低年齢児を預かる保育士が気を付けること3点。高年齢児との違いに注意
著者: めんたいパスタ
更新日:2023/12/22
公開日:2020/02/14
保育士さんの転職理由としてよく耳にするのが「低年齢児を預かる保育園で働きたい」という声です。この記事では「低年齢児とは」「何人預かれるの?」という基本的なことから「保育士として低年齢児を預かる上での注意点」など、保育士さん目線で解説していきます。
目次
低年齢児保育とは
保育園における低年齢児とは、一般的に0歳~2歳までの子どものことを言います。従来は乳児保育とも呼ばれていました。保育園では生後6ヶ月以上の子どもを預かる場合が多いですが、保育園によっては生後2ヶ月以上からの、乳児保育にも対応している場合があります。
社会的背景
女性の社会進出に伴い、早期に職場復帰を希望する人が多くなっています。その社会的ニーズに応じて、低年齢の子どもに対応できる保育園も多くなっています。実際、厚生労働省の資料「保育所等関連状況取りまとめ(平成31年4月1日)」によると、保育所に預けられている0歳児の割合は、平成30年4月:15.6%→平成31年4月:16.2%と増加しています。一方で、「三歳児神話」という言葉もある通り、低年齢児は母親と子どもとの関係による作用が重要で、本来は家庭で育てるのが望ましい時期だと言われることもあります。
まだ小さく、短時間でも一人にしておけない低年齢の子どもには、大人の目が十分に届いていなくてはいけません。そのため、低年齢児保育では保育士1人当たりの子どもの人数も少なくなっています。年齢別の保育士の配置基準は、以下の通りです。
年齢 | 配置基準 |
---|---|
0歳 | 子ども3人につき保育士1人以上 |
1・2歳 | 子ども6人につき保育士1人以上 |
3歳 | 子ども20人につき保育士1人以上 |
4・5歳 | 子ども30人につき保育士1人以上 |
低年齢を預かる上での注意点3点
この時期ならではの保育士が注意すべき点は、大きく分けて以下の3点です。
・体調変化が起こりやすい
・身の回りのお世話が必要
・意思表示が十分にできない
それぞれについて、詳しく見ていきます。
体調変化が起こりやすい
低年齢の子どもたちの特徴の一つ目は体調の変化が激しいということです。数分前までは元気にミルクを飲んでいたのに、気が付いたら熱が出ていたり、お腹を壊していたりというのはよくあることです。しかも、年齢が低ければ低いほど、小さな変化を見逃すことが、命に関わる急激な体調不良につながってしまうこともあります。ですから、低年齢児を世話する保育士たちには、高年齢児の場合以上に子どもたちの小さな変化や不調に気付くことが求められます。保育園看護師との連携を高めることはもちろん、自身でも乳児MFAなどの知識を高め、臨機応変に対応できるスキルを身に着けることが重要です。
乳幼児は感染症にかかりやすく、かかった場合に重篤化しやすいというという特徴があります。保育士は、感染症予防や看護の知識も必要になります。特に、おむつの交換などの際に適切な予防法を取っていないと、感染症があっという間に保育園中に広がってしまうようなこともあり得ます。インフルエンザが流行る冬季はもちろん、風邪や手足口病など一年中注意が必要なウイルス。低年齢児を預かる保育士には、高年齢児を預かる場合以上に、高い意識が求められると言えるでしょう。
身の回りのお世話が必要
低年齢児はまだ自分で身の回りの世話をすることができません。そのため、低年齢児を預かる保育士の実際の仕事内容のメインとなるのは、遊びや知育よりも、ミルクや、おむつの交換といった身の回りの世話になります。
一方で、少しづつ自分でできることをやりたいという気持ちも芽生える時期です。なんでも世話をしてあげるのではなく、子どもの年齢や、関心に応じて、本人のやる気やできることを尊重しつつ、必要な世話を受けられるようにしていかなければなりません。
意思表示が十分にできない
泣くことでしか主張を伝えられなかった子も、1歳位になると、言葉や表情で自分の主張を伝えようとします。一方、コミュニケーション能力が高くないため、自分の意思が思うように伝わらないことにいらだつこともあります。時にはたたいたり、噛みついたりして意思を通そうとすることもあるでしょう。保育士は子どもの意思を理解してあげながら、他の子どもをたたいたりすることがないような目配りが必要です。
2歳にもなると、言葉をどんどん覚えていくようになってきます。行動範囲もどんどん増え、自己主張が強くなってきます。他の子どもたちとの摩擦が行き過ぎないよう、きちんと目が行き届かせる必要が出てきます。
この時期の子どもたちの成長速度は、大きな個人差があります。他の子どもと比べすぎず、一人ひとりの成長やコミュニケーション方法を理解してあげることが重要です。また、言語能力が未発達なこの時期は、表情が子どもにとって大きなコミュニケーションのカギとなります。笑顔で表情豊かに接してあげると良いでしょう。年齢と成長度合いがいちじるしく合わない子がいた場合は、周囲の保育士と連携しながら、慎重な対応が必要です。
保護者との関係で頭に入れておくべきこと
共働き夫婦の増加により、0歳、または育休取得期間が終わる1歳から子どもを預けて働く、というニーズは確実に増加しています。厚生労働省の資料「保育所等関連状況取りまとめ(平成31年4月1日)」によると、年齢別の待機児童割合は以下の通りです。
年齢 | 待機児童割合 |
---|---|
0歳 | 12.2% |
1・2歳 | 75.7% |
3歳以上 | 12.1% |
1歳あるいは2歳の待機児童が非常に多いことがわかります。そのため、本当は1歳から預けたいけれども、入れそうなら0歳から保育園に入れて働くケースもあるようです。
保護者が低年齢児を保育所に預ける背景は様々です。納得して保育園に預けていても、周囲に「小さい子を保育園に入れるなんてかわいそう」と言われて葛藤が生まれている人、仕事と育児の両立に悩んでストレスを抱えている人もいます。保育士は園で滞りなく子どもを預かるだけでなく、保護者の立場をおもんばかった対応が必要になります。
まとめ:大変だけど、やりがいを感じられる低年齢児保育
低年齢児を預かる保育士には、高年齢児を預かる以上の細やかな関心を払うことが求められます。体調変化など、心配が多い点もあるかもしれません。しかし、すべての世話が必要だったところから、着替えやトイレなど自分にできることがどんどん増えていき、言葉もどんどん覚えていき、コミュニケーションもスムーズになっていくのを見守ることはとても楽しく、やりがいのあることです。そのため、低年齢児を預かれる保育園には一定の求職者からのニーズがあります。
乳幼児期は成長の変化が大きいので、一日の多くの時間を一緒に過ごす保育士の役割や影響力は非常に大きなものになります。十分に目が行き届くように保育士の数も多いので、他の保育士と協力し合いながら、可愛い子どもたちの成長を見守っていけるでしょう。
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著者プロフィール
めんたいパスタ
人材紹介業、サービス業、障がい者雇用の分野で採用業務に従事した経験がある女性スタッフ。現在は保育分野の採用担当として、業務を通じて保育園で働くスタッフの負荷軽減になることを目標として活動している。