医療事務の外国人対応に英語力は必須?役立つ資格や医療英会話を紹介!
著者: そだねー
更新日:2023/12/22
公開日:2020/10/16
診療報酬請求業務や受付業務を担う医療事務員に、新たに求められているのが英語力です。毎年増え続ける訪日外国人に対応するため、現在は医療の現場でも英語力が求められています。医療事務の現場で役立つ英語フレーズとともに、転職時にも役立つ医療英語の資格についてご紹介します。
目次
医療事務に英語力は必要?
仕事や観光、留学などさまざまな目的で来日する外国人は増加しています。2013年に約1,000万人だった訪日外国人は、2018年には3,000万人を突破。外国人が病院やクリニックを受診する機会も増え、医療現場では英語での対応力が求められているのです。
特に、医療事務員は外国人患者が接する最初の窓口です。問診や保険証のやりとり、会計など、それぞれの場面で臨機応変に対応できる英語力が必要です。
英語力のある医療事務員は就職に有利?
受付対応にレセプト作成と幅広い業務をこなす医療事務は、今後もニーズが絶えない仕事です。近年は各地に外国人対応病院が選定されており、英語力があることは転職時にも大いに有利となります。医療事務の求人に応募する際にも、英語力があることが証明できれば時給アップを期待することもできるでしょう。
外国人対応病院の選定も
2018年、厚生労働省は訪日外国人を診療するための病院を都道府県ごとに選定することを表明しました。2019年には外国人対応病院のリストが公表され、現在は都道府県と診療科目、対応言語などから病院を検索することが可能です。
外国人患者にとって、異国の地で体調不良や事故にあった時、一番心配になるのが言葉の壁。病院側にとっても、外国人患者を受け入れる体制が整っていることはより円滑に質の良い医療を提供することに繋がるでしょう。
このように、医療現場では外国人への対応力のある人材の需要が高まっています。訪日外国旅行患者の場合は自費診療になるため、治療費が高額になり後日トラブルに発展するケースも見受けられます。そのため、受付時には同意書や問診票、インフォームド・コンセント等を整備し、英語で患者への同意を得ることが重要となるのです。
医療事務の外国人対応で役立つ!英語フレーズ
外国人患者が初めて来院する際は、言葉の壁や日本の医療システムに不安を覚えるものです。そのような中で、初めて接する医療事務員が英語に対応できることは患者の不安をやわらげることへも繋がります。
では、医療事務の現場では実際にどのような英語フレーズが必要になるのでしょうか。早速具体例を確認していきましょう。
最初の受付対応
外国人患者が来院した際は、まずは「Hello」「Good morning」といったあいさつで迎えましょう。加えて保険証の有無は診療報酬に関わるため、外国人患者であっても確実に確認する必要があります。
日本語 | 英語 |
---|---|
どうされましたか? | How may I help you? |
予約はされていますか? | Do you have an appointment? |
当院は初めてですか? | Is this your first visit to this hospital? |
保険証はお持ちですか? | Do you have an insurance card with you? |
名前のスペルと生年月日を教えてください | How do you spell your name? Tell me your date of birth, please. |
診察室での対応
予め症状について問診することは、後の診察をスムーズにことに繋がります。体調不良の患者の不安をやわらげるためにも、丁寧に対応することを心がけましょう。
日本語 | 英語 |
---|---|
いつからその症状がありますか? | Since when have you had such symptoms? |
この問診票を記入してください | Please fill out this medical history form. |
名前が呼ばれるまでこちらでお待ちください | Please wait here until your name is called. |
会計時の対応
後に支払いに関する混乱を招かないためにも、会計時には適切な対応が求められます。その後の診察予定や薬の受け取り方法なども、英語で説明できるとなお良いでしょう。
日本語 | 英語 |
---|---|
診察費は2,500円になります | The consultation fee comes to 2,500 yen. |
1週間後にまた診察を受けにきてください | Please come back for a check-up a week from now. |
○○薬局に行って処方箋の薬をもらってください | Please go to the ○○ Pharmacy and get a prescription drug. |
薬に関する対応
アレルギーや妊娠の有無は、体調に関わる重要な項目です。初診対応の際には必ずチェックするように心がけましょう。
日本語 | 英語 |
---|---|
薬のアレルギーはありますか? | Do you have any drug allergies? |
現在服用している薬はありますか? | Do you have any medications you are currently taking? |
妊娠していますか? | Are you pregnant? |
英語力を証明するためにおすすめの資格
医療に関する英語力を証明するために役立つのが、専門的な医療英語の資格です。資格取得には一定の勉強が必要なため、自身の英語力を高めることもできます。こちらでは、医療事務員におすすめの医療英語の資格を2つご紹介します。
日本医学英語検定試験(医英検)
対象者 | エキスパート(1級):日本医学英語教育学会会員で2級を取得済 プロフェッショナル(2級):3級取得済 応用級(3級)・基礎級(4級):条件なし |
---|---|
レベル | エキスパート(1級):医療英語教育を実施できる プロフェッショナル(2級):英語で論文執筆、討論、学会発表を行える 応用級(3級):英語で医療に従事できる 基礎級(4級):基礎的な医学英語を運用できる |
実施方法 | エキスパート(1級):面接試験30分 プロフェッショナル(2級):筆記試験80分、プレゼンテーション試験25分(口頭発表10分/質疑応答15分) 応用級(3級):筆記試験90分、リスニング試験30分 基礎級(4級):筆記試験90分 |
認定料 | エキスパート(1級)・プロフェッショナル2級:15,000円 応用級(3級):7,500円 基礎級4級:5,000円 |
「日本医学英語検定試験」は、日本医療の推進を目的に日本医学英語教育学会が主催している資格です。1級及び2級は受験するにあたり、英語論文や医療英語教育の実績について提出する必要があります。医療事務の仕事に活かすのであれば、まずは4級からの取得を目指すと良いでしょう。
日本医学英語検定試験の勉強方法
日本医学英語検定試験は、日本医学英語教育学会から公式テキストが発行されています。医療事務の対象となる3・4級のテキストでは、基礎的な医学英語や運用項目について学ぶことが可能です。
ただし、実際に大切なのは試験に合格することではなく、現場で外国人患者とのコミュニケーションができることです。3・4級の試験は筆記のみですが、現場で医学英語が運用できるようにアウトプットを兼ねた学習を心がけましょう。
医療英会話技能検定
出題範囲 | 「医療英会話技能認定申請資格に関する教育訓練ガイドライン」に沿った内容 |
---|---|
試験内容 | ・学科 医療機関で使用する基本的な用語、受付業務で使用する基本的な用語・フレーズ・表現 ・実技 医療英会話 |
実施方法 | ・学科 筆記/25~30問(50分) ・実技 対面によるロールプレイング/1問につき3分程度 |
合否の判定 | 学科・実技の各得点率70%以上 |
認定料 | 3,000円 |
医療機関の受付業務における基礎的な英語力を認定する資格が「医療英会話技能検定」です。一般財団法人日本医療教育財団が運営しており、医療機関を訪れる外国人患者の増加に伴い需要が高まっています。独自に定めた教育訓練ガイドラインをもとに出題されるため、学んだ知識を実践できることが特徴です。
医療英会話技能検定の勉強方法
医療英会話技能検定には、公式テキストは発売されていません。そのため、試験対策は独自に進めていく必要があります。
試験では医療英語に関する語彙力と読解力、コミュニケーション能力が判定されるため、必要な英単語をなるべく多く覚えることが大切です。実技では対面による試験も行われるため、ガイドラインのカリキュラムを参考にしながら自主的に英会話学習に取り組む必要があるでしょう。
英語力を身につけて医療事務員としてレベルアップしよう
医療事務員は、来院する患者に合わせた臨機応変な対応力が求められる仕事です。今後ますます増加する訪日外国人に合わせた英語力を身につけることは、医療事務員としてレベルアップすることに繋がります。
基礎的な英語フレーズを自主的に学習することはもちろん、資格を取得すれば転職時にも英語力を証明することが可能。幅広いニーズに対応できる医療事務員を目指すためにも、ぜひ医療英語の学習を検討してみてはいかがでしょうか。
この記事は役に立ちましたか?
このコラムをシェアする
著者プロフィール
そだねー
北国出身。前職はコールセンターの採用を担当し、ソラストに転職後、医療事務採用業務に6年従事している。営業や現場とのパイプを持ち、日々変化し続ける医療事務の情報をキャッチアップすることに強みを持つ。