レセプトのコメント例について解説!レセプトの指摘欄に必要なコメントとは?
著者: そだねー
更新日:2023/12/22
公開日:2022/07/21
レセプトは、医療機関が収入を得るために欠かせない請求書です。請求にあたりさまざまな情報入力が必要となりますが、その1つにコメントがあります。レセプトは、単純にカルテや保険証、診療内容などを入力するだけではないのです。今回は、レセプトのコメントについて確認してみましょう。
目次
電算処理システムによるレセプトのコメント入力(摘要欄の入力)
コードは決まっているが追加情報をフリーテキストで入力するもの
Q.「70枚以上の湿布を一度に処方した場合のコメント記入について教えてください。」
Q. 「調剤を行っていない月に在宅患者訪問薬剤管理指導料を算定したい場合のコメント記入について教えてください。」
レセプト電算処理システムについて
電子レセプトをオンラインまたは電子媒体により、各種機関に提出し、受付や審査など一連の請求支払い業務を一貫して実施する仕組みのことを、レセプト電算処理システムといいます。従来は紙レセプトを送付することでレセプト請求を実施していましたが、関係機関全ての事務業務効率化の面から、レセプト電算処理システムが構築されました。レセプト電算処理システムを利用するには、電子レセプトを用いる必要があります。
電子レセプトは、レセコン(レセプトコンピューター)によって作成されるレセプトのことです。厚生労働省が定めた規格・方式に基づき、レセプト電算処理マスターコードを使用して、CVS形式のテキストで記録されます。
レセコンでは診療行為や傷病名などをコードで入力し、レセコンによっては電子カルテとの連携が可能です。そのため日々データを入力するだけで、スムーズにレセプトが作成できます。また電子レセプトは、レセプト請求に関係する全ての機関で共通仕様になっています。
現在は一部例外を除き、電子レセプトによる請求が義務化されています。そのためレセプト請求も、基本的にはレセプト電算処理システムを使用して実施されます。
電算処理システムによるレセプトのコメント入力(摘要欄の入力)
電子レセプトの場合、基本的にレセプト作成の大部分は日々のデータ入力と、作成時の点検が主な作業です。単純業務ではありますが、なかでもやや複雑なものにレセプトのコメント入力があります。
レセプトのコメント入力とは、指摘欄への必要情報を入力することです。平成30年度診療報酬改定に伴い、コメント入力の記載要領が変更されました。変更点は、診療行為におけるコードの追加、および各内容に応じた詳細のコードが追加・改定されたことです。そしてコメント入力が必要な場合は、該当コードを選択することが義務化されました。コード選択には、以下4つのパターンがあります。
・コードが1つに決まっているもの
・条件によってコード選択を行うもの
・コード選択は行わずフリーテキストで入力するもの
・コードは決まっているが追加情報をフリーテキストで入力するもの
また基本的にコードはレセコンに対応していますが、一部手動入力が必要なものもあります。
コードが1つに決まっているもの
コードが1つに決まっている場合は、該当の診療行為に応じるコードを入力するだけです。
条件によってコード選択を行うもの
同一の診療行為であっても、条件によってコード選択が必要なケースがあります。たとえば「初診料」の以下記載事項では、条件に応じて3つのコードが設けられています。
初診の後、当該初診に付随する一連の行為を後日行った場合であって、当該初診日が前月である場合 | |
820100001 | 初診又は再診時に行った検査、画像診断の結果のみを聞きに来院 |
820100002 | 往診等の後に薬剤のみを取りに来院 |
820100003 | 一旦帰宅し、後刻又は後日検査、画像診断、手術等を受けに来院 |
つまり前月の初診後に、患者さまがどのような目的や時系列で来院したかによって、コメント入力も分類されるということです。
コード選択は行わずフリーテキストで入力するもの
検査や治療の実施日、退院日、検査理由など「記載事項」で問われているものは、コード選択を行わず、フリーテキストで入力します。個人に応じて内容が変動するものは、基本的にフリーテキストでの入力となります。しかし勝手に判断するのではなく、フリーテキスト対象であるかをしっかりと確認しましょう。
コードは決まっているが追加情報をフリーテキストで入力するもの
コード入力を行い、かつ「記載事項」で問われているものは追加情報をフリーテキストで入力します。コードを確定すると「表示される文言」が提示されるため、表示される文言のうち、******の部分をフリーテキストで入力しましょう。
紙レセプトのコメント記載について
紙のレセプトによる請求は、現在ほとんど使用されていません。社会保険診療報酬支払基金が発表している「令和2年4月診療分」では、紙レセプトの使用率は5.2%です。
紙レセプトでも、電子レセプトと同様にコメント記載が求められます。しかしレセコンに比べると、コメント記載におけるミスが発生しやすいといえます。
レセプトのコメント記入で戸惑いがちなポイントを具体的に解説
ここではコメント記入例でよく聞かれる、FAQについてもご紹介します。
Q.「70枚以上の湿布を一度に処方した場合のコメント記入について教えてください。」
A. レセプト電算処理システム用コードは、830000052を選択。記載事項は、「(1回の処方において、70枚を超えて湿布薬を投与した場合)当該湿布薬の投与が必要であると判断した」との趣旨を記入します。さらに70枚を超えて湿布薬を投与した理由を簡潔に、フリーテキストで記入します。
Q. 「調剤を行っていない月に在宅患者訪問薬剤管理指導料を算定したい場合のコメント記入について教えてください。」
A.レセプト電算処理システム用コードは、850100374を選択。記載事項は「算定年月日(薬剤服用歴管理指導料)」を、指摘欄には「(元号)yy“年”mm“月”dd“日”」の形式で記載します。
Q. 「同日再診のコメントコードにはどんな種類がありますか。」
A.同日再診のレセプト用コメントコードは以下の通りです。
レセプト電算処理システム用コード | |
112008350 | 同日再診料 |
112016850 | 同日特定妥結率再診料 |
112008850 | 同日電話等再診料 |
112015950 | 電話等再診料(同一日複数科受診時の2科目) |
112016950 | 同日電話等特定妥結率再診料 |
112017150 | 電話等特定妥結率再診料(同一日複数科受診時の2科目) |
さらに同一日複数科受診の場合は830100003を追加選択し、フリーテキストで2つ目の診療科名を記入する必要があります。
レセプトのコメントはコード入力!入力方法は4パターンある
レセプトのコメントが適切でないと、査定や返戻対象となってしまう可能性があります。ほとんどの医療機関ではレセコンで対応するため、紙レセプトよりはコメント入力しやすいでしょう。しかしコメントは種類も多く、同一診療行為であっても条件に応じてコードが分類されます。ミスのないよう、点検や確認を怠らずにコメントを入力しましょう。
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著者プロフィール
そだねー
北国出身。前職はコールセンターの採用を担当し、ソラストに転職後、医療事務採用業務に6年従事している。営業や現場とのパイプを持ち、日々変化し続ける医療事務の情報をキャッチアップすることに強みを持つ。