一時保育とは?利用できる施設や受付の流れ・保育士が注意することを解説!
著者: めんたいパスタ
更新日:2023/12/21
公開日:2023/11/17
一時保育とはどのようなサービスで、具体的にどのような仕事を行うのか。保育士さんの中には気になる方も多いのではないでしょうか。そこで今回は、一時保育について詳しくご紹介。一時保育を行う施設や場面、利用の流れ、保育士さんが一時保育を行ううえで注意することも解説しますので、ぜひ参考にしてください。
目次
一時保育とは?
一時保育とは、保護者が自宅で保育できないときに数時間・数日間など一時的に子どもを預かるサービス。
一時保育とは、さまざまな理由で保護者が子どもの保育ができないときに、限られた時間のみ子どもを預かる保育サービスです。保護者の仕事はもちろん、通院や冠婚葬祭、リフレッシュなど、多くの場面で活用されます。「一時保育」と「一時預かり」は、ほとんど同じ意味で使われることが多いです。
一時保育は、主に保育園や幼稚園、認定こども園などで提供するサービス。一時保育を利用できる施設や対象年齢、利用の条件については、施設・自治体ごとに決まっています。利用する際は、直接施設へ登録や予約を行う必要があるため、自治体などのホームページをよく確認しましょう。
一時保育と通常の保育の違い
一時保育 | 通常の保育 | |
---|---|---|
親の就労 | 就労の有無に関わらず利用可能 | 就労や介護など、家庭での保育が困難である証明が必要 |
対象年齢 | 0歳〜未就学児※ | 0歳〜未就学児※ |
利用できる曜日・時間 | 時間・利用日数の制限がある | 開園時間内であれば利用制限なし |
一時保育は通常の保育と違い、保護者の就労の有無に関わらず利用できます。定期で利用する通常保育は、就労や介護など特定の理由が必要ですが、一時保育は利用理由を申請すれば誰でも利用可能です。
また、一時保育を利用できる年齢や休日保育の有無、利用時間などは、施設によって異なります。直接施設に問い合わせるか、自治体のホームページで確認しましょう。
一時保育を行う施設・利用される場面
一時保育を行う施設の種類や利用される場面はさまざまです。具体的にどのような施設・場面が当てはまるのか、詳しく解説します。
一時保育を行う施設
一時保育サービスは、一般的に認可保育園や認定こども園など認可を受けている施設で行われています。さらに、認可外保育園や託児所などを含め、以下のような施設で行われている場合が多いです。
【一時保育を行う主な施設】
認可保育園
認定こども園
小規模保育事業所
家庭的保育事業所
認可外保育園
託児所
子育て支援センター
ファミリーサポートセンター など
なお厚生労働省は、多様な保育ニーズに応えるために、一時預かり事業を以下の5つに分類し、設置しています。事業の種類とそれぞれ対象となる子ども、施設は下記の通りです。
事業類型 | 対象となる子ども | 主な施設 |
---|---|---|
一般型 | 保育園などに通っていない子ども | ・保育園 ・幼稚園 ・認定こども園 など |
余裕活用型 | 保育園などに通っていない子ども | 定員に空きがある以下の施設 ・保育園 ・認定こども園 ・家庭的保育事業所 ・小規模保育事業所 ・事業所内保育事業所 |
幼稚園型Ⅰ | 幼稚園など通っている3歳児以上 | ・幼稚園 ・認定こども園(I型のみ) |
幼稚園型Ⅱ | 保育を必要とする2歳児 | 幼稚園 |
居宅訪問型 | 病気・障害・ひとり親家庭の保護者の就労など、条件を満たす子ども | 子どもの自宅 |
一時保育が利用される場面
利用される場面 | 主な利用目的 |
---|---|
非定期型保育 | ・保護者の就労 ・求職活動、職業訓練 ・介護 など |
緊急保育 | ・保護者の出産 ・傷病 ・家族の介護、看病 ・仕事、出張 など |
リフレッシュ保育 | 保護者のリフレッシュ目的 など |
一時保育が利用される場面には、上記の「非定期型保育」「緊急保育」「リフレッシュ保育」の3種類があります。仕事の都合に限らず、家族の看病や介護、保護者自身の心身のリフレッシュ目的などで利用が可能です。
分類によって利用料金や利用日数が変わるケースも。たとえば大阪府堺市立幼保連携型こども園(一般型)では、保育の分類によって下記のように利用日数が大きく変わります。
・非定型的保育サービス 1週間につき3日
・緊急保育サービス事業 1ヵ月
・私的理由による保育サービス事業 1週間につき1日
【保育士向け】一時保育の受付から開始までの流れ
1.保護者からの問い合わせを受ける
2.登録手続きを進める
3.利用前の予約受付をする
4.一時保育を実施する
保育士はまず、保護者から問い合わせに対応します。利用希望日時や子どもの年齢など、必要な項目を確認しましょう。
その後、登録手続きとして保護者へのヒアリングを行います。子どもの普段の様子や疾患・アレルギーの有無などを忘れずに聞きましょう。ヒアリングとともに、一時保育の利用申請書を保護者に記入してもらいます。子どもの急な受診に備えて、母子手帳や保険証などのコピーも取りましょう。
登録手続きが完了したら予約受付をし、当日一時保育を実施します。
なお、施設によっては登録が不要な場合も。保護者からの問い合わせに適切に回答できるよう、事前に対応方法を覚えておくと安心です。
【保育士向け】一時保育の主な仕事内容と注意点
一時保育における保育士の仕事内容は、通常保育とほとんど同じです。しかし、通常保育が数十人のクラス単位で行われるのに対して、一時保育は少人数で行う場合が多いでしょう。
また一時保育は、保育園などで過ごすことに慣れていない子どもを預かります。仕事を行ううえで、主に次のような点に注意が必要です。
事前に子どもの好きなことを聞いておく
一時保育を担当する保育士は、短い時間しか子どもと触れ合えません。子どもが一時保育を「楽しい場所」と思えるように、事前に保護者にしっかりとヒアリングを行いましょう。
とくに、子どもの好きな遊びや普段の様子、呼び名などの情報を集めておくのがおすすめです。情報収集をしておくことで、子どもに寄り添う保育ができます。
アレルギーや体調について正しく把握する
一時保育では、とくに子どものアレルギーや持病に注意が必要です。食事やおやつだけでなく、遊びや生活の環境にアレルギーのもとが含まれていないか配慮しましょう。
アレルギーや持病、体調は、子どもの健康や命に関わる非常に重要な情報です。複数の保育士で一時保育にあたる場合は、伝達もれがないよう入念に引き継ぎを行いましょう。
子どもの様子を注意深く観察する
一時保育では、子どもの様子や小さな変化を見逃さないよう、細心の注意を払いましょう。短時間しか触れ合わない一時保育は、子どもの普段の様子が分かりにくい傾向に。
たとえば、泣き続ける子どもに対して「初めてだから不安なのだろう」と思い込んでいると、実は発熱していて体調が悪かった、という場合もあります。慣れていない子どもにこそ常に注意を払い、安心・安全に過ごせるよう配慮しましょう。
一時保育に関するQ&A
一時保育について、気になる疑問点をQ&A形式でまとめました。子どもを預ける保護者と一時保育を担当する保育士向けにまとめているので、ぜひ参考にしてください。
Q.一時保育のメリット・デメリットは?
A.メリットは親の就労に関わらず利用できること、デメリットは料金がかかることです。
一時保育のメリットは、親が就労していなくても子どもを預けられる点です。利用理由を申請すれば、仕事の都合だけでなく緊急時やリフレッシュ目的でも利用できます。
一方デメリットは、利用するたびに料金がかかる、利用日数に制限がある、などです。利用前に登録や予約なども必要なため、事前に行うべき対応を把握しておきましょう。
Q.一時保育に必要な持ちものは?
A.オムツ・着替え・昼寝用布団など通常の保育と同じような持ちものが必要です。
一時保育で必要な持ちものは、子どもの年齢や利用する施設によって多少異なります。一般的には、以下のような持ちものが必要です。
【一時保育に必要な持ちもの】
オムツ
着替え
昼寝用布団
タオル
エプロン
歯ブラシ・コップ など
なお乳児は、普段使い慣れている哺乳瓶や粉ミルク、冷凍母乳などが必要なケースもあります。
Q.一時保育の利用費用は?
A.自治体により利用費用は異なります。
一時保育の利用料金は、自治体ごとに幅があります。認可施設・認可外施設など、施設の特徴によって異なることも。例として、東京都新宿区・愛知県名古屋市の一時保育利用料をまとめています。
保育料 | 2,300円/1日 |
---|---|
保育時間 | 平日8:30〜17:00の8時間以内 |
月の利用日数 | 7日以内/1ヵ月(緊急時は1ヵ月以内) |
世帯区分 | 〜6時間 | 〜8時間 | 〜10時間 |
---|---|---|---|
市町村税所得割額が 40,800円以上 |
1,200円 | 1,600円 | 2,000円 |
市町村民税均等割のみ、 市町村民税所得割額が 40,800円未満 |
600円 | 800円 | 1,000円 |
※生活保護世帯、住民税非課税世帯は無料
Q.一時保育に従事するには資格が必要?
A.基本的に保育士資格が必要です。
厚生労働省の「一時預かり事業実施要綱」では、「保育従事者は原則2名以上、2分の1以上を保育士とする」と定められています。居宅訪問型の一時保育に関しては、子ども1名に対し居宅訪問型保育研修を修了した保育士等1名の配置が必要です。
しかし施設によっては、保育補助として一時保育に携われるケースもあります。
Q.一時保育に従事できる施設はどう見つける?
A.保育士求人を多く扱う求人サイトや自治体のホームページで探すのがおすすめです。
保育士求人が豊富な求人サイトには、さまざまな施設の情報を探せます。民間や企業など、幅広い勤務条件や待遇が紹介されており、忙しい方にも探しやすくおすすめです。求人情報に、具体的な業務内容が記載されているため、チェックしてみましょう。
また、各自治体ホームページで募集されている場合もありますので、ぜひ探してみてください。
保育士として子どもの心に寄り添い、一時保育に携わろう
一時保育は、保育園を利用していない保護者のニーズに応える重要なサービス。通常の保育とは異なり、限られた時間のみ子どもと触れ合うことが特徴です。保育士が子どもの気持ちにしっかり寄り添うことで、普段と違う環境でも安心して過ごせるでしょう。
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著者プロフィール
めんたいパスタ
人材紹介業、サービス業、障がい者雇用の分野で採用業務に従事した経験がある女性スタッフ。現在は保育分野の採用担当として、業務を通じて保育園で働くスタッフの負荷軽減になることを目標として活動している。