調剤薬局事務とは?仕事内容や働き方、魅力や将来性、資格の必要性を解説
著者: そだねー
更新日:2024/10/18
公開日:2024/10/18
「調剤薬局事務」は、医療系事務職のお仕事の一つです。なんとなくイメージはわくものの、具体的な仕事内容や役割について気になる方も多いでしょう。今回は、調剤薬局事務とはどんなお仕事であるか、業務内容や働き方、魅力や将来性など、さまざまな観点からご紹介。調剤薬局事務のお仕事に興味がある方は、ぜひ参考にしてください。
目次
調剤薬局事務とは?
調剤薬局事務とは、薬剤師のサポートをはじめ、多岐にわたる業務を担当する重要な職種です。主に、調剤薬局の窓口での患者さんの受付や会計、処方箋の管理やレセプトの作成などを行います。調剤薬局事務は、医療知識や事務スキル、対人スキルが求められる職種です。
調剤薬局事務において必要な医療知識は「薬剤」に限定されます。そのため、医療系事務職のなかでも未経験・無資格から挑戦しやすいお仕事です。
調剤薬局・薬局・ドラッグストアの違い
調剤薬局 | 保険指定を受けていて、保険調剤の取り扱いがある薬局 |
---|---|
薬局(※) | 保険調剤の取り扱いの有無に関わらず、薬剤師が調剤業務や医薬品使用の情報提供、指導を行う場所 |
ドラッグストア | 一般用医薬品や健康食品、化粧品など多様な商品を扱う店舗 |
※病院・診療所・飼育動物診療施設の調剤所を除く。
調剤薬局は、処方箋に基づいて薬を調剤する施設を指し、「保険薬局」ともいいます。一般的に、医療機関の敷地内や付近に開設されることが多いです。調剤薬局では薬剤師が処方箋を確認し、医師の指示通りに適切な薬を用意します。
一方、薬局は保険調剤の取り扱いに関わらず、薬剤師が配置された店舗を指します。薬局の中でも「保険調剤」ができる薬局が「調剤薬局」にあたります。
なお、ドラッグストアは主に市販薬や健康食品、日用品などを広く扱い、処方箋がなくても購入できる商品を中心に販売していることが特徴です。店舗によっては薬剤師が配置されており、処方箋による調剤にも対応しています。
調剤薬局事務と医療事務の違い
調剤薬局事務 | 医療事務 |
---|---|
調剤薬局で働く事務職 | 病院やクリニックで働く事務職 |
調剤薬局事務と医療事務は、働く場所が異なります。調剤薬局事務はその名の通り主に調剤薬局で働き、医療事務は病院やクリニックなどの医療機関で働きます。
調剤薬局事務の主な業務は、処方箋の管理や薬の発注、薬剤師のサポートです。一方、医療事務は受付や患者さん情報の管理、診療報酬請求などの業務を主に行います。必要な知識や業務の専門性でいえば、医療事務の方が難易度が高いでしょう。
調剤薬局事務の具体的な仕事内容
調剤薬局事務の具体的な仕事内容は、上記のとおりです。ここでは、調剤薬局事務の仕事内容を詳しく紹介します。
患者対応や電話対応などの受付
来局する患者さんの対応や電話での問い合わせに応じます。窓口において、処方箋の受け取りからはじまり、保険証やお薬手帳、ジェネリック医薬品のご案内、アレルギーの確認など、薬の処方に必要な情報を確認していきます。
患者さんから症状や薬の服用方法について質問があれば、薬剤師に確認を取ったり引き継ぎを行ったりするなど、適切に対応することが必要です。
レセコンへの入力などの事務
レセコンとは「レセプトコンピューター」の略称で、患者さんや処方箋の情報を管理する業務を指します。レセコンに入力する内容は主に処方箋の内容・患者さん情報・処方薬のデータなどです。
これらのデータ管理は、医療保険の請求手続きを円滑に進めるために不可欠な重要な業務です。
調剤報酬の請求
処方箋に基づいて調剤された薬の費用を、健康保険組合や患者さんに請求することも調剤薬局事務の仕事の一つです。調剤報酬の請求作業には、保険の適用範囲や報酬算定のルールを正確に理解している必要があります。
また、請求書の作成や関連書類の管理なども、ミスなく迅速に行うことが大切であるため、正確かつスピーディーな対応が求められるでしょう。
調剤補助などの薬剤師のサポート
調剤薬局事務は、薬剤師のサポート役として重要なポジションです。具体的には、薬剤師が調剤を行う際の補助業務や薬の在庫管理、薬袋の準備などを行います。
また、必要に応じて薬剤師が行う患者さんへの薬の説明や、服用方法の指導をサポートすることもあります。丁寧で適切な対応が求められるでしょう。
医薬品の発注・点検
薬局内で必要な医薬品や消耗品を適切なタイミングで発注することも重要な仕事です。納品後は発注した医薬品が正確に届いているか、品質に問題がないかを点検します。在庫がないことで、処方箋通りの調剤ができない状況はあってはなりません。
また、在庫管理を効率的に行うことは、薬局の運営コスト削減や経営の安定につながります。そのため、医薬品の発注・点検・在庫管理は責任の大きい仕事といえるでしょう。
調剤薬局事務の1日の働き方
時間 | 業務内容 |
---|---|
8:30 | 出勤して、制服に着替える。 入り口や店内の掃除を済ませ、PCやレジの準備を行い開局。 |
9:00 | 午前の業務。 主な業務は、処方箋の受付・入力・会計。薬剤師の指示に従って薬剤をピッキングしたり、納品や在庫管理を行ったりする。 |
12:30 | 休憩。 来客状況を見ながら、交代で休憩をとる。 |
13:30〜17:30頃 | 午後の業務。 基本的には午前と同様。電話対応やレセプト作成も行う。 |
18:00 | レジ点検や店内の清掃などを行い閉局。 |
18:30 | 退勤 |
出勤後、まずは店内の掃除など、開局準備からスタート。午前中は主に受付業務を中心とし、並行して患者さんの対応やレセコンへのデータ入力を行います。
午後の業務は基本的に午前と同じですが、調剤報酬の請求書作成や会計業務なども対応していきます。閉局に伴い、在庫管理や書類整理、レジ点検や清掃を行い、次の日の準備を整えて退勤する流れが一般的です。
調剤薬局事務になるには?
【調剤薬局事務になるためのポイント】
・調剤薬局事務は資格は必須ではなく、未経験でも採用されることがある
・ただし、資格があれば採用に有利のため、取得することもおすすめ
・働き先は調剤薬局やドラッグストアなど、幅広い
調剤薬局事務を目指す際は、上記3つのポイントを押さえておきましょう。以下で詳しく解説していきます。
資格や経験は必須ではない
調剤薬局事務として働くにあたって、特別な資格や経験は必須ではありません。多くの調剤薬局では未経験者も採用しており、必要な知識やスキルは入社後の研修やOJTで習得していきます。
ただし、調剤薬局事務に関する資格を持っていると、採用の際に有利になることも多いです。調剤薬局事務に関連する資格はすべて民間資格であり、受験の難易度はそこまで高くありません。そのため、就職・転職の成功可能性を高めるために資格を取得するのも一つの手です。
調剤薬局事務におすすめの資格
・調剤事務管理士®️
・調剤事務実務士®️
・調剤薬局事務検定試験
・調剤報酬請求事務専門士
調剤薬局事務におすすめの資格として、調剤事務管理士や調剤薬局事務検定試験があります。これらの資格を取得することで、調剤薬局での業務に必要な知識やスキルが体系的に学べます。調剤薬局事務の資格以外にも、医療事務や医療秘書などの関連資格も役立つでしょう。
調剤薬局事務の主な勤務先
調剤薬局事務の主な勤務先は、調剤薬局です。そのほか、病院の薬局部門は勤務先として一般的であり、ドラッグストアの調剤部門や企業内の健康管理室などでも調剤薬局事務の需要があります。
調剤薬局はコンビニに匹敵、あるいはそれ以上に数があります。全国、どの地域にも存在することから、勤務地の選択肢が幅広いお仕事です。
調剤薬局事務の3つの魅力
未経験から目指しやすい調剤薬局事務ですが、そのほかいくつかの魅力があります。以下で、調剤薬局事務として働く魅力を3つ紹介します。
多様な働き方を選べる
調剤薬局事務はフルタイムやパートタイム、アルバイトなど多様な働き方が選べます。シフト制を採用している薬局も多く、ライフスタイルに合わせた勤務時間が選択できるでしょう。薬局によっては、在宅勤務やリモートワークが可能な場合もあります。
ライフスタイルの変化に合わせて働き方が選べるため、長期的に就業し、手に職をつけやすいお仕事です。
薬の知識が身につく
日々薬に関わるため、自然と薬に関する知識が身につきます。薬の名前や効能、副作用や服用方法について学ぶ機会が多く、家族や友人にも薬の選び方や使い方をアドバイスできるようになるでしょう。
また、調剤報酬請求の業務に慣れてくると、保険適用による薬の価格も把握できるようになります。
全国各地で働ける
調剤薬局は全国各地にあるため、その分だけ求人があると考えれば、地域を問わずに働けます。都市部だけでなく、地方や郊外にも多く存在し、多くの地域で需要があります。
薬局は地域や世代など関係なく、暮らしに必要な機関です。地域の人々に寄り添う、地域密着型の仕事を目指す方には最適な働き方といえるでしょう。
調剤薬局事務の3つの大変さ
一方で、調剤薬局事務には上記のような大変さもあります。ギャップに悩まないためにも、大変さについて理解しておきましょう。
仕事内容が多岐にわたる
調剤薬局事務の仕事内容は、受付からレセプト入力、調剤報酬請求まで幅広く、各業務に対する深い理解と知識、迅速な対応が求められます。また、常に患者さんが来局するため、店内が混雑しないよう優れたマルチタスク能力と時間管理スキルを持って業務に取り組むことが必要です。
多岐にわたる業務をこなすことは大変と感じる時もあるかもしれませんが、その分やりがいも大きいでしょう。
医療事務より求人が少ない
調剤薬局事務の求人は、医療事務に比べて少ないのが現状です。理由としては、クリニックなどの医療機関に対して、調剤薬局自体の数が限られているためです。
求人が少ないと、応募の際に競争が激しくなる可能性があります。高い倍率のなかで採用を勝ち取るには、資格取得や実務経験により他の応募者と差別化を図ることがポイントです。
デリケートな対応が必要
調剤薬局事務は、患者さんや医療スタッフとのコミュニケーションが重要な仕事です。来局する患者さんは病気や怪我で不安を抱えている方も多いため、丁寧で思いやりのある対応が求められます。
また、調剤薬局ではデリケートな対応が必要な場面が多く、精神的な負担がかかることもあるでしょう。しかし、患者さんの顔が見え、直接感謝の言葉が受け取れる関係性にやりがいも感じられます。
調剤薬局事務に向いている人の特徴
調剤薬局事務に向いている人の特徴は、とくに上記の3つです。他者とのコミュニケーションや事務作業が好きな人は、調剤薬局事務に向いているでしょう。以下で詳しく解説します。
人と接するのが好き
調剤薬局事務は、患者さんや医療スタッフとのコミュニケーションが頻繁に発生します。とくに、患者さんは病気や怪我による不安を抱えている人も多いため、親切で丁寧な対応が求められます。
そのため、人と接するのが好きな人や、相手の立場に立って物事を考えられる人は力を発揮できるでしょう。
チームワークを大切にできる
調剤薬局事務の仕事は単独ではなく、薬剤師や他スタッフと協力して進めることが求められます。そのため、チームワークを大切にできる人は良好な職場環境を保ちながら、効率的に仕事が進められるでしょう。
調剤薬局をはじめとした医療に関わる場では、お互いの役割を理解し、助け合う姿勢が重要です。
コンピュータースキルや事務能力がある
レセコンへの入力や医薬品の発注など、コンピューターで行う業務も多くあります。正確かつ迅速に業務を進めるには、基本的なコンピュータースキルや事務能力が必要です。
そのため、事務処理が得意な人や細かい作業が苦にならない人は、調剤薬局事務の仕事に向いているでしょう。
調剤薬局事務の今後
調剤薬局事務の仕事に就き、手に職をつけたいと考えている場合、その給料や将来性は気になるポイントではないでしょうか。ここでは、給料や将来性の面から調剤薬局事務の今後をみていきます。
調剤薬局事務の現状の平均年収
厚生労働省のデータによると、調剤薬局事務の平均年収は約478万円です。地域によって平均年収は異なります。例えば、東京都や神奈川県などの都市部では平均を上回る地域もありますが、地方の場合は平均を下回っているケースも。一般的には、調剤薬局事務の需要が高い地域ほど年収も高くなる傾向にあります。
また、調剤薬局の規模やドラッグストアか医療機関かなど、勤務先によっても年収相場はさまざまです。詳細の年収情報は、調剤薬局事務の各求人で確認するとよいでしょう。
調剤薬局事務の将来性
高齢化社会の進展により、調剤薬局事務の需要はさらに増加すると予想されます。高齢者数の増加や医療のあり方の変化に伴い、今後は地域密着型の薬局や在宅医療の分野での役割が重要になると考えられるでしょう。また、医療分野での技術発展により、電子カルテやAIを活用した業務効率化が進むことにも期待されます。
さらに、調剤薬局は医療制度の改革や政策変更の影響も受けるため、常に最新情報を把握しておくことが重要です。
調剤薬局事務は薬局で受付や薬剤師のサポートなどを行う仕事!
調剤薬局事務は、主に調剤薬局において受付や処方箋の管理など、薬剤師をサポーするお仕事です。医療系事務職の中でも、医療事務ほど専門性や難易度は高くなく、未経験・無資格からでも挑戦しやすいでしょう。働き方も柔軟に選択でき、調剤薬局は全国各地に存在することから、ライフスタイルの変化に合わせて働きやすい点が魅力です。
ソラジョブでは、調剤薬局事務や医療事務の求人を豊富に扱っています。調剤薬局事務と医療事務のどっちがいいか迷っている方は、実際の求人から条件を比較して検討してみてください。
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著者プロフィール
そだねー
北国出身。前職はコールセンターの採用を担当し、ソラストに転職後、医療事務採用業務に6年従事している。営業や現場とのパイプを持ち、日々変化し続ける医療事務の情報をキャッチアップすることに強みを持つ。