2026年度の診療報酬改定で医療事務の給与・待遇はどう変わる?改定ポイントを解説
著者: そだねー
更新日:2026/10/16
公開日:2022/12/30

2026年度の診療報酬改定が行われ、6月1日より新たな診療報酬体系が施行されました。
ベースアップ評価料の要件見直しや外来機能の分化が進むなかで自身の働き方にどう影響するのか、疑問を抱えている方もいるのではないでしょうか。この記事では、改定による主な変更点や現場への影響を解説しますので、ぜひ参考にしてください。
目次
2026年度の診療報酬改定による医療事務への影響|給料や待遇には関係ある?
2026年度の診療報酬改定による医療事務への影響|仕事の進め方にどう関わる?
2026年度の診療報酬改定の概要
2026年度の診療報酬改定では、内容がどのようなもので、現場にいつから影響が出るのでしょうか。ここでは、改定の背景と方向性、改定率の全体像、告示から施行までのスケジュールという3点を整理します。
改定の背景と方向性
【改定の基本的視点(4つ)】
・物価・賃金上昇や人手不足など、医療機関を取り巻く環境変化への対応(重点課題)
・2040年頃を見据えた医療機関の機能分化・連携、地域包括ケアシステムの推進
・安心・安全で質の高い医療の推進(医療DXの推進を含む)
・効率化・適正化による医療保険制度の持続可能性の向上
診療報酬は、医療の公定価格を2年に1度見直す仕組みで、2026年度の診療報酬改定もこの定期改定にあたります。背景にあるのは、人手不足の深刻化に加え、物価高騰と賃金上昇が続いていることです。
国は基本方針で、環境変化への対応、2040年を見据えた機能分化・連携、質の高い医療の推進、制度の持続可能性の向上という4つの基本的視点を示し、なかでも医療従事者の賃上げを重点課題としました。こうした背景を踏まえ、医療で働く人の処遇を改善しながら、医療を安定して続けられる体制を整えることが、今回の改定の方向性です。
改定率の全体像(全体・診療科別)
| 改定率合計+3.09% |
|---|
| ・賃上げ分 +1.70% ・物価対応分 +0.76% ・食費・光熱水費分 +0.09% ・令和6年度診療報酬改定以降の経営環境の悪化を踏まえた緊急対応分 +0.44% ・その他改定分 +0.25% |
| ・後発医薬品置換えなどによる効率化分 -0.15% |
2026年度の診療報酬改定では、診療報酬本体の改定率が+3.09%に引き上げられました。3%を超える引き上げは30年ぶりで、賃上げ分の+1.70%と物価対応分の+0.76%が柱です。
他に食費・光熱水費分や、経営環境の悪化を踏まえた緊急対応分などが加わり、後発医薬品への置き換えによる効率化分として、-0.15%が差し引かれます。2年に1度の定期改定として2026年6月に施行済みで、診療科別では医科・歯科・調剤のいずれも引き上げられています。
改定のスケジュール(告示・施行・届出の時期)
| 時期 | 内容 |
|---|---|
| 2026年4月1日 | 薬価の改定 |
| 2026年6月1日 | 診療報酬本体・材料価格の施行 |
| 2026年7月 | 改定後初の6月診療分レセプト請求点検・レセコンベンダーの点数マスタ更新 |
| 2026年8月31日 | ベースアップ評価料の賃上げ実績報告書と中間報告書の提出期限(改定を挟むため、2025年度分の実績報告書と2026年度分の中間報告書で様式が異なる) |
| 2026年9月30日 | 一部の施設基準に関する経過措置(ホームページ掲載など)の期限 |
| 2027年3月31日 | 一部の施設基準の経過措置期限(該当する場合) |
| 2027年6月 | ベースアップ評価料の点数引き上げ(第2段階) |
表のとおり、2026年は4月に薬価、6月に診療報酬本体が施行され、8月31日に賃上げ実績報告書の提出期限、9月30日に経過措置の一部終了と、医療事務の実務に直結する節目が立て続けに訪れます。給与がいつ変わるかは勤務先の届出や算定次第になるため、制度の動きと自分の勤務先の対応を結びつけて確認することが大切です。
2026年度の診療報酬改定における5つの重要なポイント

2026年度の診療報酬改定は対象が広く、どこに注目すればよいか迷う人も多い改定です。ここでは、医療事務の仕事にも関わりの深い5つのポイントにしぼって解説します。
ベースアップ評価料の見直し
今回の改定で大きなテーマになっているのが、医療従事者の賃上げです。その中心が「ベースアップ評価料」の見直しです。ベースアップ評価料は、医療従事者の賃上げにあてるために、医療機関が国へ届け出て受け取る加算で、今回はその対象が広がりました。
新たに、医療事務などの事務職員のほか、40歳未満の勤務医師・勤務歯科医師、薬局の勤務薬剤師が対象に加わっています。
急性期・回復期入院医療の見直し
入院のある病院で働く人に関わるのが、入院料の仕組みの見直しです。急性期では「急性期病院A一般入院料」「急性期病院B一般入院料」が新設され、救急の受け入れ数や手術の件数によって、病院が届け出る区分が変わります。回復期に近い地域包括医療病棟なども、より細かく分かれました。入院料の区分によって、その病棟が担う役割や忙しさの傾向が変わります。
かかりつけ医機能の強化と外来医療の分化
外来医療では、かかりつけ医機能報告制度の初回の報告が、2026年1月から行われています。これは、医療機関が自院の持つ機能を都道府県へ報告する仕組みで、機能別の分類がよりはっきりします。
あわせて、大きな病院と地域の診療所との役割分担、いわゆる外来機能の分化も進みます。患者さんの流れが変われば、職場に期待される役割も変わります。
生活習慣病の管理料の見直し
生活習慣病の患者さんが多く通う診療所に関わるのが、生活習慣病管理料の見直しです。原則として「6か月に1回以上」の血液検査が要件になり、患者さんごとに「次はいつ検査か」を確認する場面が出てきます。
あわせて、療養計画書の患者署名欄がなくなるなど、手続きが簡単になる部分もあります。簡単になる部分と、新しく確認する部分が同時に出てくるのが今回の特徴で、診療所やクリニックでは、検査の予定をもれなく確認できることがポイントです。
あわせて、データにもとづく質の高い管理を行う医療機関向けに「充実管理加算」も新設されました。診療記録や検査データをきちんと管理できるかが、これまで以上に大切です。
診療データの連携を進める見直し
医療のデジタル化を進める見直しも行われ、これまで別々だった加算が「電子的診療情報連携体制整備加算」にまとめられました。この加算は、マイナ保険証がどれだけ使われているかなど、実際の活用度合いで決まります。
つまり、機械を入れるだけでは足りず、日々どれだけ使えているかがポイントです。受付では、マイナ保険証の読み取りや電子処方箋の案内を患者さんにスムーズに伝えられるかが求められます。電子処方箋など、他の仕組みとの連携も進んでいます。
2026年度の診療報酬改定による医療事務への影響|給料や待遇には関係ある?
2026年度の診療報酬改定では、医療従事者の賃上げが重点課題に位置づけられました。医療事務として働く人にどう関わるのか、賃上げの仕組みと対象になる職種から見ていきます。
賃上げの流れ|国から職員へ
国が診療報酬を引き上げ、医療機関がその分を届け出て受け取り、受け取ったお金を職員の給与にあてる、という流れになっています。
受け取ったお金は、対象職員の基本給や、毎月決まって支払われる手当の引き上げにあてることが決まりです。一時金ではなく、続けて支払われる賃金として反映する仕組みです。
賃上げの対象になる職種・対象外の職種
ベースアップ評価料の対象は、医療機関に勤務する職員です。看護職員、看護補助者、薬剤師、リハビリ職などが対象で、2026年度の改定では、新たに医療事務などの事務職員が加わりました。
一方で、経営者や法人役員、業務委託で働く人などは対象外です。制度のうえでの賃上げ目標は、多くの医療職で各年度+3.2%、事務職員と看護補助者は+5.7%と定められています。
ただし、これは制度上の枠組みで、実際の給与は、それぞれの勤務先の賃金制度にもとづいて決まります。
2026年度の診療報酬改定による医療事務への影響|仕事の進め方にどう関わる?

2026年度の診療報酬改定は、給料の話だけでなく、日々の仕事の進め方にも関わります。ここでは代表的な例として、仕事の中身・求められること・職種間の分担という3つの面から見ていきましょう。医療事務といっても担当はさまざまで、変化の受け方は職場によって異なります。
デジタルまわりの業務が中心になる
受付では、マイナ保険証の読み取り補助やオンライン資格確認、電子処方箋についての患者さんへの案内といった対応が日常業務になじんでいきます。生活習慣病の患者さんでは、検査の予定を確認する場面も出てきます。
一方で、療養計画書の患者署名欄が廃止されるなど、これまでの手順が簡単になる部分もあります。作業が新しいものに置きかわっていく、というのが今回の変化のイメージです。
操作より「案内」がポイントになる
新しく使うシステムは、日常業務の延長で操作できるものが中心です。医療事務の経験がある人なら、無理なく身につく範囲といえます。
それよりも大切なのは、手続きを患者さんにきちんと案内できることです。操作の手順が院内で共有されているかといった環境も、仕事の進め方に関わります。
職種のあいだで役割分担が見直される
医師の働き方改革を背景に、書類の作成補助や事前説明といった業務が、医師から医療事務など他の職種へ引き継がれる動きが進んでいます。単純作業はICTやAIによる自動化も進み、事務が担うのは、判断や調整が必要な仕事が中心になっていきます。
実際の対応は、多くの場合、院内の研修や手順書で示されます。制度の大枠を知り、変化があってもあわてずに対応できるようにしておけば、経験はそのまま自分の力になります。
2026年度の診療報酬改定に関するよくある質問
ここでは、2026年度の診療報酬改定について、医療で働く人からよく寄せられる質問をまとめました。給与への影響など、気になる点を確認してください。
Q.医療事務職は2026年度の診療報酬改定の給与改善の対象になる?
A.制度のうえでは対象です。2026年度の改定で、これまで対象外だった事務職員がベースアップ評価料に加わり、看護補助者と並ぶ各年度+5.7%の賃上げ目標が示されました。
ただし、対象であることと個人の給与が上がることは別で、実際の反映は勤務先や雇用元の賃金制度によります。
Q.改定は自分の給与にいつ・どう関係する?
A.診療報酬本体は2026年6月1日に施行されました。ただし個人の給与への反映の有無や時期は、雇用形態と勤務先・雇用元の賃金制度によって変わります。会社員として働く場合は、その会社の昇給の仕組み(例:年1回の定期昇給)を通じて見直されます。
まずは自分の勤務先や雇用元の賃金・昇給の仕組みを確認することが大切です。
2026年度の診療報酬改定を、自分の待遇を見直すきっかけに
2026年度の診療報酬改定では、診療報酬本体が+3.09%に引き上げられ、ベースアップ評価料の対象に医療事務などの事務職員が加わりました。仕事の面でも、デジタル機器の操作や検査スケジュールの管理など、新しいことを身につけながら経験を積んでいく機会が広がります。
制度の全体像と仕事の進め方の変化を押さえておくことが、これからの働き方を考える手がかりになります。
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著者プロフィール
そだねー
北国出身。前職はコールセンターの採用を担当し、ソラストに転職後、医療事務採用業務に6年従事している。営業や現場とのパイプを持ち、日々変化し続ける医療事務の情報をキャッチアップすることに強みを持つ。
監修者プロフィール
武井 智昭
2002年慶応義塾大学医学部卒業。内科・小児科の専門医資格を持ち2020年4月より医療法人つばさ会高座渋谷つばさクリニック院長(内科・小児科・アレルギー科)に就任。 この傍ら、株式会社TTコンサルティングを設立して医療機関へのコンサルティング・医学教育などを展開しており講演など多数実施。診療報酬に関しては医師会業務として理事(社会保険)を歴任。【保有資格<専門医資格>内科専門医・小児科専門医・感染症専門医・糖尿病専門医】