レセプト返戻とは?返戻の流れから、再請求の方法まで、レセプト返戻に必要なことを一挙にご紹介!!

2021/02/12
レセプトチェックをする人

レセプト返戻とは、医療機関が社会保険や国民健康保険へレセプト請求を行った時に、記載内容に対して不備や誤りがあった場合に差し戻されることです。医療事務が行う業務の一部ですが、とても複雑でややこしいですよね。今回はレセプト返戻の流れ、再請求する方法を分かりやすく紹介します。

レセプト返戻とは

レセプト請求に対し、審査側が適当でないと判断した場合に、レセプト自体を差し戻すことを「レセプト返戻(へんれい)」と言います。医療行為の適否の判断が難しい場合に実施され、審査側から一方的にレセプト自体が差し戻されます。医療機関は再請求が可能です。

レセプト査定とは

医療機関からの請求に対し、審査側が適当ではないと判断した項目を修正し、減額や減額により調節した額での支払いが行われることを「レセプト査定」といいます。査定が行われたレセプト請求に対しては医療機関側からの再請求は不可能です。

レセプト返戻を実施する機関

レセプト返戻を実施しているのは、「社会保険診療報酬支払基金」と「国民健康保険団体連合会」の二つの機関があります。「レセプト請求」「レセプト再請求」を行う場合に、請求先の違いや記入用紙にも違いがあるため、二つの機関の違いを確認しておきましょう。

社会保険と国民健康保険の主な違い

名称 社会保険診療報酬支払基金 国民健康保険団体連合会
設立根拠 社会保険診療報酬支払基金法 国民健康保険法第83条第1項
法人の性格 特別民間法人 保険者(市町村等)が共同して設立した公法人(47都道府県)
主な業務 ①診療報酬の審査支払業務
②高齢者医療制度関係業務
③介護保険業務
④公費負担医療の審査等
①診療報酬等の審査支払業務
②国保保険者事務の共同作業・共同処理
③市町村等の事務の共同処理

社会保険の場合(社保)

協会けんぽ・健康組合・共済組合・公費実施機関などから、資格関係について誤りに対するレセプトの取り下げ(再審査等請求)が社会保険診療報酬支払基金に行われ、翌月初旬に病院や薬局などの医療機関にレセプト返戻が行われます。レセプト返戻を受けた医療機関は、資格関係等の誤りなどの修正箇所を修正し、月遅れレセプトとして社会保険診療報酬支払基金に提出します。その後、社会保険診療報酬支払基金は、月遅れレセプトを当月処理分レセプトと一緒に協会けんぽや健康組合に再請求します。

国民健康保険の場合(国保)

返戻がある場合は、国保連合会に設置された国民健康保険診療報酬審査委員会が医療機関に行います。保険者である市区町村や国保組合が、国保連合会に設置された国民健康保険診療報酬審査委員会に対して審査や支払いを委託しています。

レセプト返戻が行われる流れ

レセプト請求に対し返戻が行われた場合は以下の手順で、再請求を行います。レセプト返戻の流れについて紹介するので確認しておきましょう。

審査が適当でない場合、審査支払機関からレセプト返戻が行われる

内容に不適な部分や間違いがないかを再確認・修正

レセプトを再請求

各機関での審査・返戻・再請求の流れ

以下は、レセプト請求後、レセプト返戻があった場合の流れです。

資格関係

協会けんぽ・健保組合・共催組合・公費実施機関 等

資格関係に対するレセプトの再審査等請求(取下げ)

当月処理分レセプトと一緒に、協会けんぽ等に再請求
※保健医療機関等からの提出翌月

社会保険診療報酬支払い基金

翌月初旬に保険医療機関等にレセプトを返戻 ※受付月の翌月初旬。

資格関係に対するレセプトの再審査等請求(取下げ)

保健医療機関等

診療内容・突合再審査

協会けんぽ・健保組合・共催組合・公費実施機関 等

診療内容疑義申し出レセプトの再審査請求 ※受付締め日は原則20日

再審査処理済みレセプトと再審査等結果通知書等を送付 ※「②支払い基金の処理」の翌月10日。突合再審査は翌々月10日。

社会保険診療報酬支払い基金

②支払い基金の処理 ※受付月の翌月
審査委員会(再審査部会)
再審査結果入力
保健医療機関等

公費実施機関からの連名簿による再審査等請求

従たる公費実施機関等

連名簿による審査等請求(資格関係・診療内容・突合審査) ※受付締め日は原則20日。

再審査処理後、再審査等結果通知書等を送付 ※再審査処理後の翌月10日

社会保険診療報酬支払基金

明細書返付依頼書・明細書返付所を送付 ※受付月の原則翌月

返付依頼対象レセプトに明細書返付書、再審査等内訳票を添付し再審査請求

協会けんぽ・健保組合・共催組合・主たる公費実施機関等

レセプト返戻の通知について

保険 期限
社会保険 毎月20日
国民健康保険 毎月10日

レセプト返戻が通知される期限について(社保)

協会けんぽ・健保組合・共済組合・公費実施機関等による社会保険資料報酬支払い基金への資格関係の誤りに対するレセプトの取り下げは、原則20日が受付締め日です。その後、社会保険診療報酬診療基金から翌月初旬に医療機関等にレセプトが返戻されます。
(例:3月20日までに提出→4月初旬に通知)

レセプト返戻が通知される期限について(国保)

医療機関等から毎月10日までに国保連合会に提出されたレセプトに対して、返戻がある場合は次の月の3日までに決定通知書等と一緒、医療機関等に返戻されます。
(例:3月10日までに提出→4月3日までに返戻)

レセプト返戻に対して再請求できる期間はいつまで?

レセプト返戻の有無に関わらず、レセプトの請求権の期限は3年間とされています。なお、レセプトの請求権の起算日は、診療(調剤を含む)を行った日から翌々月の1日です。

返戻される書類とは

レセプト作業備品

・増減点連絡書(社保)
・返戻内訳書(社保)
・増減点返戻通知書(国保)

増減点連絡書(社保)

増減点連絡書は、医療機関等が請求した診療(調剤)報酬明細書(レセプト)について、点検・審査等の結果、点数に異動が生じた場合、医療機関等へ連絡する増減点数や事由等を表示する連絡書です。

増減点連絡書

増減点連絡書(社保)の表示内容

月分 診療または調剤月分を表示
診療年月(薬局の場合:調剤年月) ①で表示している月と異なる場合、対象となるレセプトの診療又は調剤を行った年月を表示
受付番号・レセプト番号 受付番号とレセプト番号の表示
特別審査委員会対象レセプトには「特別審査委員会」と表示
保険者番号等 保険者番号及び公費負担者番号を表示
区分 本人(本人・入院)や家外(家族・外来)などのレセプト種別による区分を表示
給付区分 特記事項等の表示
氏名・カルテ番号(薬局の場合:氏名、調剤録番号) 1行目に患者氏名
2行目に医療機関が請求したレセプトデータに記録されたカルテ番号又は調剤録番号
箇所(薬局の場合No及び調剤月日) 箇所欄は、増減点が生じた箇所の診療識別コード等を表示
No欄及び調剤月日欄は、薬局が請求したレセプトデータに記録されたNo及び調剤月日を表示
法別 増減点数欄に対応した法別番号を増減点数(金額)ごとに表示
増減点数(金額) 増点は「+」符号を、減点は「-」符号を付して表示
一部負担金等の金額は、増額は「+¥」符号を、減額は「-¥」符号を付して表示
事由 増減点の生じた事由について、事由記号を表示
詳細はコチラ
請求内容 医療機関等が請求した診療(調剤)内容を表示
診療(調剤)内容の負担区分コードを「請求内容」の左側の「負坦」欄に表示
補正・査定後内容 点検・審査等による補正・査定後の内容を表示 補正・査定後内容の負担区分コードを「補正・査定後内容」の左側の「負担」欄に表示 縦覧点検の結果による査定等の場合は「縦覧点検」、入外点検の結果による査定等の場合は「入外点検」を表示
参考:社会保険診療報酬支払基金「増減点連絡書・各種通知書の見方

増減点事由該当する記号

項目⑪「事由」に関しては増減点事由に該当する記号を記載します。

診察内容に関するもの
A 療養担当規則等に照らし、医学的に保険診療上適応とならないもの
B 療養担当規則等に照らし、医学的に保険診療上過剰・重複となるもの
C 療養担当規則等に照らし、A・B以外で医学的に保険診療上適当でないもの
D 告示・通知の算定要件に合致していないと認められるもの
事務上に関するもの
F 固定点数が誤っているもの
G 請求点数の集計が誤っているもの
H 縦計計算が誤っているもの
K その他
参考:社会保険診療報酬支払基金「増減点連絡書・各種通知書の見方

返戻内訳書(社保)

返戻内訳書は、医療機関等が請求した診療(調剤)報酬明細書(レセプト)について、点検・審査等の結果、内容確認のため、医療機関等へ返戻するレセプトの内訳や事由等を表示している内訳書です。

返戻内訳書

返戻内訳書(社保)の表示内容

月分 診療または調剤月分を表示
資格返戻 オンラインによる請求前の資格確認による返戻の場合、「*」を表示
診療年月(薬局の場合:調剤年月) ①で表示している月と異なる場合、対象となるレセプトの診療又は調剤を行った年月を表示
受付番号 レセプトの受付処理順序番号を表示
保険者番号等 保険者番号、市町村番号又は公費負担者番号を表示
区分 本人(本人・入院)や家外(家族・外来)などのレセプト種別による区分を表示
給付区分 特記事項等の表示
氏名 患者氏名を表示
日数(薬局の場合:受付回数) 診療実日数の表示
薬局の場合は、処方せんの受付回数の表示
請求点数 当該レセプトの請求点数の表示
一部負担金額 医療保険又は老人保健による一部負担金の金額を表示
患者負担金額(公費分) 公費負担医療に係る患者の負担額を表示
食事・生活基準額 入院時食事療養又は入院時生活療養の額を表示
食事・生活標準負担額 食事療養標準負担額又は生活療養標準負担額を表示
事由 当該レセプトを返戻することになった返戻事由コード及び返戻事由名称を表示
オンラインによる請求前の資格確認による返戻の場合は「事由」欄に資格返戻事由を表示
参考:社会保険診療報酬支払基金「増減点連絡書・各種通知書の見方

返戻事由コード

⑮の返戻事由コードについてのコード番号と対応する内容です。

コード 内容
100011 記号・番号の誤り
100013 認定外家族
100014 該当者なし
100016 旧証によるもの
100017 本人・家族等の種別誤り
100018 資格喪失後の受診
100023 給付期間満了後の受診
100112 患者氏名の誤り
100122 後期高齢者該当
100212 性別の誤り
100222 国保該当
100312 生年月日の誤り
参考:社会保険診療報酬支払基金「増減点連絡書・各種通知書の見方

増減点返戻通知書(国保)

国民健康保険では、医療機関が提出したレセプトについて点検・審査した結果以下の場合に、増減点返戻通知書が返戻されます。

・請求点数に増減がある
・レセプトの内容に確認が必要

増減点返戻通知書の記載内容

増減点返戻通知書
医療機関番号 7桁の医療機関コードを表示
請求年月 国保連合会へ提出した(国保連合会で審査した)年月を表示
医療機関名(調剤薬局名) 医療機関、調剤薬局名を記載
保険者番号及び保険者名 8桁の保険者番号と保険者名を表示
保険制度 一般・退職の区分を表示
「本・家」又は「入・外」 本人(本人・入院)や家外(家族・外来)などのレセプト種別による区分を表示
「法別」欄 増減点数欄に対応した法別番号を増減点数(金額)ごとに表示
被保険者証記号・番号及び被保険者氏名 記号・番号、被保険者指名を記載
増減 ・箇所欄は、増減点が生じた箇所の診療識別コード等を表示
・事由欄は、増減点の生じた事由について、事由記号を表示
・「増点/増額」及び「減点/減額」は増減点数(金額)ごとに表示
一部負担金 一部負担金の増減額を表示
返戻 ・日数欄は返戻となったレセプトの実日数を表示
・点数/金額の欄には返戻となったレセプトの点数(金額)、一部負担金、食事基準額等を表示
摘要 ・増減点が生じた事由内容等を表示
・当該レセプトを返戻することとなった返戻事由番号を表示
診察年月 ②で表示している診療月と異なる場合、対象となるレセプトの診療年月を表示
備考 返戻となったレセプトの点数(金額)、一部負担金、食事基準額等の内容を表示
参考:兵庫県国民健康保険団体連合会「増減点連絡書・各種通知書の見方

返戻事由番号

返戻事由番号に関しては医科、歯科、調剤によって異なります。例として医科の場合をあげます。

医科の返戻事由番号の例

番号 内容
1 医療機関の所在地及び名称、請求印
2 診療月
3 番号(公費負担者、市町村、受給者、保険者、被保険者証)
4 患者名、生年月日、傷病名、診療開始日、診療実日数
5 診療月と診療開始日又は初診
6 初診の区分、回数
7 診療回数と実日数
8 医学管理の区分、算定日、薬名
9 往診、在宅の区分、回数、点数、算定日
10 診療回数と調剤、処方回数
11 診療内容事項
・薬名、用量、単位
・回数、種類、内訳
・点数
・年月日
12 摘要欄と点数の不一致等
(投薬、注射、処置、手術、検査)
13 診療実日数と入院日数
14 入院点数の内訳、外泊日、入・退・再入院年月日
15 公費分点数もれ
16 一部負担金
17 食事療養費・生活療養費の標準負担額
18 請求書と明細書の不一致
19 本人・家族欄(高外一・高外7) と給付割合欄の不一致
20 本人・家族(医療種別)欄表示誤り、表示もれ
21 退職者・後期高齢者・高齢受給者・乳幼児医療・老人保健(該当・非該当)と思われるもの
22 6歳就学前の給付割合は8割
23 別紙付箋(意見書)の注意事項
24 高齢受給者は(法別41・42)非該当
25 本会取扱外(支払基金に請求してください)
26 重複請求と思われるもの
27 依頼返戻
28 その他
参考:社会保険診療報酬支払基金「増減点連絡書・各種通知書の見方

レセプト返戻再請求書き方例

返戻されたレセプトを再請求するにあたり、社会保険なのか国民健康保険なのか、また、紙で再請求を行うのかオンラインで再請求を行うのかで書き方が異なります。オンラインで請求し、オンラインで返戻がきた場合でも紙レセプトとして再請求することも可能です。

紙再請求での書き方(社保)

再請求を行うにあたり、過去に提出したレセプトの情報を訂正する必要があります。訂正には「取消」と「報告」の二つの情報を記載します。「取消」の場合は、過去の提出と同じ内容で記載した上で、報告区分を「2:取消」にします。「報告」の場合は、正しい内容で記載し、報告区分を「1:報告」にして、直近の再提出期日までに提出します。

オンライン再請求での書き方(社保)

オンラインでの請求を実施している医療機関等においては、オンライン請求システムから返戻ファイルをCSV形式でダウンロードできます。また、ダウンロードした返戻ファイルを修正し、オンライン請求システムによる再請求が可能です。

一次請求分の返戻及び再請求の例

紙レセプトでの再請求例(国保)

連合会からは以下の書類が送付されます。

・紙レセプト写し
・レセプト写し返戻(調整)内訳書

医療機関等は再提出する際に、返戻された紙レセプト写しを訂正し再提出を行います。
再提出する際は、当月分と一緒に綴り、月遅れ分の綴りがある場合の順番は、各公費負担者番号の先頭に綴ります。

電子レセプトでの再請求例(国保)

オンラインで返戻を受けたレセプトは、医療機関に対して紙レセプトでも郵送されます。
再請求に関してはオンライン、紙レセプトどちらでも再請求が可能です。しかし、オンラインと紙レセプト両方で再請求を行ってしまうと重複請求になるので注意が必要です。

レセプト返戻には期限があります!返戻された際には、書き方に注意して速やかな対応を!!

再請求は、社会保険の場合と国民保険で手順や、返戻される書類に違いがあります。紹介したレセプト返戻についての書き方や流れを十分に理解して、速やかな返戻業務を心がけましょう。

レセプト返戻は、慣れるまでは複雑でわかりにくいと感じることもあるでしょう。しかし、レセプト請求や返戻は毎月のように行う作業になるので、継続して行えば徐々に理解できる内容です。少しずつ学んで行きましょう。

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