4歳児の発達の特徴やできること、保育のねらいや接し方のポイントを解説
著者: めんたいパスタ
更新日:2024/10/23
公開日:2023/01/13
4歳は、社会性や協調性が身につくなどして急速に発達する年齢です。自立性が高まる一方で、大人へ反抗の態度を示すなど、扱いが難しい年齢でもあります。心の成長と共に、大人も子どもたち本人も戸惑いやすい4歳児にはどのように接すればよいのでしょうか。今回は4歳児の発達の特徴や保育のねらいなどを踏まえて、4歳児に接する際のポイントなどをお伝えします。
目次
4歳児の発達の特徴
4歳は、心身ともに急速な発達を見せる時期です。まずは、4歳児の発達の特徴についてポイントごとにご紹介します。
身体・運動能力の向上
4歳児は男女ともに中央値で身長が100cmを超えてきます。100cm未満が中央値となる3歳児と比べると、体の大きさもしっかりとしてきます。そして体の成長とともに、運動能力も向上。歩く・走る速度をコントロールできたり、けんけんやでんぐり返しなど複雑な体の動きもできるようになります。
生活力の向上
4歳児は手先も器用になってくるため、以下のように生活におけるさまざまな能力も飛躍的に向上します。
・箸を使って食事する
・自分で歯磨きする
・衣服をたためる
・ハサミを使える
・ボタンのかけ外しができる
・お片付けできる など
手先が器用になることで身の回りのことを自分でできるようになり、生活力や生活習慣が身に付きます。その結果、自立性も飛躍的にアップします。
知能・理解力の向上
大脳の発達により、知能や理解力も向上します。そのため自分の経験したことや質問に答えられるようになったり、過去・未来の時間軸に沿って物事を理解することも可能です。周りの物事が判断できるようになったことで自分と他人の区別がつくようになり、自意識も芽生え始めます。知能・理解力は発達するものの、自分の感情はまだうまくコントロールできないため、「4歳の壁」と言われるように反抗的な態度や成長が逆戻りしたような行動が出ることもあるのです。
4歳児にできること
身体的・精神的・知能的にも急速な発達を見せる4歳児は、具体的にどのようなことができるようになるのでしょうか。ここでは、5つの観点から4歳児にできることをみていきます。
生活
1日の生活の流れを理解し、身の回りのことは自分でしながら生活習慣を身につけていきます。自分でトイレに行く、食事をする、汚れところはティッシュで拭いて捨てるなど、物事の必要性まで理解できている点が特徴です。その中で大人が「次は○○をしようね」「○○に自分で気づけたね」と一言かけてあげると、より行動の流れや意味、必要性への理解が深まります。できていない子には、ヒントをあげるように行動を促してあげることがポイントです。
社会性
集団生活にも馴染めるようになり、周囲の人やものに興味を持って関わるなど社会性ある行動ができるようになります。具体的には「友達を遊びに誘う」「順番を理解して待てる」「公共の場のマナーを理解して守ろうとする」などといった行動がみられます。簡単な指示であればすぐに理解して行動に移せ、褒められたことに対しては喜びや誇りを感じます。
ことば
言葉の数が増えるだけでなく、時間軸を理解して話したり、理由を持って自己主張できるようになります。そのため「昨日は〜したよ」と自分の経験を伝えたり、言われたことに対して「だって〜」と反論することも。言葉の意味を理解して使うだけでなく、会話ができるようになるためスムーズな意思疎通が可能です。
遊び
単に遊ぶだけでなく意思を持って友達を誘ったり、さまざまな遊び・ゲームのルールを理解しなが取り組めるようになります。そのため、鬼ごっこやかくれんぼなどで遊ぶ姿がよく見られます。また3歳以下の保育園クラスでは個々が好きな遊びをしていましたが、4歳児からは集団で遊べるようになる点も特徴です。さらに手先が器用になるため、ハサミなどを使って工作したり、絵を描いたりすることもできます。
運動
身体の発達により運動能力も向上し、長時間の散歩や細かい運動ができるようになります。1時間以上散歩したり、遊具を使って遊んだり、さらには片足ケンケンやスキップなどをする姿もみられます。自分の体の動かし方がわかるだけでなく、遊具やボールなどをどのように使うかまで理解しながら遊んでいる点が特徴です。
【時期別】4歳児の保育のねらい
自意識や自立性が芽生え、周りの物事が理解できるようになる4歳児に対しては、子どもが主体的に物事に取り組める環境を大切にすることがポイントです。そのため保育士や保護者は、子どもの考えや行動を尊重し、間違ったことがあれば「なぜそれがダメなのか」を伝えてあげることが大切です。下記は滋賀県大津市が公表する資料にある、時期別に見た4歳児の保育のねらいです。
時期 | ねらい |
---|---|
4歳児Ⅰ期 (04~05月) |
●新しい先生や友達に親しみをもち、喜んで登園する ●新しい生活の仕方がわかり、自分でできることは自分でしようとする ●自分の好きな遊びを見つけたり、先生や気の合う友達と興味のある遊びを一緒に楽しむ |
4歳児Ⅱ期 (06~08月) |
●先生や友達と触れ合いながら楽しく遊ぶ ●遊びや生活を楽しむ ●自分のしたい遊びを見つけて遊ぶ |
4歳児Ⅲ期 (09~10月) |
●色々な運動遊びに取り組み、体を動かして遊ぶ楽しさを感じる ●自分のしたい遊びを見つけ、自分なりに試したり表現したりする ●気の合う友達と一緒に遊んだり、みんなで活動する楽しさを味わう |
4歳児Ⅳ期 (11~12月) |
●思いやイメージを色々な方法で表現する楽しさを味わう ●自分の目的を持って友達と一緒に遊びを進める楽しさを味わう |
4歳児Ⅴ期 (01~03月) |
●自分なりの目当てや見通しを持って生活し、いろいろな活動に取り組む ●友達と思いを出し合って遊びながら、みんなで取り組む喜びを味わう ●年長になる期待と喜びを持って意欲的に生活する |
自意識が芽生え始める年齢であることから、自分の好きなこと・したいことなどを尊重してあげることが大切です。また物事の認知力も身についているため、色々な遊び・運動を通して友達との関係性や何かをする喜び・楽しみを感じ取ってもらうことも必要です。自分と他人の区別がつくようになったからこそ、自分のことへの理解も深められるよう主体的に遊んだり、生活できる環境を整えてあげましょう。
4歳児と接する際のポイント
4歳児はあらゆる面で成長するため、親でさえどう接するべきか戸惑ってしまうこともあります。ここでは、4歳児の発達や保育のねらいを踏まえた上での4歳児と接する際のポイントをお伝えします。
子どもの考えを尊重する
理解力も向上し、自意識も芽生え始めた4歳児は色々なことを自分でやりたいと思う時期です。まずは子どものやりたいことや考えを尊重し、主体性を大切にしましょう。その中でできないことはサポートしてあげたり、間違っていることはその理由もしっかりと伝えてあげることがポイントです。
子どもの気持ちに寄り添う
色々考えて行動する4歳児ですが、まだ自分の感情をコントロールするのは難しい年齢です。そのため子どもの主体性は尊重しつつも、状況を見守ってトラブルになりそうな時は間に入ってあげましょう。その際は子どもの気持ちに寄り添いつつ、第三者目線で話を聞くことがポイントです。気持ちに寄り添ってあげることで、相手への共感性や自分の感情をコントロールすべきタイミングを学んでくれます。
話を最後まで聞いてあげる
「4歳の壁」という言葉があるように、理解力やことばを習得した4歳児は口答えしたり、反抗的な態度を取ることがあります。しかし、そうした行動も子どもなりに理由があるはずです。そのため、まずは子どもの話を最後まで聞いてあげることが大切です。普段から話しやすい雰囲気を作ってあげることで、子どもも安心して話してくれるようになるでしょう。
4歳児は身体的・精神的・知能的にも急速に発達する時期!
色々なことに興味をもち、自意識も芽生え始める4歳児は大切な時期でもあります。保育の現場をはじめ4歳児に関わる大人は、4歳児の発達の特徴を理解して接することが大切です。今記事を参考に4歳児の発達の特徴や4歳児ができること、保育のねらいを踏まえて4歳児と接する際のポイントを実践してみてください。
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著者プロフィール
めんたいパスタ
人材紹介業、サービス業、障がい者雇用の分野で採用業務に従事した経験がある女性スタッフ。現在は保育分野の採用担当として、業務を通じて保育園で働くスタッフの負荷軽減になることを目標として活動している。