保育士の派遣は時給が高い?働くメリットや仕事内容・向いている人を解説
著者: めんたいパスタ
更新日:2024/09/24
公開日:2022/12/02
働き方の自由度が高い「派遣保育士」。正社員やパートの保育士と比べて、仕事内容や時給はどう違うのでしょうか。今回は、派遣保育士と正社員・パート保育士の違いや時給・給与の違い、メリット、仕事内容などを解説。また、派遣保育士に向いている人の特徴もご紹介しますので、自分の働き方と照らし合わせてみてください。
目次
派遣保育士とは?パート・正社員との違い
派遣保育士の最大の特徴は、雇用主が保育園の運営元ではなく人材派遣会社である点です。つまり、派遣保育士は一時的に外部から委託された保育士といえます。まずは、正社員やパートとの違い、派遣の種類についてご紹介します。
派遣保育士と正社員・パート保育士の違い
派遣保育士と正社員・パート保育士の大きな違いは、雇用主にあります。派遣保育士の雇用主は人材派遣会社であり、正社員・パート保育士の雇用主は保育園の運営元です。下記で、各観点から派遣と正社員・パート違いをみていきます。
派遣 | 正社員・パート | |
---|---|---|
雇用主 | 人材派遣会社 | 保育園の運営元 例:社会福祉法人、株式会社 |
給与支払い | 人材派遣会社 | 保育園の運営元 |
給与形態 | 時給制 | 正社員:月給制が多い パート:時給制が多い |
社会保険 | 人材派遣会社の社会保険に加入 | 保育園の運営元の社会保険に加入 |
福利厚生 | 人材派遣会社の規定に従う | 保育園の運営元の規定に従う |
雇用期間 | 有期雇用(原則上限3年) | 正社員:無期雇用 パート:無期・有期雇用 |
業務上の指揮命令権 | 保育園 | 保育園 |
派遣は業務上の指揮命令権以外、すべて人材派遣会社側に属します。そして派遣は有期雇用であり、同じ職場で働けるのは原則3年が限度です。一般的な雇用期間は3ヶ月〜1年であり、期中での派遣であれば年度末までの契約がよくあるケースです。雇用期間は人材派遣会社と保育園で取り決めるため、必ずしも希望期間で働けるとは限りません。
派遣の種類
派遣には、主に下記3タイプがあります。
登録型派遣 | ・一般的な派遣タイプ ・人材派遣会社に登録し、派遣先保育園に勤務する |
---|---|
紹介予定派遣 | ・直接雇用を前提に派遣先保育園に勤務 ・契約期間が終了し、保育士と保育園側が合意すれば正社員や契約社員などとして正式に雇用される |
無期雇用派遣 | ・人材派遣会社と無期雇用契約で働く ・上限3年の制約なし |
一般的な派遣タイプは、人材会社に登録して派遣f先を決める登録型派遣です。派遣保育士のほとんどは、登録型派遣として働いているでしょう。
また紹介予定派遣は、最長6ヶ月の契約期間が終了し、双方が納得すれば直接雇用される点がメリットです。しかし、人手不足ですぐにでも正社員を確保したい保育園が多いことから、保育業界で紹介予定派遣の求人は多くはありません。
そして、無期雇用派遣は派遣の3年ルールが例外となる派遣タイプです。派遣先が決まっていなくても収入が発生する点はメリットですが、一般派遣ほど働き方の自由度が高くない点がデメリットです。
派遣保育士の時給・給料はどれくらい?
派遣という働き方を選択するにあたり、時給や給料は重要なポイントでしょう。ここでは、派遣保育士の時給や給料、ボーナスについてみていきます。
派遣保育士の時給・給料相場
派遣保育士は、パート保育士に比べると時給が高い傾向にあります。時給は地域や保育園規模、保育士の経験年数などによって異なりますが、時給1,200〜1,800円ほどが相場です。2020年4月より派遣労働者の同一労働同一賃金がスタートしたことで、以前よりも安定した時給で働けるようになっています。
また厚生労働省「令和元年度幼稚園・保育所・認定こども園等の経営実態調査集計結果」によると、非常勤保育士の平均月収・年収は以下の通りです。
※年収=月収×12
私立保育園 | 公立保育園 | |
---|---|---|
平均月収 | 18.7万円 | 16.2万円 |
平均年収 | 225.3万円 | 195.4万円 |
非常勤にはパートやバイトも含まれるため、派遣だけでみると平均月収・年収はもう少し高くなります。保育士個人のスキルや経験によって時給も大きく変わるため、ベテランであるほど高時給が目指せるといえます。
派遣保育士にボーナスはある?
ボーナスは年収に大きく影響しますが、派遣保育士には基本的にボーナスがありません。派遣保育士の給与形態は多くの場合時給制で、働いた時間だけ給料が発生する仕組みであることが原因です。そのため、ボーナスのような労働外の特別手当が支払われることは基本的にないと考えておきましょう。
この点はパートやバイトも同様で、正社員の保育士と給与差が大きく開く点です。しかし、無期雇用派遣や紹介予定派遣の場合には、正社員と同様の条件でボーナスがもらえる可能性もあります。
派遣保育士として働くメリット・デメリット
派遣保育士として働く6つのメリット | 派遣保育士として働く3つのデメリット |
---|---|
・パート、バイトよりも時給が高い ・自由度の高い働き方ができる ・残業や仕事の持ち帰りが少ない ・条件に合う職場を見つけやすい ・人材派遣会社のサポートが受けられる ・人間関係に縛られない |
・雇用期間に限りがある ・キャリア、スキルアップしにくい ・職場に馴染みにくい |
派遣保育士として働く6つのメリット
・パートやアルバイトよりも時給が高い
・自由度の高い働き方ができる
・残業や仕事の持ち帰りが少ない
・条件に合う職場を見つけやすい
・人材派遣会社のサポートが受けられる
・人間関係に縛られない
派遣保育士の最大のメリットは、自由度の高い働き方ができることです。1日3時間週3日だけ働きたい、定時には必ず帰りたいなど理想の働き方がある場合、人材派遣会社が希望の条件に合う職場を見つけてくれます。ワークライフバランスを取りたい、介護や子育てなどで時間が限られるという場合にも働きやすいでしょう。
また、派遣保育士は業務範囲が明確であるため、想定外の残業や持ち帰り業務は発生しにくいです。雇用期間が決まっていて、職場の人間関係に縛られずに働ける点もメリットといえるでしょう。
派遣保育士として働く3つのデメリット
・雇用期間に限りがある
・キャリア、スキルアップしにくい
・職場に馴染みにくい
派遣保育士は雇用期間が決まっているため、たとえ自分に合う職場であっても、基本的には長く働くことができません。同じ職場で安定して働きたい方には、デメリットといえます。
また、保育園の方針によっては、派遣保育士は補助的な業務を行うのみという場合もあり、仕事の裁量が小さいと感じるケースもあるでしょう。正社員と同じフルタイム勤務であっても、スキルアップやキャリアアップが難しいといえます。
さらに、職場と直接雇用状態にならないことで、どうしても職場に馴染めないと感じる可能性もあるでしょう。ただし、派遣保育士のメリットは、自由度が高く人間関係に縛られにくい点です。さまざまな職場で経験を積める、と考えられる人には向いています。
派遣保育士の働き方|仕事内容や1日のスケジュール
派遣保育士は直接雇用の保育士と仕事内容が異なるのか、どのようなスケジュールで働くのかは気になるポイントの1つ。ここでは、派遣保育士の仕事内容や1日のスケジュールをご紹介します。
派遣保育士の仕事内容
・片付け、掃除
・子どものおむつ替え、排泄の手伝い
・お昼寝の準備、寝かしつけ
・お散歩や外出の同行
派遣保育士であっても、基本的に仕事内容は通常の保育士と変わりありません。しかし、方針は働く保育園によってさまざまです。
たとえば、派遣保育士にもクラス担任を任せる保育園もあれば、パートやバイトと同様に保育補助やフリーといった担任業務以外のみ任せる保育園もあります。クラス担任を任されることが多いのは、フルタイム契約の派遣保育士や正社員雇用を前提としている紹介予定派遣の保育士です。
また、派遣保育士は契約時間内での勤務となるため、基本的に残業がありません。その点で業務負担が少なく、正社員保育士ほど責任の大きい仕事は任されにくいといえます。
派遣保育士の1日のスケジュール
派遣保育士の働き方は人によって大きく異なりますが、下記で1日のスケジュール例をご紹介します。
週5日フルタイム勤務の派遣保育士例 | |
---|---|
08:30~ | 出勤 登園してきた子と朝の会まで遊ぶ |
09:45~ | 片付け後、朝の会 |
10:00~ | 各クラスに分かれて遊びの時間 お散歩、園庭で遊ぶ、製作するなどクラスによって活動内容はさまざま |
11:30~ | 手洗い、トイレなどを済ませてお昼ご飯の時間 |
13:00~ | お昼ご飯後、14:30までお昼寝タイム |
15:00~ | おやつの時間、その後は自由時間 |
17:00~ | 片付けやお迎えなどを行い、時間になれば退勤 |
派遣の働き方が向いている保育士・向いていない保育士
非正規雇用で働くことを検討している場合、派遣かパートかの選択肢で悩む方もいるでしょう。結論、派遣かパートが良いかは希望する働き方や向き・不向きが関係します。下記に当てはまる方は、派遣保育士が向いているといえます。
派遣保育士が向いている人の5つの特徴
・なるべく希望条件に合った保育園で働きたい人
・パートやバイトよりも高い時給で働きたい人
・人見知りしない人
・新しい環境にストレスを感じない人
・人間関係に縛られたくない人
派遣保育士の多くは、決まった契約期間内のみ同じ職場で働きます。長く同じ職場で働けないデメリットも踏まえたうえで、派遣のメリットの方が上回る場合には派遣保育士として働くのがおすすめです。
また、派遣保育士は職場が変わる頻度が多く、関わる人の幅も広い傾向があります。環境の変化にストレスを感じない人や、人見知りしない人に向いている働き方です。
派遣保育士が向いていない人の3つの特徴
・スキルアップを目指す人
・役職を目指す人
・責任のある大きな仕事がしたい人
保育士としてスキルアップやキャリアアップを目指す人は、派遣よりも正社員保育士の方が向いています。保育園によっては補助的な業務を派遣保育士の仕事とする場合もあり、派遣の働き方では業務の範囲が限られてしまうためです。
また、より裁量と責任の大きな仕事に携わりたい場合や、将来役職を目指す場合なども正社員として働く方が向いています。
派遣保育士の仕事・働き方に関するQ&A
派遣保育士の仕事や、働き方に関してよくある質問について分かりやすくお答えします。
Q.派遣保育士になる場合、どんな手続きや準備が必要?
A.基本的には、人材派遣会社への登録が必要です。
派遣保育士になるためには、保育士の派遣を行っている派遣会社に登録して、派遣先を紹介してもらう必要があります。紹介予定派遣の保育士になりたい方は、求人情報をよく確認してください。
また、無期雇用派遣を目指す場合は、人材派遣会社の選考を受けて採用される必要があります。無期雇用派遣であれば3年の制約がないため、収入が途切れず安定して働きたい方におすすめです。
Q.単発で働ける派遣保育士の求人はある?
A.保育園によってはありますが、求人数は少ない傾向です。
<単発などごく短期間で保育士が欲しいと考える保育園も、一部では見られます。単発で働ける派遣保育士の求人も出ていますが、求人数は少ない傾向で、自分が希望する期間で働ける可能性はあまり高くないでしょう。
Q.派遣保育士は未経験からでも目指せる?
A.実務経験がない場合でも、派遣保育士を目指せます。
基本的に「保育士」として働く場合には、派遣であっても保育士資格が必要です。中には、資格があれば「実務経験がない人でもOK」としている求人もあります。
また、保育士資格を持たない人でも、保育士のサポート業務を任される「保育補助」であれば勤務可能です。キャリアアップを目指すのであれば、現場で仕事をしながら資格取得を目指すのもよいでしょう。
Q.派遣保育士も産休や育休を取得できる?
A.産休は誰でも取得できますが、育休については派遣会社により条件がある場合もあります。
派遣保育士の方も、基本的に産休や育休を取得することは可能です。ただし育休については、雇用期間や週の所定労働日数などのルールが定められているケースもあります。詳しくは派遣会社の規定を確認しましょう。
派遣保育士のメリットを知り、自分に合う働き方を見つけよう
派遣保育士は、基本的に働く期間の制約があるものの、働き方の自由度が高く残業もほとんどないといったたくさんのメリットがあります。パートやアルバイトの職員に比べて、高収入を得やすい点も魅力です。ライフスタイルに合う働き方で保育士の仕事がしたい、興味があるという方は、派遣保育士の働き方を考えてみてはいかがでしょうか。
ソラジョブでは、たくさんの保育士求人の中から自分にぴったり合うものを探せます。勤務地や時間帯なども分かりやすく掲載されていますので、給与や雇用形態などで比較検討が可能です。保育士として働きたいけれど時間や曜日が限られる、という方もぜひ検索してみてください。
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著者プロフィール
めんたいパスタ
人材紹介業、サービス業、障がい者雇用の分野で採用業務に従事した経験がある女性スタッフ。現在は保育分野の採用担当として、業務を通じて保育園で働くスタッフの負荷軽減になることを目標として活動している。