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保育の五領域とは?「健康」「人間関係」「環境」「言葉」「表現」を総ざらい

著者: めんたいパスタ

更新日:2023/12/21

公開日:2021/09/15

「保育所保育指針」には、保育の「五領域」が記載されています。保育士はこの五領域を基に保育活動を実施し、保育活動に欠かせない保育指導案の作成も行います。今回は「健康」「人間関係」「環境」「言葉」「表現」をそれぞれ解説します。より良い保育活動を行うためにも、保育の五領域に関する理解を深めましょう。

保育の「五領域」とは

保育の五領域は、保育において子どもの資質や能力を成長させるべき領域のことです。成長を期待する資質・能力のことを保育指導案では「ねらい」と言います。厚生労働省による「保育所保育指針」では、ねらいは以下のように定義しています。

子どもが保育所において、安定した生活を送り、充実した活動ができるように、保育を通じて育みたい資質・能力を、子どもの生活する姿から捉えたもの。

 

保育所は子どもの人間形成に大きく影響を与える場所であり、保育士の役割は子どもの健やかな生活と望ましい未来をつくり出す力の基礎を培うことです。そのために保育士は保育指導案で保育計画を立て、子どもの生活と成長をサポートします。

保育の五領域はその基礎を培うべき領域のことであり、保育士が子どもの保育計画を立てる上で欠かせないものです。以下で、保育所保育指針に沿って五領域をそれぞれ詳しくみていきます。

健康

健康は心身の健康を育み、かつ子どもが自ら健康で安全な生活をつくり出す力を養う領域です。

ねらい ① 明るく伸び伸びと行動し、充実感を味わう。
② 自分の体を十分に動かし、進んで運動しようとする。
③ 健康、安全な生活に必要な習慣や態度を身に付ける。
内容 ① 保育士等や友達と触れ合い、安定感を持って生活する。
② いろいろな遊びの中で十分に体を動かす。
③ 進んで戸外で遊ぶ。
④ 様々な活動に親しみ、楽しんで取り組む。
⑤ 健康な生活のリズムを身に付け、楽しんで食事をする。
⑥ 身の回りを清潔にし、衣類の着脱、食事、排泄など生活に必要な活動を自分でする。
⑦ 保育所における生活の仕方を知り、自分たちで生活の場を整えながら見通しを持って行動する。
⑧ 自分の健康に関心を持ち、病気の予防などに必要な活動を進んで行う。
⑨ 危険な場所、危険な遊び方、災害時などの行動の仕方が分かり、安全に気を付けて行動する。

人間関係

協調性や自立心を育て、他者と関わる力を養う領域です。

ねらい ① 保育所生活を楽しみ、自分の力で行動することの充実感を味わう。
② 身近な人と親しみ、関わりを深め、愛情や信頼感を持つ。
③ 社会生活における望ましい習慣や態度を身に付ける。
内容 ① 安心できる保育士等との関係の下で、身近な大人や友達に関心を持ち、模倣して遊んだり、親しみを持って自ら関わろうとする。
② 保育士等や友達との安定した関係の中で、共に過ごすことの喜びを味わう。
③ 自分で考え、自分で行動する。
④ 自分でできることは自分でする。
⑤ 友達と積極的にかかわりながら喜びや悲しみを共感し合う。
⑥ 自分の思ったことを相手に伝え、相手の思っていることに気付く。
⑦ 友達の良さに気付き、一緒に活動する楽しさを味わう。
⑧ 友達と一緒に活動する中で、共通の目的を見いだし、協力して物事をやり遂げようとする気持ちを持つ。
⑨ 良いことや悪いことがあることに気付き、考えながら行動する。

環境

環境における好奇心や探究心を育み、それを生活に取り入れていく力を養う領域です。

ねらい ① 身近な環境に親しみ、自然と触れ合う中で様々な事象に興味や関心を持つ。
② 身近な環境に自分から関わり、発見を楽しんだり、考えたりし、それを生活に取り入れようとする。
③ 身近な事象を見たり、考えたり、扱ったりする中で、物の性質や数量、文字などに対する感覚を豊かにする。
内容 ① 安心できる人的及び物的環境の下で、聞く、見る、触れる、嗅ぐ、味わうなど感覚の働きを豊かにする。
② 好きな玩具や遊具に興味を持って関わり、様々な遊びを楽しむ。
③ 自然に触れて生活し、その大きさ、美しさ、不思議さなどに気付く。
④ 生活の中で、様々な物に触れ、その性質や仕組みに興味や関心を持つ。
⑤ 季節により自然や人間の生活に変化のあることに気付く。
⑥ 自然などの身近な事象に関心を持ち、遊びや生活に取り入れようとする。
⑦ 身近な動植物に親しみを持ち、いたわったり、大切にしたり、作物を育てたり、味わうなどして、生命の尊さに気付く。
⑧ 身近な物を大切にする。
⑨ 身近な物や遊具に興味を持って関わり、考えたり、試したりして工夫して遊ぶ。
⑩ 日常生活の中で数量や図形などに関心を持つ。
⑪ 日常生活の中で簡単な標識や文字などに関心を持つ。
⑫ 近隣の生活に興味や関心を持ち、保育所内外の行事などに喜んで参加する。

言葉

自分で経験したことや考えたことを言語化する力、そして相手の話を聞く態度や意欲を養う領域です。

ねらい ① 自分の気持ちを言葉で表現する楽しさを味わう。 ② 人の言葉や話などをよく聞き、自分の経験したことや考えたことを話し、伝え合う喜びを味わう。
③ 日常生活に必要な言葉が分かるようになるとともに、絵本や物語などに親しみ、先生や友達と心を通わせる。
内容 ① 保育士等の応答的な関わりや話しかけにより、自ら言葉を使おうとする。
② 保育士等と一緒にごっこ遊びなどをする中で、言葉のやり取りを楽しむ。
③ 保育士等や友達の言葉や話に興味や関心を持ち、親しみを持って聞いたり、話したりする。
④ したこと、見たこと、聞いたこと、味わったこと、感じたこと、考えたことを自分なりに言葉で表現する。
⑤ したいこと、してほしいことを言葉で表現したり、分からないことを尋ねたりする。
⑥ 人の話を注意して聞き、相手に分かるように話す。
⑦ 生活の中で必要な言葉が分かり、使う。
⑧ 親しみを持って日常のあいさつをする。
⑨ 生活の中で言葉の楽しさや美しさに気付く。
⑩ いろいろな体験を通じてイメージや言葉を豊かにする。
⑪ 絵本や物語などに親しみ、興味を持って聞き、想像をする楽しさを味わう。
⑫ 日常生活の中で、文字などで伝える楽しさを味わう。

表現

考えたことや感じたことを自ら表現し、豊かな感受性や表現力を養う領域です。

ねらい ① いろいろな物の美しさなどに対する豊かな感性を持つ。
② 感じたことや考えたことを自分なりに表現して楽しむ。
③ 生活の中でイメージを豊かにし,様々な表現を楽しむ。
内容 ① 水、砂、土、紙、粘土など様々な素材に触れて楽しむ。
② 保育士等と一緒に歌ったり、手遊びをしたり、リズムに合わせて体を動かしたりして遊ぶ。
③ 生活の中で様々な音、色、形、手触り、動き、味、香りなどに気付いたり、感じたりして楽しむ。
④ 生活の中で様々な出来事に触れ、イメージを豊かにする。
⑤ 様々な出来事の中で、感動したことを伝え合う楽しさを味わう。
⑥ 感じたこと、考えたことなどを音や動きなどで表現したり、自由にかいたり、つくったりする。
⑦ いろいろな素材や用具に親しみ、工夫して遊ぶ。
⑧ 音楽に親しみ、歌を歌ったり、簡単なリズム楽器を使ったりする楽しさを味わう。
⑨ かいたり、つくったりすることを楽しみ、それを遊びに使ったり、飾ったりする。
⑩ 自分のイメージを動きや言葉などで表現したり、演じて遊んだりする楽しさを味わう。

保育の五領域それぞれの具体的な活動例

実習生や保育士は、日々の保育指導案作成や子どもと接するなかで、五領域を意識することが求められます。ここではそれぞれの領域における、具体的な活動例をご紹介します。

健康の活動例

健康は、心身両方の健康のことです。精神的に豊かで、かつ怪我や病気のない生活を自ら送れる力を養うことが求められます。
心の健康は、大人が愛情を注ぎ、子どもの自己肯定感を育むことが重要です。そのため日々の生活や活動を通して褒めたり、認めたりしてあげることが大切です。

健康の領域での活動例としては、交通安全教室や手洗いうがい、着替えなどを教えることが挙げられます。

人間関係の活動例

自立心とコミュニケーション能力を育むためには、子ども同士が関わり合えるよう保育士がサポートすることが必要です。

例えばより親密な関わりをつくるために、運動会やお遊戯会などのイベントが開催されます。保育士が子どもたちの主体性を尊重し、様子をうかがいながら声かけをしてあげることで、人間関係を築く力を養うことができるでしょう。

環境の活動例

好奇心や探究心は、工作や課外活動、数字や文字に接することで育まれます。五感を使った体験をすることで、好奇心や探究心が育まれるだけでなく、観察力や考える力も身に付きます。

保育士はどんなシーンでも、子どもの関心を引き出すきっかけを与えてあげましょう。

言葉の活動例

言葉は日常的に接する機会だけでなく、保育士が積極的に問いかけることで、考えの言語化を促せます。

また言語化する力だけでなく、相手の話を聞くルールや態度などを教えることも重要です。この点は読み聞かせ前や課外活動のルール説明時などに「今からお話しをするので聞いてください」というように、傾聴するクセをつけてあげると良いでしょう。

表現の活動例

表現はお絵描きや工作、歌や踊りなど、頭と体を働かせる活動によって育まれます。また泣いたり、怒ったり、感情を表に出すことも表現の一種となります。このように表現は、日常での発見や気づきなどからも育つものです。

そのため保育士には、子どもたちに新たな発見や気づきを積極的に与えることが求められます。

あわせて知っておきたい10の姿と3つの柱

2018年には幼児教育の改善と充実を目的に、「保育所保育指針」が改訂されました。そこで明確化されたものが「幼児期の終わりまでに育ってほしい10の姿」と「3つの柱」です。

10の姿について

10の姿は、五領域の内容をさらに細かく明確化したものです。これは達成できるか否かではなく、保育活動において大切にしたい項目と言えます。

①健康な心と身体
②自立心
③協同性
④道徳性・規範意識の芽生え
⑤社会生活との関わり
⑥思考力の芽生え
⑦自然との関わり・生命尊重
⑧数量・図形、文字等への関心・感覚
⑨言葉による伝え合い
⑩豊かな感性と表現

10の姿を軸にすることで、保育の方向性を定めると保育指導案も作成しやすくなります。

3つの柱について

3つの柱は「ねらい」で育みたい資質・能力を、3つの観点に分類したものです。

①知識および技能の基礎
②思考力・判断力・表現力等の基礎
③学びに向かう人間性等

柱と表現されるだけあり、上記3つは五領域や10の姿の基礎となるものです。このような基礎は五領域を育むために欠かせないものであり、かつ10の姿を目指すためにも重要となります。

保育の五領域・10の姿・3つの柱を理解して、保育活動に活かそう!

今回は保育の五領域をはじめ、10の姿や3つの柱についてお伝えしました。
これらは保育活動で重視すべきポイントであり、保育指導案を作成する際には欠かせません。子どものより良い成長と生活をサポートするため、そして最良の保育が提供するためにも、それぞれへの理解を深めてみてください。

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著者プロフィール

めんたいパスタ

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人材紹介業、サービス業、障がい者雇用の分野で採用業務に従事した経験がある女性スタッフ。現在は保育分野の採用担当として、業務を通じて保育園で働くスタッフの負荷軽減になることを目標として活動している。

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