【一次救急・二次救急・三次救急とは】医療事務が知っておくべき救急指定の違い
著者: そだねー
更新日:2023/12/22
公開日:2022/01/06
医療機関はさまざま役割を持ち、そのうちの1つが救急指定病院です。医療事務として働くにあたり、この救急指定病院に就業・転職する可能性も考えられます。そこで今回は救急指定病院とは何かを踏まえ、一次救急・二次救急・三次救急の特徴や役割、違いを詳しく解説します。
一次救急・二次救急・三次救急の違い
一次救急・二次救急・三次救急の違いは、下記4つのポイントにあります。
・受け入れ患者の症状の度合い、緊急性
・来院方法
・受け入れ医療機関
・対応している診療、処理内容
自力で来院する一次救急は、一般的な地域病院や診療所などかかりつけ医としての役割を持ちます。一方、二次救急・三次救急は紹介、または搬送される形で来院する点が特徴です。一次救急ほど受け皿が多く、三次救急になるにつれて対応できる医療機関数も限られてきます。ひとくちに医療機関と言っても、一次救急・二次救急・三次救急かによって特徴や役割が異なる点を押さえておきましょう。
救急指定病院とは
救急指定病院は、消防法第二条第九項による「救急病院等を定める省令」によって定められている病院です。開設者が都道府県知事に対して救急業務に協力する旨を申し出た医療機関のうち、医療法第30条の4第1項に規定する「医療計画の内容」「医療機関の所在地域における救急業務の対象となる傷病者の発生状況等」を踏まえて認定されます。なお、具体的な指定要件として以下4点が定められています。
1.救急医療について相当の知識及び経験を有する医師が常時診療に従事していること。
2.エックス線装置、心電計、輸血及び輸液のための装備その他救急医療を行うために必要な施設及び設備を有すること。
3.救急隊による傷病者の搬送に容易な場所に所在し、かつ、傷病者の搬入に適した構造設備を有すること。
4.救急医療を要する傷病者のための専用病床または当該傷病者のために優先的に使用される病床を有すること。
都道府県知事に申し出た医療機関が上記4つの要件を満たしていることで、救急指定病院として機能できます。
救急指定病院の医療体制
救急指定病院では、都道府県ごとに作成される医療計画に基づき3段階の医療体制に分かれています。この3段階が「一次救急」「二次救急」「三次救急」です。三次救急にいくほど、傷病者の症状が重く、緊急性も高くなります。
救急指定病院の役割
医療体制が3段階に分かれている救急指定病院は、症状や緊急性を迅速に判断し、適切な診療を提供する役割を持ちます。来院、搬送される患者さまの中には、命の危機に迫る重篤な状態の方もいます。医療体制を整え、かつ明確な3段階の機能に分けることで、誰もが平等に医療を受けられる受け皿を用意しているのです。
一次救急・二次救急・三次救急の特徴・役割
ここでは、一次救急・二次救急・三次救急の各特徴・役割を詳しくみていきます。
【一次救急】軽症患者に対応する一般の外来診療
一時救急は軽症かつ緊急性が低く、入院治療の必要ない帰宅可能な患者に対応する救急医療です。比較的症状の軽い患者に対応し、必要に応じて二次救急以上の適切な医療機関に案内するケースもあります。一般急性期病院などが一次救急の役割を担い、具体的には各都道府県で配置される「休日夜間患者センター」や「救急(休日)歯科診療室」のほか、救急指定を受けている地域の開業医や病院が在宅当番制で対応します。
【二次救急】入院・手術が必要な重症患者を24時間体制で受け入れ
二次救急は、手術や入院が必要な重症患者に対応する救急医療です。救急患者の初期診療、手術から入院に対応し、24時間365日体制で救急患者の受け入れを行っています。二次救急は指定病院や救急告示病院が、「共同利用型病院方式」や「病院群輪番制」などの方法で対応する点が特徴です。「共同利用型病院方式」とは、地域の拠点病院などが開放した一部の施設に医師が出向いて診療を行う方法、「病院群輪番制」は二次救急指定を受けた複数の病院が当番制で救急患者の受け入れ・診療を行う方法です。いずれの病院も入院治療を提供できる設備や救急患者の専用病床が整っており、救急医療の豊富な知識・経験を備えた医師が常駐しています。
【三次救急】最もハイレベルな救命救急医療に対応
三次救急は、二次救急では対応できない重篤患者や特殊疾病患者の受け入れ、より高度な救命救急医療を提供します。三次救急の指定を受けている病院には救急救命センターや高度救命救急センターが設けられており、二次救急と同じく24時間365日体制で患者を受け入れています。医療機関の中でも最もハイレベルな救急医療を提供している、いわば「最後の砦」です。さらに三次救急は救急医療の教育機関としての役割も持ち、医療従事者が救急救命を学ぶ場でもあります。
救急指定病院は一次救急・二次救急・三次救急の3つの医療体制に分かれる
都道府県知事が認めた病院・診療は救急指定病院とされ、さらにそのなかで「一次救急」「二次救急」「三次救急」の3つの機能に分類されます。最も患者に身近なのが一次救急となり、二次救急以上は入院・手術が発生するハイレベルな救急医療を提供する役割を持ちます。今記事を参考に、一次救急・二次救急・三次救急の特徴・役割を押さえてみてください。
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著者プロフィール
そだねー
北国出身。前職はコールセンターの採用を担当し、ソラストに転職後、医療事務採用業務に6年従事している。営業や現場とのパイプを持ち、日々変化し続ける医療事務の情報をキャッチアップすることに強みを持つ。