診療情報管理士とは?魅力やメリット、他医療職との違いを解説!
著者: そだねー
更新日:2023/12/22
公開日:2021/06/24
医療機関で活躍する職種はさまざまですが、今後需要が高まると言われている職種に「診療情報管理士」があります。医療従事者の中ではあまり馴染みのない職種のため、もしかすると診療情報管理士の魅力やメリットを知らない方もいるのではないでしょうか。そこで今回は診療情報管理士の仕事について、さまざまな観点からわかりやすく解説します。
目次
診療情報管理士とは
診療情報管理士とは、カルテの管理・運用を担当する専門職です。カルテの内容が正しいかを精査し、データ化します。患者さまの診療・個人情報を適切に管理するだけでなく、データの運用により質の高い安全・安心の医療提供や病院経営に貢献する役割を果たします。
また診療情報管理士は「HIM」と呼ばれることもあります。HIMとは診療情報管理士の英字表記である「Health Information Manager」の頭文字をとった略称です。
診療情報管理士の魅力・メリットとは
診療情報管理士は、医師や看護師のように医療現場で表立って活躍する職種ではありません。ここでは3つの観点から、診療情報管理士の魅力やメリットをお伝えします。
将来性が高い
医療現場においてもIT化が進んでおり、カルテの電子化は代表的な例です。診療記録などさまざまなデータが含まれるカルテは、医療の質の向上や病院経営、さらには医療研究にも活用されています。また医療費支払いの基準となる制度「診療録管理体制加算」が登場したことで、診療データは多方面で活用されています。そのため診療記録などのデータを管理・運用することを専門とした診療情報管理士の必要性は高まっていきます。
診療情報管理士は、医療現場のIT化だけでなく、高度化していく医療を支えるための将来性が高い職種です。
給料が高い
診療情報管理士は、医療の専門知識や経営管理、データ処理など総合的なスキルが必要です。さらに認定試験の難易度が高いため、資格所有も簡単ではありません。そのため給料水準は高い傾向にあります。
診療情報管理士になるまでの過程や業務内容の難易度は高いですが、それだけの給料がもらえる点はメリットの1つです。
やりがいがある
診療情報管理士が担当する業務は専門的であるため、替えがききません。医療の専門知識だけでなく、ITやコンピューター関連の知識も必要であることから、唯一無二の存在として重宝されます。
今後さらにIT化が進んでいく中で、知識を持ち合わせている診療情報管理士の役割は拡大していくでしょう。
一般的には夜勤がない
総合病院のような規模の大きい病院で働くことが多いですが、一般的には夜勤がありません。
ライフワークバランスを考えて、できれば夜勤を避けたいと言う方も多いのではないでしょうか。診療情報管理士であれば会社員のように日中をメインに働けます。
診療情報管理士の就業先・雇用形態とは
診療情報管理士の就業場所の多くは「診療録管理室」「病歴・図書室」「診療情報管理部門」となりますが、専門部門の「医療情報課」や「医事課」などに配属される場合もあります。 また雇用形態は、正社員、契約・派遣、パートなどさまざです。そのためライフスタイルに合わせて最適な形態で働くことができます。
診療情報管理士の資格を取得するには
「診療情報管理士認定試験」に合格し、資格を取得することで就職に有利になります。
認定試験は毎年2月に実施されています。日本病院会が発表したデータでは、平成30年実施試験の合格率は66.3%です。過去3年間の平均合格率は54.6%と、難易度が高いことがわかります。
また受験資格取得のためには、以下の条件が必要です。
①大学・短大・専門学校を卒業後、2年の通信教育を修了
②日本病院会認定の大学・専門学校を卒業
下記記事では診療情報管理士の資格について、さらに詳しくお伝えしているため、ぜひ参考にしてみてください。
診療情報管理士とその他医療職との違い
医療職には診療情報管理士以外にも、さまざまな職種があります。そのため各職種との違いを押さえることで、自分の適性に合った職種が選べるようになります。また他の職種との違いを明確にすることで、診療情報管理士の役割への理解が深まるだけでなく、志望動機を考える際にも役立ちます。
ここでは診療情報管理士と、「医療事務」「医療事務作業補助者(医療クラーク)」「医療情報技師」の3つの職種の違いをお伝えします。
診療情報管理士と医療事務の違い
診療情報管理士も事務職に分類される職種ではありますが、医療事務のように患者さまと直接関わる機会はありません。医師や経理などとやり取りをすることはありますが、基本的には裏方業務です。
一方医療事務は病院やクリニックの受付、経理処理、医師や看護師の業務補助などが主な仕事です。表に立つことも多く、多くの人とコミュニケーションを図る必要があります。
診療情報管理士と医療事務作業補助者(医療クラーク)の違い
医療事務作業補助者は医師の指示のもと、「医療に関する文書作成の代行」「カルテなどの代行入力」「医療サービスの質を高めるためのサポート」「行政上の業務」を行う職種です。診療情報管理士の業務にもある電子カルテの入力や診療・治療データの管理、がん登録なども実施します。
しかし診療情報管理士のようにカルテに特化した業務は行いません。カルテの管理・運用を目的とした診療情報管理士とは異なり、医療事務作業補助者は医師が本来の業務に専念できる環境を作ることを最大の目的としています。
診療情報管理士と医療情報技師の違い
医療情報技師は、医療関係の情報システムに関する専門職です。電子カルテをはじめとしたデータを管理するシステムの構築や、運用・保守などを担当します。イメージとしては、医療機関のシステムに対応するエンジニアです。
診療情報管理士はデータの分析や調査なども行うため、医療や医学に関する知識が求められます。一方医療情報技師に最も求められるのは、システム構築や保守に関するIT知識・スキルです。また診療情報管理士は資格取得が必須ではありませんが、医療情報技師は検定試験に合格して資格を取得する必要があります。
診療情報管理士にはたくさんの魅力とメリットがある仕事
今回は診療情報管理について、さまざまな観点からご紹介しました。
診療情報管理士には多くの魅力やメリットがあり、今後も需要が高まる職種です。雇用形態も正社員から派遣、パートとさまざまであるため働きやすい職種でもあります。診療情報管理士を目指している方や興味のある方は、ぜひ今回ご紹介した内容を参考にしてみてください。
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著者プロフィール
そだねー
北国出身。前職はコールセンターの採用を担当し、ソラストに転職後、医療事務採用業務に6年従事している。営業や現場とのパイプを持ち、日々変化し続ける医療事務の情報をキャッチアップすることに強みを持つ。