休職中に転職活動をするのは違法?バレるリスクや伝える方法を解説
著者: そだねー
更新日:2025/04/17
公開日:2025/04/18
休職中に転職活動を始める際、「会社にバレるのでは?」と不安を抱く人は少なくありません。この記事では、休職中の転職活動が違法かどうかをはじめ、転職活動を行うリスクや転職先企業への伝え方、面接での受け答えなど、転職を成功させるために必要な知識をわかりやすく解説しています。
休職中に転職活動をするのは違法?
休職中に転職活動を行うことは、法律上違法ではありません。日本国憲法では職業選択の自由が認められており、「休職中の転職活動」を禁止する明確な法律は存在しないためです。
ただし、会社の就業規則において、副業や休職中の転職活動を制限している場合もあります。まずは自社の規定を確認することが大切です。
休職中の転職活動は状況により適切かどうかが異なります。進めてよい場合と進めてはいけない・控えた方がよい場合を確認しましょう。
【休職中に転職活動を進めてよいケース・進めてはいけない/控えた方がよいケース】
転職活動を進めてよいケース | 転職活動を進めてはいけない/控えた方がよいケース |
---|---|
・就業規則に転職活動の制限がない ・信頼関係の破綻やハラスメントがあった ・周囲に相談できる相手がいる |
・就業規則に明確な禁止事項がある ・転職活動に十分な時間を割けない ・周囲に相談できる相手がいない |
転職活動を進めてよいケース
・就業規則に転職活動の制限がない
・信頼関係の破綻やハラスメントがあった
・周囲に相談できる相手がいる
勤務先の就業規則で、休職中の副業や転職活動に関する制限が明記されていない場合は、法的にも企業規定上も問題になる可能性は低いです。
パワハラやセクハラなど現在の職場内での深刻な人間関係の問題により、信頼関係が崩れてしまっている場合、復職は精神的負担が大きくなる傾向があります。そのような場合は、環境を変えるための転職活動がよい選択と言えるでしょう。
また、転職活動には精神的な負担や迷いがつきものです。家族や信頼できる友人、専門家など、冷静に意見をくれる相談相手がいれば、不安を抱え込まずよりよい選択がしやすくなります。
ただし、これらのケースに該当する場合でも、少しでも不明な点があれば確認しておくことが望ましいです。
転職活動を進めてはいけない/控えた方がよいケース
・就業規則に明確な禁止事項がある
・転職活動に十分な時間を割けない
・周囲に相談できる相手がいない
会社の就業規則において、休職中の副業や転職活動を禁止する旨が明記されている場合には、規定に反する行動となる可能性があります。
また、体調の回復や通院、家庭の事情などにより、転職活動に集中できる時間や余力がない状態だと、選考に十分対応できません。選考で不利になったり、自身の回復にも悪影響を与えたりする可能性があります。
加えて、転職は大きな決断を伴う行動であるため、相談相手がいないまま進めると、自分の判断に偏りが生じて冷静な選択が難しくなることもあるでしょう。不安や迷いを抱えたまま進めることは、後悔を招くリスクも高まります。
のちのトラブルや処分を避けるためにも、これらのケースに該当するときは休職中の転職活動は控えましょう。
休職中の転職活動は現職や転職先にバレる?
休職中に転職活動を進める際には、現職や転職先に知られる可能性もあります。以下のような点に注意が必要です。
SNSへの投稿
転職活動に関する投稿(内定報告や企業とのやり取り)は、知人・同僚に見られるリスクがあります。とくに実名制のSNSでは投稿内容に十分注意しましょう。活動中は転職に関わる投稿を控えるのが賢明です。
リファレンスチェック
転職先企業が勤務実績や人柄を確認するために、現職の上司などに連絡することがあります。リファレンスチェックは本人の同意を得たうえで行うことが義務付けられているものの、現職場にも転職先にも休職中の転職活動が発覚する可能性があることには留意が必要です。
源泉徴収票や給与明細の金額
年末調整で提出する源泉徴収票や、給与明細の内容により、転職活動中であることを新しい勤務先に気づかれる場合があります。とくに、給与額を面接で申告する場合や、転職先から給与明細の提出を求められた場合、休職中であることがバレるリスクが高まります。
住民税の金額
休職期間中は給与が支給されないため、翌年の住民税の納付金額が他の年に比べて変動する場合があります。休職期間が長いほど給与が支給されない期間も長く、住民税の納付額が減るため、転職先に異変が伝わる可能性があるでしょう。
休職中に転職活動をするリスク
休職中の転職活動には、注意すべきリスクやデメリットが存在します。主な点を以下で整理します。
現職にバレるリスクがある
SNSでの投稿やリファレンスチェック、住民税の変動などを通じて、転職活動の事実が会社に伝わる可能性があります。就業規則によっては懲戒処分の対象となることもあり、療養の意思を疑われ不利益を受けるおそれも否定できません。
傷病手当金や福利厚生が停止される場合がある
休職中の転職活動が発覚すると、就労可能と判断され、傷病手当金の支給停止や返還を求められることがあります。また、福利厚生の利用が制限されたり、退職を促されたりする場合もあるため、会社との関係に影響をおよぼす可能性に注意が必要です。
転職活動がスムーズに進まない可能性がある
休職中であることを転職先の選考時に説明する必要があると、企業側にマイナスの印象を与える可能性があります。休職期間がブランクと見なされることもあり、選考が不利になるケースもあるため、慎重に対応すべきでしょう。
体調を理由に休職中の場合、十分な療養ができない可能性がある
心身の不調で休職している場合、本来の目的である療養に集中できなくなるおそれがあります。転職活動に時間や労力を取られることで、回復が遅れたり悪化したりするリスクが高まるため、慎重な判断が必要です。
復職の機会を失うケースもある
転職活動を優先するあまり、現職への復職のタイミングを逃すことがあります。結果として会社との関係が悪化し、円満退職が難しくなるケースもあるでしょう。退職を決断する前に今後の方針を明確にすることが求められます。
経済的に不安定な期間が長引く可能性がある
休職中は給与が支給されないため、転職活動が長期化すると生活費に不安が生じやすくなります。転職が決まらないまま退職すると無職期間が発生し、貯金を切り崩す状況にもなりかねません。結果として焦って転職先を妥協するリスクもあります。
休職中の転職活動が向いている人・向いていない人
休職中の転職活動が向いている人 | 休職中の転職活動が向いていない人 |
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・復職を希望していない人 ・メンタルや体調が回復していて就業に影響がない人 ・キャリアの方向性が定まっている人 |
・復職を迷っている人 ・現職場や転職先に休職中であることがバレたくない人 ・キャリアの方向性が定まっていない人 |
休職中の転職活動は、すべての人に適しているわけではありません。向いている人と向いていない人の特徴を整理し、判断の参考にしましょう。
休職中の転職活動が向いている人
復職を希望していない人
現在の職場に戻る意思がなく、退職の意思が固まっている場合は、転職活動を進めることが現実的な選択となります。心身の状態が安定しており、次のキャリアを見据えて行動できる人には適したタイミングと言えるでしょう。
メンタルや体調が回復していて就業に影響がない人
体調が安定しており、就職後に安定して働ける状態であれば、休職中でも転職活動を始めやすくなります。無理のないペースで活動を行えば、心身への負担も抑えられ、スムーズな再スタートが見込めるでしょう。
キャリアの方向性が定まっている人
自分の強みややりたい仕事が明確になっている場合、転職活動の軸がぶれにくくなります。休職中の時間を有効に使い、的確に求人を見極められるため、納得感のある転職につながる可能性が高くなるでしょう。
休職中の転職活動が向いていない人
復職を迷っている人
現在の職場に戻るべきか迷っている段階では、転職活動を始めても判断が揺らいでしまいます。気持ちが定まらないまま行動に移すと、途中で方向性がぶれてしまい、結果的に中途半端な決断になる恐れがあるため、転職活動を進めるのは控える方が無難です。
現職場や転職先に休職中であることがバレたくない人
転職活動を進める中で、SNSの発信やリファレンスチェックなどを通じて、休職中であることが知られてしまうリスクがあります。情報管理に強い不安がある場合には、活動そのものがストレスとなる可能性も否定できません。
キャリアの方向性が定まっていない人
自分がどのような仕事に就きたいのか、どんな環境で働きたいのかが明確でない場合は、休職中の限られた時間を有効に使えないことがあります。軸がないまま転職活動を進めると、ミスマッチが起こるリスクが高まるため、休職中の転職活動は控えましょう。
休職中に転職活動をする3つのメリット
休職中に転職活動を行うことには、通常の在職中とは異なる利点があります。以下の3つはとくに大きなメリットとして挙げられます。
転職活動に集中できる
休職期間中であれば業務に追われることがないため、履歴書や職務経歴書の作成に時間をかけることができます。また、企業研究やキャリアの見直しにも集中でき、平日日中の面接対応などスケジュール調整も柔軟に行える点が大きな強みとなるでしょう。
よりよい条件の転職先を見つけやすい
休職期間中の場合、退職後の焦りから妥協することなく、希望に沿った求人をじっくり選べます。エージェントとの打ち合わせや面談の時間も取りやすく、条件交渉においても落ち着いた判断ができるため、納得のいく転職につながりやすいです。
心身のリフレッシュができる
休職期間中は十分な休養を取りながら、自分のペースで転職活動を進められるのが大きな利点です。体調を整えると同時に、スキルアップや資格取得の準備期間として活用することもできます。万全の状態で再スタートを切る助けになるでしょう。
休職中の転職活動を成功させるためのポイント3つ
休職中に転職活動を成功させるためには、特有の注意点を踏まえた慎重な行動が求められます。以下の3つのポイントを意識しましょう。
転職活動を慎重に進める
SNS投稿やリファレンスチェック、住民税の納付額の変動などを通じて現職に転職活動が知られるリスクがあるため、情報管理に十分注意することが大切です。面接で休職中である事実を伝えるかどうかも含め、準備を怠らない姿勢を心がけましょう。
転職理由や休職理由をポジティブに伝える
面接では休職に至った経緯を聞かれる可能性が高いため、「キャリアを見直す機会になった」など前向きな説明を用意することが効果的です。転職の動機にも一貫性を持たせ、採用担当者に安心感と納得感を与える伝え方を意識しましょう。
転職後のキャリアを明確にし、適切な企業を選ぶ
焦って内定を受け入れてしまうと、再び環境に適応できず休職を繰り返すリスクがあります。自分の希望条件や適性を明確にし、企業選びの軸を持つことが重要です。無理なく働ける環境かどうかを見極める力が問われます。
休職中であることを転職先に伝えた方がよいケース
休職中であることを転職先に伝えるべきか悩む人は多いですが、上記のようなケースでは正直に伝える方がよいとされています。
面接の質問やアンケートで休職中かどうか聞かれたケース
「現在のご状況を教えてください」といった質問に対し、履歴書の空白期間や現在の職務状況について説明を求められることがあります。事実を隠したまま選考が進むと、後で発覚した際に信頼を損なうおそれがあります。前向きな姿勢で休職理由と現状を伝えることが大切です。
リファレンスチェックがあるケース
前職の関係者に勤務実績を確認するリファレンスチェックが実施される場合、事前に休職中であることを伝えておかないと、第三者の証言との間に矛盾が生じる可能性があります。転職後の業務に支障がないことを明確に伝えることで、採用担当者にも安心感を与えられるでしょう。
家庭の事情で休職していたが仕事に復帰できるケース
たとえば親の介護で休職していたが、現在は環境が整い、安定して働ける状況にある場合などは、その経緯を正直に伝えることで評価につながる可能性があります。再び休職する可能性が低いと説明できれば、採用側にとっても安心材料となるでしょう。
休職中であることを転職先に伝える例文【書類・面接】
休職中であることは書類や面接で適切に伝えることが大切です。状況に応じた履歴書・職務経歴書の記載例と面接での伝え方を紹介します。
休職中であることを履歴書・職務経歴書に記載する例文
履歴書や職務経歴書に休職期間がある場合、その理由を明確に記載しておくことで、採用担当者に安心感を与えられるでしょう。とくに空白期間が長い場合や、経歴の途中でブランクがある場合には、正直かつ簡潔に伝えることが重要です。
休職理由が健康・家庭・キャリアなどであっても、現在は就業可能であることや状況が改善された旨を添えることで、前向きな印象につながります。以下に、目的別の記載例を紹介します。
【例文1:健康上の理由】
「○○年○月~○○年○月の期間、健康上の理由により休職しておりましたが、現在は問題なく勤務可能な状態です。」
【例文2:家庭の事情】
「家族の介護のため、○○年○月から○○年○月まで休職しておりましたが、現在は環境が整い、業務に支障はございません。」
【例文3:キャリアアップのため】
「自己研鑽のため、○○年○月から○○年○月まで休職し、○○の資格取得に専念しておりました。」
休職中であることを面接で伝える例文
面接で休職中であることを伝える際は、事実を正直に伝えつつ、現在は就業に問題がないことや前向きな姿勢を示すことが重要です。採用担当者は、休職の理由だけでなくその期間をどう過ごし、どのように立て直したのかを確認したいと考えています。
体調や家庭の事情であっても、復職可能な状況にあることや再発のリスクが低いことを丁寧に伝えることで、信頼と安心感を与えられるでしょう。以下に想定される質問と回答例を紹介します。
【例文1:健康上の理由】
質問:「現在、休職中とお聞きしましたが、どのような状況でしょうか?」
回答:「○○の治療のために一定期間休職しておりましたが、現在は医師からも就業可能との診断を受けており、問題なく業務に取り組める状態です。」
【例文2:家庭の事情】
質問:「休職中とのことですが、どのようなご事情でしょうか?」
回答:「家庭の事情(親の介護等)により一時的に休職しておりましたが、現在は状況が落ち着き、長期的に働ける環境が整っています。」
【例文3:キャリアアップのため】
質問:「休職期間中はどのように過ごされていましたか?」
回答:「キャリアアップのため○○の資格取得に取り組みました。この経験を活かして、貴社の○○の業務に貢献したいと考えております。」
休職中の転職活動に関するよくある質問
休職中の転職活動に関するよくある疑問点をご紹介します。不安な点は事前に解消しておきましょう。
Q.公務員でも休職中に転職活動をしてもよいですか?
A.公務員にも職業選択の自由がありますが、実際には転職活動を行うのは難しいです。
公務員には職業選択の自由がありますが、「私企業からの隔離」を定めた国家公務員法第103条が休職中にも適用されます。そのため、公務員の立場を維持したまま営利企業への転職活動を行うことは制限される場合が一般的です。
また、休職理由によっては、療養に専念する義務が発生する場合もあり、実際に転職活動を進めるのは困難な状況となるでしょう。
Q.休職中に転職活動をしていることが会社にバレることはありますか?
A.職場関係者との接触やSNSへの投稿などにより発覚する可能性があります。
職場関係者との接触やSNSへの投稿などが原因で、転職活動が勤務先に知られることがあります。とくに、友人や同僚との会話の中で何気なく転職について話したことが上司に伝わるケースも考えられます。
また、転職先の企業が前職への在籍確認を行う場合、結果として勤務先に知られる可能性もあるため注意が必要です。情報の取り扱いには十分に気を配り、周囲への発言には慎重になることが求められます。
Q.休職中であることは転職先に伝えるべきですか?
A.休職理由や転職時期に影響がある場合は、適切な範囲で伝えるのが望ましいです。
転職先への伝達については、状況に応じて適切に判断することが求められます。休職理由が健康上の問題であった場合、業務遂行に支障がないことを示すために説明が必要となることがあります。
逆に、家庭の事情などが理由であれば、必ずしも詳細を伝える必要はありません。ただし、退職手続きの関係で転職時期に影響が出る可能性があるため、採用担当者に正確な状況を伝え、調整を行うことが望ましいでしょう。
Q.休職中の転職活動がスムーズに進むコツはありますか?
A.転職市場の把握、情報管理の徹底などが成功のポイントです。
休職中の転職活動を円滑に進めるためには、事前準備と慎重な行動が重要です。まず、転職市場の動向を把握し、希望する職種に求められるスキルや経験を整理することが役立ちます。また、転職活動の際には情報管理を徹底し、現在の職場に影響が出ないように注意を払うことが求められます。
さらに、信頼できる転職エージェントを活用し、非公開求人へのアクセスを増やすことも有効です。計画的なスケジュールを立て、無理のない範囲で活動を進めることが成功の鍵といえます。
休職中の転職活動は冷静な判断と準備が大事
休職中に転職活動を行うこと自体は違法ではありませんが、就業規則の確認や情報管理の徹底、伝え方の工夫が必要です。リスクやデメリットを理解したうえで、自分の体調や状況に合った判断を下しましょう。焦らず、丁寧に準備を進めることが、成功への第一歩です。
無理のないペースで自分に合った職場を見つけたい方は、希望条件に合う求人を探すことから始めましょう。多様な働き方を選べる時代だからこそ、「あなたらしく働ける場所」はきっと見つかります。まずは気になる求人に目を通し、自分に合う環境を探してみましょう。
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著者プロフィール
そだねー
北国出身。前職はコールセンターの採用を担当し、ソラストに転職後、医療事務採用業務に6年従事している。営業や現場とのパイプを持ち、日々変化し続ける医療事務の情報をキャッチアップすることに強みを持つ。