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診療報酬明細書(レセプトデータ)の基礎を解説!提出先や作成の流れについて

著者: そだねー

更新日:2023/12/22

公開日:2021/10/21

レセプト入力をする医療事務スタッフ

医療事務が担当する業務の中でも重要なレセプト業務。その中でも、診療報酬明細書の作成時には専門的な知識が必要です。ここでは、医療事務の知っておくべき診療報酬明細書の基本を解説します。診療明細書との違いや提出先、作成の流れも紹介するので、医療事務初心者やこれから医療事務を目指す方はぜひ参考にしてください。

診療報酬明細書(レセプトデータ)とは?

請求明細書(診療報酬明細書)

診療報酬明細書とは、患者さんに対する診療や薬の処方内容などを記したデータです。

診療報酬明細書は、通称「レセプトデータ」と呼ばれます。医療機関が患者さんに対して行った医療行為や傷病名、薬の処方内容などの内訳を記したデータです。
診療報酬明細書には「入院」「外来」「歯科」「調剤」の4種類があります。入院や外来、歯科では傷病名に対する医療行為データを、調剤では傷病名に対して処方した医薬品データを記載します。
これまで診療報酬明細書は、紙に記入して提出していました。現在は電子化が義務化され、90%以上が電子データとして扱われています。医療事務は、日々患者さんのデータをレセコン(レセプトコンピューター)に入力し、毎月患者さんごとに診療報酬明細書を作成します。

診療報酬明細書作成の流れ

診療報酬明細書の役割

診療報酬明細書は、保険機関が負担する医療費を請求するために発行するものです。
日本の保険制度では、患者さんの医療費は保険機関が負担する仕組みとなっています。一般的に患者さんが実際に支払う医療費は最大3割ほどで、残りの7割は患者さんが加入している保険機関が負担します。
医師が患者さんに提供する医療行為や検査、処方する薬は、医療行為の内容や傷病、医療機関の規模によって点数が決まっています。診療報酬明細書には、患者さんの傷病に対する医療行為などを記入するだけでなく、それに応じた点数も計算されます。

診療報酬明細書と診療明細書の違い

診療報酬明細書 診療明細書
保険機関等への請求書 患者さん用の明細書

診療報酬明細書が保険機関への請求書であるのに対し、診療明細書は診療内容や調剤内容、それに伴う点数などがわかる患者さん用の明細書です。領収書よりも具体的な診療行為や名称が記載されており、処置や薬の処方の詳細を確認できます。診療明細書は原則無料で患者さんに渡されますが、一部医療機関では有料です。

診療報酬明細書はどこに出す?診療報酬が支払われるまでの仕組み

診療報酬は、患者さんが加入する保険機関が支払います。しかし、診療報酬明細書の提出先は、保険機関ではなく「審査支払機関」です。医療機関は審査支払機関を通して、診療報酬のやり取りを行います。

審査支払基金と医療保険の種類

月毎にまとめた診療報酬明細書は、翌月10日までに審査支払機関へと提出します。審査支払基金は、医療保険と同様に社会保険と国民保険で分かれており、「社会保険診療報酬支払基金」と「国民健康保険団体連合会」の2つがあります。また社会保険と国民保険には、以下のようにさまざまな保険機関があります。

社会保険 全国健康保険協会管掌健康保険(協会けんぽ)
船員保険
日雇特例被保険者の保険(一般)
日雇特例被保険者の保険(特例)
組合管掌健康保険
防衛省職員給与法による自衛官等の療養の給付
国家公務員共済組合
地方公務員等共済組合
警察共済組合
公立学校共済組合、日本私立学校振興・共済事業団
特定健康保険組合(特例退職被保険者)
国家公務員特定共済組合
地方公務員等特定共済組合
警察特定共済組合
公立学校特定共済組合、日本私立学校振興・共済事業団
社会保険と公費負担医療の併用
公費負担医療と公費負担医療の併用
公費負担医療単独
国民保険 国民健康保険(市区町村)
国民健康保険(組合)
国民健康保険(退職者医療)
後期高齢者医療制度
国民健康保険と公費負担医療の併用

第3者機関を通す理由

医療機関から直接保険機関へ請求する方が、早く診療報酬の支払いも終わるでしょう。しかし、それでも第3者機関を通す理由は、審査・支払業務の効率化と審査の公正性を保つためです。審査支払機関は単に診療報酬明細書の審査を行うだけでなく、診療報酬の支払いも代行します。また、機関内には審査委員会が設置されており、「診療担当者代表」「保険者代表」「学識経験者」の3者が診療報酬明細書を審査します。
審査でミスが見つかったり、内容が適切でないと判断されたりしてしまうと、診療報酬明細書の返戻や診療報酬点数の減点が発生してしまいます。そうならないようにも、診療報酬明細書を作成する医療事務は、確実な知識と正確性のもと、ミスなく診療報酬明細書を作成するスキルが必要です。

診療報酬明細書作成の流れ

診療報酬明細書の作成をする病院スタッフ

診療報酬は、原則オンラインでの請求が義務付けられています。ここでは、オンラインにおける、診療報酬明細書作成の流れをご紹介します。

1.日々の診療情報をレセコンに入力

診療報酬明細書の内容は、日々の診療情報です。医療事務は窓口業務と並行して、レセコン(レセプトコンピューター)に日々の診療情報を入力します。レセコンの場合、診療内容や傷病名に応じたコードを入力するだけで、自動的に診療報酬点数が計算される仕組みです。そのため、診療報酬明細書作成業務の大半は、日々の入力業務ともいえます。

2.データの出力・診療報酬明細書の作成

診療報酬明細書は、1ヶ月間のレセプトデータです。患者さん毎に作成するため、来院数や入院患者数の多い大規模な医療機関では、数千件もの診療報酬明細書を作成することもあります。しかし、レセコンに入力しているデータを出力するだけで作成されるため、そこまで時間もかからず簡単な作業です。そのためにも、日々レセコンに正しい情報を入力する必要があります。

3.作成した診療報酬明細書の点検

診療報酬明細書を作成するにあたり、もっとも重要とも言えるのが点検です。レセコンに入力されている情報が必ずしも正確であるとは限らず、誤入力や医師の作成したカルテに不備や誤りがある可能性もあります。そのため出力されたデータに「患者さんの情報に誤りはないか」「傷病名と診療行為に整合性があるか」などを、点検していきます。

4.医師によるチェック

診療行為や処方薬などは、対応した医師にしかわからない情報です。そのため、医師が担当する内容に不備があった場合は、必ず医師に確認を求めます。確認後は迅速に修正し、修正後の確認でOKが出ることで、診療報酬明細書の作成が完全に完了します。

5.期限内に審査支払機関へ提出

毎月10日の期限までに、作成した診療報酬明細書を審査支払機関へ提出します。内容にミスや不備がないことを確認しても、返戻や診療報酬点数の減点が発生してしまう可能性も。返戻があった場合は、診療報酬明細書を再度精査し、修正して再提出します。

診療報酬明細書の作成には資格は必要?

医療事務資格の勉強をしている女性

診療報酬明細書は、医療機関の収入に関わるため、非常に大切な業務です。資格取得は必須ではありませんが、業務を行う際には専門知識が求められます。正確かつ円滑に業務を進めるために、資格を取得して専門知識や技術を身につけるとよいでしょう。
以下に紹介しているような医療事務関連の資格を取得すれば、診療報酬明細書の作成に関する知識を身につけられますので、参考にしてください。

【おすすめの資格】
・医療事務認定実務者®️試験
・医科医療事務管理士®技能認定試験
・診療報酬請求事務能力認定試験

【医療事務向け】診療報酬明細書に関するQ&A<

ここからは、医療事務向けの診療報酬明細書に関するよくある質問とその回答についてご紹介します。

Q.患者さんに「診療報酬明細書を発行してほしい」といわれたら?

A.患者さんが加入している保険の確認が必要です。

患者さんが加入している健康保険組合により、医療機関で発行する場合と健康保険組合で発行する場合とで分かれるため、最初に確認しましょう。一般的には、健康保険組合による手続きが多い傾向にあります。また、診療報酬明細書を開示できる範囲は、以下のように制限があるため注意が必要です。

【診療報酬明細書を開示できる範囲】
・被保険者もしくは被扶養者本人
・法定代理人(加入者が未成年もしくは成年被後見人の場合)
・任意代理人(加入者が委任した人)

Q.診療報酬明細書の発行に必要な費用・書類は?

A.加入保険によって費用や必要書類は異なります。

どの健康保険組合に加入しているかによって、必要となる費用や書類は異なります。特に、発行費用は、加入保険によって数十円〜数百円の幅があるので要注意です。
また、発行時は健康保険証や運転免許証などの本人確認書類や、住民票などを準備する必要があります。法定代理人や任意代理人が対応する場合は、対象となる方の本人確認書類や委任状も必要なので、しっかりと確認しましょう。

Q.診療報酬明細書は再発行も可能?

A.病院やクリニックによっては再発行可能です。

医療機関によっては再発行が可能な場合があるため、まずは対応可能かどうか確認しましょう。再発行の申請には、本人の健康保険証や診察券などの書類が必要です。
再発行を希望する方は、病院やクリニックが対応できるか確認した上で、受付にお越しください。また、本人やご家族以外の方が申請する場合には、委任状が必要になる点も把握しておきましょう。

Q.診療報酬明細書が返戻された場合はどうする?

A.間違いを修正すれば、再請求できます。

返戻された診療報酬明細書は、期限内であれば再請求が可能です。再請求した場合、医療機関に医療費が支払われるのは翌月になるため、ミスがないような正確な業務が求められます。診療報酬明細書は、データ入力のもれやミスがあると、返戻される可能性が高くなる点を理解して業務にあたりましょう。

診療報酬明細書に関する知識を身につけて医療事務のスキルアップを図ろう!

診療報酬明細書は、医療機関が患者さんの傷病名やそれに対する医療行為、処方薬などが詳細に記載されています。また、傷病名や医療行為などには点数が設けられており、医療機関の収入ともなる診療報酬は点数に応じて決定します。つまり、診療報酬明細書は、医療機関の収入を支える重要な請求書です。
診療報酬明細書に関する業務を担当する医療事務は、ミスなく作成するスキルが求められます。そのため、未経験から医療事務を目指す際は、まずは診療報酬明細書に関する知識やスキルを身につけてみましょう。

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そだねー

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北国出身。前職はコールセンターの採用を担当し、ソラストに転職後、医療事務採用業務に6年従事している。営業や現場とのパイプを持ち、日々変化し続ける医療事務の情報をキャッチアップすることに強みを持つ。

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