クラウド型電子カルテのメリット・デメリット!シェア率や種類なども解説します

2021/07/20

今や医療現場には欠かせない存在となった電子カルテは、開業の際、約8割の医師が導入すると言われています。この記事をご覧いただいている方の中にも、検討中の方がいらっしゃるのではないでしょうか。今回はクラウド型電子カルテとは何か、メリットやデメリットについて詳しくご紹介します。

クラウド型電子カルテとは

クラウド型電子カルテとは、インターネット上のサーバーで診療録の記入・編集・管理・保管ができるものを指します。ネットワークにつなぐこができればスマートフォンやパソコンなど、デバイスを横断してサービスを利用することもできます。以前は院内でサーバーを用意するオンプレミス型が主流でしたが、サーバーを保有する必要がないクラウド型も近年では普及しつつあります。

電子カルテの種類|クラウドとオンプレミスの違い

電子カルテには主に2種類、クラウド型とオンプレミス型があります。この2つの大きな違いは、サーバーを病院側が構築して保有しているか否かにあります。クラウド型は院内にサーバーを持たずとも、電子カルテのデータをインターネット上に管理することが可能です。一方、オンプレミス型の電子カルテの場合、サーバーを院内で所有する必要があり、電子カルテのデータは病院が保有しているサーバーに管理されています。そのため初期投資が高くなる傾向にあります。

電子カルテシステムの普及率

電子カルテシステムの普及率は年々増加しています。平成20年では14.2%だった普及率は、平成29年では46.7%になっており、ほぼ半数近くの一般病院が電子カルテシステムを採用しています。病床別に見てみると200床未満では37%の普及率なのに対して、400床以上の病院では85.4%が電子カルテシステムを導入しており、病院の規模が大きくなればなるほど電子カルテシステムの普及率は大きくなっているのがわかります。

クラウド型電子カルテのメリット

ここでは、クラウド型電子カルテのメリットをお伝えします。
クラウド型電子カルテのメリットは以下の4点です。

・低価格でコストパフォーマンスが高い
・データ喪失のリスクが低い
・インターネット環境があればどこでもアクセスできる
・サーバー異常に迅速に対応してもらえる

低価格でコストパフォーマンスが高い

オンプレミス型電子カルテの場合、コンピューターやネットワークシステムを用意する必要があり、初期費用は300〜500万円ほどかかると言われています。加えて更新や保守といった、ランニングコストもかかります。一方、クラウド型であれば既存のコンピューターにソフトを入れたり、アカウントを作ったりするだけで、事業者の提供するサーバーが使用可能です。毎月の運用費はかかりますが、初期費用はオンプレミス型に比べるとかなりの低価格です。費用は契約事業者や契約するプランによってさまざまであるため、機能やサポート体制を比較しながら検討することが大切です。

データ喪失のリスクが低い

万が一病院が災害などに遭ってしまった場合でも、電子カルテのデータはインターネット上にバックアップされているため失うことはありません。また、サーバーに関するメンテナンスやトラブル、バックアップについては、サーバーを提供する事業者が対応してくれます。そのため病院側はサーバー業務を請け負う必要はなく、人件費削減や業務効率化につながるでしょう。

インターネット環境があればどこでもアクセスできる

インターネット環境があれば、あらゆる端末でどこからでもアクセスできるのは、クラウド型電子カルテ最大のメリットです。たとえば在宅医療に対応している病院の場合、深夜に急な呼び出しが発生する可能性もあります。本来であればカルテの確認は難しいですが、クラウド型電子カルテであればスマートフォンからでも閲覧可能です。そのため急な往診でも、カルテを確認して適切な対応ができるでしょう。さらに担当医師が学会などで病院を不在にしていても、外でカルテが確認できるため、緊急時に適切な指示を出すことが可能です。

サーバー異常に迅速に対応してもらえる

クラウド型の場合、多くの事業者ではサーバーを管理・監視するデータセンターがあります。データセンターがサーバーをチェックしているため、異常が発生した際には迅速な対応が期待できるでしょう。
院内のサーバー管理者の人件費が削減できるだけでなく、異常にいち早く気づき対応してくれるため、業務への支障も最低限に押さえることが可能です。

他システムとの連携が可能

他システムと連携が可能であるため、電子カルテの活躍の幅が広がります。たとえばWeb問診システムを利用している病院であれば、問診システムと電子カルテを連携させることで、診療の効率化が実現します。

クラウド型電子カルテのデメリット

クラウド型電子カルテのデメリットは以下の2点です。

・オフラインでは使えない
・カスタマイズに制限がある

オフラインでは使えない

インターネットを利用しているため、オフラインでは電子カルテそのものが使えなくなってしまいます。回線が絶対に障害を起こさないという保証はないため、オフラインになってしまう事態も想定しておくと良いでしょう。サーバーだけに頼らず院内にバックアップを残しておく、バックアップ回線やモバイルWi-Fiを用意するなど、導入の際は対策を講じる必要があります。

カスタマイズに制限がある

オンプレミス型カルテは病院側で構築するため、電子カルテも目的に応じて自由にカスタマイズできます。しかし、クラウド型カルテはすでに構築されているサーバーを使うことから、デザインや機能などは提供側に依存します。電子カルテを使うことで、業務に支障が出てしまうことにならないよう、さまざまなクラウド型電子カルテを比較し、自院に合ったものを導入しましょう。

クラウド型電子カルテで実現できること

クラウド型電子カルテは多くのメリットがありますが、それ以外にもクラウドだからこそ実現できることもあります。

地域包括ケアシステムの確立

超高齢化社会とも言われている日本では、高齢者の医療や介護のあり方が変わりつつあります。そこで厚生労働省が実現を目指しているのが、以下のように定義される地域包括ケアシステムと呼ばれる支援・サービス体制の構築です。

重度な要介護状態となっても住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最後まで続けることができるよう、住まい・医療・介護・予防・生活支援が一体的に提供される仕組み


地域包括ケアシステムを構築する上で医療分野に求められることは、介護分野とのスムーズな連携です。高齢者の状況が把握できるカルテが介護分野と共有できれば、より質の高いケアの提供や予防に役立ちます。このような外部とのデータ共有は、クラウドだからこそできるもの。地域包括ケアシステム確立のためにも、クラウド型電子カルテは重要な存在でしょう。ただし個人情報保護法もあり、データは患者さまの同意なくして共有ができない点は注意が必要です。

医療事務業務のアウトソーシング

今後は、医療の質向上や医療従事者の働き方改革、患者さまの利便性向上を実現するために、スマートホスピタルという考えが重要になってきます。多くの医療機関では、「本来専門職がやるべきでない事務作業が多い」、「人員が足りずに事務業務を満足に捌けていない」といった課題が見受けられます。そこで活用できるのがスマートホスピタルの一環でもある、医療事務業務のアウトソーシングです。

ソラストでも提供しているサービスであり、カルテ入力や診療報酬の算定など事務業務を代行します。アウトソーシングすることで、院内の事務業務の負担を大幅に削減することが可能です。

こうした業務をアウトソーシングするには、医療機関と委託企業とのデータ共有が必須です。しかしクラウド型電子カルテであれば、スムーズに委託先へデータ共有が可能です。

今後こうした新しい医療サービスを活用するためにも、クラウド型電子カルテは必要不可欠になっていくかもしれません。

クラウド型電子カルテを導入する場合は、適切なものを

クラウド型電子カルテには、多くのメリットがありますが、導入する際にはオフラインで使用できない点やカスタマイズの幅が狭い点には注意が必要です。
自院にあっていないものを導入した場合、業務効率化を図るのが難しくなってしまうことも考えられます。自院の診療スタイルや規模もしっかりと考慮し、適切なものを導入すると良いでしょう。

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