「医科医療事務管理士®認定試験」の概要解説!合格率や勉強法、合格の秘訣も紹介
著者: そだねー
更新日:2024/08/23
公開日:2019/09/29
保険制度や医療費の算定など、病院業務では欠かすことのできない医療事務に関する知識を証明する資格の1つが、医科医療事務管理士®です。本記事では、医科医療事務管理士®の資格取得を目指す方向けに、試験の概要やおすすめの勉強方法などについて解説します。
医療事務管理士®とは?
医療事務管理士®は、技能認定振興協会(JSMA)が実施する「医科医療事務管理士®技能認定試験」の合格者が取得できる民間資格です。試験に合格するためには、保険制度に関する知識、医療費の算定・請求に関する知識、医療に関する基礎知識、事務処理の技術・能力などが求められます。
医療事務の業務自体は資格がなくとも可能ですが、この資格を習得することで、医療の現場を事務面からサポートする能力がある人材であると証明することが可能です。
医療事務管理士が携われる仕事
医療事務管理士の資格を習得するためには、さまざまな専門知識が必要です。そのため、医療事務管理士は医療事務の専門家ともいえます。資格を習得することで、正確な診療報酬の算定などの事務作業はもちろん、後輩社員の教育、チーム全体の管理といったキャリアアップをすることが可能です。これにより、職場での信頼度が高まり、新しい役割を担うことも期待されます。
医療事務管理士®の資格を取得する利点
・専門知識とスキルの証明ができる
・キャリアアップの可能性が広がる
医療事務は未資格でも業務に就くことができる反面、スキルの証明につながる資格を習得することは、転職や就職などの際に有利に働きます。また、病院によっては、資格手当がもらえるなど金銭面での優遇を受けることも可能です。
医療事務管理士®と医療事務の違い
医療事務管理士®️は、医療事務の仕事に関連する「資格の名称」です。これに対し、医療事務は求人や職場で使われる「職種の名称」を指します。医療事務で働く際にあると便利な資格としては、医療事務技能審査試験や診療報酬請求事務能力認定試験など、複数あることも覚えておきましょう。
医科医療事務管理士®技能認定試験について
受験資格 | なし(年齢制限もなし) |
---|---|
受験方法 | 在宅試験・インターネット試験 |
受験料(学科・実技) | 7,500円(免除ありの場合5,400円)(ともに税込) |
受験日 | 在宅受験:毎月(毎月第4土曜日翌日の日曜日) インターネット試験:好きな時に受験可能 |
合格基準 | 在宅試験: 実技試験:点検・各作成問題ごとに約60%以上の得点をし、且つ3問の合計で約80%以上 学科試験:約80%以上 ※実技・学科とも合格基準に達した場合に合格と判定します。 インターネット試験: 学科試験および実技試験の総合計が70%以上の得点 |
合格率 | 約80% |
医療事務管理士®技能認定試験は、昭和49年にスタートした日本初の医療事務関連の資格です。歴史が古いため、たくさんの医療機関で認知が広まっています。試験の内容は、医科・歯科の2つに分かれており、いずれも年齢・性別・学歴・経歴などの制限はなく誰でも受験可能です。
また、インターネットを利用すれば受験日を自由に設定できる特徴もあります。
医科医療事務管理士®技能認定試験の問題内容
学科試験
学科試験は大きく3つの分野から、筆記(マークシート形式)で10問出題されます。
法規 | 医療保険制度・後期高齢者医療制度・公費負担医療制度などについての知識 |
---|---|
保険請求事務 | 診療報酬点数の算定・診療報酬明細書の作成・医療用語等の知識 |
医学一般 | 臓器・生理機能・傷病等についての知識 |
実技試験
・レセプト点検問題(1問)
・レセプト作成(外来・入院 各1問)
実技試験では診療報酬明細書を作成するための基礎知識が問われ、レセプト点検問題(1問)、レセプト作成(入院・外来各1問)の3問が出題されます。
医科医療事務管理士®技能認定試験の合格率、難易度
試験 | 合格率 | 難易度 |
---|---|---|
医科医療事務管理士 | 84.6% | ★★☆ |
歯科医療事務管理士 | 84.6% | ★★☆ |
医科医療事務管理士®技能認定試験の受験方法は2つ
医科医療事務管理士®技能認定試験では、ニーズに合わせて2つの受験方法の選択が可能です。ここでは、2つの試験方法をご紹介します。
インターネット試験(IBT
インターネット試験のIBT(Internet Based Testing)とは、インターネット上で試験の申し込みから受験、結果確認まですべて一貫して対応できるサービスです。実際の試験では、在宅試験同様の問題をパソコン上で回答します。IBTの導入により「会場試験」は現在行われておりません。
IBTはいつでもどこでも試験が受けられるだけでなく、結果がその場でわかるメリットがあり、他の国家試験でも徐々に活用が始まっています。
在宅試験
在宅試験は、自宅でテキスト、ノート等の資料や計算機を使用して答案作成を行う方式です。試験問題は受験日の3日前までに、自宅に届きます。答案の作成後は、提出期限までに、試験問題に同封された提出用封筒でポストに投函してください。
合否の結果については、試験実施後1ヵ月以内に文書で通知されます。
医科医療事務管理士®技能認定試験の勉強方法
医療事務管理士®技能認定試験の勉強方法には、主に独学する方法と、通信講座やスクールなどで教わる方法があります。それぞれの特徴を解説します。
テキストを購入して独学する
独学での受験は、教材選定やスケジュール策定などをすべて自分で行うことになります。現役の医療事務従事者、もしくは過去に医療事務の勉強をした方以外には、難しさがあるでしょう。しかし独学なら、自分の都合に合わせて好きなように勉強スケジュールを組める上、費用も参考書代のみで学べます。
通信講座やスクールで学ぶ
何から勉強すればいいのか分からない、1人では集中が続かないという方は、通信講座やスクールなどで教わるのがおすすめです。資格試験に詳しい講師にカリキュラムを組んでもらい、分からないことがあれば質問することもできます。受講料が必要になりますが、勉強のスケジュールがしっかり決まり、理解度も確認されるので、モチベーションを保ちやすいです。
教材の詳細はこちらをご覧ください。
医科医療事務管理士®技能認定試験に合格する秘訣4つ
医科医療事務管理士®️技能認定試験は若干難易度が高いため、しっかり対策することが大切です。ここでは、試験に合格する秘訣を4つ紹介します。
診療点数早見表に慣れる
試験会場にはテキストと診療点数表の持ち込みが許可されています。診療点数をすべて覚えるのは難しいからだといえますが、設問ごとで点数計算に時間を使うのはロスです。日頃から診療点数早見表に慣れておき、調べる時間を短縮するよう心がけるとよいでしょう。
簡単な問題は短時間で解けるようにしておく
実技試験で出題されるレセプト問題3問は、すべて得点率50%以上が合格に必要です。どれか1問を完璧に仕上げるのではなく、3問とも満遍なく作成できるよう心がけましょう。
実技試験3問は、それぞれ難易度が低・中・高の3段階に分かれるという特徴があります。難易度の低い問題を素早く解き、試験で難易度の高い問題に多くの時間を割けるよう練習することが大事です。
名称を正確に覚えておく
医療事務管理士®技能認定試験の問題には専門用語が多いので、勉強には用語の解説書が必須です。また、レセプト問題では、カルテに記載された内容を書き写さなければなりません。病名、薬の名称などを正確に書き写すのはもちろん、大文字か小文字かのわずかな違いも減点の対象となってしまいます。名称を正確に記憶し、書き損じないよう注意しておきましょう。
過去問を何度も解く
医療事務管理士®技能認定試験は、過去問を何度も解いて分析し、問題に慣れておくことが重要な試験対策のひとつです。知識を充分に蓄えてから過去問を解いた方が良いのでは、と思うかもしれませんが、早いうちに過去問を活用することで本番の問題がどんなものかイメージしやすくなり、対策もとりやすくなります。
医科医療事務管理士®や関連資格に関するQ&A
試験の内容や勉強方法について理解できたところで、医科医療事務管理士®️や関連資格に関するよくある質問をQ&Aの形式でご紹介します。
Q.「医療事務管理士®」と「メディカルクラーク」に違いはある?
A.「医療事務管理士®️」と「メディカルクラーク」では、求められる知識量や質に違いがあります。
「メディカルクラーク」は、正式名称を医師事務作業補助者と呼ぶように、医療事務に関する初歩的な知識を身に着けた人が目指す資格です。「医療事務技能審査試験」を受験し合格することで、獲得をすることができます。どちらの資格も「医療事務」の仕事に役立つことは変わりなく、段階的に取得をするのがおすすめです。
Q.医療事務管理士®を学ぶならどんなテキストや通信講座がおすすめ?
A.最新の出題傾向を反映した、テキストや通信講座を選ぶのがおすすめです。
医療事務必要とされる知識は、法改正の影響などにより日々変化をしています。そのため、試験対策においても最新の情報を反映したテキストや講座を選んで学習することが合格への近道です。
また、自身にあったテキストなどを選ぶことで、モチベーションを保ちながら学習を進めることができます。ソラストの医療事務に役立つ通信講座の利用も検討してください。
Q.医療事務管理士®の履歴書への書き方は?
A.「医科医療事務管理士(R)技能認定試験」と正式名称で記載しましょう。
履歴書に資格名を記載するときは、正式名称で記載しましょう。略称などで記載してはいけません。その他の資格を記載するときも同様ですので、正式名称についてはしっかり把握しておきましょう。
医療事務のスキルを証明するなら、医科医療事務管理士®の取得がおすすめ!
医科医療事務管理士®は、医療事務として働くのであれば取得をしておきたい資格の1つです。試験では法律の改定や制度変更などに伴う、最新の知識が求められます。学習をする際は、これらの情報も反映した最新のテキストや講座を活用していきましょう。また、試験については自宅で受ける事ができるため、時間にとらわれないのはおすすめのポイントです。
資格取得後については、知識を活かせる職場が見つかる「ソラジョブ」を活用して、就職や転職活動を進めていきましょう。インターネットでの検索はもちろん、専門のキャリアアドバイザーによる電話での相談も可能です。全国各地に豊富な求人があるため、ぜひ一度チェックしてみてください。
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著者プロフィール
そだねー
北国出身。前職はコールセンターの採用を担当し、ソラストに転職後、医療事務採用業務に6年従事している。営業や現場とのパイプを持ち、日々変化し続ける医療事務の情報をキャッチアップすることに強みを持つ。