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【2022年最新版】保育士等キャリアアップ研修とは

著者: めんたいパスタ

更新日:2024/10/23

公開日:2022/07/07

保育士は女性に人気であり、かつやりがいも大きい仕事です。しかし、いくらやりがいが大きくともキャリアアップや給料アップしにくい環境ですと働くモチベーションも下がってしまうもの。そこで、保育士がキャリア・給料アップを目指すために活用できるのが保育士等キャリアアップ研修です。今回は2022年の最新情報をもとに、保育士等キャリアアップ研修とは何か詳しくご紹介します。

保育士等キャリアアップ研修とは

保育士等キャリアアップ研修は、保育士の処遇改善と専門性の向上を図るために設けられた制度です。2017年には厚生労働省より「保育士等キャリアアップ研修ガイドライン」が制定され、2023年度より研修受講が必須となります。まずは保育士等キャリアアップ研修の目的や、研修により何が変わるかをみていきます。

保育士等キャリアップ研修の目的

保育士等キャリアアップ研修の目的は、これまで曖昧だった保育士のキャリアアップの仕組み構築と保育士の処遇改善です。研修ではリーダー的役職に就くために必要な専門的知識が取得でき、さらに一般保育士から主任保育士になる間の段階的な役職が明確化されたことでキャリアパスを描きやすくなりました。
近年、子どもや子育てを取り巻く環境が変化したことで、保育園や保育士に求められる役割も多様化・複雑化しています。より高度な専門性を求められるようになった保育士がニーズに応えられるようにするだけでなく、それに伴いキャリアアップがしやすいよう仕組みを整えたのです。

保育士等キャリアアップ研修で何が変わる?

保育士等キャリアアップ研修は「処遇改善加算Ⅱ」として、現場のリーダー的職員の専門性向上と処遇改善を目的とした制度です。これに伴い3つの役職が新設された点が、保育士等キャリアアップ研修の制定によるこれまでとの大きな変更です。
処遇改善加算Ⅱでは若手や中堅層のキャリアパスを構築するため「職務分野別リーダー」「専門リーダー」「副主任保育士」の3つの役職を新たに設けました。要件を満たすことで役職が発令され、職務分野別リーダーは月額5,000円、専門リーダーと副主任保育士は月額40,000円の加算対象となります。役職者1人あたりに加算額がそのまま上乗せされるわけではありませんが、役職者が増えることで園全体での処遇改善加算額も増えるため、結果的に個々の給料アップにつながるのです。

保育士等キャリアアップ研修で登場する新たな役職と就任要件

保育士等キャリアアップ研修で新設された3職種が「副主任保育士」「専門リーダー」「職務分野別リーダー」です。処遇改善加算Ⅱの適用、そして各役職に就任するには保育士等キャリアアップ研修の修了により適用要件を満たす必要があります。ここでは、3職種について適用要件を詳しくみていきます。

副主任保育士

副主任保育士は、主任保育士の1つ下に位置付けられた役職です。園の運営や保育の質向上のためにリーダーシップを発揮することが求められます。副主任保育士への就任要件は、以下の通りです。

・経験年数が概ね7年以上
・マネジメント研修+3つ以上の専門研修を修了
・副主任保育士の役職が発令されている

専門リーダー

専門リーダーも副主任保育士と同じく、主任保育士の1つ下に位置付けられた役職です。副主任保育士との違いは、専門リーダーが「保育士のスペシャリスト」の役割であることです。そのため、副主任保育士のように園経営までを担う役割ではありません。専門リーダーへの就任要件は、以下の通りです。

・経験年数が概ね7年以上
・4つ以上の専門研修を修了している
・専門リーダーの役職が発令されている

職務分野別リーダー

職務分野別リーダーは、一般保育士と副主任保育士・専門リーダーの間に位置付けられた役職です。保育士等キャリアアップ研修のうち、マネジメント研修と保育実践研修を除く6つの専門分野のいずれかを修了していることで就任できるのが職務分野別リーダーです。修了した専門分野ごとに保育士を配置できるほか、1つの専門分野に複数の保育士を配置することもできます。職務分野別リーダーへの就任要件は、以下の通りです。

・経験年数が概ね3年以上
・担当する専門分野の研修を修了している
・修了した分野のリーダーとして発令されている

職務分野別リーダーは保育士経験3年以上で目指せるため、若手向けの役職といえます。

保育士等キャリアアップ研修の専門分野

保育士等キャリアアップ研修で設けられているのは、下記8つの専門分野です。

分野 ねらい 内容
乳児保育
(主に0~3歳未満児向けの保育内容)
●乳児保育に関する理解を深め、適切な環境を構成し、個々の子どもの発達の状態に応じた保育を行う力を養い、他の保育士等に乳児保育に関する適切な助言及び指導ができるよう、実践的な能力を身に付ける。 1.乳児保育の意義
2.乳児保育の環境
3.乳児への適切な関わり
4.乳児の発達に応じた保育内容
5.乳児保育の指導計画、記録及び評価
幼児教育
(主に3歳児向けの保育内容)
●幼児教育に関する理解を深め、適切な環境を構成し、個々の子どもの発達の状態に応じた幼児教育を行う力を養い、他の保育士等に幼児教育に関する適切な助言及び指導ができるよう、実践的な能力を身に付ける。 1.幼児教育の意義
2.幼児教育の環境
3.幼児の発達に応じた保育内容
4.幼児教育の指導計画、記録及び評価
5.小学校との接続
障害児保育 ●障害児保育に関する理解を深め、適切な障害児保育を計画し、個々の子どもの発達の状態に応じた障害児保育を行う力を養い、他の保育士等に障害児保育に関する適切な助言及び指導ができるよう、実践的な能力を身に付ける。 1.障害の理解
2.障害児保育の環境
3.障害児の発達の援助
4.家庭及び関係機関との連携
5.障害児保育の指導計画、記録及び評価
食育・アレルギー対応 ●食育に関する理解を深め、適切に食育計画の作成と活用ができる力を養う。
●アレルギー対応に関する理解を深め、 適切にアレルギー対応を行うことができる力を養う。
●他の保育士等に食育・アレルギー対応に関する適切な助言及び指導ができるよう、実践的な能力を身に付ける。
1.栄養に関する基礎知識
2.食育計画の作成と活用
3.アレルギー疾患の理解
4.保育所における食事の提供ガイドライン
5.保育所におけるアレルギー対応ガイドライン
保健衛生・安全対策 ●保健衛生に関する理解を深め、適切に保健計画の作成と活用ができる力を養う。
●安全対策に関する理解を深め、適切な対策を講じることができる力を養う。
●他の保育士等に保健衛生・安全対策に関する適切な助言及び指導ができるよう、実践的な能力を身に付ける。
1.保健計画の作成と活用
2.事故防止及び健康安全管理
3.保育所における感染症対策ガイドライン
4.保育の場において血液を介して感染する病気を防止するためのガイドライン
5.教育・保育施設等における事故防止及び事故発生時の対応のためのガイドライン
保護者支援・子育て支援 ●保護者支援・子育て支援に関する理解を深め、適切な支援を行うことができる力を養い、他の保育士等に保護者支援・子育て支援に関する適切な助言及び指導ができるよう、実践的な能力を身に付ける。 1.保護者支援・子育て支援の意義
2.保護者に対する相談援助
3.地域における子育て支援
4.虐待防止
5.関係機関との連携、地域資源の活用
マネジメント ●主任保育士の下でミドルリーダーの役割を担う立場に求められる役割と知識を理解し、自園の円滑な運営と保育の質を高めるために必要なマネジメント・リーダーシップの能力を身に付ける。 1.マネジメントの理解
2.リーダーシップ
3.組織目標の設定
4.人材育成
5.働きやすい環境づくり
保育実践 ●子どもに対する理解を深め、保育者が主体的に様々な遊びと環境を通じた保育の展開を行うために必要な能力を身に付ける。 1.保育における環境構成
2.子どもとの関わり方
3.身体を使った遊び
4.言葉・音楽を使った遊び
5.物を使った遊び

 

役職ごとに、上記8つの専門分野から該当の研修を修了します。なお、修了にあたり研修は1分野につき15時間以上の受講が必要です。
また「保育実践」は新卒保育士や潜在保育士向けの研修となり、2022年4月時点では処遇改善加算Ⅱの要件とされていない分野となります。

保育士等キャリアアップ研修の適用について

2021年6月18日に厚生労働省から「処遇改善加算Ⅱの研修修了要件の必須化時期の取扱いについて」が発表されました。これにより、新型コロナウイルスの影響を考慮し、令和5年度(2023年)から令和8年度(2026年)までの間に毎年1分野ずつ研修修了数を追加し、令和8年度に完全実施することが決定しています。なお、令和5年度から段階的に適用され令和8年度に完全実施となるのは副主任保育士・専門リーダーです。令和5年度に1分野または15時間以上、令和6年度に2分野または30時間以上と段階的に増えていきます。一方、職務分野別リーダーは令和6年度から1分野または15時間以上の研修修了が適用要件となります。

保育士等キャリアアップ研修の受講方法

キャリアアップ研修の実施主体は、都道府県または都道府県知事の指定した研修実施機関です。指定研修機関には、指定保育士養成施設や非営利団体などがあります。研修の申し込みは各自治体や指定研修機関にて行いますが、研修期間が決まっているためいつでも受講できると限らない点は要注意です。たとえば東京都の場合、2022年のキャリアアップ研修のスケジュールは下記の通りです。

※2022年6月2日時点

研修実施日 募集開始日
第1期 2022年4月~6月開催分 2022年4月1日
第2期 2022年6月~9月開催分 2022年6月1日
第3期 2022年9月~2023年3月開催分 2022年8月1日
第4期 2023年1月~2023年3月開催分 2022年10月3日

 

研修は専門分野ごとに日程と定員が決まっています。東京都の場合、zoom研修とeラーニング視聴期間が設けられており、うちzoom研修は固定日程での実施となります。申し込みは先着順であるため、早めの申し込みが必要です。各専門分野の研修日程や申し込みについては、下記をご覧ください。

保育士が保育士等キャリアアップ研修を受講するメリット

・専門性が高まる
・復職、転職に有利になる
・給与アップに期待できる

保育士の専門性が高まることで保育士としての市場価値を高められるだけでなく、キャリアアップ研修を修了していることが実力の指標となるため復職や転職でも有利になる点が最大のメリットです。キャリアアップ研修は都道府県単位で実施されますが、その効力は全国共通です。また一度修了すれば永続的に効力があるため、ブランクからの復職や他県への転職でも有利に働きます。そして、保育士がキャリアップ研修を受講することで役職がつき、それに伴い園も処遇改善加算Ⅱの対象となります。処遇改善加算の対象となることで給与アップにつながるのも事実ですが、加算の分配や確役職の割り振りは園に一任されています。そのため、必ずしも満額が加算されて大幅に給与アップするとは限らない点は要注意です。

保育士等キャリアアップ研修でキャリアアップを図ろう!

2017年に新設した保育士等キャリアアップ研修により、若手・中堅保育士のキャリアパスが明確化されました。また8つの専門分野を設けており、各分野を修了することでその分野における専門性が高い保育士と証明されます。つまり、保育士等キャリアアップ研修はキャリアップに伴う給与アップ、市場価値の向上、そして将来的な復職・転職を有利にするために役立ちます。今記事を参考に、保育士等キャリアアップ研修の概要や最新情報を押さえましょう。

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人材紹介業、サービス業、障がい者雇用の分野で採用業務に従事した経験がある女性スタッフ。現在は保育分野の採用担当として、業務を通じて保育園で働くスタッフの負荷軽減になることを目標として活動している。

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