歯科医院の店舗数はコンビニ以上?歯科医院の需要供給の実態について
著者: そだねー
更新日:2023/12/22
公開日:2021/12/02
街中でよく見かける歯科医院の看板や店舗。実は、歯科医院の店舗数はコンビニよりも多く存在するのです。しかしコンビニほど頻繁には訪れない歯科医院の数が多いと、需要と供給が一致しているのかは気になるポイントでもあります。今回は歯科医院の店舗数や歯科医院の職種について、その実態をみていきます。
目次
歯科医院の店舗数について
厚生労働省による医療施設調査によると、令和元年(2019)10月1日時点での歯科医院の店舗数は68,500店舗でした。68,500という数字は、医療施設の数として多いのか少ないのかはなかなかイメージがつきにくいでしょう。同調査における医療施設の総数は179,416、うち病院が8,300、一般診療所が102,616です。つまり、歯科医院は全医療施設の約40%を占めています。医療機関内では一般診療所に次いで店舗数を誇る歯科医院ですが、実は他業態の施設と比べても店舗数が多いのです。
店舗数が多いとして代表的なコンビニですが、実はコンビニの店舗数は歯科医院を下回ります。2019年の歯科院の店舗数が68,500に対し、コンビニエンスストア統計データによると同年12月末時点でのコンビニ店舗数は55,620です。1993年には、なんと歯科医院はコンビニの2倍以上も店舗がありました。コンビニの店舗数も年々拡大しその差は縮まりつつありますが、2019年時点ではまだ歯科医院の店舗数の方が多くなっています。
歯科医院の店舗数は供給過多?その実態とは
コンビニよりも店舗数の多い歯科医院ですが、その需要と供給が一致しているのかは疑問点の1つです。ここでは、歯科医院の実態についてみていきます。
歯科医院の店舗数は減少傾向にある
2019年の調査で68,500店舗だった歯科医院ですが、2008年以降からは「開設・再開」する歯科医院よりも「廃止・休止」する歯科院の方が多くなる逆転現象が起こっています。しかしそれでも元の数が多いことから、2000年代以降急増しているコンビニよりも依然として店舗数が多いまま。下記は厚生労働省「医療施設調査」による、最新2019年から2010年までの歯科医院の店舗数推移です。
2011年に一度下降しているものの2016年にはピークに達し、その後は緩やかに減少しています。下記は歯科医院の店舗数と前年比での増減数です。
年 | 歯科医院店舗数 | 増減数(前年比) |
---|---|---|
2019 | 68,500 | △113 |
2018 | 68,613 | 4 |
2017 | 68,609 | △331 |
2016 | 68,940 | 203 |
2015 | 68,737 | 145 |
2014 | 68,592 | △109 |
2013 | 68,701 | 227 |
2012 | 68,474 | 318 |
2011 | 68,156 | △228 |
2010 | 68,354 | 287 |
歯科医院の店舗数のピークとなる2016年の68,940から2019年までには440店舗が減っていますが、10年間を通してみると結果的に歯科医院の全体数は約400店舗増えています。つまり昔に比べると全体で歯科医院の店舗数は増加しているものの、直近ではピークを過ぎて徐々に減少傾向にあることがわかります。
歯科医院の店舗数が減少傾向にある理由
歯科医院の店舗数が減少傾向にある理由に市場規模の拡大、つまり患者数の増加が見込めないことが考えられます。その一因として厚生労働省「学校保健統計調査」による「中学校におけるむし歯(う歯)の被患率等の推移」をみると、年々むし歯の被患率は減少しています。
時代が進むにつれ、むし歯予防の意識の高まりやケアが増えたことからむし歯にかかる子どもの数が減少していると考えられます。もちろん歯科医院にかかるのは子どもだけではありませんが、将来患者になる可能性のある子どもの被患率が減少している=将来の市場規模拡大も見込みにくいといえます。実際に「データ見る2040年の社会と今後の歯科医療」資料内でも、「平成26年時点での歯科診療所受療率のまま推移すると仮定すると、歯科診療所患者数推計では、2045年で10.8%の減少、2065年時点で25.2%の減少と推測される」と記述があります。つまり、高齢化社会を受け、今後の人口減少に伴い患者数も総数として大きな現象が見込まれるということです。
またコンビニ業界がサバイバル競争にあるのと同様に、それより数が多い歯科医院も同じくサバイバル競争状態にあります。地域によっては歯科医院が飽和状態にあるのも事実で、経営が厳しくなった歯科医院から脱落していることも減少の一因です。<
それでも店舗数の多い歯科医院の需要とは
子どものむし歯被患率が減少する一方で、2045年頃までは65歳以上の患者数が増加していくと予測されます。現在、高齢化社会であることからも、歯科医院の需要は衰えてないといえます。しかし約6.8万ある歯科医院の中で、経営が厳しく将来の展望が見出せないとして店をたたむ歯科医院も。将来的に歯科医院にかかる患者数が減少すること、そして廃業する歯科医院があるのも事実ですが、医療という特性上歯科医院の需要がなくなることはありません。
店舗数の多い歯科医院の職種は供給過多なのか
2019年時点では、依然としてコンビニよりも数多くの歯科医院があります。歯科医院の数が多いということは、そこで働くスタッフもそれだけ必要ということ。実際に令和元年7月の歯科助手の有効求人倍率は3.02倍と需要が高いことがわかります。つまり歯科医院が多いからと歯科医院で働く人は供給過多ではなく、むしろ需要が高いため求人数も多い状況にあります。
歯科事務の求人例
今回は歯科医院に関連する職種の中から、歯科事務の求人例をご紹介します。歯科事務は資格や経験がなくともなれる職種であり、店舗数の多い歯科医院で働くことから活躍の場は全国に多数存在します。働き口が豊富であることで職場も探しやすく、医療施設の事務職であることから専門的な業務に携われるため、手に職をつけるには最適な仕事です。
職種 | 歯科事務 |
---|---|
仕事内容 | 歯科受付にて患者様の対応がメインの受付医療事務 ・歯科受付窓口での患者様の受付、保険証確認 ・電話応対、各種問い合わせに対する応対 ・診療内容の入力、レセプト請求業務 ・データ入力、用紙出力、書類整理 他庶務など |
給与 | 月給150,000円~200,000円 ※※経験により考慮 |
雇用形態 | 正社員 |
勤務時間 | 週5日/1日最短7時間30分 (1) 08:00 〜 16:30 [ 月〜金 ] ※祝休 休憩60分 (2) 08:30 〜 17:00 [ 月〜金 ] ※祝休 休憩60分 |
応募資格 | 学歴不問 必須PCスキル:文字入力 未経験可能 歓迎:歯科での診療費計算、歯科レセプト経験 優遇 |
社会保険 | 各種社会保険制度あり(法令通り) |
求人の特徴 | 健康診断、育児・介護休暇、育児・介護短時間勤務制度、制服貸与、財形貯蓄制度、資格取得支援制度、資格取得奨励金制度、社員持株会制度、ウェルカムバック制度、労働組合加入 ◆現在124名のスタッフが活躍中!サポート体制があるから安心スタート◎20代・30代・40代・50代の幅広い世代のスタッフが活躍しています。 入社時の研修もあるから未経験からのスタートが可能!専用システムの操作方法や業務の流れ、部署ルール、院内規定等、など先輩スタッフがしっかりとフォローします◎ |
歯科医院の店舗数はコンビニ以上!つまり働き口も多く、需要の高い仕事
コンビニよりも店舗数が多いことから、それだけ働き口も多いことがわかります。ただし今後人口減少も関係し歯科医院にかかる患者数は減少傾向にあるものの、医療機関という特性上歯科医院の需要が途絶えることはありません。そのため将来的に長く働き続ける仕事として、歯科医院に関連する職種はおすすめといえます。今記事を参考に、ぜひ歯科医院の実態を押さえてみてください。
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著者プロフィール
そだねー
北国出身。前職はコールセンターの採用を担当し、ソラストに転職後、医療事務採用業務に6年従事している。営業や現場とのパイプを持ち、日々変化し続ける医療事務の情報をキャッチアップすることに強みを持つ。