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保育における食育とは|食育のねらいや学ぶメリット、具体的な取り組み

著者: めんたいパスタ

更新日:2023/12/22

公開日:2021/12/17

近年、子どもの健康問題も増えていることから、食育の重要性が高まっています。子どもが社会生活を営むために基礎力を身につける保育園こそ食育に力を入れるべきであり、保育士は食育の知識を押さえておくことが大切です。今回は食育について、ねらいや学ぶメリット、年齢別にみた食育や保育園での具体的な取り組みなどをご紹介します。

食育とは

農林水産省のホームページでは、食育について以下のように定義しています。

食育は、生きる上での基本であって、知育、徳育及び体育の基礎となるべきものと位置付けられるとともに、様々な経験を通じて「食」に関する知識と「食」を選択する力を習得し、健全な食生活を実践することができる人間を育てるもの。

 

近年、食生活の乱れや肥満、思春期痩せなど子どもの健康問題が増加傾向にあります。こうした子どもを取り巻く食生活の問題を解決し、生活の基礎を作り出す食事について学ぶことが食育の目的です。
まずは、食育の基本である食育基本法を踏まえ、食育で身につくことや学ぶメリットをみていきます。

食育基本法とは

食育基本法は2005年に創設された法律で、2015年に管轄が内閣府から農林水産省に移管しています。日本の未来を担う子どもたちが豊かな人間性を育み、生きる力を身につけていくためには、そのベースとなる「食」が重要です。子どもだけでなく全ての国民が心身の健康を確保するためにも、生きる上での基本である「食」が重要視されています。
食育基本法では以下7つの基本理念が提唱されており、教育現場をはじめさまざまな分野で食育が実践されています。

・国民の心身の健康の増進と豊かな人間形成
・食に関する感謝の念と理解
・食育推進運動の展開
・子どもの食育における保護者、教育関係者等の役割
・食に関する体験活動と食育推進活動の実践
・伝統的な食文化、環境と調和した生産等への配慮及び農山漁村の活性化と食料自給率の向上への貢献
・食品の安全性の確保等における食育の役割

食育で身につけること

・正しい食習慣と心身の健康
・食べ物を大切にする感謝の心
・栄養バランスよく食べること
・食事のマナーをはじめとした社会性
・安全性や品質など食品を選択する能力
・食文化の理解 など

食育では上記のように、食に関わるあらゆる知識や習慣を身につけます。心身の健康を確保することだけでなく、なぜ食が重要なのか、なぜ食べ物を大切にして感謝すべきなのかなどの社会性も学ぶことができます。

食育のメリット

ようになり、健康的な生活が送れます。毎日3食、栄養バランスの取れた規則正しい食生活を意識することで、良好な健康状態がキープできるだけでなく、学力や体力の向上にも貢献可能。また家族や友達と食事を共にする、一緒に食事を作ることで、人間関係を作る力や協調性、同じ時間を共有する楽しさや大切さも学べるでしょう。さらに小さいうちの家族や保育園での食事では、箸の持ち方や「いただきます」「ごちそうさま」などの挨拶、食事の際の姿勢など基本的なマナーも身につけられます。
単に健康な身体を作り上げるだけでなく、社会性やマナーなど生きていく上で必要な知識・スキルが身につけられる点が食育のメリットです。

保育園での食育

食はどの年齢においても必要なものであることから、保育園でも実施されるものです。保育所保育指針においても食育が推進されており、健康的な生活の基本としての「食を営む力」の育成に向け、その基礎を培うことを目標に食育が実施されます。

保育園における食育の目標

「食を営む力」の育成のため、その基礎を培うこととしている保育園での食育では、以下のような子ども像の実現を目標に食育が実施されます。

・お腹がすくリズムのもてる子ども
・食べたいもの、好きなものが増える子ども
・一緒に食べたい人がいる子ども
・食事づくり、準備にかかわる子ども
・食べものを話題にする子ども

上記目標を達成するため、給食の時間を中心に子どもの生活全体を通して食育が実施されます。食に直に触れる給食では、食事を通して食事をつくる人を身近に感じ、つくられた食事をおいしく、楽しく食べ、それが「生きる」ことにつながっていると実感できる環境作りが求められます。

保育園の食育におけるポイント

保育園の食育で大切なことは、食育を1つの領域として扱わず、保育士・栄養士・調理員などが一丸となって他の保育活動と同じように援助を行うことです。各職員がそれぞれの役割・連携を明確にし、全職員が食育への共通理解を持って計画的かつ総合的に食育を展開していくことが重要。また、保育計画内の指導計画では食育の計画をしっかりと位置づけ、保育所や各家庭の特性を考慮した柔軟な食育計画を作成することが必要です。さらに食育計画が適切に実践されているかを経過や結果として残し、目標を達成するために必要な改善に努めることが求められます。

保育園における食育活動の一例

下記は、実際に保育園で実施されている食育活動の一例です。

【千葉市の保育所】
毎日の食事を通して「食の大切さ」を知らせています。所庭での栽培、クッキングなど、子どもたちの年齢に応じて食とかかわる体験活動が行われています。

▼給食作りのお手伝い
食材に触れたり、調理に関わったりすることで「食べる意欲」や「感謝の気持ち」を育てて行きたいと考えています。いつもは出来上がった料理を食べるだけですが、自分たちがお手伝いした給食はおいしさも特別で、一段と美味しく食べられるようです。

 

【社会福祉法人上名福祉会 つるみね保育園(鹿児島県)】
0.5㎡の区画を作り、専用の畑として年長児と家族に分譲家族で世話や管理を楽しむことを目的に、様々な作物の種や苗を育てています。「野菜や果物を収穫して、おいしく食べる体験」にとどまらず、収穫した作物を親子で調理して楽しむ形で食育を行なっています。

【年齢別】食育のねらいと内容

保育園における食育は食育の目標を具体化したねらい、そしてねらいを達成するための援助内容をもとに実施します。年齢に応じて目指すべき目標も異なるため、保育士は各年齢の発達度合いを見ながら、一貫性のある食育を行うことが重要です。ここでは厚生労働省の「保育所における食育に関する指針」から、年齢別に食育のねらいと内容をみていきます。

6ヶ月未満児

厚生労働省が配布している資料「保育所における食育に関する指針」によると、6ヶ月未満児のねらいは以下です。

・お腹がすき、乳(母乳・ミルク)を飲みたい時、飲みたいだけゆったりと飲む
・安定した人間関係の中で、乳を吸い、心地よい生活を送ること

 

よく遊び・よく眠ることを基本に、お腹がすいたら泣くといった自然な欲求から食欲を育みます。保育士にゆったりと抱かれて乳を飲むことで授乳してくれる人に関心を持たせ、授乳中のかかわりが子どもの人間への信頼と愛情の基盤になるように配慮することが重要です。

6ヶ月~1歳3ヶ月未満児

離乳食が食べられるようになるこの年齢では、以下の内容がねらいとして定められています。

・お腹がすき、乳を吸い、離乳食を喜んで食べ、心地よい生活を味わう
・色々な食べものを見る・触る・味わう経験を通して自分で進んで食べようとする

 

6ヶ月~1歳3ヶ月未満児は、乳以外のものも食べられるようになることから、食べものに関心を持たせることがポイントです。色々な食べ物に接して、楽しむ機会を持って食育を育みます。

1歳3ヶ月~2歳未満児

乳離れするこの年齢では、以下の内容がポイントです。

・お腹がすき、食事を喜んで食べ、心地よい生活を味わう
・色々な食べ物を見る・触る・噛んで味わう経験を通して自分で進んで食べようとする

 

しっかりと座って食事を取れる年齢であるため、スプーンやフォークを使って意欲的に食べようとすること、そして楽しい雰囲気の中で一緒に食べる人の関心を持たせます。また、食事の前後や汚れた時に、顔や手を拭いてきれいになる快さを感じることで、マナーも学んでいきます。

2歳児

2歳児における食育のねらいは、以下の内容です。

・色々な種類の食べ物や料理を味わう
・食生活に基本的な習慣や態度に関心を持つ
・保育士を仲立ちとして、友達とともに食事を進め、一緒に食べる楽しさを味わう

 

物事を理解し始める年齢であることから、食事や一緒に食べる人への関心だけでなく、手洗いうがいなどの食生活に必要な行動も身につけていきます。また食事がどうできているのか、誰が調理するのかなど目の前の食事以外のことにも関心を持たせます。

3歳児以上

3歳は乳歯も生え揃い、1人で食べるものを選んだり、上手に食事することもできるようになります。そのため3歳児から卒園の年齢である5歳児までは、食育のねらいや目標に大きく変化はありません。その分ねらいも増え、以下のようにさまざまなことを学んでいきます。

食と健康 ・できるだけ多くの種類の食べ物や料理を味わう
・自分の体に必要な食品の種類や働きに気付き、栄養バランスを考慮した食事をとろうとする
・健康、安全など食生活に必要な基本的な習慣や態度を身につける
食と人間関係 ・自分で食事ができること、身近な人と一緒に食べる大切さを味わう
・様々な人々と会食を通して、愛情や信頼感を持つ
・食事に必要な基本的な習慣や態度を身につける
食と文化 ・色々な料理に出会い、発見を楽しんだり、考えたりし、様々な文化に気づく
・地域で培われた食文化を体験し、郷土への関心を持つ
・食習慣、マナーを身につける
いのちと育ちと食 ・自然の恵と働くことの大切さを知り、感謝の気持ちを持って食事を味わう
・栽培、飼育、食事などを通して、身近な存在に親しみを持ち、すべてのいのちを大切にする心を持つ
・身近な自然にかかわり、世話をしたりする中で、料理との関係を考え、食材に対する感覚を豊かにする
料理と食 ・身近な食材を使って、調理を楽しむ
・食事の準備から後片付けまでの食事づくりに自分から関わり、味や盛り付けを考えたり、それを生活に取り入れようとする
・食事にふさわしい環境を考えて、ゆとりある落ち着いた雰囲気で食事をする

 

3歳児からは食事を通して食育を学ぶだけでなく、外にも目を向けて社会性やマナー、知識を身につけます。また食を通して大人との信頼関係や相手を尊重する気持ちを確立し、葛藤やつまずきなどの体験も重視していきます。単に食べる・食に関心を持つだけでなく、食を取り巻くあらゆる感情や要素を経験していくステップです。

保育園の食育で実践できる!食育に関するゲームやアイデア

食事の時間以外の食育ではさまざまな活動がありますが、ゲームや遊びであれば手軽に実践できます。さらに楽しみながら食育が学べるため、ぜひ保育活動のなかに取り入れてみてください。ここでは、食育に関するゲームやアイデアをいくつかご紹介します。

紙芝居

紙芝居では子どもたちにお話を楽しみながら、知識を身につけられます。食べ物をよく噛んで飲み込むことの大切さ、ハンバーグなどの食べものの作り方紹介など、紙芝居にできるテーマはさまざま。たとえば、ハンバーグ作りの紙芝居では、単に作り方を紹介するだけでなく、「卵や乳製品にアレルギーを持つ人がハンバーグを食べるにはどうすればいいか?」など食物アレルギーについても考え、学ぶことができます。

絵合わせカードゲーム

カードに描かれている食材から何ができるかを当てるゲームです。たとえば「お米」のカードで絵合わせする場合には、「おせんべい」や「お団子」が描かれているカードを選ぶことができます。同じ食材でも、全く違った食べ物ができることを知ることによって、食に関する関心と知識が身につきます。

野菜スタンプ

野菜の切り口に絵の具を塗り、スタンプを作ります。合わせて断面からなんの野菜かを当てるクイズを実施しても良いでしょう。ただスタンプやクイズを楽しむのではなく、なんの野菜か、どんな特徴があるかを学びながら野菜に関心を持たせられます。食べるのが苦手な野菜があってもスタンプやクイズで楽しんだことで、興味を持つかもしれません。

食材分類ゲーム

ご飯は赤、野菜は緑、そのほかは青に分類し、1つの食べ物にどんな食材が入っているかを一緒に考えて分類します。たとえばカレーには何が入っているかを一緒に考え、にんじんやジャガイモなどと回答が出れば何色に仕分けるかを答えてもらいます。分類した食材ごとに、なぜそれを食べるのが大事かを教えられます。

食育は食だけでなく、社会性やマナーなど生きる上で必要な基礎作り!

食育は心身の健康の確保だけでなく、マナーやコミュニケーション能力、協調性など社会生活を営む上で必要な土台作りとなるものです。保育園では「食を営む力」の育成のための基礎を培うことができ、今後の成長に大きく影響を与えます。保育士は園児が食育を身につけられる環境を整え、年齢に応じて身につけるべき基礎力を育む重要な役割を担います。

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人材紹介業、サービス業、障がい者雇用の分野で採用業務に従事した経験がある女性スタッフ。現在は保育分野の採用担当として、業務を通じて保育園で働くスタッフの負荷軽減になることを目標として活動している。

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