保育士国家試験の受験資格は?高卒・中卒など学歴別の条件・実務経験についてわかりやすく解説
著者: めんたいパスタ
更新日:2024/08/19
公開日:2021/06/11
子どもたちの成長を身近で支える、人気の職業の1つといえば保育士です。共働きの世帯が増加する昨今、保育士の社会全体としての需要も急増中。本記事では、保育士として働くために必要な国家試験の受験資格や実務経験などについて詳しく紹介します。
目次
保育士の資格は誰でも取れる?
保育士になるには、以下のいずれかを満たす必要があります。
①指定保育士養成施設(大学、短大、専門学校等)を卒業する
②保育士試験を受験し、合格する
保育士になるためには2つの方法があります。そのうちの1つが、保育士国家試験に合格する方法です。保育士国家試験は筆記試験と実技試験の2つの試験で構成され、筆記試験合格者のみ実技試験を受けることができます。試験を受けるためには、最終学歴が以下のいずれかを満たす必要があることも覚えておきましょう。
・中学卒業
・高等学校卒業
・専門学校在学中または卒業
・短期大学在学中または卒業
・大学在学中、中退または卒業
また、上記の条件を満たす場合でも、高卒、大卒などの最終学歴や在学中、中退などによって受験資格の条件が一部異なる点にはご注意ください。詳しくは次の章で解説します。一方で、保育士試験の受験に年齢制限がないのは嬉しいポイントです。
【最終学歴別】保育士試験の受験資格
保育士試験は年齢に関係なく、受験資格を満たしていれば誰もが受験可能です。以下のように受験資格の有無は、最終学歴によって異なります。
大卒・短期大学卒 | 専門学校卒 | 高卒 | 中卒 |
---|---|---|---|
〇あり | △条件付き | △条件付き | △条件付き |
【大卒・短期大学卒】保育士試験の受験資格
保育士に関係ない学部・学科でも受験資格があります。そのため、短期大学であれば一般的に2〜3年、大学であれば4年の課程を修了していることで、保育士試験を受けることが可能です。しかし、海外の学校を卒業している場合は、必要な条件を満たしていないケースもあるため、保育士試験事務センターに問い合わせてみましょう。
【専門学校卒】保育士試験の受験資格
まずは以下2点の条件を満たしているかを確認しましょう。
①学校教育法に基づいた専修学校であるか
②修業年限2年以上の専門課程であるか
上記2つの条件を満たしている場合、保育士とは関係ない学科でも受験資格があります。一方条件が1つでも満たされていない場合は、以下の高校卒業年月日を満たしている場合のみ受験資格が得られます。
・平成3年3月31日以前に高校卒業
・平成8年3月31日以前に保育科の高校卒業
また、専門学校も大学と同様に、海外の学校を卒業している場合は、保育士試験事務センターまで問い合わせてみてください。
【高卒】保育士試験の受験資格
受験資格あり | ・平成3年3月31日以前に「高校」を卒業している ・平成8年3月31日以前に「保育科の高校」を卒業している |
---|---|
受験資格なし | ・平成3年4月1日以降に「高校」を卒業している ・平成8年4月1日以降に「保育科の高校」を卒業している →ともに「一定の実務経験」が必要 |
平成3年3月31日以前に卒業している方であれば、受験資格があります。また、保育科の高校を卒業している場合は、平成8年3月31日以前に卒業している場合、受験資格が得られます。卒業年月日に指定があるのは、平成3年4月1日より、保育士試験の受験資格が短期大学卒業程度に引き上げられたためです。
そのため、平成3年4月1日以降、または平成8年4月1日以降に保育科の高校を卒業している方は「2年以上かつ2880時間以上の実務経験」が必須条件となります。実務経験を積むにあたり、勤務施設は児童福祉法第7条に基づく児童福祉施設と指定されています。
【中卒】保育士試験の受験資格
受験資格を満たすためには、5年以上かつ7200時間以上の実務経験が必須条件です。勤務施設は高卒者の指定施設と同じです。
【在学中・中退】保育士試験の受験資格
なかには既卒ではなく、在学中あるいは中退している方もいるでしょう。ここでは在学中および中退の方に関する、受験資格条件を詳しくみていきます。
大学 | 短期大学 | 専門学校 | 高校 | |
---|---|---|---|---|
在学中 | △条件付き | △条件付き | △条件付き | ×なし |
中退 | △条件付き | △条件付き | △条件付き | △条件付き |
【大学在学中・中退】保育士試験の受験資格
受験資格あり | ・2年以上在学かつ62単位以上修得済み ・年度内に大学を卒業見込み |
---|---|
受験資格なし | ・2年未満で中退している ・修得単位が62単位未満 ・年度内に大学を卒業できなかった |
在学中の場合、2年以上の在学かつ62単位以上が修得済みであれば、保育士に関係ない学部・学科でも受験資格があります。なお在学中であれば、条件を満たしていなくても受験自体は可能です。しかし、年度内に条件を満たす見込みがなければ合格、または一部科目の合格が認められない点は要注意です。
また、中退の場合は、2年以上の在学と62単位以上を修得済みであれば、保育士に関係ない学部・学科でも受験資格があります。つまり大学を1年で中退、または修得単位が62単位以下の場合は、受験資格は得られません。
【短期大学在学中・中退】保育士試験の受験資格
受験資格あり | ・年度内に短大を卒業見込み |
---|---|
受験資格なし | ・短大を中退している ・年度内に短大を卒業できなかった |
在学中の場合は、大学在学中と同様に受験自体は可能です。ただし、年度内に卒業することが条件となるため、卒業できなかった場合には合格が認められません。
一方、短期大学を中退している場合、受験資格はありません。最終学歴が高卒扱いとなるため、受験資格に関しても高卒者の条件を満たす必要があるためです。
【専門学校在学中・中退】保育士試験の受験資格
在学中の場合、以下2つの条件が満たされていることで受験資格があります。年度内に卒業することで、合格が認められます。
①学校教育法に基づいた専修学校であるか
②修業年限2年以上の専門課程であるか
上記条件が満たされていない専門学校および中退の場合は、受験資格がありません。受験資格を得るためには、高卒者の条件を満たす必要があります。
【高校在学中・中退】保育士試験の受験資格
保育士試験の受験資格を満たす最低条件は、短期大学卒業程度です。そのため、高校在学中は、基本的に受験資格がありません。また、高校を中退した場合は中卒扱いとなるため、5年以上かつ7200時間以上の実務経験が必須となります。
保育士試験の受験資格を得るための実務経験
最終学歴が中卒および高卒の場合は、受験資格を得るために実務経験が必須です。受験資格付与に影響するのは、以下に該当する児童福祉施設です。
【児童福祉法第7条に基づく児童福祉施設】
・保育所(利用定員20名以上)/保育所型認定こども園/幼保連携型認定こども園/児童厚生施設(児童館)/児童養護施設/助産施設/乳児院/母子生活支援施設/障害児入所施設/児童発達支援センター/児童心理治療施設/児童自立支援施設/児童家庭支援センター
また上記施設以外にも、受験資格認定基準に該当する施設・事業もあります。
下記施設・事業は、受験資格認定(知事認定)を申請することで保育士試験の受験資格が認められます。しかし必ずしも受験資格が認められるものではなく、認定されないケースがある点は要注意です。
・認可外保育施設(認証保育園、認定保育園 等を含む)/ 小規模保育事業(小規模認可保育所 等)/幼稚園型認定こども園/地域裁量型認定こども園/幼稚園(特別支援学校幼稚部を含む)/家庭的保育事業(保育ママ 等)/居宅訪問型保育事業/事業所内保育事業/放課後児童健全育成事業(学童クラブ・放課後児童クラブ・学童保育 等)/一時預かり事業/へき地保育(特例保育)/小規模住居型児童養育事業(ファミリーホーム)/障害児通所支援事業(保育所訪問支援事業を除く)/一時保護施設
その他
・放課後等デイサービス(児童デイサービス)
・院内保育
・企業主導型保育事業 等
【高卒の場合】必要な実務経験について
高校を卒業している場合は、該当施設で2年以上かつ2880時間以上の勤務、および児童の保護または援護に従事したことで受験資格が得られます。
【中卒の場合】必要な実務経験について
高校を卒業していない場合は、該当施設で5年以上かつ7200時間以上の勤務、および児童の保護または援護に従事する必要があります。
保育士試験の概要
日程 | 前期試験 筆記試験:令和6年4月20日(土)、21日(日) 実技試験:令和6年6月30日(日) 後期試験 筆記試験:令和6年10月19日(土)、20日(日) 実技試験:令和6年12月8日(日) |
---|---|
試験内容 | 【筆記試験】 ・保育の心理学 ・保育原理 ・子ども家庭福祉 ・社会福祉 ・教育原理 ・社会的養護 ・子どもの保健 ・子どもの食と栄養 ・保育実習理論 |
【実技試験】 ①音楽に関する技術 ②造形に関する技術 ③言語に関する技術 (必ず2分野を選択) |
|
受験会場 | 試験会場は『受験票』にて確認 |
難易度 | 合格率は約20% |
保育士試験は前期・後期の日程で、年に2回開催されます。試験の内容は筆記試験・実技試験の2部構成。筆記試験では、保育の心理学・子どもの保健など合計9科目が出題されます。各科目において満点の6割以上を獲得することで、筆記試験を通過できます。そのため、筆記試験を通過するためには、各分野の知識をまんべんなく習得することが重要です。
筆記試験を通過した人は、実技試験に移ります。実技試験では、「音楽」「造形」「言語」から2つを選択し受験を行います。試験内容の詳細については、下記の記事も合わせてご確認ください。
目指せ合格!保育士試験の勉強のコツ
保育士試験に合格をするためには、幅広い知識を身につけることが大切です。ここでは、勉強を進める際のコツについて解説します。
自分に合う学び方で勉強する
学び方 | メリット | デメリット |
---|---|---|
学校で学ぶ | ・プロの講師から直接指導を受けることができ、体系的に学習できる ・質問や相談がしやすい ・同じ目標を持つ仲間と一緒に勉強でき、モチベーションを維持しやすい |
・学費や交通費などの費用がかかる ・授業の時間に合わせてスケジュールを調整する必要がある ・通学に時間と労力がかかる |
独学で学ぶ | ・教材費や受験料のみで済むため、経済的負担が少ない ・自分のペースで勉強でき、時間の自由が効く ・自分で計画を立てて学習するため、自己管理能力が高まる |
・自分で教材を選び、学習計画を立てる必要があるため、適切な情報を得るのが難しい ・疑問点が生じた場合にすぐに解決できないことがある |
通信教育で学ぶ | ・自宅で学習できるため、通学の手間がない ・メールや電話で講師に質問できるなどのサポートがある ・自分のペースで学習できるため、時間の自由が効く |
・独学よりも費用がかかることがある ・自分で学習計画を立てて実行する必要がある ・実践的なスキルの習得が難しい場合がある |
保育士試験の勉強を進めるには、学校に通う・独学で学ぶ・通信教育で学ぶの主に3つの方法があります。それぞれの学習方法には、メリット・デメリットが有り、完璧な学習方法は存在しません。そのため、ご自身のライフスタイルや予算と相談し、自分に合った勉強方法を選ぶことが重要です。自分に合った学習方法を選択することで、合格の可能性が高まります。
最新のテキスト・過去問題集を用意する
保育士試験の合格には、最新のテキストや過去問題集の用意が欠かせません。試験範囲や出題傾向は毎年変わる可能性があるため、最新の教材を使うことで最新の情報や出題傾向に対応できます。
また、過去問題集を解くことで、実際の試験形式に慣れ、時間配分や解答テクニックを身につけることが可能です。これにより、試験本番での実力発揮が期待でき、合格へ近づきます。
周りの協力を得て実技試験対策をする
筆記試験だけではなく、その後に待ち構える実技試験対策も重要です。3つの分野から選択するため、自分がとくに得意な分野を見極めることで合格に近づきます。試験で発表をする技術そのものを身につけるのはもちろん、緊張に慣れるために、家族や周りの人に見てもらうなど協力を得ることも大切です。
また、実技の内容は暗記と異なり、一朝一夕で身につけることは難しいため、早い段階から練習をしておくことをおすすめします。
受験資格をもって、保育士試験に挑もう!
保育士試験は受験資格が幅広いものの、各科目で6割位上の得点が必要など、合格を勝ち取るためには十分な準備が必要です。また実技試験もあるため技術だけでなく、緊張した中でパフォーマンスを発揮する精神的な部分も求められます。保育士を目指すためには避けては通れない試験のため、自分に合った勉強法を見つけ、しっかりと試験対策をしていきましょう。
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著者プロフィール
めんたいパスタ
人材紹介業、サービス業、障がい者雇用の分野で採用業務に従事した経験がある女性スタッフ。現在は保育分野の採用担当として、業務を通じて保育園で働くスタッフの負荷軽減になることを目標として活動している。