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医療ソーシャルワーカー(MSW)とは?仕事内容・必要な資格・求人について解説

著者: そだねー

更新日:2024/03/11

公開日:2021/10/07

取り合っている手とハートマーク

「医療ソーシャルワーカー」という職種をご存知でしょうか。ほかのソーシャルワーカー職に比べると知名度が高くないことから、具体的な仕事内容や役割、必要な資格など気になる方も多いでしょう。今回は医療ソーシャルワーカーの仕事内容や役割、給料などの基本情報をはじめ、向いている人の特徴や求人情報などさまざまなポイントを詳しくご紹介します。

>医療ソーシャルワーカーとは

話を聞いている医療ソーシャルワーカー(MSW)の男性スタッフ

社会福祉士など、患者さんやご家族などの相談に乗る相談員の総称を「ソーシャルワーカー」と呼びます。その中でも、とりわけ医療機関に従事している人を「医療ソーシャルワーカー」と呼び、英語での「Medical Social Worker」を略して「MSW」とも呼ばれています。
業務内容としては相談業務だけでなく、医療機関や自治体との連携など多岐にわたります。福祉の専門職として、一般的には社会福祉士か精神保健福祉士の資格保有が必要です。

病院における医療ソーシャルワーカーの所属率

現在、87.8%の病院で医療ソーシャルワーカーが所属していることから、多くの病院で重要な存在として活躍していることがわかります。
病院にいる患者さんの中にはさまざまな問題を持つ人もいます。身寄りのない人も多く、入院や治療にかかわる対応や緊急の連絡先に関すること、死亡時の遺体や遺品の引き取り、葬儀などについても対応することもあります。

医療ソーシャルワーカーの仕事内容・役割

医療ソーシャルワーカーは、医療機関における社会福祉の専門職で、患者さんやご家族の悩みなどに対して、社会福祉の面からサポートすることが主な仕事です。厚生労働省「医療ソーシャルワーカー業務指針」では、医療ソーシャルワーカーの業務範囲を以下のように定義しています。

・療養中の心理的・社会的問題の解決、調整援助
・退院援助
・社会復帰援助
・受診・受療援助
・経済的問題の解決、調整援助
・地域活動

医療ソーシャルワーカーは、患者さんとご家族との信頼関係がなにより重要です。信頼を築いた上で問題を把握し、整理していく必要があります。もちろん、患者さんの主体性を尊重しながら、プライバシーを保護することも大切です。
また、ほかの医療スタッフや地域の関係機関とのつながりも多く、幅広く有効的な連携を行い、専門職として支援していくことが求められるでしょう。

医療ソーシャルワーカーの役割

患者さんやご家族の抱える課題や悩みを解決に導くため、必要な情報提供を行ったり、サポートしたりすることが医療ソーシャルワーカーの役割です。治療費や職場への復帰、入院期間や手術、病気のことなど、患者さんやご家族だけでは抱えきれない不安や問題が生じることもあるでしょう。
他にも、社会福祉の専門的立場から、患者さんが自立し、安心して社会復帰ができるよう、地域システムや保健医療機関、介護施設など多くの機関と連携・調整を図ります。

医療ソーシャルワーカーの年収

平均年収 405.8万円

医療ソーシャルワーカーは雇用形態も多様であり、かつ勤務先の医療機関や施設はさまざまです。勤務先の規模などによって給料が変わるため、個人差が大きいといえます。また、医療ソーシャルワーカーは民間施設だけでなく、国公立病院などで公務員として働くケースもあります。

医療ソーシャルワーカーに向いている人

説明をしている医療ソーシャルワーカーの女性

以下のような方は、医療ソーシャルワーカーに向いています。

・相手の立場に立って考えられる
・他人と関わることが好き
・細かい変化にも気づいて気配りができる
・常に学び続けられる

相手の立場に立って考えられる

医療ソーシャルワーカーは、患者さんやご家族と信頼関係を築くことが重要です。そのためには相手の立場に寄り添い、気持ちを汲み取りながら必要な支援を考える必要があります。業務的に必要な支援を組み立てるだけでは、患者さんの気持ちに寄り添っているとはいえません。相手の立場に立って親身に対応できる方は、医療ソーシャルワーカーとして活躍できるでしょう。

他人と関わることが好き

患者さんやご家族をはじめ、保険医療機関や介護施設など多くの人と関わりながら連携・調整を図るのが医療ソーシャルワーカーの役割です。どんな人とも抵抗なく関わることができ、チームで協力する姿勢を大事にできる方は、医療ソーシャルワーカーに向いています。

細かい変化にも気づいて気配りができる

医療ソーシャルワーカーとして、患者さんやご家族の細かい変化に気づき、潜在的なニーズまで汲み取って必要な支援を考えることは重要です。体調の変化だけでなく、表情や行動など何気ないところから細かい変化に気づいて気持ちが察せると、相手からも信頼されやすくなります。相手からいわれたことだけでなく、積極的に気持ちを汲み取りながら考えられる方は医療ソーシャルワーカーの適性があるでしょう。

常に学び続けられる

高度化・多様化する医療技術やサービスの中で、患者さんに適切な支援を提供するにはそれだけの知識が必要です。医療制度やサービス、保険などは、新しいものの登場や改正などで変化が著しいといえます。常に最新の情報と専門的な面で支援を提供するには、医療ソーシャルワーカーになった後も学び続けることが大切です。そのため、向上心や勤勉性を持って仕事に臨める方は、医療ソーシャルワーカーに向いています。

医療ソーシャルワーカーになるには

医療ソーシャルワーカーは、資格がなくとも業務が行える職業です。しかし、「社会福祉士」や「精神保健福祉士」といった資格保有を応募条件にしている求人が多い傾向にあります。そのため、医療ソーシャルワーカーを就業先として考えている場合は、資格を取得した方が採用の可能性が広がるでしょう。

取得した方がよい資格とは

・社会福祉士
・精神保健福祉士

「社会福祉士」は、相談者の日常生活をバックアップし、困っていることを解決するためのアドバイスを行います。「精神保健福祉士」は、精神障害者の社会復帰の促進を図り、相談や助言、指導、訓練や援助を行うのが特徴です。
いずれの資格も、社会福祉系の学部・学科のある大学・短大・専門学校に進学し、国家試験の合格が必要です。医療ソーシャルワーカーは、実質的にこれらの資格が要件とされやすいため、資格は取得した方がよいでしょう。

医療ソーシャルワーカーの代表的な就業先

・病院の地域連携室、福祉相談室
・診療所
・保健所
・介護老人保健施設 など

医療ソーシャルワーカーとして働く代表的な就業先は、病院の地域連携室や福祉相談室です。病院では、退院支援をはじめとした相談業務を行います。診療所や保健所などでは、自宅で診療を受けながら、生活についてなどの相談を受けたり、さまざまな機関との連携を図ったりします。
また、介護老人保健施設では、入所から退所に関して利用者さんの主体性を尊重しながら、ご家族の相談にも乗る必要があるでしょう。

医療ソーシャルワーカーとして国公立病院で働く場合

医療ソーシャルワーカーとして国公立病院や保健所など、公的施設に勤務する場合には公務員扱いとなります。そのため、資格を取得後、さらに国や自治体が行う公務員試験に合格することが必要です。

医療ソーシャルワーカーの求人情報

厚生労働省の職業情報提供サイト jobtagによると、医療ソーシャルワーカーの令和4年度求人倍率は全国で4.80倍です。一般的に、倍率が1より大きい場合は求職者の方が多いことから倍率の高さがわかるでしょう。
求人賃金は、月24.2万円で、正規の職員や従業員の求人が95.2%と、求人のほとんどを占めています。
相談業務が中心のため日勤であることが多く、基本的に夜勤はありません。ただし、患者の会などグループワーク参加のために、休日や夜間に出勤することもあるでしょう。
また、厚生労働省から医療ソーシャルワーカー業務指針も通知されています。専門性を発揮し、治療との両立や社会復帰のサポートをする業務は、ますます重要となってきていることがわかります。

医療ソーシャルワーカーについて深く知りましょう

医療ソーシャルワーカーは、社会福祉の面から患者さんやご家族の心理的・社会的・経済的な問題を、専門的に解決するための支援・調整を図る仕事です。いまだ社会的知名度は十分でないものの、医療と福祉をつなぐ専門職として潜在ニーズの高い職種であり、将来性に期待できます。ぜひ本記事を参考に、医療ソーシャルワーカーへの理解を深めてください。

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そだねー

そだねー

北国出身。前職はコールセンターの採用を担当し、ソラストに転職後、医療事務採用業務に6年従事している。営業や現場とのパイプを持ち、日々変化し続ける医療事務の情報をキャッチアップすることに強みを持つ。

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