再就職手当はいつもらえる?支給の条件・申請期限・振込日も紹介
著者: そだねー
更新日:2025/05/09
公開日:2025/05/09
求職活動中の方の中には、「再就職手当はいつもらえるのか」気になる方も多いでしょう。今回は、再就職手当がどのような制度であるか、申請から支給までにかかる期間や需給の条件などを詳しく解説。失業保険との違いや申請手順も紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
目次
過去3年以内に再就職手当または類似の支援金をもらっていないこと
給付制限がある人は再就職先がハローワークなど公的機関の紹介であること
Q.フリーランス・派遣社員でも再就職手当の対象になりますか?
再就職手当は最短でいつもらえる?
再就職手当は、一般的に就職後1~2ヶ月程度で支給されることが多いです。申請は就職日の翌日から1ヶ月以内に行う必要があり、これを過ぎると支給対象外となります。
また、受給のためには離職票の提出、雇用保険受給資格の決定、求職活動の開始といった事前手続きがすべて完了していることが条件です。手続きに不備があると支給までの期間が長引く可能性があるため、事前準備と正確な申請を心がけましょう。
再就職手当とはどんな手当?
再就職手当は、失業手当とは異なる性質を持つ支援制度です。再就職手当の基本概要と、失業手当との違いについてわかりやすく解説します。
再就職手当とは
再就職手当は、失業手当の給付日数が一定以上残った状態で早期に就職した場合に支給される手当です。主な支給条件には、「1年以上の雇用見込みがあること」や、「ハローワークで求職登録を行い、待機期間満了後に就職していること」などが求められます。
また、受給資格の決定や求職活動の開始も前提であり、計画的な手続きが必要です。
再就職手当と失業手当の違い
再就職手当とは | 早期就職で一括支給される特別手当 |
---|---|
失業手当とは | 失業中に分割支給される手当 |
失業手当は、一定期間にわたり分割して支給される継続型の手当です。一方、再就職手当は、早期に就職した際に一括で支給される手当を指します。
再就職手当は、早期に就職したからこそ受け取れるものです。いずれも非課税収入に分類されますが、支給条件や金額に違いがある点に注意しましょう。
再就職手当の金額計算方法
再就職手当の金額計算方法
再就職手当の支給額は、「基本手当日額×支給残日数×支給率」により算出されます。
支給率は、所定給付日数の残りに応じて60%または70%に設定されています。残日数が3分の2以上残っている場合は70%、それ未満の場合は60%です。早期の再就職をより積極的に促すために、支給率が高く設定されています。
基本手当日額は、離職前の賃金をもとに決定されるため個人差があり、計算時には残日数と支給率の正確な把握が重要です。
再就職手当のケース別受給金額
再就職手当は支給率によって受給金額が大きく異なります。支給率70%と60%のそれぞれに該当する具体的なケースを紹介します。
支給率70%対象になるパターン例
離職後、所定給付日数150日のうち、残り日数が110日残った状態で再就職した場合、支給率は70%です。たとえば、基本手当日額が6,000円だった場合、
計算式:6,000円×110日×70%=462,000円
早期再就職によって支給率が高く設定され、受給額も大きくなります。
支給率60%対象になるパターン例
離職後、所定給付日数150日のうち、残り日数が80日で再就職した場合、支給率は60%です。たとえば、基本手当日額が5,000円だった場合、
計算式:5,000円×80日×60%=240,000円
残日数が少ないため支給率が下がります。
再就職手当を受給するための8つの条件
再就職手当を受給するためには、複数の細かな条件を満たす必要があります。ここでは、申請前に確認すべき8つの主な条件について詳しく解説します。
所定給付日数の3分の1以上が未支給の状態であること
再就職手当を受給するには、再就職時点で失業保険の所定給付日数の3分の1以上が残っていることが必要です。支給残日数が不足していると、支給対象外となる可能性があります。
事前にハローワークで給付日数を確認しておき、申請条件を満たしているかを把握しておきましょう。
1年以上継続して働く予定が雇用契約などから明確であること
再就職手当の申請には、就職先との契約に「1年以上の雇用見込み」があることが明記されている必要があります。派遣社員や契約社員であっても、1年以上の契約更新予定があれば対象となる場合があります。
また、試用期間中であっても、最終的に1年以上の勤務が見込まれる場合は、問題なく条件を満たすことができます。
待機期間を終えたあとに再就職していること
ハローワークに求職申込みを行った後、7日間の待機期間を経てから就職した場合のみ、再就職手当の対象となります。待機期間中に再就職が決まった場合は、再就職手当の支給は受けられません。
この待機期間の条件は、給付制限の有無に関係なく共通して適用されるため、しっかり把握しておく必要があります。
再就職先で雇用保険の被保険者として加入していること
再就職手当の受給条件として、再就職先で雇用保険に加入していることがあります。週20時間以上勤務するなど、雇用保険の加入要件を満たしているかを確認しましょう。
個人事業主やフリーランスなど、雇用保険に加入しない働き方は対象外となるため、再就職先の労働条件にも十分注意が必要です。
退職した会社や同一グループ企業への再雇用ではないこと
離職した会社や、その同一グループ企業への再就職は、原則として再就職手当の対象外です。名義変更されている場合でも、実態が同一と見なされれば不支給となる可能性があります。
再就職先の企業情報をよく確認し、資本関係や人事交流の有無をハローワークに事前に相談することが重要です。
失業給付の受給資格が決定する前に内定していないこと
受給資格決定前に内定を受けていた場合は、再就職手当の支給対象にはなりません。採用日が受給資格決定日より前になっていないか、証明書類で確認されます。
自主的に就職活動をしていた場合でも、採用時期が早すぎると支給対象外となるため、就職活動のスケジュール管理にも注意が必要です。
過去3年以内に再就職手当または類似の支援金をもらっていないこと
過去3年の間に、再就職手当や常用就職支度手当などの類似支援金を受給している場合は、新たな再就職手当を受け取ることはできません。過去の受給歴を確認し、3年以上経過しているかを必ず確認しましょう。
受給歴が曖昧な場合は、ハローワークに相談して履歴を確認すると安心です。
給付制限がある人は再就職先がハローワークなど公的機関の紹介であること
自己都合退職などで給付制限がある人は、制限解除後1ヶ月以内の場合はハローワークや公的機関から紹介された求人で就職することが支給条件となります。民間求人サイトや直接応募による就職では条件を満たさない場合があるため注意が必要です。
紹介状など、公的紹介であることを証明する書類も忘れずに提出しましょう。
再就職手当を受給するメリット3つ
再就職手当は、早期の就職を支援する制度として多くのメリットがあります。受給によって得られる主な利点を3つに絞って紹介します。
経済的に安定した再スタートが切れる
再就職手当として、失業保険の残日数に応じた金額を一括で受給できるため、再就職直後の生活費を補うことができます。引っ越し費用や通勤準備にかかる交通費、スーツ代といった初期出費にも充てられるため、貯金を大きく減らすことなく再スタートが可能です。
資金面での安心感が精神的なゆとりをもたらし、新しい職場での適応にもよい影響を与えます。
非課税で満額受け取れる
再就職手当は所得税・住民税ともに非課税扱いであり、手元に残る金額が多いのが特徴です。給与収入と異なり、課税による目減りがないため、受給額をそのまま生活費などに活用できます。
返金の必要がない
再就職手当は、一度支給された後に短期間で退職した場合でも、一定条件を満たしていれば返金を求められることはありません。支給時点で「1年以上の雇用見込みがあること」などの要件を満たしていれば、早期退職のリスクがあっても安心して申請することが可能です。万が一の事態にも備えられる制度設計になっている点が大きな魅力です。
再就職手当を受給するデメリット3つ
再就職手当には多くのメリットがありますが、一方で注意すべきデメリットも存在します。受給時に考慮しておきたい3つのポイントについて解説します。
失業手当の受け取れる金額が制限される可能性がある
再就職手当の支給率は、残日数に応じて60%または70%と定められています。そのため、急いで就職するよりも、失業手当を満額受給しながらじっくり転職活動を続けた方が結果的に得になる場合もあります。
また、再就職手当を受給した後は失業手当の再支給は原則行われないため、慎重な判断が必要です。
転職先を早期に決めてしまう可能性がある
再就職手当の金銭的メリットに引かれ、本来希望していた職種や条件を十分に検討せずに就職を決めてしまうリスクがあります。求人を比較検討する時間が不足し、ミスマッチが起こりやすくなる点も懸念されるでしょう。
さらに、再就職手当の申請期限である「就職後1ヶ月以内」という制約も、焦りを生む要因となりかねません。
すぐに辞めた場合に失業手当の再給付が難しくなる
再就職後すぐに退職した場合、これまで受けていた失業手当の受給期間満了日前であれば、残りの日数分の失業手当を受給できます。
しかし、受給期間満了日が過ぎている場合、再給付を受けるには新たに通算12ヶ月以上の被保険者期間が必要となるため、条件が厳しくなります。
また、再就職手当を受けた後の退職は自己都合と判断されることが多く、次の採用選考にも不利に働く可能性があります。安易な就職決定はキャリア形成にも影響を及ぼすため注意が必要です。
再就職手当の申請手順5つ
再就職手当を確実に受給するためには、正しい手順で申請を進めることが不可欠です。申請完了までの5つの手順をわかりやすく解説します。
1. 採用証明書類を準備しハローワークへ提出する
再就職手当の申請にあたって、まず採用証明書を用意し、ハローワークに提出する必要があります。勤務開始日や雇用形態、雇用期間などが正確に記載されているかを確認しましょう。
原則として就職後1ヶ月以内に提出が求められ、期限を過ぎると支給対象外となる可能性があります。不備があると再提出になるため、事前確認を怠らないことが重要です。
2. 再就職手当支給申請書を受け取る
支給申請書はハローワークの窓口でのみ配布されており、郵送対応は原則行われていません。受け取りの際には、採用証明書や雇用保険受給資格者証の提示を求められる場合があります。
申請書には再就職先の記入が必要な項目も含まれているため、速やかに依頼できるよう準備しておきましょう。余裕をもった対応がスムーズな申請につながります。
3. 就職先に記入してもらう書類を提出する
就職先には、1年以上の雇用見込みがあることや雇用保険適用事業所であることを証明するため、書類への記入を依頼します。会社によっては社判の押印や担当者の署名が求められる場合もあります。
記入に時間を要する可能性があるため、申請期限に余裕を持って依頼することが大切です。
4. ハローワークに申請書と必要書類一式を提出する
項目 | 内容 |
---|---|
再就職手当支給申請書 | 必要事項を記入して提出する申請用紙 |
採用証明書 | 雇用条件を証明するための書類 |
雇用保険受給資格者証 | 受給資格を証明するハローワーク発行の書類 |
再就職手当の申請には、「再就職手当支給申請書」「採用証明書」「雇用保険受給資格者証」の3点が必要です。書類に不備や不足があると受理されず、再度ハローワークへ来所しなければならないこともあります。
提出は原則本人による持参が求められますが、特別な事情がある場合には郵送での提出が認められることもあります。
5. 申請後の審査を経て支給が決定される
申請後は、ハローワークによる審査が行われ、就業実態や雇用継続状況の確認が入ることがあります。審査が完了すると、通常は数営業日から1週間程度で指定口座に振り込まれるケースが一般的です。
なお、支給後に短期間で退職した場合でも、原則として返金義務は発生しません。ただし、条件を満たしていない場合は支給取消となる可能性があります。
再就職手当が振り込まれない時の対処法
再就職手当の振り込みが遅れている場合、まずは原因を正確に把握することが大切です。速やかに状況を確認し、適切な対応を取りましょう。
まずはハローワークに問い合わせて状況を確認する
再就職手当が振り込まれない場合、まずハローワークに電話または窓口で問い合わせましょう。申請日、就職日、必要書類の提出状況を伝えると、確認がスムーズに進みます。
対応に差が出る場合もあるため、できれば申請時の担当者に直接確認することをおすすめします。遅延か不備かを明確に把握することで、次の行動が取りやすくなるでしょう。
提出書類に漏れや記入ミスがなかったか再確認する
提出した書類に漏れや記載ミスがないか、控えと照らし合わせて再確認することも重要です。とくに会社の署名欄や押印の有無、記載日が空白になっていないかをしっかり確認しましょう。
雇用期間や勤務開始日などの事実誤認があると、審査が中断する場合があります。自分でもチェックしておくと、早期解決につながるでしょう。
申請から2ヶ月以上経過している場合は早めに再度相談する
申請から2ヶ月以上経過しても振り込みがない場合は、再度ハローワークに相談することが必要です。進捗状況を確認し、再申請が必要なケースに備えましょう。
提出期限超過や不備による無効化が理由であれば、速やかに対応できます。支給漏れではなく対象外判定だった場合は、理由の説明を依頼することも忘れないようにしましょう。
再就職手当の申請・支給に関するよくある質問
ここでは、再就職手当に関するよくある質問をまとめました。
Q.再就職手当の申請期限はいつまでですか?
A.再就職日の翌日から1か月以内に申請しなければなりません。
再就職手当の申請期限は、再就職した日の翌日から1か月以内とされています。期限を過ぎると支給対象外となり、手当を受け取ることができません。申請にはハローワークでの手続きが必要なため、早めに必要書類をそろえ、余裕を持って申請を進めましょう。
Q.アルバイトやパートでも再就職手当の対象になりますか?
A.雇用保険の加入条件など必要条件を満たせば対象になります。
アルバイトやパートであっても、雇用保険の加入条件を満たす労働契約であれば、再就職手当の対象となる場合があります。ただし、労働時間や契約期間に一定の基準があるため、事前にハローワークで確認しましょう。条件を満たしていない場合は対象外となるので注意が必要です。
Q.フリーランス・派遣社員でも再就職手当の対象になりますか?
A.派遣社員は対象になる場合がありますが、フリーランスは対象外です。
フリーランスは雇用契約がないため、原則として再就職手当の対象にはなりません。
一方、派遣社員は派遣会社との雇用契約が成立していれば、一定の条件を満たすことで対象となります。フリーランス契約か雇用契約かによって、取り扱いが大きく異なる点に留意する必要があります。
Q.申請後に就職先を辞めた場合手当は返金しないといけないですか?
A.条件次第で返金不要ですが、早期離職は確認が必要です。
申請後に早期離職した場合でも、一定の要件を満たしていれば手当の返還義務はありません。ただし、不正受給とみなされる行為が確認された場合は、返還を求められる可能性もあります。
Q.再就職手当の支給対象外となる人の特徴はなんですか?
A.ハローワークを通さず就職した人などは対象外です。
自己都合退職後すぐに再就職した場合や、ハローワークを通さずに就職した場合などは、再就職手当の支給対象ではありません。また、就職先で雇用保険に加入できない場合も対象外です。その他、受給資格決定後すぐに再就職が決まっているケースなど、細かい条件が設けられていますので注意しましょう。
Q.再就職手当は確定申告や住民税に影響しますか?
A. 非課税所得のため、原則影響しません。
再就職手当は非課税所得に該当するため、原則として確定申告や住民税の課税対象にはなりません。ただし、他に申告すべき所得がある場合は注意が必要です。再就職手当単体で税務申告が必要になるケースは基本的にありませんが、その他の所得についても正しく把握しておきましょう。
Q.就業促進定着手当とはなんですか?
A.再就職後も安定勤務した場合に追加で支給される手当です。
就業促進定着手当は、再就職後6ヶ月以上継続勤務し、離職前よりも賃金が低下した場合に支給される追加手当です。再就職手当を受け取った後も安定して働き続けた人への支援を目的としています。対象者は所定の手続きを行うことで支給を受けることができ、再就職後の生活をサポートする仕組みです。
早期再就職を目指して計画的に動きましょう
再就職手当は、一般的に就職後から1〜2ヶ月程度で支給されます。正しく、早期に支給を受けるために、所定の条件を満たし、申請から振込までの流れをしっかり把握しておきましょう。早期再就職を目指すためにも、この記事を参考に確実な手続きを心がけ、安心して新しいスタートを切りましょう。
生活を安定させるためには、早めに求人情報をチェックし、行動に移すことが重要です。ハローワークの求人だけでなく、求人サイトも活用することで、選択肢を広げることができます。ソラジョブでは医療事務求人を豊富に扱っています。理想の再スタートに向けて、ぜひ求人情報をチェックしてみてください。
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著者プロフィール
そだねー
北国出身。前職はコールセンターの採用を担当し、ソラストに転職後、医療事務採用業務に6年従事している。営業や現場とのパイプを持ち、日々変化し続ける医療事務の情報をキャッチアップすることに強みを持つ。