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病診連携とは?仕組みやメリット、課題について解説

著者: そだねー

更新日:2023/12/22

公開日:2022/09/08

地域のかかりつけ医として働く女性医師

「病診連携ってどういう仕組みなのだろう」と疑問を抱えている方もいるのではないでしょうか。病診連携とは、大きな病院とかかりつけ医である地域の診療所などが連携を図りながら患者をシステムです。本記事では、病診連携の仕組みやメリット・デメリットなどについて詳しく解説していきます。

病診連携とは

病診連携とは、「ハイレベルな医療を提供する病院と地域の診療所が連携し患者さんを紹介し合う仕組み」を指します。

病診連携の「病」は病院であり「診」は診療所(かかりつけ医の役割を持つ医療機関)のことです。ちなみに診療所とは、〇〇医院や△△クリニックという名称の診療所なども含みます。高度な医療設備や専門性のある技術を持った大きな病院(例:総合病院)と、患者の身近にある地域のかかりつけ医が上手に連携することで、大病院への患者の集中の解消や適切な医療提供などにつなげられます。

病診連携の仕組み

・【診療所から大きな病院へ】
診察詳しい検査や入院治療が必要であると判断した場合、大きな病院へ引継ぎ
・【大きな病院から診療所へ】
治療や検査後、診療所での通院治療で対応できるまで病状が安定した場合、診療所へ引継ぎ

上記のように、医療機関同士がそれぞれの役割を分担することで、地域に根付いたより良い医療が提供できるようになります。

病診連携室とは

病診連携室とは、診療所との連携を図るために大きな病院内に設置される部署のことです。

病診連携室は、病診連携における事務手続きを一括管理して、診療所と病院の架け橋的な役割を担う重要な部署です。
具体的には、地域の医療機関からの受診予約や検査予約、入院予約などの対応を行います。病診連携室があることで、受診前から事前にカルテ準備を行ってくれるため、待ち時間が短縮でき、スムーズな診療に繋がります。病院によっては「地域医療連携室」と呼ばれるケースもあります。

病診連携のメリット

患者の手を取る医師

診療所とクリニック間で患者さんを紹介し合うシステムである「病診連携」。ここでは、患者、大きな病院、地域の診療所のそれぞれの視点から捉えたメリットについて、詳しく解説します。

患者側のメリット

・病状に対して適切な医療が受けられる
・医療機関同士で連携している安心感が得られる
・大きな病院の待ち時間が短縮される

病院同士で事前に情報を連携しておくことで、適切な医療提供や患者の安心感に繋がります。また、事前情報があるため診療にかかる時間も削減されます。また、大きな病院にかかる際は、事前に診療所から予約してもらえるため、患者にとっては予約する手間が省けるメリットがあります。

大きな病院側のメリット

・本来の役割を発揮できる
・診療所との情報共有により、スムーズな診療ができる

診療所からの「紹介状」を持参するため、患者情報がすでに共有された状態で、スムーズな診療が提供できます。初診や入院処理など事務作業に時間を取られ過ぎなくなり、高度で専門性の高い医療を提供できるのもメリットです。
診療所で対応が可能な症状で大きな病院を受診されると、診療所での対応が困難な患者を治療できなくなってしまう可能性があります。病診連携を導入することで、大きな病院での治療が必要な患者に適切な治療を提供できるようになり、本来の役割が発揮できるようになります。

診療所側のメリット

・専門外の領域にも対応できる
・大きな病院を受診した患者の対応がスムーズにできる

病診連携を図ることで、かかりつけ医では対応できない専門的な疾患や難しい症状に対してもスムーズに対応できるようになります。具体的には、患者自身で病院を探すように案内せず、診療所から連携している病院をスムーズに紹介できるのがメリットです。また、診療所を再診する場合には、すでに返書として検査を含めた受診結果の情報が連携されているため、スムーズな医療が提供できます。

病診連携のデメリット

救急マークを支える人々の手

・情報共有に手間と時間がかかる
・どの病院に紹介すべきかの判断が難しい場合がある

病院受診時の待ち時間の短縮や医療機関同士で事前に情報共有を図ってくれるなど、メリットが多いのが「病診連携」です。その一方で、以下のようにさまざまなデメリット・課題があるのも特徴です。

情報共有に手間と時間がかかる

診療情報を作成し、紹介先に共有するまでに手間と時間がかかる点が課題として挙げられます。病院と診療所間の情報共有は、紙媒体であることがほとんどです。FAXで事前に送信することがありますが、患者さんに「紹介状」として持参させることがあり、情報共有までに時間がかかる傾向にあります。
また、作成された診療情報によっては、必要な情報が読み取れないケースがあるのも事実です。これは、診療情報提供書に記載する大まかな枠組みは統一されていますが、詳細内容に関しては、各医療機関が独自に記載する形になっていることが原因です。その結果、不足した情報を確認するために、診療情報提供書が届いた後に、再度作成先へ電話で確認するケースもあります。
医療業界は人員不足の状況が続いているため、病診連携業務に必要な人員が確保できない医療機関も多く存在します。

紹介すべき医療機関の判断が不明瞭

患者さんを紹介したいけれど、どの程度の症状で病院側に受け入れてもらえるのか判断に迷うケースがあります。特に、他県や遠方の病院を紹介しなければならないケースでは、ますます判断に迷うことでしょう。また紹介したい医療機関に、実施してほしい検査や治療に必要な設備が揃っているのかわからない点も課題の一つです。そのため、公式ホームページや市の広報誌などを利用して、地域の病院が担う役割や実施できる検査や治療について明確にする必要があります。

病診連携のこれから

病診連携では、かかりつけ医と固定の病院間での連携にとどまらず、複数の医療機関との医療ネットワークの構築が必要です。なぜなら、患者さんが多いなどの理由から、1つの病院だけでは対応しきれないケースがあるかもしれないからです。
複数のネットワークがあることで、1つ目の病院で受け入れが困難だった場合でも、他の病院ですぐに受け入れてもらえるなど選択肢が広がります。医療ネットワークが広がることで、適切な医療を受けたことで助かる患者の数も増えることでしょう。
また、病診連携によるさまざまな恩恵を受けるためには、病診連携室を設置して、より密な連携を取れるような環境を構築していくことが大切です。地域医療の発展のため、そして地域包括ケアシステム構築のためにも、病診連携の充実は欠かせないものといえるのではないでしょうか。

病診連携の構築は患者さんと医療機関の双方にメリットがある

病診連携とは、患者さんが適切な治療をスムーズに受けられることを目的に作られたシステムです。基幹病院と診療所間のネットワークを密にすることで、受診前の患者情報の共有が可能です。そのため、待ち時間の短縮や疾患に合わせた適切で質の高い医療が受けられるようになります。患者さん側だけでなく、医療機関側にとっても、適切な医療を患者さんに提供できるというメリットがあります。
その一方で、スムーズな情報共有にまでは至れていないのが現状です。医療業界の人員不足が重なり、そもそも病診連携室を設置できないケースも要因として挙げられます。いくつか課題は残りますが、病診連携が図られることで、地域包括ケアシステムの実現や地域医療の発展に近づけるでしょう。そのため、より一層密な医療ネットワークの構築が求められます。

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著者プロフィール

そだねー

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北国出身。前職はコールセンターの採用を担当し、ソラストに転職後、医療事務採用業務に6年従事している。営業や現場とのパイプを持ち、日々変化し続ける医療事務の情報をキャッチアップすることに強みを持つ。

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