労災病院とはどんな病院?役割や一般病院との違いなどを解説
著者: そだねー
更新日:2023/12/22
公開日:2022/09/22
病院への転職を検討していると「労災病院」の求人を見かけることもあります。労災病院は具体的にどんな病院なのか、一般病院とどんな違いがあるのかなどは気になるポイントでしょう。今回は労災病院の特徴や役割、一般病院との違いなどを詳しく解説します。
目次
労災病院とは
労災病院とは、厚生労働省が所管する独立行政法人「労働者健康福祉機構」が運営する病院です。業務上または職業上被った怪我や疾病の予防から治療、リハビリを提供し、職場復帰までを一貫して専門的にサポートする施設です。
平成31年4月時点では全国に32の労災病院があり、総病床数は12,064床となります。
労災病院の役割
労働者健康安全機構のホームページでは、労災病院について以下のように明記しています。
労災病院は、勤務者医療の中核的役割を担うため、働く人々の職業生活を医療の面から支えるという理念の元、①予防から治療、リハビリテーション、職場復帰に至る一貫した高度・専門的医療の提供、及び②職場における健康確保のための活動への支援を行なっています。勤労者の早期職場復帰及び健康確保という労働政策の推進に寄与しています。
また厚生労働省資料では、労災病院の使命・役割について以下記載があります。
被災労働者の円滑な社会復帰を促進するため、病院グループのネットワークを活用して、国が担うべき政策医療等の提供を通じ、労災補填政策の医療面のセイフティネットの役割を果たしている。
労災病院は、労働者福祉の一環として設立された施設です。労働者の職業生活を医療の面から支えるだけでなく、労働病院が有する最新かつ高度な医療を活かして地域の中核病院としての役割も。
そのため労災を受けた患者だけでなく、一般患者の診療や治療、リハビリテーションも提供しています。
労災病院が担う業務
医療リハビリテーションセンターと総合せき損センターを含む労災病院では、以下業務を担います。
・労災疾病に係る調査研究
・被災労働者の早期職場復帰に向けた先導的医療の実践
・メンタルヘルス対策、過労死予防など産業保健の実践
・労災保険給付に係る業務上外の決定等での医学的判断の基礎の提供
・研究成果等の普及、教育
職場復帰を促進するための医療提供だけでなく、労災予防や対策、労災疾病に関する研究なども行なっています。労災に係る研究や対策などは、採算面などから民間病院では提供されないおそれのある医療であり、労災病院が独自に担う業務といえます。
労災病院の特徴
労災病院は構造や規模、内容などが国立病院と同等の水準を有する大規模な病院であり、救急救命センターなども備えています。そして、労働災害の特性上、整形外科や外科、理学診療科、内科などに重点を置いている点が特徴です。さらに労災病院では、労災を受けた患者は無償で治療が受けられます。なぜなら、労災病院での治療費は病院側からの請求手続き後に労災保険から直接医療費が支払われるからです。労働者と病院の間で金銭授受がない点も、労災病院の特徴の1つといえます。
労災病院の一覧
下記は、全国にある32の労災病院の一覧です。
施設名 |
---|
北海道中央労災病院/釧路労災病院/青森労災病院/東北労災病院/秋田労災病院/福島労災病院/千葉労災病院/東京労災病院/関東労災病院/横浜労災病院/新潟労災病院/富山労災病院/浜松労災病院/中部労災病院/旭労災病院/大阪労災病院/関西労災病院/神戸労災病院/和歌山労災病院/山陰労災病院/岡山労災病院/中国労災病院/山口労災病院/香川労災病院/愛媛労災病院/九州労災病院/九州労災病院門司メディカルセンター/長崎労災病院/熊本労災病院/吉備高原医療リハビリテーションセンター/総合せき損センター/北海道せき損センター など |
労災病院と一般病院の違い
施設水準や病床数などで見ると、労災病院は国立病院のような大規模な公的医療機関に近い属性です。一方、労災病院では、労災疾病に係る研究やメンタルヘルス面の対策など、民間病院では専門としない分野を担当している点が一般病院との大きな違いです。
また労災病院では、患者が受診や通院の際に窓口で支払いをする必要がありません。なぜなら、労災病院の請求手続き後に診療費が労災保険から直接支払われるからです。反対に一般病院では、労災の患者でも一旦窓口で支払いを立て替えなければなりません。一般病院で労災に関する診療費を支払うとなると患者負担は10割なので、患者の支払い負担はかなり大きいものです。
このように、労災にあった患者がスムーズに治療・通院できる点も労災病院と一般病院の大きな違いです。
労災病院と労災指定病院の違い
労災病院と混同されやすい施設に、労災指定病院があります。労災指定病院も労働者福祉を目的とした病院である点で労災病院と同じですが、独立行政法人 労働者健康安全機構が運営している病院ではありません。労災指定病院は医療機関の申請にもとづいて都道府県の労働局長に指定される病院であり、指定病院は民間団体であるケースも多くみられます。
労災病院と労災指定病院は根本的な違いはあるものの、患者からすればどちらも無償で治療が受けられる点で共通しています。
労災病院で働く医療事務について
労災病院であっても、一般患者の診療・治療に対応しているためスタッフの職種や仕事内容に大きく違いはありません。ここでは、労災病院で働く医療事務にフォーカスをあてていきます。
医療事務の役割
そもそも医療事務とは、病院の受付業務やレセプト作成を担当する事務職です。事務職の中でも医療機関で働くという特性上、専門知識が必要とされる点が特徴です。医療事務の役割は多忙な医師や看護師のサポートはもちろん、患者さまが最初に出向く場所であることからも、病院の顔としての役割を持ちます。また医療事務が担当するレセプト作成は、病院の収入にかかわる重要な業務です。医療事務がミスなくレセプトを作成してこそ適正な診療報酬が支払われ、円滑な病院経営が実現します。医師や看護師と比較すると大きな役割を持っていないように思われがちですが、病院を支える縁の下の力もちとして重要な役割を担います。
労災病院で働く医療事務の仕事内容
労災病院で働く医療事務の仕事内容は一般病院と変わらず、受付やレセプト作成などの事務業務が中心です。一般的なレセプト作成に加えて、労災に関する請求手続きなども担当する点が特徴です。また医療事務の中でも医師事務作業補助者、通称「クラーク」として働く場合には、カルテの代行入力や診療の準備、問診票の記入案内や記録など、医師の事務作業をサポートします。
労災病院は規模が大きい医療機関であることから、スタッフ数も多い点が特徴です。そのため医療事務は未経験・無資格からでも応募しやすく、教育体制も整っているといえます。スタッフ数が少ない医療機関ですと、最初のうちでも専門的な業務に対応しなければならないシーンも多くあります。規模の大きい労災病院であるからこそできる業務から始められ、徐々に専門的な業務に移っていくなどして、段階的に働ける点が嬉しいポイントです。
未経験・無資格OK!労災病院の求人例
職種 | 医療事務(病院事務 ) |
---|---|
仕事内容 | 未経験・無資格から始められる医療事務求人!病棟内でカルテの整理やスキャン業務など簡単な事務業務をおこないます。
具体例 『病院で働いてみたい!でも医療事務ってハードル高そう…』 |
給与 | 月給170,000円~183,000円 ※有資格者優遇(当社認定資格による) |
雇用形態 | 正社員 |
勤務時間 | 週5日/1日最短7時間45分 08:15 〜 17:00 [ 月〜金 ] ※祝休 休憩60分 |
応募資格 | 高卒以上 必須PCスキル:文字入力 無資格OK 未経験OK |
社会保険 | 各種社会保険制度あり(法令通り) |
求人の特徴 | 健康診断、育児・介護休暇、育児・介護短時間勤務制度、制服貸与、資格取得支援制度、資格取得奨励金制度、社員持株会制度、ウェルカムバック制度 |
未経験・無資格から応募できる、労災病院での医療事務求人です。一般的な事務業務から担当するため、医療事務に興味はあるが未経験・無資格での応募が不安という方におすすめです。資格取得支援制度を活用することで働きながら医療事務の資格も取得しやすく、スキルアップや給料アップが目指せます。正社員採用であるため、1から医療事務としてのキャリアを考えている方に最適な求人です。
労災病院は労働者健康安全機構が運営する公的医療機関!
労災病院は労働者福祉の一環として、労働者健康安全機構が運営する医療機関です。労働者の職業生活を医療面からサポートする役割だけでなく、地域の中核病院としての役割も担います。大規模な医療機関であることからもやりがいが大きく、環境が整っている職場である点でもおすすめです。労災病院への就職・転職を検討している方は、今記事を参考に労災病院の特徴や役割を押さえてください。
この記事は役に立ちましたか?
このコラムをシェアする
著者プロフィール
そだねー
北国出身。前職はコールセンターの採用を担当し、ソラストに転職後、医療事務採用業務に6年従事している。営業や現場とのパイプを持ち、日々変化し続ける医療事務の情報をキャッチアップすることに強みを持つ。