「貴院」を正しく使えてる?意味や読み方・御院との違いもご紹介
著者: そだねー
更新日:2023/12/22
公開日:2021/07/08
病院勤務を目指して就職活動をしていると「貴院」という漢字を見かけたことがある方も多いかもしれません。ではこの漢字の読み方、意味を理解して正しく使えているでしょうか。病院の就職活動において「貴院」の使い方をマスターすることは、一般常識の面でも重要なポイントです。今回は「貴院」の意味や読み方、そして正しい使い方をご紹介いたします。
目次
貴院の読み方や意味とは?
貴院は「きいん」と読みます。文章において相手の病院を丁寧な表現で呼ぶ際に用いる表現。
会社の場合は「貴社」、法律事務所など事務所系の場合は「貴所」と呼びます。
「貴」の表す意味とは
「貴」は「尊敬・尊重に値する」という意味を持つ漢字です。そのため相手方に関する語の上につけることで、相手への敬意を表せます。
「院」で表せない場合は?
病院の場合は「貴院」が正しいです。しかし医療施設には病院以外にも「クリニック」や「診療所」などさまざまな呼び名があります。
この場合はどちらも「貴所」とするか、「貴クリニック」「貴診療所」でも問題ありません。また、なかには病院と福祉施設が合体している場合も。このように「貴所」も「貴院」も不適切と感じた場合には、「貴施設」が良いでしょう。
「貴」をつけたら「様」は不要
「貴」一文字をつけるだけで「様」と同じ役割があります。そのため「貴院様」といった表現は、二重敬語の言い回しになってしまうため不適切。
どうしても「様」をつけて表現したい場合には「貴」をつけずに、「○○病院様」の形式にしましょう。
貴院と御院の違いは?
特徴 | 使用場面 | |
---|---|---|
貴院 | 書き言葉 | 履歴書 |
御院 | 話し言葉 | 面接 |
よく間違われる表現に「御院(おんいん)」があります。「貴院」も「御院」も同じく、相手方の病院を敬った言い方。そのため意味的にはどちらを用いても間違いはないのです。
では両者の違いはどこにあるのでしょうか。
「貴院」は書き言葉
「貴」を使った表現は、基本的に文書でのみ使用する書き言葉です。一般的に広く使用されている「貴社」という表現が、口語だと「記者、汽車、帰社…」とさまざまな漢字に変換できてしまい、わかりにくいことから「御社」という表現が登場しました。
この影響を受けて「貴院」も文書のみとされているのです。
「御院」は話し言葉
対して「御院」は口語で使用するため、履歴書などの文面では使用しません。前述したように「御社」が「貴社」の口語表現として登場したことが影響しています。
文面で使用しても意味的に間違いではありませんが、一般常識的にはNGなので気をつけましょう。
貴院を使った例文
「貴院」は文書やメールのような、文面で使用する言葉です。
ビジネス文書においても用いられるため、押さえておくと良いでしょう。ここでは貴院を使った2つの文章例をご紹介いたします。
貴院を使った例文①
貴院におかれましては、ますますご清祥のこととお喜び申し上げます。
ビジネス文書における書き出しの表現です。いきなり本題に入らずに、書き出しに一文を入れるのがマナーとされています。
この場合に誰に対する文書なのかを明確にするためにも、相手方を示す「貴院」について述べる一文を入れましょう。
貴院を使った例文②
梅雨空のうっとうしい季節ですが、貴院のみなさまにおかれましてはお元気でご活躍のことと存じます。
患者さんや関係者が病院へ手紙を送る際にも貴院という表現が使われます。
梅雨時期に退院した元患者さまが、お世話になった病院に手紙を出したというシチュエーションの例文。このように必ずしもビジネス面だけではなく、相手を敬いたいときには貴院の表現が用いられます。
病院を表現したい場合は「貴院」を使おう
文書内で相手方の病院を指したい場合には「貴院」を使えば間違いありません。文書内の相手方の呼称は統一されている方が望ましいので「貴院」を使用したら、以後も貴院で統一しましょう。
途中で「○○病院様」のように、変わってしまうと文書にばらつきが出てしまうためNGです。
【例文あり】履歴書での貴院の使い方をご紹介!
就職活動中であれば「貴院」の出番は履歴書が一番多いでしょう。ここでは履歴書における貴院の使い方を、志望動機の例文と合わせてご紹介いたします。
例文① 看護師の志望動機
小学生の時に肺炎で入院し、家からも近い貴院に入院したことがあります。その時に点滴や日々の健康チェックだけでなく、私のメンタル面も気にしてくださった看護師さんがいらっしゃいました。そのことがずっと嬉しく、私も看護師としてたくさんの人に寄り添いたいという思いがあります。退院したその日から今日まで看護師になるための知識や体力をつけることに尽力してきました。
貴院は地域密着型の病院でありながら、外部からも多くの患者さまを受け入れています。そのため地域の人はもちろんのこと、多くの患者さまに平等に接し「入院先がこの病院でよかった」と仰ってもらえるようなサポートができる看護師を目指したいと考えております。
自分目線から相手方の病院を指す場合に「貴院」を用いるととても丁寧な印象になります。反対に例文内の「入院先がこの病院でよかった」という第三者目線から病院を指す場合に「貴院」はふさわしくありません。
ここは貴院でなくても失礼に当たらないため、そのまま「病院」という呼称で問題ありません。
例文② 医療事務の志望動機
母が医療事務として長年働いている姿を見て成長してきました。やりがいを持って仕事をしている母の姿を見て医療事務に関心を持ち、専門学校へ入学しました。
しかしただ事務をこなすだけでなく、よりホスピタリティを持って患者さまと接するために、ホスピタルコンシェルジュの資格も取得しました。
貴院は規模も大きいため、より多くの患者さま、そして現場の方たちのお力になれるよう、学校で学んだことと資格を生かして活躍したいと考えております。
就職後も学び続ける姿勢を忘れずに、資格のレベルアップも目指して、貴院に貢献していきます。
一般的な「貴院」の使い方の典型的な例文です。
貴院という表現が正しく使えていることで、一般常識を持っていることが証明できます。
合わせて「て・に・を・は」のような助詞の使い方も間違えないように気をつけましょう。
面接時の注意点
面接では履歴書に書いた志望動機や自己PRと重複する質問もされます。その際に履歴書の内容を丸暗記している方は要注意。
面接官は履歴書を読んだ上で面接に挑んでいるため、丸暗記は印象が良くありません。
加えて履歴書では「貴院」という表現を使用しています。面接の際は書き言葉ではなく、話し言葉でなければいけません。そのため口頭で「貴院」と言ってしまうと、せっかく文面で正しく使えていてもイメージダウンになってしまうでしょう。
面接時には「貴院」と表現している箇所は「御院」にすることを心がけましょう。面接できちんと答えられるか不安という方は、面接用の文面も合わせて用意しておくと安心です。
貴院の使い方をマスターして面接やビジネスに備えよう!
就職活動の際、企業を敬い「貴社」という言葉を使用しますが、病院の場合は「貴院」を使用します。書類では志望動機や自己PRなどのチェックと合わせて、言葉遣いや一般常識的な面もチェックされますので、正しい敬称を使用するよう心がけましょう。クリニックや診療所の場合は「貴所」と表現することが一般的ですが、「貴クリニック」「貴診療所」でも問題ありません。
また、書き言葉の「貴院」、話し言葉の「御院」の使い分けにも気をつけましょう。正しい言葉遣いは、ビジネスマナーとしても大切です。正しい言葉遣いで、就職活動やビジネス活動に備えるようにしましょう。
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著者プロフィール
そだねー
北国出身。前職はコールセンターの採用を担当し、ソラストに転職後、医療事務採用業務に6年従事している。営業や現場とのパイプを持ち、日々変化し続ける医療事務の情報をキャッチアップすることに強みを持つ。