メディカルクラークとは?資格試験・合格率や医療事務との違いも解説
著者: そだねー
更新日:2025/11/25
公開日:2020/08/06

メディカルクラークとは、医療事務の中でも専門性の高い知識を求められる職業です。医療機関で受付や会計、レセプト業務を担い、患者さんと医療スタッフをつなぐ重要な役割を果たします。本記事では、医療事務との違いや資格試験の内容、合格率、独学や講座の勉強方法や求人内容まで丁寧に紹介しています。
目次
メディカルクラークの資格試験(医療事務技能審査試験)内容や合格率
【独学・スクールを比較】メディカルクラークの資格試験(医療事務技能審査試験)の勉強方法
メディカルクラークの資格試験(医療事務技能審査試験)合格への対策
メディカルクラークに向いている人・向いていない人の3つの特徴
メディカルクラークの資格試験(医療事務技能審査試験)に関するよくある質問
Q メディカルクラークの資格は意味ないと言われる理由は何ですか?
Q メディカルクラークの資格を取得すると給料はどのくらい上がりますか?
Q メディカルクラークの資格を取るメリットとデメリットは何ですか?
メディカルクラークとは?

メディカルクラークとは医療現場で医師や看護師を事務面から支える専門職です。
メディカルクラークとは、病院やクリニックで医師や看護師の事務作業を支える職種です。診療報酬請求やカルテ管理、受付対応などを通じて、医療現場の事務処理を担います。専門的な知識と正確さが求められ、医療と事務の橋渡し役として重要な役割を果たしています。現場を円滑に運営するために欠かせない、やりがいのある仕事といえるでしょう。
メディカルクラークの資格試験(医療事務技能審査試験)や合格率を知りたい方はこちら
メディカルクラークと医療事務との違い
| メディカルクラーク | 医療事務 |
|---|---|
| ・専門的な医療事務を幅広く担当する ・高い知識と資格で医療チームを支える ・資格取得で専門性を証明できる |
・医療機関の事務全般を担う ・未経験からでも始めやすい職種 ・働き方や業務内容に幅がある |
メディカルクラークと医療事務は、どちらも医療現場を支える重要な職種ですが、役割や専門性に違いがあります。
メディカルクラークは、医師や看護師のサポートとして専門的な医療事務を幅広く担当し、高い知識や資格を活かしてチーム医療を支える専門職です。資格を取得することで自らの専門性を証明でき、キャリアアップにもつながります。
一方で医療事務は、受付や会計、診療報酬請求など医療機関全体の事務を担い、未経験からでも挑戦しやすい点が魅力です。働く場所や業務内容も多様で、自分のライフスタイルに合わせた働き方がしやすい職種といえます。
メディカルクラークの仕事内容

メディカルクラークは医療現場における事務の専門職として、病院やクリニックの運営を支える重要な役割を担っています。ここでは、日々の業務内容を具体的に解説し、医療事務として求められるスキルや姿勢を明確に紹介します。
受付業務を担当する
来院した患者さんを最初に迎える窓口として、保険証の確認や初診・再診の手続きを行います。診察券の発行、カルテの準備、診療科の案内などを通じて、スムーズな診療をサポートします。また、患者さんの不安を和らげる丁寧な対応や、正確な情報入力が求められます。医療機関の「顔」として信頼される対応が大切です。
診療報酬明細書(レセプト)を作成する
診療内容をもとにレセプトを作成し、保険者へ正確に診療報酬を請求します。医療点数や保険制度の仕組みを理解したうえで、入力ミスを防ぎ、エラーのない処理を行うことが重要です。また、提出期限を守るために業務の優先順位を明確にし、計画的に処理を進める力も必要です。緻密さと責任感が求められる専門的な業務です。
カルテや医療データを管理する
患者さんのカルテや診療情報を整理・保管し、必要なときにすぐ取り出せるように管理します。電子カルテシステムの操作にも習熟し、データ入力や更新を正確に行うことが求められます。また、個人情報保護法に基づく取り扱いルールを守り、プライバシーを徹底的に守る姿勢が重要です。正確さとセキュリティ意識が問われる業務です。
医師や看護師を事務面でサポートする
医師や看護師が診療に集中できるよう、スケジュール管理や各種書類の作成を担当します。検査結果の整理、紹介状の作成、外部機関との連絡調整など、業務内容は多岐にわたります。医療チーム全体の動きを把握し、報告・連絡・相談を徹底することで、現場の効率化と信頼関係の構築に貢献します。縁の下の力持ちとしての役割を果たします。
患者さんへの案内を行う
診療内容や予約方法、支払いの流れなどを患者さんにわかりやすく案内します。電話では予約変更や問い合わせ対応を行い、患者さんの不安や疑問を丁寧に解消します。時には体調や気持ちに配慮した柔軟な対応も求められ、安心感を与えるコミュニケーションが大切です。患者さんと医療をつなぐ重要な窓口として、誠実で落ち着いた対応が欠かせません。
【資格は必要?】メディカルクラークになるには
メディカルクラークの仕事は、医療行為を行わないため、特別な資格は必要ありません。主な業務は、受付対応や診療報酬請求、カルテの管理など、医療事務に関わるサポートが中心です。そのため、未経験からでも挑戦しやすい職種といえます。
ただし、医療制度や専門用語などの知識が求められるため、公益財団法人日本医療教育財団が認定する「医療事務技能審査試験(メディカルクラーク®)」の資格を取得しておくと、就職や転職の際に大きな強みになります。資格取得で得た知識を実務で活かしながら経験を積むことで、より高いスキルを身につけることができ、将来的なキャリアアップにもつながります。
メディカルクラークの資格試験(医療事務技能審査試験)内容や合格率

| 試験の対象 | 医療機関等における受付業務、診療報酬請求事務業務に関する職業能力 |
|---|---|
| 合格者に付与する称号 | メディカル クラーク®(医科・歯科) |
| 受験資格 | 問わない |
| 試験日 | 毎月実施 ※土日を中心に月複数回設定 |
| 試験実施方法 | インターネット試験(IBT方式・試験官による監視あり) 学科(50分):医療事務知識 入力・選択(○×・択一)方式 60問 実技(70分):患者接遇 入力・選択(択一)方式 2事例 診療報酬明細書(出来高請求)の作成 入力・選択(択一)方式 2症例 基本診療料および特掲診療料の項目ごとの計算 入力方式 15問 (医科)1日分の外来会計の点検・病名との突合 入力・選択(択一)方式 2症例 (歯科)治療の流れの点検・病名との突合 入力・選択(択一)方式 2症例 ※学科・実技ともに参考資料を見ることができる |
| 受験料 | 8,800円(税込)(医科・歯科) |
| 申込期間 | 当該試験日の1ヵ月前より1週間前まで |
| 申込方法 | インターネット申込み |
| 受験方式について | IBT(Internet Based Testing)方式 |
| 合否の判定 | 学科試験および実技試験の各々の得点率が70%以上を合格とする。 |
| 合格率 | 約60% |
メディカルクラークの資格試験(医療事務技能審査試験)は、医療機関での受付や診療報酬請求などに必要な知識と技能を評価する内容です。受験資格が問われないため、未経験からでも誰でも目指すことができます。試験は毎月土日を中心にIBT方式で実施され、学科と実技の両方で70%以上の得点が合格基準です。受験料は8,800円で、合格率はおよそ60%とされています。
【独学・スクールを比較】メディカルクラークの資格試験(医療事務技能審査試験)の勉強方法
メディカルクラーク(医療事務技能審査試験)は比較的合格率の高い資格とはいえ、自らの知識や能力を示すためには、しっかりと勉強しなければなりません。こちらでは、それぞれの勉強方法のメリット・デメリットをご紹介します。
勉強方法①独学
医療事務の資格取得を目指す際、独学は費用を抑えながら自分のペースで進められる方法です。学習内容やスケジュールを自由に決められる反面、自己管理能力や計画性が必要となります。ここでは独学の基本と特徴を解説します。
独学の勉強方法
独学で医療事務を学ぶ場合、市販のテキストや過去問題集を活用し、自分の理解度に合わせて進めるのが基本です。資格試験の出題傾向を分析し、苦手分野を重点的に復習することで効率的に知識を身につけられます。通信教育や動画講座を併用すれば、理解を深めながら継続的に学習を進めることも可能です。
独学で勉強するメリット・デメリット
| 独学で勉強するメリット | 独学で勉強するデメリット |
|---|---|
| ・コストがそれほどかからない ・自分のペースで勉強ができる ・スキマ時間を活用できる |
・テキスト選びや勉強のペース配分がすべて自己責任 ・実用的なイメージしにくいことがある |
独学はコストがかからず、自分のペースで勉強できるのが利点です。仕事や家庭と両立しながら進められ、通勤時間などのスキマ時間も活用できます。自分に合った学習スタイルを作りやすい点も魅力です。独学では教材選びや勉強計画の管理をすべて自分で行う必要があります。医療事務の実務経験がない人にとっては、内容をイメージしにくい場面もあります。継続的に学ぶためには、強い意志と工夫が求められます。
勉強方法②講座(スクール)
医療事務の資格を効率的に学ぶ方法として、講座やスクールの受講は有効です。専門的な指導を受けながら体系的に知識を身につけられるため、独学より理解しやすい点が特徴です。ここではその学び方と特徴を紹介します。
講座(スクール)の勉強方法
講座やスクールでは、医療事務の基礎から応用までを段階的に学びます。専門講師が実務を踏まえて解説するため、理解を深めやすい環境が整っています。模擬試験や実践練習を通して試験対策もできるのが特徴です。通学制と通信制から自分に合った形式を選べます。
講座(スクール)に通って勉強するメリット・デメリット
| 講座(スクール)に通って勉強するメリット | 講座(スクール)に通って勉強するデメリット |
|---|---|
| ・専門知識が豊富な講師が解説してくれるため、理解を深めやすい ・分からないことがあればすぐに質問できる ・周囲に同じ志を持つ人がいることがモチベーションアップにつながる |
・専門学校への通学、講座やスクールの利用は費用が高い ・通学や受講のためにまとまった時間を割かなければいけない |
講座の魅力は、専門知識を持つ講師から直接指導を受けられる点です。疑問点をすぐに質問できるため、理解を深めやすく効率的に学習できます。また、同じ目標を持つ仲間と切磋琢磨できることで、モチベーションを保ちやすい環境が整います。講座やスクールには一定の費用がかかることがデメリットです。さらに、通学や受講のための時間を確保する必要があり、忙しい人には負担となる場合があります。
メディカルクラークの資格試験(医療事務技能審査試験)合格への対策

メディカルクラーク(医療事務技能審査試験)合格につながる、特に気を付けたい試験対策を3点ご紹介します。前述の勉強法と併せて、押さえておきましょう。
過去問を解く
どの資格試験でもそうですが、メディカルクラーク(医療事務技能審査試験)でも過去に出された問題と似た内容で試験が行われます。複数年の過去問を解けるようになると、対応力も上がり、実際の試験でも高得点を獲得する確率が上がります。
見やすい資料を用意しておく
メディカルクラーク(医療事務技能審査試験)では、資料の持ち込みが許可されている科目もあります。ただ、試験の時間は決まっているので要点が分かりやすい資料がないと、時間切れになって答えられないということにもなりかねません。効率よくまとまった資料を事前に用意しておきましょう。
時間配分を意識して解く
試験当日は決められた時間内で問題を解いていくため、難しい問題に時間を取られすぎるのは得策とはいえません。確実に点数が稼げる簡単な問題は早めに片付けておくなど、時間配分を考えるのもおすすめです。
メディカルクラークに向いている人・向いていない人の3つの特徴
| メディカルクラークに向いている人の特徴 | メディカルクラークに向いていない人の特徴 |
|---|---|
| ・細かい作業や数字のチェックが得意である ・コミュニケーションを丁寧に取れる ・どんな状況でも冷静に対応できる |
・細かい業務が苦手である ・人と関わる仕事にストレスを感じやすい ・スケジュール管理が苦手である |
メディカルクラークの仕事には、医療現場を支える重要な役割が求められます。正確な事務処理や円滑なコミュニケーションが欠かせない一方で、性格や得意分野によって向き・不向きもあります。
メディカルクラークに向いている人の特徴
メディカルクラークとして活躍するには、正確さや丁寧さ、そして人との関わり方に配慮できる姿勢が求められます。以下では、この職種に向いている人の代表的な特徴を3つご紹介します。
細かい作業や数字のチェックが得意で正確さを重視できる
レセプト業務など、メディカルクラークには正確な数字管理が欠かせません。入力ミスや計算の誤りを防ぐためには、集中力と慎重さが必要です。細部まで気を配りながら作業を進められる人は、信頼を得やすく業務効率も向上します。一つひとつの作業を丁寧にこなす姿勢が評価される職種といえます。
患者さんや医療スタッフとのコミュニケーションを丁寧に取れる
患者さんと接する際は、安心感を与える明るく丁寧な対応が重要です。また、医師や看護師との情報共有や連携も多く、相手の意図を正確にくみ取る力が求められます。聞き取り力や言葉づかいに気を配りながら対話できる人は、現場で信頼を築きやすいでしょう。協調性と配慮のある姿勢が活かされます。
責任感がありどんな状況でも冷静に対応できる
医療現場では、急なトラブルや予定外の対応が発生することも少なくありません。そんなときに冷静さを保ち、的確に判断できる人は重宝されます。自分の仕事に責任を持ち、最後までやり遂げる意識があることが重要です。落ち着いた対応力と責任感を備えた人は、安心して業務を任せられる存在になります。
メディカルクラークに向いていない人の特徴
メディカルクラークの仕事は正確さと柔軟な対応力が求められるため、人によっては負担に感じる場合もあります。ここでは、この職種に向いていない傾向を持つ人の特徴を3つ取り上げます。
事務作業やデータ入力などの細かい業務が苦手である
メディカルクラークの業務は、書類作成やデータ入力、レセプト処理など細かい作業の連続です。集中力が求められるため、細かい確認を面倒に感じる人には不向きといえます。正確さを軽視しスピードを優先する姿勢では、ミスが増える恐れがあります。丁寧な作業が苦にならないことが求められます。
人と関わる仕事にストレスを感じやすい
患者さんや医療スタッフなど、さまざまな人と接する機会が多い仕事です。そのため、人間関係にストレスを感じやすい人は、業務に負担を感じやすくなります。特に、柔軟なコミュニケーションや対応力が求められる場面も多いため、人と関わることに苦手意識がある場合は続けにくい傾向があります。
スケジュール管理や優先順位を立てるのが苦手である
医療現場では、複数の業務を同時進行で進める必要があり、時間配分や優先順位の判断が欠かせません。予定通りに業務をこなす計画性がないと、現場全体に影響を与える可能性もあります。タスク管理が苦手で、整理整頓が後回しになる人は、スムーズに業務を進めることが難しくなるでしょう。
メディカルクラークの資格試験(医療事務技能審査試験)に関するよくある質問
Q メディカルクラークの資格は意味ないと言われる理由は何ですか?
Q メディカルクラークの資格を取得すると給料はどのくらい上がりますか?
メディカルクラークの資格試験(医療事務技能審査試験)は、医療事務職を目指す方にとって重要なステップです。ここでは、受験を検討している人から特によく寄せられる疑問をまとめました。
Q メディカルクラークの資格は意味ないと言われる理由は何ですか?
A. 資格が「意味ない」と言われる背景には、実務経験との関係があります。
メディカルクラークの資格が「意味ない」と言われる理由の一つは、資格だけで採用や昇給が保証されない点にあります。実務経験やコミュニケーション能力が重視される職場も多く、資格取得後にどのように活かすかが重要です。とはいえ、医療事務の基礎知識を体系的に学べる点で、未経験者には大きなメリットがあります。
Q メディカルクラークの資格を取得すると給料はどのくらい上がりますか?
A. 資格取得によって月1,000円〜30,000円ほど給料が上がるケースがあります。
メディカルクラークの資格を取得すると、資格手当として月1,000円〜30,000円ほど支給される場合があります。医療機関によって差はありますが、昇給や正社員登用の評価対象となることもあります。資格は即時の大幅な収入増というよりも、長期的なキャリア形成や安定した勤務条件につながる点が魅力です。
Q メディカルクラークの資格を取るメリットとデメリットは何ですか?
A. 資格取得には就職面の利点と、費用・学習時間の負担があります。
資格取得のメリットは、医療事務の知識が体系的に身につき、求人応募時のアピール材料になる点です。また、医療機関での信頼性も高まり、未経験者でも採用されやすくなります。一方で、受験料や教材費などの負担があり、独学では学習時間を確保する難しさもあります。目的意識を持って学ぶ姿勢が大切です。
Q メディカルクラーク(医療事務技能審査試験)のテキストや過去問はどこで入手できますか?
A. 公式教材や専門スクールで信頼性の高いテキストを入手できます。
メディカルクラークの公式テキストや過去問題集は、一般財団法人 日本医療教育財団の公式サイトや認定スクールで購入できます。書店やオンラインショップでも取り扱いがありますが、最新の出題傾向を反映した教材を選ぶことが重要です。公式教材を使うことで、効率的に合格を目指せます。
メディカルクラークの資格試験(医療事務技能審査試験)を通して医療現場で活躍しよう
メディカルクラークの資格試験(医療事務技能審査試験)は、医療事務のプロとして信頼を得るための大きな一歩です。学んだ知識やスキルは、医療機関の円滑な運営を支える力となります。資格取得をゴールではなく、キャリアアップのスタートとして活かすことが大切です。
今後のキャリアを考えるなら、まずは自分に合った職場を見つけることから始めましょう。ソラジョブ医療事務には、全国各地のあらゆる条件の求人が多数掲載しています。資格を取得することで手当てをもらえる求人もなかにはあるため、ぜひ次のキャリアへのステップをアップを目指しましょう。
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著者プロフィール
そだねー
北国出身。前職はコールセンターの採用を担当し、ソラストに転職後、医療事務採用業務に6年従事している。営業や現場とのパイプを持ち、日々変化し続ける医療事務の情報をキャッチアップすることに強みを持つ。