独学で保育士資格を取得できる?試験内容や勉強のコツなど一挙紹介
著者: めんたいパスタ
更新日:2024/02/29
公開日:2019/04/04
保育士の資格を独学で取るための、保育士試験の内容や、勉強するコツなどを紹介します。また、気になる保育士試験の合格率や、合否を左右する可能性もあるテキスト選びなど、保育士試験についての情報を紹介しますので、しっかりと対策をして保育士試験にチェレンジしましょう。
目次
そもそも保育士資格は独学で取得できる?
保育士を目指したい方が、独学で試験に合格するケースは珍しくありません。
保育士を目指す方法は、大きく2通りあります。
【保育士を目指す方法】
(1)保育士養成学校に通い、必要な科目を修了する
(2)保育士試験に合格する
(1)は大学や短大、専門学校など保育士課程を履修できる学校を卒業し、保育士を目指す方法です。卒業イコール資格取得となり、実習も行います。この方法で保育士を目指す方は、もともと保育士になりたいと早い段階から決めていることがほとんどでしょう。
(2)は、保育科のある学校を卒業していない方向けの方法です。保育士試験は、養成施設に通っていなくても受験資格を満たしていれば受験できます。筆記や実技試験に合格すれば保育士の資格取得が可能です。養成校に通わず、独学で保育士を目指す場合は、(2)の方法に該当します。
保育士試験の合格率は20%前後
年度 | 合格率 |
---|---|
平成30年度 | 19.7% |
令和元年度 | 23.8% |
令和2年度 | 24.2% |
令和3年度 | 20.0% |
令和4年度 | 30.0% |
※小数点第4位を四捨五入して算出
保育士の資格の合格率は、全体で毎年約20%を推移。全体で20%なので、独学で合格した人については、合格率がもっと低いことがわかります。
令和4年度の保育士試験合格率は高めであるものの、厚生労働省の調べでは、合格率が30%の壁をほとんど越えない難易度の高い資格として認識されているようです。難易度が高くなる要因は以下の2点あります。
・9科目すべてに合格する必要がある
・すべての教科において合格ラインは60点以上
保育制度や税金に至るまで政策が変更されるたびに、保育に関する規制なども改正が行われます。
独学で勉強する場合、改正された法律や変更された試験内容などの情報は自分で調べないといけません。新しい情報に対応できるかどうかで試験結果も変わります。そのため、変更された内容がある科目の学習は、重点的にする必要があるでしょう。
独学で保育士試験を勉強するメリット・デメリット
紹介したように、独学で保育士を目指すことは可能です。独学で保育士試験の勉強をする場合、どのようなメリット、デメリットがあるか紹介します。
独学で保育士試験の勉強をするメリット
・養成施設に通う時間が必要ない
・仕事など生活と両立させやすい
・費用が抑えられる
養成施設に通う場合、通うための時間が必要です。時間帯も決められているため、時間的に難しい方もいるでしょう。
しかし、独学であれば自分が勉強したい場所とタイミングで進められます。育児や介護をしたり、働いたりしながらでも勉強できるため、両立しながら自分のペースで進めたい方にはぴったりでしょう。
また、テキストや問題集は1冊約2,000円〜3,000円なので、費用も抑えられます。
独学で保育士試験の勉強をするデメリット
・実技試験対策が難しい
・最新情報が得にくい
・勉強を続けにくい
独学となると、とくに実技試験の対策が難しいでしょう。テキストを読み込んで自分なりに練習しても、改善が必要な部分や評価されるポイントが把握できないままになることも。適切なフィードバックや、添削などで評価をしてくれる第三者を見つける必要があるかもしれません。
また、最新情報を含めて試験に関する情報は自分で調べる必要もあります。一人での勉学は、モチベーションの維持がなにより大変です。勉強意欲が途切れないように進めるのもポイントとなるでしょう。
保育士試験の内容と合格点
保育士試験は9つの筆記科目、3つの実技試験に分かれています。
筆記試験
試験科目 | 問題数 | 合格点 | 合格最低数 |
---|---|---|---|
①保育の心理学 | 20問 | 60点 | 12問 |
②保育原理 | 20問 | 60点 | 12問 |
③子ども家庭福祉 | 20問 | 60点 | 12問 |
④社会福祉 | 20問 | 60点 | 12問 |
⑤教育原理 | 10問 | 30点 | 6問 |
⑥社会的養護 | 10問 | 30点 | 6問 |
⑦子どもの保健 | 20問 | 60点 | 12問 |
⑧子どもの食と栄養 | 20問 | 60点 | 12問 |
⑨保育実習理論 | 20問 | 60点 | 12問 |
実技試験
音楽表現 | 歌、伴奏技術、リズムなど、総合的に豊かな表現ができること。 |
---|---|
造形表現 | 造形表現情景および人物等を豊かにイメージした描写、色使いなどができること。 |
言語表現 | 基本的な声の出し方、表現上の技術、幼児に対する話し方ができること。 |
筆記試験を合格しないと実技試験を受験できない
筆記試験にあたる全9科目は、6割以上の正答で合格できます。中でも⑤⑥に記載のある「教育原理」「社会的養護」は10問ずつと少ない設問ですが、ニコイチなどと通称があるように、両科目ともに30点以上でなければ合格とみなされない難易度が高い教科です。
実技試験は3科目あり、内2科目を選択して受験しますが、実技試験の受験資格を得るためには筆記試験をパスしている必要があります。
なお、幼稚園教諭免許を持っている人は、実技試験の免除対象です。
保育士資格を独学で取得する勉強のコツ
保育士資格を独学で取得するためには、勉強時間の目安や実技試験の対策方法などにコツがあります。下記の4点について詳しく見ていきましょう。
・100時間以上、2~4カ月の期間を目安に勉強する
・保育士試験対策のテキストをしっかり読み込む
・過去問や予想問題集を繰り返し解く
・実技試験は得意分野を選んで対策する
100時間以上、2~4カ月の期間を目安に勉強する
筆記試験は全部で9科目受ける必要があるため、勉強時間の目安として100時間以上を確保する必要があります。独学ではゆっくりと自分のペースで進める方法もありますが、モチベーションを維持するために、長い期間で取り組むよりも、2~4カ月程度に設定して集中して行うことがおすすめです。とくに、保育実習理論は多くの勉強時間が必要となるでしょう。
保育士試験対策のテキストをしっかりと読み込む
保育士の試験に合格するためには、テキストが大きなカギを握っています。広範囲の学習を強いられる保育士の試験では、たくさんの情報を網羅する必要があります。そのためテキストはしっかり読み込み、核心を押さえておきましょう。
過去問や予想問題集を繰り返し解く
独学で大切なのは、過去問や予想問題集で回答数をこなしておくことです。過去問は全国保育養成協議会サイトでいつでも閲覧できます。学習は3カ月を目標に短期的に集中して行うことで、効率的に習得可能です。
試験前1カ月間は、過去問の傾向を把握するためにも、間違いなく確実に問題が解けるまで復習することが合格への自信にもつながります。
実技試験は得意分野を選んで対策する
実技試験は、筆記試験と比べ自分だけで対策するのが難しいです。独学では自分に合った対策方法を早く見つけ、徹底的に練習しましょう。
3分野のうち2分野を選択して受験するため、まずは自分が得意な2分野を選んでください。選んだ2分野は、それぞれ6割以上の得点を取る必要があります。演奏や歌を歌っている様子や、絵本のお話をしている様子を動画に撮り、どう見えるか確認するなど、分野に合わせた対策を行いましょう。
【実技試験対策の例】
音楽表現 | ・動画を撮ったり人に見てもらったりして、練習を重ねる ・試験で使用する楽器に慣れておく ・音楽教室に通う |
---|---|
造形表現 | ・過去の試験テーマを調べて練習する ・保育の一場面を想定して、人物の描き方を練習する |
造形表現 | ・過去の試験テーマを調べて練習する ・保育の一場面を想定して、人物の描き方を練習する |
言語表現 | ・過去の試験テーマを調べて練習する ・保育の一場面を想定して、人物の描き方を練習する |
【独学派におすすめ】保育士試験対策のテキストの選び方
独学で勉強を進める際、テキスト選びは合否にも大きな影響が出ます。試験と似ている出題形式のテキストを選ぶと、本番の練習にもなるのでおすすめです。
また、問題内容が変わりにくい科目と変わりやすい科目を把握しておきましょう。とくに、改正される可能性が高い「社会福祉」は、最新の情報が取り入れられているか確認してください。買う前にテキストの中身をチェックし、図表が多く、解説が詳しいものを選びましょう。
【買う前にチェック】
☑出版された年は新しいか
☑解説がわかりやすいか
☑図や表は使われているか
☑過去問が厳選されているか
出版された年は新しいか
保育士試験では、社会情勢に合わせて改定される法律や制度に沿って、試験科目も改定されています。もし中古のテキスト、問題集を選ぶ場合には、内容が改定後のものであるか、よくチェックしましょう。新しい内容も解けるように出版年を確認し、最新のものを購入することをおすすめします。
解説がわかりやすいか
理解しやすい解説がされているか、詳しく解説が書かれているか、購入前に中身を簡単に確認しましょう。ネットの口コミや評判を参考にするのもよいですが、参考書や問題集にも相性があるので、解説のボリュームや要点のまとめ方などを確認し、自分に合うものを探してください。用語解説など、補足情報があるものもおすすめです。
図や表は使われているか
保育士試験の中には、専門的な用語が使われるものもあります。とくに社会福祉六法については、文字だけでは理解しにくいこともあるでしょう。
そのような部分は、図や表でわかりやすく、見やすい説明があるかどうかをチェックしてください。また、実技試験のテキストは図や表、イラストや写真で解説されているかどうかが選ぶポイントです。
過去問が厳選されているか
どのような試験でも、過去問に取り組むのは鉄板の勉強方法です。テキストに、過去によく出た問題や間違えられやすい問題などが厳選されていると、対策しやすいでしょう。
全国保育士養成協議会サイトでは過去問を閲覧できます。実際に出された問題が解けるか、試験日近くになったら力試しをしてみましょう。
独学で、保育資格取得を目指しましょう!
独学で保育士資格を取得するための方法について紹介しました。保育士試験の合格率は高くないものの、独学でも保育士試験を突破することはできます。試験内容や合格点を把握し、ポイントをつかんで、効率よく勉強を進めていきましょう。
実技試験では動画を撮影して自分で見直し、場合によっては第三者からフィードバックをもらうのもおすすめです。
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著者プロフィール
めんたいパスタ
人材紹介業、サービス業、障がい者雇用の分野で採用業務に従事した経験がある女性スタッフ。現在は保育分野の採用担当として、業務を通じて保育園で働くスタッフの負荷軽減になることを目標として活動している。