保育士の派遣ってどうなの?時給や働き方、メリットやデメリットを調査!
著者: めんたいパスタ
更新日:2023/04/06
公開日:2022/12/02
近年保育士の働き方も多様化が進み、「派遣」として働くことを選択する保育士も増えつつあります。派遣は「時給が高い」「自由に働ける」「不安定」など、さまざまな意見を耳にします。そのため、実際のところ派遣保育士はどうなのか気になる方も多いでしょう。そこで今回は保育士の派遣について、時給や働き方、派遣で働くメリット・デメリットなど気になるポイントを詳しくお伝えします。
目次
保育士の派遣とは|正社員やパートとの違い
派遣保育士の最大の特徴は、雇用主が保育園の運営元ではなく人材派遣会社になる点です。つまり、派遣保育士は一時的に外部から委託された保育士といえます。まずは、正社員やパートとの違い、派遣の種類についてご紹介します。
正社員・パートとの違い
派遣と正社員・パートの大きな違いは、雇用主にあります。派遣の雇用主は人材派遣会社であり、正社員・パートの雇用主は保育園の運営元です。下記で、各観点から派遣と正社員・パート違いをみていきます。
派遣 | 正社員・パート | |
---|---|---|
雇用主 | 人材派遣会社 | 保育園の運営元 例:社会福祉法人、株式会社 |
給与支払い | 人材派遣会社 | 保育園の運営元 |
給与形態 | 時給制 | 正社員:月給制が多い パート:時給制が多い |
社会保険 | 人材派遣会社の社会保険に加入 | 保育園の運営元の社会保険に加入 |
福利厚生 | 人材派遣会社の規定に従う | 保育園の運営元の規定に従う |
雇用期間 | 有期雇用(原則上限3年) | 正社員:無期雇用 パート:無期・有期雇用 |
業務上の指揮命令権 | 保育園 | 保育園 |
派遣は業務上の指揮命令権以外、全て人材派遣会社側に属します。そして派遣は有期雇用であり、同じ職場で働けるのは原則3年が限度です。一般的な雇用期間は3ヶ月〜1年となり、期中での派遣であれば年度末までの契約がよくあるケースです。雇用期間は人材派遣会社と保育園で取り決めるため、必ずしも希望期間で働けるとは限りません。
派遣の種類
派遣には、主に下記3タイプがあります。
登録型派遣 | ・一般的な派遣タイプ ・人材派遣会社に登録し、派遣先保育園に勤務 |
---|---|
紹介予定派遣 | ・正社員雇用を前提に派遣先保育園に勤務 ・契約期間が終了し、保育士と保育園側が合意すれば正社員として正式に雇用される |
無期雇用派遣 | ・人材派遣会社と無期雇用契約で働く ・上限3年の制約なし |
一般的な派遣タイプは、人材会社に登録して派遣先を決める登録型派遣です。派遣保育士のほとんどは、登録型派遣として働いているでしょう。また紹介予定派遣は、最長6ヶ月の契約期間が終了し、双方が納得すれば正社員雇用される点がメリットです。しかし、人手不足ですぐにでも正社員を確保したい保育園が多いことから、保育業界で紹介予定派遣の求人は多くはありません。そして、無期雇用派遣は派遣の3年ルールが例外となる派遣タイプです。派遣先が決まっていなくても収入が発生する点はメリットですが、一般派遣ほど働き方の自由度が高くない点がデメリットです。
派遣保育士の時給・給料はどれくらい
派遣という働き方を選択するにあたり、時給・給料は重要なポイントでしょう。ここでは、派遣保育士の時給や給料、ボーナスについてみていきます。
派遣保育士の時給・給料相場
派遣保育士は、パート保育士に比べると時給が高い傾向にあります。時給は地域や保育園規模、保育士の経験年数などによって異なりますが、時給1,200〜1,800円ほどが相場です。2020年4月より派遣労働者の同一労働同一賃金がスタートしたことで、以前よりも安定した時給で働けるようになっています。
また厚生労働省「令和元年度幼稚園・保育所・認定こども園等の経営実態調査集計結果」によると、非常勤保育士の平均月収・年収は以下の通りです。
※年収=月収×12
私立保育園 | 公立保育園 | |
---|---|---|
平均月収 | 18.7万円 | 16.2万円 |
平均年収 | 225.3万円 | 195.4万円 |
非常勤にはパートやバイトも含まれるため、派遣だけでみると平均月収・年収はもう少し高くなります。保育士個人のスキルや経験によって時給も大きく変わるため、ベテランであるほど高時給が目指せるといえます。
派遣にボーナスはある?
年収に大きく影響するボーナスですが、派遣は基本的にボーナスがありません。派遣の給与形態は時給制であり、働いた時間だけ給料が発生する仕組みです。そのため、ボーナスのような労働外の特別手当が支払われることは基本的にありません。この点はパートやバイトも同様であり、正社員保育士との給与差が大きく開く点です。
派遣保育士の働き方|仕事内容や1日のスケジュール
派遣保育士は直接雇用の保育士と仕事内容が異なるのか、どのようなスケジュールで働くのかは気になるポイントの1つ。ここでは、派遣保育士の仕事内容や1日のスケジュールをご紹介します。
派遣保育士の仕事内容
派遣であっても仕事内容は通常の保育士と変わりありませんが、その方針は保育園によってさまざまです。たとえば派遣保育士にもクラス担任を任せる保育園もあれば、パートやバイトと同様に保育補助やフリーといった担任業務以外のみ任せる保育園もあります。クラス担任を任されることが多いのは、フルタイム契約の派遣保育士や正社員雇用を前提としている紹介予定派遣の保育士です。また派遣保育士は契約時間内での勤務となるため、基本的に残業がありません。その点で業務負担が少なく、正社員保育士ほど責任の大きい仕事は任されにくいといえます。
派遣保育士の1日のスケジュール
派遣保育士の働き方は人によって大きく異なりますが、下記で1日のスケジュール例をご紹介します。
週5日フルタイム勤務の派遣保育士例 | |
---|---|
08:30~ | 出勤 登園してきた子と朝の会まで遊ぶ |
09:45~ | 片付け後、朝の会 |
10:00~ | 各クラスに分かれて遊びの時間 お散歩、園庭で遊ぶ、製作するなどクラスによって活動内容はさまざま |
11:30~ | 手洗い、トイレなどを済ませてお昼ご飯の時間 |
13:00~ | お昼ご飯後、14:30までお昼寝タイム |
15:00~ | おやつの時間、その後は自由時間 |
17:00~ | 片付けやお迎えなどを行い、時間になれば退勤 |
派遣保育士として働くメリット・デメリット
ここでは、派遣保育士として働くメリット・デメリットをお伝えします。
派遣保育士として働くメリット
・パート、バイトよりも時給が高い
・自由度の高い働き方ができる
・残業や仕事の持ち帰りが少ない
・条件に合う職場を見つけやすい
・人材派遣会社のサポートが受けられる
・人間関係に縛られない
派遣保育士の最大のメリットは、自由度の高い働き方ができることです。1日3時間週3日だけ働きたい、定時には必ず帰りたいなど、人材派遣会社が希望の条件に合う職場を見つけてくれます。また派遣保育士は業務範囲が明確であるため、想定外の残業や持ち帰り業務は発生しにくい点も大きなメリットです。そして雇用期間が決まっているため、職場の人間関係に縛られずに働くことができます。
派遣保育士として働くデメリット
・雇用期間に限りがある
・キャリア、スキルアップしにくい
・職場に馴染みにくい
メリットにもなる一方で、デメリットにもなるのが雇用期間に限りがある点です。合わない職場に派遣された場合は雇用期間に限りがある点がメリットになりますが、自分に合った職場を見つけられた場合に長く働き続けられない点はデメリットです。また保育園によっては派遣に補助的な業務しか任せないため、スキルやキャリアがアップしにくい点はデメリットといえます。長年派遣として働くことで、経験年数に相応するスキルが身につかない可能性があります。そして正社員やパートとの壁を感じて職場に馴染めない、対等な関係を築きにくいといった声も聞かれます。
保育士は派遣とパートどっちが良い?
非正規雇用で働くことを検討している場合、派遣かパートかの選択肢で悩む方もいるでしょう。結論、派遣かパートが良いかは希望する働き方や向き・不向きが関係します。下記に当てはまる方は、派遣保育士が向いているといえます。
・なるべく希望条件に合った保育園で働きたい
・パートやバイトよりも高い時給で働きたい
・人見知りしない
・新しい環境にストレスを感じない
・人間関係に縛られたくない
派遣保育士の多くは、決まった契約期間内でしか同じ職場で働けません。そのデメリットも踏まえた上で、派遣のメリットの方が上回る場合には派遣保育士として働くのがおすすめです。また派遣は職場が変わる頻度が多く、その分関わる人の幅も広がります。環境の変化にストレスを感じない、人見知りしない方は派遣という働き方が向いているでしょう。
派遣保育士はメリットがたくさん!デメリットも押さえた上で働き方を選ぼう
保育業界は慢性的な人手不足であることからも、柔軟に人手が確保できる派遣の需要は高いといえます。派遣は自由度の高い働き方ができる、パートよりも時給が高いなど魅力的なメリットが多い一方で、デメリットも存在します。派遣保育士という働き方を選択するにあたり、必ずデメリットも押さえることが大切です。今記事を参考に、派遣保育士への理解を深めてみてください。
この記事は役に立ちましたか?
このコラムをシェアする
著者プロフィール
めんたいパスタ
人材紹介業、サービス業、障がい者雇用の分野で採用業務に従事した経験がある女性スタッフ。現在は保育分野の採用担当として、業務を通じて保育園で働くスタッフの負荷軽減になることを目標として活動している。