医療事務・レセプト業務で知っておきたい!社会保険診療報酬支払基金とは?

2020/09/18

社会保険診療報酬支払基金とは、診療内容を記載したレセプト(診療報酬明細書)の提出先を指します。社会保険診療報酬支払基金は、レセプトの内容を審査し、実際に支払いを担当する重要な機関。医療機関と保険者をつなぐ橋渡し的な役割を担っています。今回は、社会保険診療報酬支払基金の仕組みや業務内容について解説していきます。

社会保険診療報酬支払基金とは?

社会保険診療報酬支払基金は、診療報酬の「審査」と「支払」を担う医療保険制度で欠かせない機関です。 毎月医療機関から送られてくる診療報酬明細書(レセプト)の内容をコンピュータ、職員、審査委員会により細かく審査。診療報酬を保険者へ請求し、医療機関へと支払う重要な役割を担っています。

医療機関に診療報酬が支払われる流れ

健康保険組合などに加入している人が医療機関を受診すると、窓口で診療費のおよそ3割を自己負担金として支払うことになります。残りの約7割の費用は、支払基金を通じ以下の流れで各医療機関へ支払われています。

診療報酬が支払われる仕組み①
医療機関が診療報酬明細書(レセプト)を支払基金へ送付

レセプトには各患者の診療内容や投薬内容が記載されています。社会保険診療報酬支払基金への提出期限は、診療翌月の10日です。

診療報酬が支払われる仕組み②
診療報酬明細書(レセプト)の内容を支払基金が審査

医療機関から送られてきたレセプトは、支払基金で診療翌月の10日から25日にかけて審査されます。内容に相違があった場合には、訂正または医療機関への差し戻しが行われます。

診療報酬が支払われる仕組み③
支払基金から保険組合へ診療報酬(レセプト)を送付

レセプトの内容に間違いがない事を確認後、支払基金は各保険者へ診療報酬の請求手続きを行います。診療翌々月の10日までに請求を受けた保険者は、20日に診療報酬を支払基金へ支払います。

診療報酬が支払われる仕組み④
診療報酬は支払基金を通し医療機関へ

保険者から診療報酬を受け取った支払基金は、診療翌々月の21日に各医療機関に診療報酬を支払います。

以上の流れによって、被保険者が医療機関を受診した際に発生する医療費は支払われているのです。

社会保険診療報酬支払基金が設立された経緯とは?

支払基金が創立される以前、レセプト審査を担当していたのは保険医指導委員会、支払い事務は社会保険協会や健康保険組合連合の仕事でした。しかし、業務が二分化することで支払いが遅延し、医療機関へ適切に診療報酬が支払われないことが問題視されるようになります。

そこで、昭和23年9月1日、審査と支払を一元化することを目的に創設されたのが社会保険診療報酬支払基金。設立以来、「適正な審査」と「迅速な支払い」により、医療保険制度は支え続けられています。

社会保険診療報酬支払基金の社会的位置づけ

社会保険診療報酬支払基金は、名前や形態から公務員や特殊法人と思われがちです。しかし、実際には社会保険診療報酬支払基金法に基づいて設立された「民間法人」に位置づけられます。一般企業と比べ、営利目的ではなく、資本金や株式を持たないことが大きな特徴です。

支払基金の基礎となる「社会保険診療報酬支払基金法」

「社会保険診療報酬支払基金法」とは、1948年7月10日に交付された、公的医療保険における診療報酬の支払い手続き等について定めた法律です。細かな業務内容のほか、役員や職員の規定に関する項目も記載されています。

2019年5月には、支払基金法の改正を含む健康保険法などの改正法が成立し、以下2点の組織の見直しが検討されています。

・2021年4月に各都道府県に設置していた支部を廃止。審査事務局が審査委員の審査補助業務を行う。
・コンピューターを使うレセプト事務点検業務は、2022年以降、順次全国10か所程度の審査事務センターに集約させる。

審査結果の不合理な差異の解消や審査の質の向上を目的に、支払基金では今後も法改正に伴う施工準備が進められています。

社会保険診療報酬支払基金の審査の仕組み

北海道から沖縄まで、各都道府県に配置された支払基金は全47支部(令和2年3月1日現在)。各支部では、医療機関から毎月送られてくるレセプトについて、次のように審査を進められています。

支払基金の職員の仕事内容

オンラインで送られてきたレセプトは、まずコンピュータによって保険診療ルールに適合しない項目が抽出されます。支払基金の職員は、毎月10日から23日前後にかけ、さらにレセプトの内容をチェック。審査委員会の業務がスムーズに進むよう、審査を補助する審査事務が主な仕事となります。

電子レセプトが主流となった現在は、コンピューターチェックと職員の審査事務により、審査委員会の審査の効率化が実現しています。

支払基金の審査内容

支払基金での具体的な審査内容は「記載事項」「診療行為の内容」「医薬品」「医療材料」の4点です。その他の、点数が高く複雑な内容のレセプトについては、特別集中審査委員会においてさらに集中的に審査が実施されることになります。

最終チェックを担う「審査委員会」

各支部に設置された審査委員会では、コンピュータでは対応できない「人の判断を必要とする審査」が実施されています。中立な審査をするため、診療担当代表、保険者代表、学識経験者からなる三者構成。円滑な運営を図るための審査運営委員会や、一定点数以上のレセプトを審査する審査専門部会、レセプトを再審査する際審査部会などが設置されています。

電子化により全てのレセプトのコンピューターチェックが可能となった現在、審査委員会では更なる審査の充実を図り細かな精査が重ねられています。

人の判断を必要とする審査

医療の現場では、投薬の必要性や容量の調整などは、医師の判断のもと実施されています。これらが保険診療に適しているのかどうか、機械では一様に判断できるものではありません。そのため、審査委員会では個々の症例において医師の判断が適切であるかどうか、専門家による判断が必要とされるのです。

電子化による全レセプトのチェック体制と、専門家による審査により、社会保険診療報酬支払基金の「適正な審査」が実現しているといえるでしょう。

医療機関と保険者をつなぐ「社会保険診療報酬支払基金」

社会保険診療報酬支払基金は、医療保険制度の要ともいえる機関です。医療機関や薬局で医療事務が作成するレセプトは、すべて社会保険診療報酬支払基金によって厳しく審査されます。内容に相違があった場合は診療報酬支払いの遅延にもつながるため、レセプト作成時の入力内容には十分留意しなくてはいけません。

医療機関、健康保険組合、そして支払基金がそれぞれに適正な業務を行うことによって、誰もが安心して医療を受けられる体制が維持されているといえるでしょう。

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