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【2024年度】トリプル改定とは?医療・介護・障害福祉の変更点やポイントを解説

著者: そだねー

更新日:2024/08/09

公開日:2024/08/09

請求書兼領収書と電卓

2024年は6年に一度の「トリプル改定」にあたる年です。少子高齢化への対策が欠かせないとあり、施行前から改定内容がどうなるかと注目されてきました。今回は、トリプル改定の概要や詳しい改定率、重要事項であるポイントをご紹介。医療事務や介護職への影響についても解説しますので、ぜひ参考にしてください。

「トリプル改定」とは?

トリプル改定とは、
診療報酬・介護報酬・障害福祉サービス等報酬の内容を同じ年に改定することです。

トリプル改定とは、診療報酬・介護報酬・障害福祉サービス等報酬の3つの内容を、同じ年に改定することです。診療報酬は2年に一度、介護報酬と障害福祉サービス等報酬は3年に一度のペースで改定されます。6年に1回のサイクルで3つの改定が同じ年に実施されるため、通称「トリプル改定」と呼ばれています。
2024年はトリプル改定の年にあたり、「各分野が一体となって改革が進められるのではないか」「大幅な調整が行われる可能性も考えられる」などと期待されていました。

【各報酬の概要と改定の頻度】

名称 概要 改定の頻度
診療報酬 医療行為を提供した医療機関への対価 2年に一度
介護報酬 介護サービスを実施した事業所への対価 3年に一度
障害福祉サービス等報酬 障害福祉サービスを実施した事業所への対価 3年に一度

診療報酬等一部の改定は2024年6月に後ろ倒しで施行

診療報酬等一部の改定のスケジュール

当初、2024年度の診療報酬改定は4月に予定されていましたが、6月に後ろ倒しで施行されました。これまで、報酬改定の決定から4月の施行までの短期間で医療機関が対応しなければならないことが多く、負担となっていたことから施行日が変更されています。
とくにトリプル改定と呼ばれる今回の改定では、医療、介護、障害福祉の3分野にわたる変更であるため、慎重な準備が必要とされました。

2024年のトリプル改定が注目される理由

・2025年問題
・2040年問題

2024年はトリプル改定であることに加え、上記の問題も注目される理由として考えられます。翌2025年には団塊の世代の人たちが75歳を迎え、これまで以上に医療や介護、福祉分野に求められるニーズが多様化すると予測。幅広いニーズに応えるため、政府は地域包括ケアシステムの構築を掲げ、取り組みを始めています。
また、2040年には団塊の世代の子どもにあたる年代が65歳を迎えます。2040年以降はますます医療・介護サービスの担い手が不足し、ニーズも多様化すると考えられています。
2024年のトリプル改定は、将来起こりうる2つの問題に備える最後の年にあたります。2025年問題、2040年問題への対処法も含め、2024年のトリプル改定の内容が注目されています。

2024年のトリプル改定による各報酬の改定率

名称 改定率
診療報酬 +0.88%
介護報酬 +1.59%
障害福祉サービス等報酬 +1.12%

診療報酬そのものについては、前回の改定から引き上げが続いており、過去10年間でもっとも高い水準で改定がされました。しかし、薬価と材料価格は1%引き下げられているため、全体の改定率で見た場合は−0.12%という結果になっています。
また、介護報酬では、現場の処遇改善を行いながらもサービスごとの経営状況の違いも踏まえ、介護職員の処遇改善分+0.98%を含めて全体では+1.59%確保されています。障害福祉サービス等報酬は、障害福祉分野の人材確保と、障害者が希望する地域生活の実現を図るためとして、全体で+1.12%の改定率に決定しました。

トリプル改定の4つのポイント

診療報酬の計算をする医療事務スタッフ

ここでは、2024年度のトリプル改定のポイントについて詳しく紹介します。

人材確保・働き方改革

2024年度のトリプル改定では、将来くる少子高齢化に対応するため、医療・介護分野の人材確保や働き方改革に焦点を当てています。
医療や介護業界では賃上げの取り組みが進められていますが、他の業界と比べると全体的に賃上げの水準は低めです。賃上げの対応が追いつかず、医療分野の有効求人倍率は高止まりしています。このままでは、医療従事者の人手不足が一層深刻な事態に陥り、少子高齢化の世の中に対応ができなくなるでしょう。
これらの課題に対応するべく、トリプル改定では人材確保・処遇改善に関する内容が盛り込まれました。今後も医療制度を維持するため医療従事者の処遇を改善し、人材確保することは必要不可欠です。そのための施策はもちろん、医師の働き方改革を進め、地域医療を確保することにも重点的な対策が検討されています。

「医師の働き方改革」についてはこちら

医療・介護・障害福祉サービスの連携強化

国は、地域包括ケアシステムの構築を目指して、3つの分野の連携強化を進めています。高齢の方が住み慣れた地域で自分らしい生活を営むためには、医療・介護・障害福祉それぞれの分野が密接に連携し、各種サービスや制度を整える必要があります。
2024年のトリプル改定では、3つの分野の連携をこれまで以上に強化し、体制を整えることが盛り込まれました。

医療・介護分野のDX推進

地域包括ケアシステムの構築には、ICTの活用も欠かせません。全国医療情報プラットフォームを整備することで実現できる、電子カルテでの情報共有や電子処方箋の普及など、医療におけるさらなるデジタル化を推進する必要があります。
2024年のトリプル改定においては、とくに医療・介護分野でDX化を進める方針です。

医療保険制度の維持と持続性の向上

医療技術の進歩や高齢化の加速、新たな医薬品の開発などさまざまな理由により、医療費は高額になっていく予想です。今ある医療制度が崩壊しないよう、施策の一環として、ジェネリック薬品やバイオ後続品の使用の促進などが打ち出されています。
また、マイナ保険証を活用することでより効率的な医療を提供するなど、現在の医療保険制度を今後も継続できるよう、さまざまな施策が盛り込まれています。

トリプル改定と合わせて注目されている2つの改革

トリプル改定に合わせて、上記2つの改革も注目されています。それぞれについて詳しく解説します。

第8次医療計画

医療計画とは、効率のよい医療提供体制を作り上げるために計画するもので、医療法にもとづいて6年に一度策定されます。新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、地域医療のさまざまな課題が浮き彫りとなりました。2024年の第8次医療計画では、医療機能の分化・強化や、連携等の重要性について改めて言及されています。
地域の医療機関の強化はもとより、ICT技術の活用なども評価され、報酬改定の基本視点と重なる点も多くみられます。

医師の働き方改革

働き方改革は2019年頃から各業界で進められており、2024年4月からは医師にも適用が開始。今までは、医師の長時間労働や労務管理が行き届いていないこと、数多くの業務を医師が担当していたことなどから、医師の負担が大きいといわれていました。
2024年の医師の働き方改革開始後は、適切な労務管理を行って長時間労働を防ぐことや、看護師など他の職種に医師の業務の一部を移行する「タスクシフト/シェア」の実施といった施策をスタート。さまざまな施策により、医師が健康を保ちながら働き続けられる環境を整えられるよう、取り組みが行われています。

トリプル改定による医療機関の展望

2024年のトリプル改定では、とくに「医療DX」の推進が急務とされ、医療機関間や介護施設、障害福祉施設など関連施設でICTを活用した連携が求められています。
しかし、医療DXの推進施策に対応するためには、情報共有を行うICTを活用したシステムの整備も必要です。ICTの整備を行ったうえで、電子処方箋や電子カルテシステムなどの導入準備を進めていかなければなりません。人手不足などの問題もあり、導入が進んでいない医療機関もあることが現状です。
さらに、医師の働き方改革によって、より厳しい勤怠管理が求められています。トリプル改定で盛り込まれている内容に対応するためにも、早期にデジタルツールの導入を検討する必要があるでしょう。

2024年のトリプル改定による医療事務や介護職への影響は?

介護施設の利用者と介護スタッフ

トリプル改定によって、医療事務や介護職にはどのような影響があるか紹介します。

トリプル改定による医療事務への影響は?

診療報酬の改定は、患者さんが支払う医療費の計算に大きく関わる内容です。そのため、医療事務は改定率や改定される内容について、よく理解しておく必要があるでしょう。
また、医師の働き方改革に盛り込まれている医師の負担軽減策として、業務を看護師や薬剤師などに移行する「タスクシフト/シェア」も進められています。医療事務が直接別の業務を行う機会は少ないものの、同じ医療機関で働くスタッフとして、業務の負担軽減について知っておくとよいでしょう。

トリプル改定による介護職への影響は?

介護報酬の改定によって、介護職自体の賃上げが検討されています。しかし、すべての介護職が賃上げされるわけではなく、訪問介護については逆に基本報酬が引き下げられました。介護職の中でも収入に反映される人もいれば、されない人もいるでしょう。
業務内容としては、地域包括ケアシステムの構築を目指し、医療機関とのさらなる連携が求められると考えられます。これまで以上にたくさんの職種と関わる可能性もあるでしょう。

医療事務や介護職に関わるトリプル改定への理解を深めましょう

トリプル改定の年は、医療・介護・福祉分野それぞれで準備や対応に追われるでしょう。働き方改革や3つの分野の連携強化、DXの推進など多くの変更が進められるため、これらの業界に携わる職種はトリプル改定の内容についてよく理解しておく必要があります。とくに、医療事務は診療報酬に大きく関わる仕事ですので、変更点をしっかり頭に入れておきましょう。
ソラジョブでは、医療事務や介護分野の求人を豊富に扱っています。今回のトリプル改定で診療報酬が変更となったことでも分かるように、移り行く制度にアンテナを巡らせて対応していくことが求められる職種です。難しいこともある反面、学び続けたいという方にぴったりの仕事ですので、ぜひソラジョブで医療事務や介護分野の求人を探してみてください。

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そだねー

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北国出身。前職はコールセンターの採用を担当し、ソラストに転職後、医療事務採用業務に6年従事している。営業や現場とのパイプを持ち、日々変化し続ける医療事務の情報をキャッチアップすることに強みを持つ。

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