認可外保育園とは?認可保育園との違いについて補助金・無償化・保育料などに分けて解説
著者: めんたいパスタ
更新日:2023/12/22
公開日:2023/04/14
「どう違うの?」など疑問に思う人も多い認可外保育園と認可保育園。この2つは、保育料の支払先、補助金、無償化の範囲などで違いがあります。その違いに加えて、認可外保育園で働くのがおすすめの保育士や転職活動のポイントなどもあわせて解説。是非参考にしてください。
目次
認可外保育園とは?
認可外保育園とは、児童福祉法による認可を国から受けていない保育園のことです。
施設環境に関して、厚生労働省により定められた基準を満たしていないため、無認可保育園や認可外保育施設と呼ばれることもあります。また、地方自治体が定めた基準のみを満たした認証保育園も認可外保育園のひとつです。
厚生労働省が取りまとめた令和元年度の調査結果によると、全国に19,078ヶ所の認可外保育園があるのが現状。前年度よりも、およそ7,000ヶ所もの認可外保育園が増加している点から、保育施設を必要とする保護者が多いといえるでしょう。このことから、今後も認可外保育園の需要が増加することが予想されます。
認可保育園と認可外保育園の違い
認可保育園 | 認可外保育園 | |
---|---|---|
設置基準の所管 | 国 | 都道府県 |
保育料 | 地域内は収入額ごとで一律 | 施設による |
補助金 | あり | なし |
無償化の範囲 | 【対象の子供】 ・0~2歳の子ども(住民税非課税世帯) ・3~5歳の子ども |
|
【保育料の無償化の範囲】 ・全額 |
【保育料の無償化の範囲】 ・金額に上限あり |
|
【対象施設】 ・保育所や幼稚園 ・認定こども園 ・企業主導型保育事業・地域型保育 |
【対象施設】 ・一時預かり事業 ・認可外保育園 ・病児保育事業 ・ファミリー・サポート・センター事業 |
|
保育環境 | ・敷地は広い ・駅から遠い場所が多い |
・敷地はやや狭い ・外での保育が少ない |
認可保育園と認可外保育園は、主に上記の設置基準、保育料、補助金の有無、無償化の範囲、保育環境などで違いがあります。上記の項目に限らず、その他の違い(例:運営方針)があるケースも。認可保育園と認可外保育園のそれぞれの特徴を理解した上で、自身が働きやすい保育園を検討してみると良いでしょう。
設置基準の所管
認可外保育園は、国(厚生労働省)からの認可を受けていない保育園のこと。厚生労働省が定めた設備や職員数などの基準を満たしてはいません。
ただ、国の基準は満たしていなくても、都道府県が定める基準は、すべての認可外保育園が満たしています。都道府県が指導監督を行い、立ち入り調査には区市町村の職員が同行するなど、児童の安全や適切な保育水準を保つ取り組みがなされている施設です。
保育料
認可保育園の保育料は、自治体ごとに世帯の収入や子供の年齢によって定められています。そのため、公立でも私立でも施設ごとの違いはありません。世帯の収入が高い、または、子供が幼いほど金額が高くなります。子供の数に応じて(兄弟で通園するなどの場合は)、減額や免除されることもあるので、よく確認しましょう。
認可外保育園の保育料は、認可保育園と違い基準がないため、施設が自由に設定できます。施設運営に対する補助金がないため、比較的保育料は高額になる傾向です。
補助金
保育園を運営していく上で、必要となるのが補助金です。しかし、国からの認可を受けていない認可外保育園は、基本的に国からの補助金は支給されません。そのため、認可外保育園は保護者から支払われる保育料で運営しています。一方、認可保育園は国や自治体から補助金をもらえるため、安定した運営が可能です。
ただ、一部の自治体では独自の基準を設定し、その基準を満たした施設であれば補助金を支給している場合もあります。
無償化の範囲
認可保育園と認可外保育園の間では、無償化の範囲の違いがあります。
認可保育園は基本的な利用料は無償になります(0歳~2歳は住民税非課税世帯が対象)。一方、認可外保育園では、0~2歳(住民税非課税世帯)は月額42,000円、3~5歳は月額37,000円までが上限額です。
保育環境
認可保育園は、保育園全体の敷地は広い傾向にあり、園庭やホールなどといった子どもたちが駆け回れる環境が整っている場合が多いです。しかし、一定の敷地を確保するため、駅から離れた場所に施設がある可能性も視野に入れておくべきでしょう。
一方、認可外保育園は国の補助金を受けずに運営するため、保育施設が狭い場合が多い傾向にあります。そのため、園庭がない施設も少なくありません。施設の近くに公園がない地域だと、子どもの外遊びの機会が少なくなるでしょう。また、施設の広さが限られる分、預かる子どもの数も少ない傾向にあります。また、認可外保育園では、独自の保育方針により早朝または夜間保育を実施している場合も。そのように、認可保育園とは定める保育時間が異なることもあります。
認可外保育園で働くのがおすすめの保育士
認可外保育園は、基本的に子どもの保育という観点からは、認可保育園と仕事内容に大きな違いはありません。ただ、認可外保育園は、シフト制や独自のカリキュラムがあるなど働き方が幅広い点が特徴です。ここでは、認可外保育園で働くのがおすすめの保育士の特徴をご紹介します。
得意分野を活かして働きたい人
認可外保育園では、あえて国からの認可がない状態で運営を行っている保育園もあります。その理由は、認可を受けると、保育内容が限定されてしまうケースがあり、独自の教育プログラムを実施できないためです。
そのように独自の教育に力を入れている保育園であれば、保育士として働く際に、相性によっては自分の得意分野を活かすチャンスもあるでしょう。
ダンスやリトミック、イングリッシュなど、どの分野に力を入れているかは保育園によってさまざま。そのため、自分が得意な分野を取り入れている認可外保育園を見つけることで、やりがいを感じながら働けるでしょう。
子どもとじっくり関わる保育がしたい人
認可外保育園は、小規模で運営している場合が多いので、在籍する子どもが少なく、1人1人と関わる時間がつくりやすいです。そのため、子どもたちとじっくり関わる保育を理想とする人にとって、認可外保育園はおすすめの職場環境といえるでしょう。
また、認可外保育園に含まれる病児保育や一時預かり事業なども同様に施設規模が小さく、子どもと深く関われるためおすすめです。施設によって保育時間が異なるため、自身に合った方針の施設を選ぶことで働きやすい職場が見つかるでしょう。
認可外保育園の保育士になる際の職場選びの注意点
自分の得意分野を活かせる場合が多い認可外保育園ですが、保育士として働く上でどのようなことに気を付け職場選びをするべきでしょうか。ここでは、認可外保育園の保育士として働き先を探す際の注意点を解説します。
保育方針を確認する
応募先の保育園によって、保育方針はさまざまです。ホームページや自治体の窓口などから情報を集めて、理想の保育が実現できるのか把握しておきましょう。
認可外保育園のほうが、リトミックやダンス、インターナショナルスクールなど特色ある保育方針を取り入れている施設が多い傾向にあります。自分の希望する保育内容を導入している職場を見つけ、やりがいのある保育を実現しましょう。
待遇を確認する
福利厚生や給与などに関する待遇が整っているか、しっかりと確認することも大切です。
認可外保育園は国や自治体から補助金が出ない場合もあるため、施設によっては認可保育園よりも給与が低い可能性があります。
一方で、保育料の上限がないことや独自の教育プログラムなどから、保育料が高額となり、給与の充実にもつながっているケースも。
ただ、応募先によって待遇面に差があるので、事前に把握しておきましょう。
保育時間を確認する
認可外保育園の勤務時間は応募先で異なるため、応募前に確認が必要です。
認可外保育園は、夜勤や早朝などのシフト制勤務の場合があります。また、認可保育園の基本的な保育時間は11時間ですが、認可外保育園は決まりがないため、場合によっては長時間の勤務になることもあるかもしれません。
人員を確認する
認可外保育園では、厚生労働省の配置基準をクリアしているかの確認がなされないため、一部の施設では人員が不足している可能性も考えられます。ただ、保育環境の面では、自治体による定期的な立ち入り調査は行われるので問題はないケースがほとんどです。
しかし、人員が少ない施設では、希望する休みが取りづらかったり、保育士1人に対する負担が大きくなったりなどの課題が生じることが考えられます。長く働き続けたい人は、余裕をもった人員配置を行っている施設であることを確認しておくとよいでしょう。
応募前に見学をしておく
応募前に、園の雰囲気を確認しておくことも大切です。認可外保育園は自由度が高く、施設によっては、ホールや園庭がないなどの場合があるので、自分が実現したい保育ができる環境なのか事前に知ることが必要です。
また、施設環境だけでなく、保育スタッフや子どもたちの様子や雰囲気もチェックできるため、見学することでより入職後の姿をイメージしやすくなるでしょう。
認可外保育園における今後の保育士のニーズ
ここ数年、認可外保育園の需要は高まりつつあることから、保育士のニーズも拡大しているといえるでしょう。その理由としては、子育てしながら働く女性の増加が考えられます。子育てと仕事の両立のため、あらゆる場面で子どもを預けられる施設として、認可外保育園は重要な役割を担っているでしょう。
実際の認可外保育園の施設数と入所児童数をまとめたものが、次の表です
【認可外保育園の施設数と入所児童数】
区分 | 施設数(児童数) | 増加(児童数) | |
---|---|---|---|
令和2年3月 | 平成31年3月 | ||
ベビーホテル | 1,225(19,433) | 1,261(18,835) | ▲6(598) |
事業所内保育施設 【うち院内保育施設】 |
8,210(114065) 【2,977(47398)】 |
3402(45789) 【611(9716)】 |
4,808(68,276) 【2366(37,682)】 |
認可外の居宅訪問型保育事業 | 5,454(6147) | 3,250(4748) | 2204(1399) |
その他の認可外保育施設 | 4,159(104237) | 4,114(103788) | 45(449) |
合計 | 19,078(243882) | 12,027(173160) | 7051(70722) |
この表から、事業所内保育施設と認可外の居宅訪問型保育事業数は、平成31年よりも令和2年のほうが増加傾向にあることがわかります。加えて、どの施設でも入所児童が増えており、今後もその傾向が続くでしょう。このように、園の数や児童数共に増加傾向にあることから、認可外保育園とともに保育士のニーズが拡大しているといえます。
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認可外保育園とは、都道府県の設置基準は満たすものの、厚生労働省の設置基準を満たさない施設を指します。しかし、一方で、独自の保育カリキュラムがあり、小規模運営が多いため、ゆったりとした環境でやりがいを持って働けるのも認可外保育園の魅力のひとつ。今記事を参考に、自身の希望に合う保育園の求人を、ソラジョブで探してみてはいかがでしょうか。
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著者プロフィール
めんたいパスタ
人材紹介業、サービス業、障がい者雇用の分野で採用業務に従事した経験がある女性スタッフ。現在は保育分野の採用担当として、業務を通じて保育園で働くスタッフの負荷軽減になることを目標として活動している。