医療事務を辞めたいと思ったら?転職を考えたらまず確認すべきことを解説!
著者: そだねー
更新日:2024/09/25
公開日:2019/11/15
医療事務を辞めたいと思ったとき、何を基準に退職や転職を考えるとよいのでしょうか。専門性が高くやりがいある仕事ですが、医療機関特有の強いプレッシャーや人間関係に悩んでしまう人も多い職種です。今回は、医療事務の仕事を辞めるべきか続けるべきか、悩んだときに役に立つ情報をご紹介します。
目次
医療事務を辞めたい5つの理由
医療事務を辞めたいと思う理由として多く挙げられるのは上記の5つです。
とにかく忙しい
医療事務の業務内容は、「受付・会計業務」「レセプト業務」「クラーク業務」などと多岐にわたります。目に見える業務としては受付・会計だけに見えるかもしれませんが、見えない部分の業務も多いです。
受付・会計も、医療機関によっては休む間もなく患者さんが来院し、対応に追われることもあります。また、毎月レセプト請求をする日は定時で仕事が終わらず、残業になることもあるでしょう。日々の忙しさから、辞めたいという気持ちにつながる可能性があります。
人間関係がつらい
仕事自体にはやりがいを感じていても、職場の人間関係がつらく、医療事務を辞めたいと思ってしまうもあります。医療事務は患者さんやスタッフなど関わる相手が幅広いため、人間関係によるストレスを抱えやすい職種です。
とくに医療事務は女性が多いので、女性同士の人間関係が苦手という人はストレスを感じやすいでしょう。
給料が低い
医療機関の規模や地域、雇用形態によって差はあるものの、医療事務の給料は他の医療系の職種と比べて特段に高いとはいえません。むしろ「専門性のある仕事なのに」「患者さんの命や健康を預かるプレッシャーを感じる仕事なのに」と、給料の低さに不満を持ちながら仕事をしている人も少なくないでしょう。
令和5年実施の医療経済実態調査によると、一般病院で働く事務職員の賞与を含めて約421万円、一般診療所で約314万円という結果でした。調査には医療事務職以外の人も含まれているため、実際の給与水準は結果よりも低い傾向があります。
専門知識が多い
医療事務は、医療関係の職種のひとつです。覚えるべき専門知識はたくさんあり、命や健康に関わる仕事なので正確性を求められます。
しかし、大変なわりに教育制度が整っているとはいえない医療機関も多いです。とくに無資格、未経験で医療事務になった人で、医療機関側で制度が整っていない場合、自分で努力する必要があります。まずは基本的な医療知識を学ぶなど、自ら学びに行く姿勢が求められるでしょう。
医療現場独特のストレスが多い
患者さんの命や健康を預かる医療現場ではちょっとしたミスも許されません。他の職場にはない独特の緊張感の中で仕事をすることで、ストレスを抱えてしまう人もいるでしょう。
医師や看護師をはじめとした医療スタッフは常に神経をとがらせていますし、体調の優れない患者さんは気が滅入っています。このような雰囲気にプレッシャーを感じ、つらいと感じることがあるでしょう。
医療事務を辞めたいときに考える4つのこと
医療事務を「辞めたい」と思ったとき、まずは上記4つの項目について考えてみましょう。順番に自分の頭の中を整理することで、今後の行動が見えてきます。
1.今の職場で解決できる方法はないか考える
医療事務の仕事を「辞めたい」と感じたら、まずは「今の職場にいたまま解決できる方法はないか」考えてみましょう。辞めたい理由や悩みの内容にもよりますが、すぐに退職を決断するのはおすすめできません。
原因によっては、自分の意識や行動次第で退職や転職をしなくても解決できる可能性があります。なぜ今自分が悩んでいるのか、じっくり向き合う時間を作ってみてください。
【転職に悩んだときの判断基準の例】
転職を踏みとどまった方がよいケース | 転職を考えた方がよいケース |
---|---|
・医療事務としての経験や知識が不足している場合 ・自分の行動を変えることで悩みを解決できる場合 |
・人間関係や職場の風土に悩みがある場合 ・仕事が原因で精神面や身体面に不調が出ている場合 |
2.医療事務自体が嫌か、今の職場が嫌か考える
現在の職場で働いていてつらいと感じる場合、医療事務として働く勤務先のすべてが自分に向いていないと考えるのは早計です。医療機関はたくさんあり、中には快適な職場環境で医療事務の仕事ができる施設もあります。
医療事務の業務内容にやりがいを感じているのなら、他の職種に目を向けるのではなく、勤務先を変えてみるのがおすすめです。同じ医療系の現場でも、居心地のいい勤務先が見つかる可能性があります。
3.仕事に対する優先順位を明確にする
仕事内容や給与・待遇などの条件、人間関係、通いやすさなど、人が仕事に求めることは多彩にあります。しかし、これらすべての希望をかなえるような転職はなかなか難しいでしょう。
まず、現職を辞めたくなるほどの理由は何なのかを整理し、書き出してみましょう。あれもこれも、と嫌な点が見つかるかもしれませんが、その中でもどれが一番の理由になっているのかはっきりさせると、転職先に求める優先順位が明確になります。
【医療事務の職場選びで整理しておきたいポイント】
・現在の職場の何が自分に合わないと感じているか
・働くうえで絶対に譲れない条件は何か
・働くうえで妥協できる条件は何か
4.転職する時期を考える
退職届を提出する前に、転職活動をいつするか決めておくことも大切です。何もかもが嫌ですぐにでも退職を申し出たくなるかもしれません。しかし、すぐに転職先が見つかるとも限らず、間が空いてしまうと収入も途切れてしまいます。
転職活動を行う時期は、在職中か退職後のどちらかですが、それぞれにメリット、デメリットがあります。
在職中に転職活動をするメリット | 在職中に転職活動をするデメリット |
---|---|
・収入を得ながら転職活動ができる ・ゆっくり転職活動ができる ・離職期間ができない |
・転職活動の時間が取りづらい ・入社日が数カ月先になる |
在職中に転職活動すると、現在の職場から収入を得ながら転職活動ができるため、経済的な不安がなく、自分に合う職場をゆっくりと探すことができます。しかし離職期間がなく、場合によっては前の職場を辞めた翌日から新しい職場に勤務することもあるでしょう。
また、仕事をしながらの転職活動は時間的制約があり、活動しづらいことはデメリットです。
退職後に転職活動をするメリット | 退職後に転職活動をするデメリット |
---|---|
・就職活動の時間が十分に確保できる ・入社日を柔軟に対応できる |
・収入がなくなってしまう ・離職期間が長いと選考で不利になる場合がある |
退職後の転職活動は、十分な時間の中で行えることが最大のメリットです。面接日や時間なども先方に合わせることができますし、入社日も柔軟に対応できます。しかし、収入が途切れた中で転職活動を進める必要があり、経済的な不安を感じることもあるでしょう。また、なかなか転職先が決まらず長い期間離職してしまうと、選考で不利になることもあります。
次も医療事務に転職する場合に調べておくべきこと
医療事務から、同じ医療事務へと転職する際には、働き方の違いをチェックしましょう。上記の3つのポイントについて詳しく解説します。
病院と診療所(医院・クリニック)の働き方の違い
病院と診療所の違いに注目して、自分の望む働き方に適している方を選びましょう。
病院 | 診療所(医院・クリニック) |
---|---|
20床以上の病床を有し、構造や設備なども充実している医療機関です。 【特徴】 ・多くの患者が来院する ・医療事務の人数が多く、仕事が分業制になっている より多くの患者のサポートをしたい人や、特定の業務に集中して取り組みたい人に合っています。 |
病床を有さない、もしくは19床以下の病床を有する医療機関です。 【特徴】 ・来院する患者が病院に比べて少ない ・医療事務の仕事全般に携わる ・構造や設備などに関しては、病院に比べて厳重な規制がない 一人ひとりの患者への対応に時間をかけたい人や、医療事務の仕事を一通り担当したい人に合っています。 |
診療科ごとの働き方の違い
診療科の違いに注目して、医療事務の仕事を探すのも方法のひとつです。たとえば内科なら、幅広い症例のレセプトを扱うことができるでしょう。また、整形外科では労災や事故による自賠責といった、算定方法が特殊な患者が来院することも多いので、さまざまな経験を積めます。
【診療科別】医療事務の主な仕事内容
診療科 | 特徴 |
---|---|
小児科 | ・受付会計業務、クラーク業務、レセプト業務が中心 ・子どもや親御さんへの対応なので、子育て経験が活かせる |
整形外科 | ・患者さんの症状によって急患対応が必要なケースもある ・算定業務に時間がかかりやすい |
皮膚科 | ・比較的急患対応は少ない傾向がある ・皮膚トラブルが多い季節は忙しくなりやすい |
眼科 | ・視力検査を任される場合がある ・コンタクトレンズの販売をする場合もある |
心療内科 | ・レセプト業務、クラーク業務、電話対応が中心 ・中長期的に通院している患者さんが多い |
雇用形態ごとの働き方の違い
雇用形態ごとの休みの割り振り方や勤務体制などに注目して選びましょう。ワークライフバランスの両立などのために勤務時間に柔軟性がほしいなら、パートやアルバイトとして、特定の曜日の○時間だけといった働き方が可能な医療事務求人もあります。
【雇用形態別】働き方のメリット・デメリット
雇用形態 | メリット | デメリット |
---|---|---|
正社員 | ・収入が安定しやすい ・キャリアアップも目指しやすい |
・ワークライフバランスが取りにくい ・責任ある立場を任されやすい |
パート/アルバイト | ・柔軟な働き方がしやすい ・未経験可の求人も多い |
・収入が不安定になりやすい ・キャリアアップが難しい |
医療機関以外の職場へ転職するなら
・調剤薬局
・老人ホーム
・保険会社
・コールセンター
・一般事務
医療事務で得た医療知識や事務スキルが役立つ職場は、医療機関以外にもあります。どうしても医療専門職同士の関係、医療現場独特の雰囲気が苦手という人は、そういった職場を検討してみてはいかがでしょうか。たとえば、医療知識を活かすのであれば調剤薬局や老人ホーム、保険会社など、受付事務の経験を活かすのであればコールセンターや一般企業の事務職などがあります。
医療事務の仕事を続ける3つの利点
年齢を重ねても働ける
医療事務は、医療用語やレセプト業務などを扱う専門性の高い仕事です。働き続けることで知識や経験を身につければ、何歳になっても医療現場で重宝されるのも医療事務を続ける大きなメリット。出産や育児などでブランクがあっても、専門性の高さから職場復帰しやすいのも魅力でしょう。
自由な働き方ができる
医療事務の雇用形態は正社員に限られず、契約社員やパート、アルバイトなどさまざまな求人があります。ライフスタイルに合わせて雇用形態を選ぶことで、勤務時間を柔軟に変えられるのもメリットでしょう。
たとえば、育児や介護をしている間はパートやアルバイトなど、時間の融通が利きやすく短い時間で働くことも可能です。柔軟な働き方の選択でキャリアを中断することなく、長く医療事務の仕事を続けられます。
全国どこでも働ける
医療機関は全国どこにでもあります。つまり、医療事務の仕事も全国どこにでもあるということ。引っ越しなどで住む場所が変わっても、仕事探しで苦労することはあまりないでしょう。
高い専門性を持っていれば、全国で求められる人材になれます。環境が変わっても、続けやすい仕事でしょう。
医療事務を辞めたいと悩む人向けのよくあるQ&A
医療事務を辞めたいとお悩みの人に向けて、気になる疑問点をQ&A形式でご紹介します。今後の仕事についてお悩み中の方は、ぜひチェックしてください。
Q.新人医療事務が辞めたいと思ったときの解決方法は?
A.辞めたいと感じる理由が何にあるか、一度考えてみることがおすすめです。
医療事務として働き始めたばかりの新人の場合、経験や知識不足をきっかけに辞めたいと感じてしまう場合もあるでしょう。現在の「辞めたい」という気持ちが、知識を深めたり経験を積んだりすることで解消されそうであれば、退職を踏みとどまることがおすすめです。
なお、医療事務の仕事ではなく、人間関係や職場環境などが辞めたい理由であれば、転職を視野に入れてもよいでしょう。
Q.未経験の医療事務が辞めたいと思ったときの解決方法は?
A.医療事務の仕事が好きであれば、知識を深める工夫を考えてみましょう。
新人の場合と同様、自分の知識や経験不足だけが原因で医療事務の仕事を辞めたいと感じるのであれば、意識次第で悩みが解決する場合もあります。未経験で資格を持っていない人なら、業務に役立つ資格を取得するなど、行動に起こしてみるのがおすすめです。
「辞めたい理由」が何にあるか、よく考えて検討しましょう。
Q.医療事務に向いている人・向いていない人の基準はある?
A.コミュニケーションが得意な人はとくに向いています。一方、細かな作業が苦手な人は不向きな傾向があるでしょう。
医療事務の仕事は、チームで働くことを意識して、コミュニケーションを大事にしながら働ける人にとくにおすすめです。基本のPCスキルを備えている人も向いている傾向にあります。
対して、臨機応変な対応が苦手な人、精度の高さが求められる細かな作業が苦手な人にはあまり向いていないでしょう。
医療事務を辞めたいと思ったら原因に合った対応を
医療事務を辞めたいと思うこともあるでしょう。仕事にやりがいは感じていても、人間関係がつらい、環境に強いプレッシャーを感じるなど悩みは尽きないかもしれません。医療事務を辞めたいと思ったら、一番の原因を探ってみましょう。理由によっては、同じ医療事務であっても職場を変えるだけで解決することもあります。
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著者プロフィール
そだねー
北国出身。前職はコールセンターの採用を担当し、ソラストに転職後、医療事務採用業務に6年従事している。営業や現場とのパイプを持ち、日々変化し続ける医療事務の情報をキャッチアップすることに強みを持つ。