調剤薬局事務の資格4選!どれがいい?独学も可能?難易度や取り方をご紹介
著者: そだねー
更新日:2023/10/11
公開日:2019/04/17
女性に人気のある職業の1つである調剤薬局事務。資格を取得することで、即戦力としてみられ、就職に有利になる場合も。調剤薬局事務の資格はいくつかあり、どれを受ければいいのか、独学で取得できるのかなど悩む人もいるでしょう。ここでは、おすすめの資格4選をご紹介。各資格の合格率や取り方も解説するので、ぜひご参考にしてください。
目次
調剤薬局事務に資格は必要?
調剤薬局事務は、無資格や未経験の人でも就業できる仕事で、資格取得は必須ではありません。ですが、就業するうえで最低限の調剤に関する知識・技術は必要になります。
実際、保有資格や一定の経験を条件に求人を出している企業も少なくありません。そのため、調剤薬局事務の資格を保有していたほうが、就職や転職に有利に働く場合があります。
調剤薬局事務の資格を取得する利点
・調剤薬局事務に関する自分の能力を証明できる
・即戦力として就職・転職時にアピールできる
・知識・技術を持っていることで自分に自信がつく
調剤薬局事務の資格を持っていると、自分の能力を証明できます。資格を持っていない人と比べたときに、有利に働くでしょう。未経験で調剤薬局事務の仕事を目指すなら、資格を取得しておくと安心です。
調剤薬局事務の資格取得することで、自身の能力を証明できるだけでなく、即戦力になれる点をアピールできることも利点といえます。即戦力になれることは、転職や就職時の強みになるでしょう。
また、資格勉強を通じて、基本的な調剤薬局事務に関する知識や技術を身につけられるため、自信をもって仕事に挑めるのも魅力の1つです。
調剤薬局事務の主な仕事内容
調剤薬局事務では、調剤薬局で患者さんの受付やお薬の会計をしたり、レセプト作成を行ったりします。ここでは、具体的な仕事内容について詳しくご紹介します。どのような仕事をするのか気になる方は、ぜひ参考にしてください。
・会計業務
・レセプト作成業務
・その他サポート業務
受付・患者さん対応
調剤薬局の窓口として受付に立って、患者さんの対応をするのは調剤薬局事務の大事な仕事のひとつです。主に、処方箋やお薬手帳の受け取り、保険証の確認などを行います。調剤薬局の顔として、明るく気持ちのよい接客が求められます。
会計業務
会計業務では、パソコンで読み取った処方箋の内容に応じて、お薬代の会計を行います。シンプルな業務ですが、誤りや会計の抜けがあると患者さんとのトラブルに発展する可能性も。間違いがないよう、正確でかつスピーディーな仕事が求められます。
レセプト作成業務
レセプト作成業務では、患者さんの負担分を除いた費用に関する「レセプト」を作成し、社会保険等の団体へ請求を行います。レセプトとは、調剤報酬明細書を指し、月に1回の作成が必要です。作成内容に誤りがあると、調剤薬局の運営そのものに関わってくるため、重要な業務といえます。
その他サポート業務
受付対応や事務業務以外にも、調剤を行う薬剤師の補助や薬局内の清掃なども調剤薬局事務が行うことが多いです。他にも、シロップなどの水薬の調合を行ったり、薬剤の棚卸しや発注を行ったりします。また、書類の整理や室内清掃などの周りの手が行き届かない業務を担い、サポートを行います。
調剤薬局事務で働く利点
・ライフスタイルに合う働き方を選択しやすい
・将来的なニーズが見込める
調剤薬局事務は、結婚や子育て、介護など、ライフスタイルの変化が大きい女性にとって働きやすい職種といえます。正社員だけでなく、パートやアルバイトなどの非正規雇用の求人も多い傾向にあるため、ライフスタイルに合わせた柔軟な働き方が選べるでしょう。
また、調剤薬局は全国に多数あるため、自宅から近い場所や、希望収入に見合った求人を見つけやすいのも魅力のひとつ。将来的にも長く働きやすい職種といえるでしょう。
調剤薬局事務はこんな人におすすめ
・パソコンの基本操作ができる人
・正確かつ円滑に業務に取り組める人
・人と関わることが好きな人
調剤薬局事務は、専用ソフトを使用して処方箋の内容を入力するレセプト業務があるため、パソコン作業が必要です。難しいスキルは必要ないですが、基本的な操作ができ、かつ正確な入力ができる人のほうが向いているといえます。
また、調剤薬局の事務として患者さんや他の医療機関のスタッフなどと関わる機会も多いため、人とのコミュニケーションが好きな人も適性があるでしょう。
【難易度・合格率】調剤薬局事務のおすすめ資格4選
<調剤薬局事務の資格は複数ありますが、そのどれもが国家資格ではなく民間資格です。上の2つは、講習を受ける必要があります。下の2つは、講習を受ける必要がなく、誰でも受験可能です。それぞれの資格について解説します。
調剤事務実務士
主催 | 特定非営利活動法人医療福祉情報実務能力協会 |
---|---|
受験資格 | 不問 |
受験科目 | 学科・明細書作成 |
試験日 | 7月上旬頃、12月上旬頃 |
試験時間 | 記載なし |
試験内容 | 【学科(20問)】 (1)薬学の知識 医薬品の定義・分類、用量、相互作用、投与方法、剤形、医薬品の保存 (2)医療保険制度 保険調剤のしくみ(医薬分業、薬局、薬剤師の申請と許可) 医療保険制度(医療保険の種類、給付率、負担率、保険調剤の費用、後期高齢者医療、公費負担医療) (3)点数算定 保険調剤の実務(処方箋の知識、薬剤の記載方法、mgの算出方法) 数表の構成(算定の原則、調剤技術料、基本料と加算、指導料、薬剤料) 指導料(薬剤服用歴、薬剤情報提供、長期投与、在宅) 療養担当規則(調剤歴の記載、診療の具体方針) (4)接遇マナー 受付業務(患者対応、窓口業務)、チーム医療 【明細書作成(3問)】 (1)処方箋から調剤報酬明細書作成 一般、後期、小児、在宅、特定疾患(※いずれかより3問) |
試験場所 | 教育指定校及び団体受験での受験のみとなるため、記載なし |
受験料 | 7,700円(税込) |
調剤事務実務士は、合格率70%前後の資格です。難易度は普通といえるでしょう。しっかり勉強することで、確実に合格できる資格です。ただし、受験するためには「教育指定校及び団体受験」が必須です。予備校などに通う必要がありますが、取得した際の信頼性は抜群といえるでしょう。
医療保険調剤報酬事務士
主催 | 医療保険学院 |
---|---|
受験資格 | 調剤報酬事務教育講座で行われる3回のテストに合格した方 |
受験科目 | 学科・明細書作成 |
試験日 | 毎月実施(年12回) |
試験時間 | 記載なし |
試験内容 | ・学科…医療保険制度、保険請求業務 ・実技試験…レセプト業務 |
試験場所 | 在宅 |
受験料 | 4,500円(税込) |
合格率は80?90%となっているので、比較的取得しやすい資格と言えるでしょう。しかし、受験するには中間テストに3回合格する必要があります。
また、受験資格であるテストを受けるためには、医療保険学院の医療保険調剤報酬事務士講座を受講しなければなりません。そちらの費用は33,000円ですので、合計で37,500円かかります。その分しっかりと知識を蓄えることができます。
調剤事務管理士R
主催 | 技能認定振興協会(JSMA) |
---|---|
受験資格 | なし |
受験科目 | 実技・学科 |
試験日 | 在宅受験:毎月(毎月第4土曜日翌日の日曜日) |
試験時間 | 記載なし |
試験内容 | 【実技試験(マークシート形式2問)】 レセプト作成 【学科試験(マークシート形式:10問)】 ・法規(医療保険制度、調剤報酬の請求についての知識)・調剤薬局請求事務(調剤報酬点数の算定、調剤報酬明細書の作成、薬剤用語についての知識) |
試験場所 | 在宅 |
受験料 | 6,500円(税込)(税込) |
調剤事務管理士Rの合格率は、60%程度です。調剤事務実務士と同じくらいのレベルだと考えていいでしょう。こちらの資格は、誰でも受講することができます。独学でも合格を目指せますので、しっかりと勉強しましょう。
調剤報酬請求事務専門士
主催 | 一般社団法人専門士検定協会(JSMA) |
---|---|
受験資格 | なし |
受験科目 | 実技・学科 |
試験日 | 7月第1土曜日、12月第1土曜日 |
試験時間 | 実技60分・学科60分 |
試験内容 | 【学科】 <全級共通>問題30問(2択マークシート方式) ・保険薬局と薬局業務の流れ ・調剤報酬(点数算定の正しい知識と解釈) ・在宅業務 ・調剤業務補助 ・個人情報保護法 ・薬剤の基礎知識と医療関連法規 ・社会保障制度(医療保険の種類、介護保険制度、公費負担医療制度) ・患者接遇 <1・2級>追加応用問題20問(4択マークシート方式) ・保険薬局と薬局業務の流れ ・調剤報酬(点数算定の正しい知識と解釈) ・在宅業務 ・調剤業務補助 ・個人情報保護法 ・薬剤の基礎知識と医療関連法規 ・社会保障制度(医療保険の種類、介護保険制度、公費負担医療制度) ・患者接遇 <3級>追加問題なし 【実技】 <全級共通>問題 処方箋3症例(マークシート方式) <1級>処方箋1症例(調剤報酬明細書の作成) <2・3級>追加問題なし |
試験場所 | 会場もしくは通信受験:FAX(NTT回線のみ)の使用できる場所 |
受験料 | 1級:6,380円 2級:5,280円(1級、2級併願は11,110円) 3級:5,280円(2級、3級併願は10.010円) ※別途事務手数料(切手代)が必要 |
合格率は、1級が20%、2級が40%程度、通信2級が30%~40%、通信3級50%~60%程度です。1級は調剤薬局事務でもっとも難しい資格といえます。まずは3級から始めるようにしましょう。3級でも、取得していると履歴書に書けるレベルです。この資格も、誰でも受けることができます。過去問や傾向と対策をきっちり抑え、勉強していきましょう。
【独学も可能?】調剤薬局事務資格の取り方
独学 | 通信講座 | 通学 | |
---|---|---|---|
費用 | ◎ | ○ | △ |
学ぶ時間の自由度 | ◎ | ◎ | △ |
継続しやすさ | △ | ○ | ◎ |
調剤薬局事務資格の学習方法は、主に独学・通信講座・養成学校への通学の3種類があります。自身のライフスタイルに適し、継続して学習できる方法を選ぶことが大切です。ここでは、それぞれのメリットやデメリットについても解説しますので、ぜひ参考にしてください。
独学のメリット・デメリット
独学のメリットは、教材費の準備だけで済み、隙間時間を活用して学習できる点です。書店やインターネットなどで購入できる教材費は独学が最も安く、自宅ですぐに学習が始められます。一方で、自身でスケジュールを組み、学習を進めていくため、継続するための根気と覚悟が必要です。
【独学はこんな人におすすめ】
・コストを抑えて資格を取得したい人
・時間や場所にとらわれずに学習を進めたい人
通信講座のメリット・デメリット
通信講座は、独学よりもモチベーションを維持した状態で自宅学習できる点が魅力です。独学よりは費用がやや高くなりますが、比較的良心的な価格で、添削や質問などのサポートが受けられます。確実に疑問を解決できるため、安心して学習を進められるでしょう。
【通信講座はこんな人におすすめ】
・モチベーションを保ちつつ、自分のペースで学習したい人
・必要に応じて学習のサポートをしてほしい人
通学のメリット・デメリット
通学の場合、独学や通信講座よりもモチベーションを維持して学習し続けられます。カリキュラムがすでに決まっているため、他の勉強法より早く資格取得ができる可能性も。
ただし、他の方法よりも費用が高く、カリキュラムに合わせて予定を調整しないといけないため、自由度が低い傾向にあります。資格の種類によって、通学の有無が異なるため事前に確認しましょう。
【通学はこんな人におすすめ】・短期集中で資格を取得したい人
・対面学習のほうが集中できる人
調剤薬局事務の資格や仕事に関するQ&A
ここでは、調剤薬局事務の資格や仕事に関するよくある質問とその回答についてご紹介します。調剤薬局事務について、さらに理解を深めましょう。
Q.調剤薬局事務資格は取得しても意味がない?
A.資格を取得する意味は大いにあります。
未経験や無資格者でも就業できる調剤薬局事務ですが、経験者や資格保有者を求めている企業も一定数あります。実際働くには、調剤やレセプト作成に関する知識や技術も必須です。資格を取得していれば、スキルの証明にもなるため、即戦力として採用されやすくなるでしょう。
Q.調剤薬局事務と医療事務の違いは?
A.薬局か病院なのかなど、働く場所と業務内容が異なります。
調剤薬局事務 | 医療事務 |
---|---|
主に調剤薬局で働き、調剤に関する業務を行う | 主に病院で働き、診療に関する業務を行う |
医療機関で受付や会計など、患者さんの対応を行う点は共通していますが、上記のように働く場所と業務内容が異なります。調剤に関する範囲の業務を行うのが調剤薬局事務であり、医療事務は診療に関する業務やレセプト作成を行うなど、業務範囲が広い傾向です。
資格取得に関しても、学習範囲が調剤薬局事務のほうが限られているため、対策しやすいといえるでしょう。
Q.調剤薬局事務の資格はどれが1番いい?
A.自身のライフスタイルに合わせて選びましょう。
どの資格であっても、大まかな学習内容は基本的には共通しています。ただ、学習方法や難易度に差があるため、自身のライフスタイルに適した資格を選択するのがおすすめです。
また、希望する就職先や転職先がどの資格を保有していると優遇しているかの視点で選ぶのも1つの手として有効でしょう。
調剤薬局事務の資格を取得して就職・転職を成功させよう!
調剤薬局事務は、未経験・無資格でも働けるため、働きやすい職種です。調剤薬局事務の資格を取得すれば、即戦力としてアピールでき、就職の成功率アップにつながるでしょう。一度資格を取得しておけば、全国どこでも働けるうえに、ライフスタイルに合わせた働き方ができます。
「ソラジョブ医療事務」では、調剤薬局事務のほか医療事務の求人も多数掲載しています。子育て中などライフイベントに合わせた働き方を求める方に、ぴったりの求人が見つかります。転職や就職を検討中の方は、ぜひ「ソラジョブ医療事務」の求人をチェックしてみてください。
新着の求人を見る
この記事は役に立ちましたか?
このコラムをシェアする
著者プロフィール
そだねー
北国出身。前職はコールセンターの採用を担当し、ソラストに転職後、医療事務採用業務に6年従事している。営業や現場とのパイプを持ち、日々変化し続ける医療事務の情報をキャッチアップすることに強みを持つ。