病院における在庫管理とは|業務内容や効率化の方法、求人例をご紹介
著者: そだねー
更新日:2023/12/22
公開日:2022/08/19
多くの医療機器や医薬品などを扱う病院では、スムーズな医療提供のためにも在庫管理が欠かせません。病院における在庫管理は「SPD業務」とも呼ばれ、在庫管理に特化した職員も働いています。今回は病院の在庫管理について、業務内容や向いている人の特徴、求人例などをご紹介します。
目次
病院の在庫管理とは
病院では事務用品の他、医療機器や医薬品など多くの備品・物品を管理しています。それらは管理を専門とする職員によって、検修から仕分け、運搬や回収、整理などが行われています。職種的には医療事務にあたり、点検や軽作業を中心としている点が特徴です。小規模な医療機関では一般の医療事務が在庫管理を兼務する場合が多いですが、中規模以上の医療機関では専任で職員を配属しています。
別名「SPD業務」
病院の在庫管理は、別名「SPD」といいます。SPDは「Supply Processing Distribution」の略で、院内物流管理システムを指します。病院の在庫管理求人では「SPD業務」として記載されている場合もあるため覚えておきましょう。
SPDでは院内における医薬品や医療機器、備品など、医療現場で使用する全ての物品が管理対象となります。これらの調達・使用・消費・補充などの一連の管理・最適化を総称して、SPDと呼んでいます。
病院における在庫管理の重要性
医師や看護師など多くの人が働く医療機関ですが、医療従事者は診療業務や患者対応で手一杯です。そんな中で在庫管理まで対応するのは難しく、忙しい中対応することで在庫管理にミスが発生する可能性もあります。
そこで在庫管理を専門とするSPD業務にあたる職員がいることで、医療従事者の業務負担を軽減するだけでなく、結果的に業務効率化や適正な在庫管理によるコスト削減にも期待できます。高齢化などで医療需要が高まる医療機関においては、業務効率化や病院経営の適正化につながるSPD業務が重視されているのです。
病院の在庫管理で行う業務
ひとくちに在庫管理といっても、その業務内容は多岐にわたります。ここでは病院の在庫管理における、具体的な業務内容をみていきます。
備品・物品の在庫管理
メイン業務は、在庫の使用期限や使用状況の確認です。医薬品や医療材料の使用期限、医療機器のメンテナンスの必要性などを把握します。また医療機器を誰がどこで使用しているか、返却期限がいつまでかも確認。医療機器や医療材料は高額なものもあるため、紛失や私物化を防ぐためにも、細かい在庫管理が重要です。在庫管理では専用のシステムを使用することも多く、PC操作での在庫管理となります。
在庫の消費量の確認
注射器や点滴など、診療や治療に欠かせない医療機器や医療材料の消費量の確認も重要な業務です。消費量を確認していないといざという時に必要量を用意できず、治療に影響を及ぼす可能性があります。また使用量や使用数が適切であるかをチェックするのも業務の1つ。利用状況や利用目的、どういった物品であるかを把握できるよう、常に情報を記録しておくことが重要です。
医薬品や医療機器の供給
備品や物品の依頼があれば、必要なものをピッキングして依頼先に供給します。時には緊急性を要するケースもあるため、迅速なピッキングが求められます。すぐに必要な物品を供給できるよう、日々の在庫管理がとても重要です。
備品・物品の発注・納品管理
在庫管理状況を見て、不足している物品や備品を業者に発注します。診療や治療に関する物品は十分な在庫を確保しておく必要があるため、余裕をもって発注する必要があります。しかし過剰な発注は無駄な支出につながるため、適正な数・量を発注することが重要です。そして納品されたら発注分の数が揃っているかを確認し、管理システムに情報を記録します。
請求管理やその他対応など
在庫のなかには、保険請求が可能な物品もあります。診療報酬請求にもかかわるため、保険請求が可能な物品とそうでないものを仕分け、請求伝票をまとめます。また低コストで発注できるものがあれば発注先を変更したりと、コストを適正化させることも重要な業務の1つです。さらにメーカーの営業対応や新規取引先との価格交渉、院内からの発注依頼の対応も行います。
病院の在庫管理に向いている人の特徴
以下のような特徴をお持ちの方は、病院の在庫管理に向いています。
素早く対応できる
在庫管理の職員は単に在庫を管理するだけでなく、依頼があればすぐに医薬品や医療機器を渡したり、病院によっては搬送もすることがあります。なかには一刻を争う緊急性を要する依頼もあるため、素早く適切な対応ができると活躍できるでしょう。
丁寧で細かいところにも気を配れる
在庫管理はシステムで行うことが多いですが、自分の目でもしっかりと細かいところまで確認できると確実です。あつかうのは大切な医薬品や医療器具ですので、大雑把に管理するのではなく、丁寧に細かいところまで気を配れるとミスなく在庫管理ができます。
工夫して仕事を進められる
単に不足品を決まった仕入れ先で発注するだけでなく「コスト削減につなげられるものはないか」「価格交渉はできるか」など工夫しながら仕事に臨めると、病院経営の最適化に役立ちます。病院の在庫管理は医療従事者の負担削減や業務効率化だけでなく、コスト削減など病院経営に影響を与えることもできる仕事です。最初は必要ありませんが、管理者層になった際は、そういった点にも目を向けて、工夫しながら仕事を進められる方は重宝される人材となるでしょう。
病院の在庫管理の求人例
職種 | 医療事務(物品管理・SPD) |
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仕事内容 | 診療に必要な材料の在庫管理や補充がメインのお仕事です。 薬局でセットされた薬品類をナースステーションへ搬送するなどの軽作業です。 具体例 特に経験は必要ありません。 |
給与 | 時給900円以上 |
雇用形態 | パート |
勤務時間 | (1) 08:30~13:00 (2) 13:00~17:00 (3) 08:30~17:00(休憩60分) ※月2~3日のみ ※(1)~(3)のシフト制。扶養範囲内勤務 |
応募資格 | 学歴不問 無資格OK・未経験歓迎 |
社会保険 | 各種社会保険制度あり(法令通り) |
求人の特徴 | 育児・介護休暇、制服貸与、資格取得支援制度、資格取得奨励金制度、社員持株会制度、ウェルカムバック制度 |
病院における在庫管理のパート求人です。在庫管理は未経験OKの求人が多く、働きながら十分に仕事が覚えられます。データ入力や軽作業が中心となるため、体力的負担もそこまで大きくなく働きやすい点が特徴です。こちらの求人は資格取得支援制度や奨励金制度なども充実しているため、将来的に受付などを担当する医療事務へのキャリアチェンジを目指すことも可能です。
病院の在庫管理は在庫管理にとどまらず幅広い業務を行う!
病院の在庫管理は医療従事者の負担削減や業務効率化、さらには病院経営の最適化につながる重要な仕事です。在庫管理の専任スタッフは中規模以上の病院で配置していることが多く、規模の大きい病院で働けることからもやりがいが大きいでしょう。未経験でも働きやすいため、おすすめの仕事です。
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著者プロフィール
そだねー
北国出身。前職はコールセンターの採用を担当し、ソラストに転職後、医療事務採用業務に6年従事している。営業や現場とのパイプを持ち、日々変化し続ける医療事務の情報をキャッチアップすることに強みを持つ。