すべてが子育て支援員の求人ではないと思いますが、資格を持っていてデメリットになることはなさそうです。

無資格と比較して、手当がつく求人がある

時給制の場合1時間当たり30~50円程度、月給制の場合、月3000円程度の手当がつく場合が多いようです。

保育士へのキャリアアップについて

保育士資格を取得したいと考えた場合、子育て支援員の資格が役立つかというのは気になるところでしょう。結論から言うと、残念なことに、直接保育士資格取得に関して子育て支援員の資格が役立つということはありません。試験の一部免除などの優遇制度はないのです。

一方、高卒や中卒の方が保育士の受験資格を得るには、保育園等の施設での実務経験を積む必要があります。実務経験を積むためには当然採用される必要がありますから、保育業界の経験を積む第一歩として資格を取得することは就職時のアドバンテージになります。ですから、優遇制度がないことなどにがっかりせず、意欲があり、資格取得のために使える時間やお金があるのであれば、是非保育士などの取得も挑戦してみてください。

まとめ:育児経験を活かして社会復帰しやすいのが子育て支援員の魅力

子育て支援員は、保育士の資格がなくても子どもに関わる仕事ができるという点で、今、非常に注目されており、社会的にも期待されている制度です。そして、子育ての経験があり、それを活かして仕事がしたいと考えている方にとっても、学校に行ったり、資格試験に合格するなどの大きな時間的、経済的負担がなく、保育などの仕事に関われるようになるというのは大きな魅力です。

保育園などの施設では、保育士不足の問題も深刻で、子育て支援員による業務の補助などで、保育士の仕事負担を軽減することも期待されています。子育て支援員の子育ての経験は、保育園での補助業務だけでなく、子どもたちの保護者を助けるのにも役立つことでしょう。自分の子育ての経験をぜひ活かして、子育てをしている人の支援や子どもの成長に関わっていきたいと考えている方におススメの資格です。

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著者プロフィール

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人材紹介業、サービス業、障がい者雇用の分野で採用業務に従事した経験がある女性スタッフ。現在は保育分野の採用担当として、業務を通じて保育園で働くスタッフの負荷軽減になることを目標として活動している。

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