保育士を辞めたいときどうしたらいい?よくある理由や悩み別の対処法を解説
著者: めんたいパスタ
更新日:2025/02/18
公開日:2022/01/14
トラブルや仕事量の多さ、給料への不満など、さまざまな理由で「保育士を辞めたい」と考えたことがある保育士さんは多いでしょう。今回は、保育士さんが仕事を辞めたいと思ったときの対処法についてご紹介します。さらに、スムーズに退職するコツや自分に合った転職先を見つけるポイントも解説していますので、退職するかどうかお悩みの保育士さんはぜひ参考にしてください。
保育士を辞めたい!保育士離職の実態
厚生労働省の調査によると、保育士の離職率は9.3%(平成29年時点)です。
一方で、全職種の離職率は15.0%(令和4年)と、保育士の離職率は全職種よりも低いことがわかります。この数字は保育士100人のうちおよそ10人が1年間に離職することを示しています。
【保育士を辞めたい】よくある理由9選
<やりがいも大きく、保育士になることを夢見て実現した人でも、実際の仕事に直面して辞めたいと感じてしまう人もいるでしょう。ここでは、よくある保育士を辞めたい理由9つをみていきます。
保育士を辞めたい理由1.人間関係の悩み
【よくある悩みの例】
・女性が多く閉鎖的な職場で人間関係が濃い
・相性が合わない人と一緒に働くことが辛い
・保育士同士の派閥問題に疲れてしまう など
保育園は職場が閉鎖的であるという特性上、狭い人間関係の中で働くこととなります。保育士に限らず、職場では考え方や価値観の違い、相性が合わない人などと一緒に働かなければならないこともあるでしょう。
その他にも、保育士同士の派閥や、相性の合わない人とクラス運営を担当するなど、日々の人間関係のストレスが蓄積します。しかし、何も知らない子どもの前では明るく振る舞う必要があるため、疲弊してしまい次第に辞めたいと考える人が少なくありません。
保育士を辞めたい理由2.仕事量が多い
【よくある悩みの例】
・休憩や昼食の時間をゆっくり過ごせない
・有給や代休が取りにくく、プライベートを圧迫している など
ただでさえ目の離せない子どもの世話をするだけでなく、行事準備や事務作業、保護者の対応や雑用など1日で多くの仕事をこなさなければなりません。十分に休憩時間が取れず、ゆっくり昼食がとれないこともあります。
加えて代休や有給も取りにくく、プライベートと両立しながら働くのが難しいと感じ、辞めたいと考える人が一定数います。
保育士を辞めたい理由3.サービス残業が多い
【よくある悩みの例】
・勤務時間外に事務作業に追われる
・自宅に持ち帰る仕事が多い など
仕事量の多い保育士ですが、勤務時間のほとんどは保育にあたらなければいけません。そのため、事務作業などは勤務時間外に対応することになります。
場合によっては、園での作業が終わらず、仕事を自宅に持ち帰ることもあるでしょう。また、給料に反映されないサービス残業となってしまうことが多いです。
仕事量が多いゆえに労働時間が長いものの、給料に反映されないことから、徐々に心身ともに疲弊してしまい、辞めたいと感じてしまうこともあります。
保育士を辞めたい理由4.給料が安い
【よくある悩みの例】
・仕事量に収入が見合わないと感じる
・昇給率が低くモチベーションが上がらない など
保育士は子どもの命を預かる立場であるため責任が大きく、仕事量やサービス残業が多い傾向にありますが、その給料は見合ったものでないことが多いです。厚生労働省の「令和5年賃金構造基本統計調査」によると、保育士の平均は月収約27万円、賞与その他特別給与額が約71万円、年収換算では約397万円となります。
令和5年の平均年収が約506万円であるのに比べて保育士の給料は低い傾向にあり、働き続けるモチベーションが維持できないことが予想されます。
また、昇給率が低い職場もあり、将来が不安で辞めたいと思う人もいるでしょう。
保育士を辞めたい理由5.保育士に向いていない
【よくある悩みの例】
・子どもへの接し方がわからない
・他の保育士や保護者と関わるのが辛い
・ピアノ演奏が苦手 など
「保育士に向いていない」と感じるのは、1年目など、比較的経験が浅い時期に多い傾向があります。子どもとの接し方がわからない、保護者対応がうまくいかないなどに悩み、保育士としての適性に不安を感じてしまうケースです。
これらの不安を解消し、うまく適応していくには、経験を積むことや上司や先輩から前向きなフィードバックを受けることが大事です。しかし、中には周囲に相談できず「自分に適性がない」と悩んで退職を考える人も珍しくありません。
保育士を辞めたい理由6.園の方針が合わない
【よくある悩みの例】
・自分の保育観と園の方針が合わない
・自分が目指す保育が実践できない など
ひとくちに保育園といっても、園によって保育方針や特色も異なります。もちろん園の方針に従うことも大切ですが、保育士さんも個々に保育に対する価値観を持っているはずです。
自分の保育観と園の方針が合わないと、もどかしさを感じながら働くこととなるでしょう。園の方針と合わずそれが不満として募ってしまうと、働くモチベーションにも影響が出てしまいます。
自分の保育観を大切にし、伸びのびと仕事に取り組みたい方は園の方針が合わないと辞めたいと考えてしまうようです。
保育士を辞めたい理由7.体力的問題の悩み
【よくある悩みの例】
・体力に自信がない
・年齢とともに体の不調を感じるようになった など
背の低い子どもと目線を合わせて保育をしたり、10kg前後ある子どもを抱き抱えたりするなど保育士は体力が必要な仕事です。そのため慢性的な疲労や腰痛は、保育士の代表的な職業病といえるでしょう。
とくに腰痛は自然に改善することはないため、深刻化して業務に支障が出てしまうと辞めざるを得ないことがあります。
保育士を辞めたい理由8.保護者対応が大変
【よくある悩みの例】
・理不尽なクレーム対応に追われ疲弊してしまう
・対応が難しい保護者がいる など
保育士は子どもだけでなく、保護者の対応も重要な業務の1つです。近年はモンスターペアレントと呼ばれるように理不尽な要求やクレームを押し付けてくる保護者も珍しくありません。
そのため、対応に追われて疲弊してしまうことも多々あるでしょう。保育園にいる以上保護者対応は避けられない業務であり、子どもが保育園に通っている限り付き合いが続きます。
保護者と接する機会が多いからこそ、今後もそれが続くと思うと嫌気がさして辞めたいと考えてしまうのです。
保育士を辞めたい理由9.自分の生活状況の変化
【よくある悩みの例】
・結婚や出産などライフスタイルが変化して保育士を続けることが難しくなった
・自分の生活と両立しながら保育士の仕事を続けるのが難しい など
保育士は女性の占める割合がほとんどであるため、結婚や出産など生活スタイルの変化をきっかけに「辞めたい」と感じるケースもあります。比較的人員に余裕があり急な休みを取りやすい職場であれば続けやすいですが、職場によっては人員に余裕がなく、定時で帰宅できないこともあるでしょう。
このように生活との両立が難しい状況であれば、保育士の仕事が好きでも退職せざるを得ない場合があります。
保育士を辞めたいときに考えてほしい4つのこと
「辞めたい」と思っている職場ですが、かつては希望を持って働いていた時もあったはずです。衝動的に退職を選ぶ前に、まずは冷静に以下について考えてみましょう。
辞めたいと悩む理由を洗い出す
「辞めたい」と考えた時はまず、なぜ辞めたいのか、その根本にある理由を考えるようにしましょう。不満に感じていることをひとつひとつ書き出し、それに順位をつけていくことで、悩みの原因を自己分析します。
そのうえで、明らかになった自分の気持ちとじっくり向き合ってみるとよいでしょう。
保育士を目指した頃の気持ちを振り返ってみる
辞めたい、向いていないと思い悩んでしまうときは、保育士を目指した頃の自分に立ち返ってみるのも効果的です。毎日の忙しい業務に追われる中で見失っていた「自分の得意なこと」「子どもと関わることの素晴らしさ」など保育士を目指したときの気持ちを思い出してみましょう。
初心に触れることで、仕事に対する意欲がよみがえることもあります。
現職場が嫌なのか・保育士の仕事が嫌なのかを考える
前述の自己分析で洗い出した「辞めたい理由」に向き合い、辞めたいのが今の職場なのか、それとも保育士の仕事そのものなのかを検討してみましょう。その結果によって、他のもっと働きやすい園を探すのか、それとも別の業界を目指すのかという今後の方針が変わります。
気持ちが落ち着いているときにしっかり考えるようにしてください。
保育士を辞めるメリット・デメリットを考える
「辞めたい」ときの検討材料のひとつとして、今の職場を辞めた場合に得られるメリット、デメリットを考えてみるのもよい方法です。たとえば、仕事を辞めると悩みからは解放されますが、次の職場探しに悩む場合もあります。
さらに、次の職場でも同じように辞めたくなる可能性もあるでしょう。メリットとデメリットを天秤にかけ、よく考えましょう。
【悩み別】保育士を辞めたいときの対処法4選
「辞めたい」と考えた時はまず、上記のことを試してみるとよいでしょう。内容は悩みによって異なりますので以下で詳しく紹介します。
【1年で辞めたい】経験を積むことで解決できないか考える
1年目で辞めたいと考えている場合、経験によって解決できる悩みがあることを知っておきましょう。1年目は覚えることが多く、効率的に動けないなどに悩みがちです。
また、子どもや保護者の対応は経験を積むことでうまくなります。1年で辞めてしまっては、まだ保育士としてのスキルが身についていないことから転職活動でも不利になりがちです。
心身に不調が出ている場合は転職を優先した方がよいですが、基本的には保育士としての経験を積むことを優先して考えましょう。
【向いていないと感じる】信頼できる人に相談してみる
保育士に向いていないと悩む場合は、信頼できる同僚や先輩に相談するのがおすすめです。ただし、同じ職場の人に相談するときは誰かの悪口にならないように気を付けて話しましょう。
また、家族や友人への相談もよい方法です。信頼できる第三者に相談することで客観的な考え方ができたり、解決方法の糸口が見つかったりする可能性があります。
話を聞いてもらうだけで気持ちが楽になり、気持ちが前向きになるかもしれません。
【人間関係が辛い】最低限のコミュニケーションを心がける
人間関係を理由に辞めたいと思っている場合、必要以上にコミュニケーションを取らないという対処方法があります。割り切って仕事に取り組むことで前向きになれることがあるでしょう。
適度な距離感を保ちつつ、業務に支障がでない程度にコミュニケーションを取れば良いと思うだけでも、精神的負担が軽くなるかもしれません。
【保育士の仕事は続けたい】転職を考える
辞めたいのは「今の職場」であって、保育士の仕事はこれからも続けたい、という人は転職を視野に入れてみてはどうでしょうか。心身の健康状態に影響が出ているなど、自分の考えや行動を変えるだけではどうにもできない場合も転職が解決方法となります。
新しい職場を探す中で、自分の保育観や働き方、環境に合った保育園が見つかるはずです。
転職で現在の悩みから解放され、今まで以上に保育士として充実した毎日が送れるようになる可能性があります。
保育士の退職?転職活動を進める流れ
「退職したい」という気持ちが揺るぎないものであれば、あとは退職と転職活動を進めるのみです。スムーズに進めるために、あらかじめ流れを知っておきましょう。
退職する時期を決める
保育士の場合、年度末や担当クラスの卒園などの一区切りつくタイミングに退職時期を設定するのがおすすめです。ただし、あまりにも健康面で不調がある場合は年度末を待たず、早めの決断と相談をするようにしましょう。
その場合には運動会や発表会など、大きなイベント前を避け、早めに退職予定を伝えることが大切です。
退職の意識を直属の上司に伝える
退職の意思は、いきなり園のトップではなく、まずは直属の上司に退職したい旨を伝えるのがよいでしょう。業務が落ち着く時間帯に、他の人がいない状況で伝えるようにします。
人員補充や引継ぎの都合があるため、退職希望日の3カ月ほど前には伝えましょう。退職を迷っているような伝え方だと、条件の改善を提案されて引き止められる可能性があります。
前向きな理由で、はっきりと退職をしたい意思を伝えましょう。
退職願・退職届を提出する
退職の意思を伝えたあとは、園の規定に従って退職願や退職届を提出します。「退職願」は退職希望を園に伝えるもので、職場によっては、園長に退職の意思が認められた場合、提出不要のケースもあります。
ただし、私立保育園に勤務している場合は退職願が必要なことがほとんどです。一方で「退職届」は退職が決定した後に提出する書類です。
一般的に退職日の1カ月前までに提出しますが、タイミングは園側と話し合って決めましょう。
他の保育士へ業務の引き継ぎをする
引き継ぎは、後任のスタッフや保護者・子ども達が困らないようにしっかりとおこないましょう。退職日までに引き継げるよう、計画的に「引き継ぎ書」を作成します。
後任が決まらないまま退職という場合もあるでしょう。そのためにも、口頭での引き継ぎではなく、書面を残すのがおすすめです。
子どもや保護者の特徴や個別の支援、家庭状況など詳細に記載し、後任者が後から読み返して使えるように配慮します。
自己分析や転職先選びを進める
今の職場を退職してすぐに別の職場に転職したい人は、在職中から転職活動を進めるのがおすすめです。自己分析や転職先に求める条件の整理など、働きながら転職の準備を進めるのは一般的に時間の確保が難しく、大変なものです。
しかし、切れ目なく働ける方が収入面では安心できるメリットがあります。無理のない範囲で対応していきましょう。
【保育士向け】自分に合う転職先を見つけるポイント
・求める条件を整理して優先順位をつける
・保育理念や保育方針が自分に合うか確認する
・給料や福利厚生、労働条件を入念に確認する
・実際に見学して職場の設備や雰囲気をチェックする
自分に合った職場をみつけるためには、まず、どんな職場で働きたいのか、譲れないポイントを整理して優先順位をつけることです。それをふまえて、転職先候補となる園の保育理念や保育方針、給料や労働条件などをチェックし、候補を絞っていきましょう。
自宅からの距離や給料の高さなど、一つの条件のみで判断することは避け、総合的に判断するようにします。ミスマッチが起きないように、実際に見学できる園の場合は直接行ってみるのがおすすめです。
保育士を辞めたい人に知ってほしいよくある質問
保育士を辞めたい、という人から良く受ける質問と回答を以下にまとめました。退職についてお悩みの方は参考にしてみてください。
Q.保育士を辞めたいですが、年度途中でも辞められる?
A.年度途中の退職は法的に問題ありませんが、担任制度や人員不足の関係で、年度末まで退職を待ってほしいといわれることが多いです。
保育園にもよりますが、年度途中での退職は難しいケースが多いです。
なかには雇用契約書で退職は年度末に、と記載されている場合もあります。
雇用契約書に記載がある場合でも、年度途中での退職は法律的に問題ありません。理想は年度末での退職ですが、健康面に不調がある場合は早めに相談しましょう。
Q.保育士1年目で辞めたいとき、どうしたらいい?
A.基本的に経験を積むことを優先するのがおすすめです。
保育士1年目での悩みは、経験を積むことで解決の糸口が見える可能性があります。保育士の仕事そのものが嫌なわけではない人や、心身に不調をきたしていないなどの場合であれば、まずは経験を重ねることを目指してみましょう。
経験を重ねた先輩に相談してみるのもおすすめです。
Q.保育士を辞めたいけれど、引き止めにあって辞められないときは?
A.退職の意志が固い場合は、「それなら仕方ない」と納得してもらえるような理由をはっきりと伝えましょう。
退職理由が曖昧であったり、待遇面や人間関係などネガティブなものであったりすると、改善や条件の変更などを提案され引き止められる可能性があります。「違う夢を目指したい」「新しい環境に挑戦したい」など、なるべく前向きな理由を伝えるようにしましょう。
保育士を辞めたい理由はさまざま!辞めたいときは転職も1つの手段
子どもの成長を見守り、今後の人生にも大きく影響を与える保育士はやりがいの大きい仕事です。しかし、夢や憧れを持って保育士になっても、いざ実際の仕事に直面することで辞めたいと思ってしまう人も多くいます。保育士という素晴らしい仕事を嫌いにならないためにも、辞めたいと思った時は転職も1つの道と考えてみてください。
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著者プロフィール
めんたいパスタ
人材紹介業、サービス業、障がい者雇用の分野で採用業務に従事した経験がある女性スタッフ。現在は保育分野の採用担当として、業務を通じて保育園で働くスタッフの負荷軽減になることを目標として活動している。