モンスターペイシェントとは|事例や原因、暴言に負けない対応方法をチェック!
著者: そだねー
更新日:2023/12/22
公開日:2022/04/14
理不尽な要求やクレーム、暴言や暴力、迷惑行為をはたらくモンスターペイシェント。不当に施設の評判を下げられたり、医療従事者や職員が精神的被害を受けたりすることがないよう、モンスターペイシェントへの対応を固めておく必要があります。今回はモンスターペイシェントの事例や原因、対応方法などをお伝えします。
目次
モンスターペイシェントとは
医療機関で過度なクレームや理不尽な要求をしてくる、かつ暴言や暴力に任せて感情をぶつけてくる患者やその家族のことを「モンスターペイシェント」と呼びます。モンスターペイシェントについては頭を抱えている医療機関も多く、「医師が診療・治療中に患者への対応へ困っていること」に対する調査ではモンスターペイシェントへの不安も大きいことがわかっています。
モンスターペイシェントの特徴
以下のような特徴を持つ患者は、モンスターペイシェントに当てはまります。
・無理な要求をしてくる
・ささいなことで過度なクレームをつける
・暴言や暴力行為、迷惑行為を繰り返す
・医療器具や設備などを破壊する
・脅迫してくる など
モンスターペイシェントは執拗かつ過度なクレームや要求、暴言や暴力などモラルに欠けた行動をとります。誰もが利用できる医療機関であるからこそ、医療従事者や職員はこうした患者に遭遇する機会もあり得るのです。
医療事務もモンスターペイシェントの対応にあたりやすい
医師の7割がモンスターペイシェントの対応にあたったことがあるように、モンスターペイシェントは身近に潜んでいます。患者の診療や治療に直接あたる医師や看護師だけでなく、窓口となる医療事務もモンスターペイシェントの対応にあたりやすいでしょう。特に待合室にいる患者は、何かあれば医療事務に問い合わせます。クレームや要求を受けやすい立場であることから、医療事務こそモンスターペイシェントの対応について押さえておくことが重要です。
モンスターペイシェントの事例5選
モンスターペイシェントは個人の都合で迷惑行為をはたらいてくることから、その内容はさまざまです。ここでは、モンスターペイシェントの事例をご紹介します。
事例1:執拗に対応を求め、迷惑行為を繰り返す
治療後に体調が悪化したところ、患者の娘が医師に対して「医療ミスなのではないか。説明してほしい」と来院。そこで説明し一度は納得しましたが、その後も来院するたびに執拗に説明を求め、ついには医師の対応時間が1日4時間を超える日も出てきました。十分な説明はしているので、他の診療に支障が出ないよう対応を看護師に任せたところ、そこに不満を感じて激昂。その後連日病院に居座り、大声を張り上げるなどの迷惑行為を繰り返すようになりました。
事例2:自分の要望が通らず怒鳴って暴れ出す
診療を踏まえて薬は不要と判断し、処方しなかったところ「言う通りに薬を出せ」と怒鳴り出しました。無理に処方はできないため、投薬は不要であることを説明しても理解してもらえず、ついには診療室で暴れ出しました。自分の要望通りにならないことに腹を立て、いつ誰かに危害を加えてもおかしくない状況になり、何人かで取り押さえる事態になったのです。
事例3:待ち時間に腹を立てる
病院が混雑しており、診療終了から支払いまでの時間が長いことに腹を立てて医療事務にクレームをつけました。結果的に待ち時間が長いのは病院が悪いとして、診察料や駐車料金の支払いを拒否。丁寧に対応しても「医療事務では話にならない、上の人間を出せ」と怒鳴り続けていました。
事例4:理不尽な要求や難癖をつけてくる
入院している患者家族に消灯時間なので帰宅を促したところ納得せず「消灯時間を変更しろ」と怒鳴り散らしました。説得して帰っていただいたものの、帰宅後に「無理矢理帰らされたので、車の鍵をなくした。探せ」と難癖をつけてきました。
事例5:理不尽な八つ当たりで暴力行為をはたらく
看護師が突然患者に平手打ちをされ、問い詰めたところ「治療の結果に納得できず、腹が立って誰かにぶつけたかった」とのこと。理不尽に病院関係者に暴力行為をはたらいてきた事例です。
患者がモンスターペイシェント化する原因
モンスターペイシェントに対応するためには、患者がモンスターペイシェント化してしまう原因を押さえておくことも重要です。ここでは患者側、医療機関側から原因について解説します。
患者側に考えられる原因
・医療機関に対する過度な期待
・モラルの欠如
・権利意識の向上
病院に行けば病気や怪我が治るかもと期待するのはいたって普通ですが、完治するかは別問題です。そんな中で過度な期待をもって医療機関にかかることで、思ったような結果にならないと裏切られたと感じ、モンスターペイシェント化してしまう傾向にあります。また患者ファーストで対応する方針がかえって患者の権利意識を高め、わがままを言っても許されると思わせてしまうのも原因の1つです。過度な期待や高い権利意識により、無意識的にモラルが欠如した行動につながっていると考えられます。
医療機関側に考えられる原因
・説明、コミュニケーション不足
・高圧的な態度
・話を聞き流している
医療機関側の対応により、普通の患者がモンスターペイシェント化してしまう可能性も十分にあります。医療機関の役割は患者の病気や怪我を治すことですが、ただ治すだけでなく気持ちに寄り添うことが大切です。そのため高圧的な態度で接したり、患者の言うことを聞き流すような対応をすることで患者の不満や不信感も募ってしまう可能性があります。
モンスターペイシェントの対応方法
事態を大きくせず迅速に収めるためにも、モンスターペイシェントの対応は慎重に行う必要があります。ここではモンスターペイシェントの対応方法について、重要なポイントをお伝えします。
話を聞くことに徹する
まず大切なのは相手の話を否定したり遮ったりせずに、しっかりと傾聴することです。反論や否定は、患者との間に対立関係を作ってしまいます。患者が何に対して不満を持ってクレームしているのか、迷惑行為に走っているのかを理解するためにも、落ち着いて相手の話を聞き状況を整理しましょう。
複数で連携して対応し、窓口は一本化する
聞き違い防止や事実関係を把握するためにも、複数人で対応しましょう。ひとりで事態を収めようとすると、かえって収拾がつかなくなる恐れもあります。特に交渉の際は言った言わなかったなどの二次トラブルを防ぐためにも、複数人での対応が原則です。そして情報の行き違いがないよう窓口は一本化し、事実や認識、伝達内容の食い違いを防止することが重要です。
毅然とした態度で対応する
暴言や暴力、脅しがあっても毅然とした態度で対応してください。また不当な要求に対してはうやむやにせず、きっぱりと断ることも重要です。なぜなら、うやむやな対応をしたり弱みを見せると、そこにつけ込んでヒートアップする恐れがあるからです。
対応方針やマニュアル、フローを構築する
モンスターペイシェントには組織で連携して対応する意識を持ち、最悪のケースを想定して警察や弁護士などとも連携できる環境を構築することが重要です。個々人が自己判断で対応したり自力で解決しようとすると、かえって事態が深刻化してしまう可能性もあります。モンスターペイシェントへの対応マニュアルやフローが構築されていることで、いざという時でも落ち着いて毅然とした態度で臨むことができます。
モンスターペイシェントには慎重に、組織で連携して対応しよう
モンスターペイシェントは身近な存在であり、いつ遭遇してもおかしくありません。そのためモンスターペイシェント化する原因や対応方法を押さえ、いざという時に落ち着いて対処できるようにしておくことが大切です。医療機関ではモンスターペイシェントの対応マニュアルやフローを構築し、全員が一律に対応できるようにしましょう。
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著者プロフィール
そだねー
北国出身。前職はコールセンターの採用を担当し、ソラストに転職後、医療事務採用業務に6年従事している。営業や現場とのパイプを持ち、日々変化し続ける医療事務の情報をキャッチアップすることに強みを持つ。