医療事務とは?仕事内容や気になるお給料・持っておくと役立つ資格などを解説
著者: そだねー
更新日:2023/12/22
公開日:2020/01/09
医療事務とはどのような職業なのでしょうか?イメージはあっても仕事内容などを具体的に知らないという方も多いかもしれません。ここでは医療事務になる方法、医療事務の仕事内容、お給料など医療事務について詳しく解説します。お給料や向いている人ついてなどもご紹介しますので参考にしてみてください。
目次
医療事務とは、病院やクリニックなどの医療機関で働く事務職です。窓口での患者の対応をはじめ、医療費の計算やカルテ管理など、医療機関の事務作業を担当します。主な業務は「受付/会計業務」「レセプト業務」「クラーク業務」の3つです。
医療事務の担当者が活躍することで他の医療従事者がそれぞれの業務に集中できるため、組織の業務効率化に欠かせない存在です。患者様と直接触れ合う機会も多いので医療機関の顔とも言えます。
資格を取得していればより専門的に業務に携われますが、無資格・未経験でも働ける点が特徴です。
医療事務になるには
医療事務は、無資格・未経験からでもなれる職種です。資格や経験がなくても「無資格、未経験可」の求人に応募し、採用されれば晴れて医療事務として働くことができます。
ただし、業務の中には診療報酬やカルテなど、専門的な知識を要する業務も多くあります。未経験から医療事務を目指す場合には、資格取得を志している姿勢や将来のビジョンを明確にしておくことが重要です。そしてそれらを踏まえて、履歴書や面接において志望動機で熱意を伝えましょう。
競争率の高い求人などは資格の有無や経験が買われますので、キャリアアップの意味でも資格取得を目標にするのがおすすめです。
医療事務の仕事内容
医療事務の仕事内容は大きくわけて下記の3つです。
・受付/会計業務
・レセプト業務
・クラーク業務
それぞれ詳しく解説します。
受付/会計業務
医療事務の仕事の代表例といえるのが受付・会計業務です。病院やクリニックの顔としての役割もあり、事務処理能力に加え接客スキルも重要です。
受付・会計業務は以下の3つに分類できます。
・診察券の発行と保険証の確認
・カルテの準備
・医療費の会計
診察券の発行と保険証の確認
初診の患者には診察券の発行をします。再診であれば患者が持ってきた診察券を確認します。すべての患者に対し、月初めの受診時には保険証を提示してもらい、保険者番号や期限に変更がないかの確認を行います。
カルテの準備
カルテ(診療録)の記入は基本的には医師が担当するのがルールです。最終確認と署名を医師が行うことを条件として、事務職員がカルテの記入を代行することができます。
医療事務はカルテの準備として、患者の氏名や住所、保険証情報、問診票の内容のみを記入するのが一般的です。資格や経験がある場合は「電子カルテ」の代行入力まで対応が可能です。
医療費の会計
医療保険制度の決まりに従って、患者の診察内容に応じた医療費および請求額を計算し会計します。その後、次回来院予約手続きや薬局の案内をすることもあります。
レセプト業務
レセプトとは「診療報酬明細書」のことです。医療機関の収入のほとんどは、このレセプトを各関係機関に提出することで得られており、レセプト業務は医療機関経営の重要な仕事のひとつといえます。レセプト業務の柱となるのは「レセプトの作成・点検」と「診療報酬の請求」の2本です。
レセプトの作成・点検
診療情報をカルテから確認して、医療保険制度で決められたルールに従いレセプトを作成します。治療や投薬、診療の基準に基づき、診療報酬点数を計算しなければいけません。作成したレセプトは点検を行い、間違いがあれば訂正します。レセプトはコンピュータで処理するのが一般的ですが、入力の見落としや誤りがないかは目視でのチェックが必要です。
診療報酬の請求
作成したレセプトを提出し、診療報酬を請求することも医療事務の仕事としてあります。
請求先は「国民健康保険団体連合会」や「社会保険診療報酬支払基金」などの関係機関です。患者の加入している保険ごとに異なる関係機関に対して診療報酬の請求をします。また、レセプトの提出には期限があるため、期日までに確実にレセプトを提出しなければいけません。
クラーク業務
クラーク業務とは、医療従事者と患者のコミュニケーションを橋渡しする業務です。規模の大きい病院では、外来クラークと病棟クラークに分かれています。
外来クラークの業務には、外来患者への受付や電話応対、患者の呼び出し、検査室への案内、カルテの整理、レントゲンの準備などがあります。病棟クラークの業務は、入院病棟における事務作業全般です。入退院の手続きや食事伝票の作成、手術・検査スケジュールの管理などがあります。規模の小さな病院では外来クラークと病棟クラークの区別なく業務を担う場合もあります。
【一例】医療事務の一日
医療事務の働き方や仕事内容が具体的にイメージできるように1日のスケジュール例をご紹介します。医療機関によってスケジュールはさまざまであるため、一例として参考にしてみてください。
08:00 | 出勤 | 出勤後、着替えやレジ準備、清掃を済ませる。 |
08:30 | 午前の受付開始 | 来院患者さまの受付対応。保険証や診察券の受け取り、合間でレセプト作成などを行う。受付業務の担当でないときは、クラーク業務やカルテ管理などを担当。 |
12:00 | 昼休み | 午前診療が終わったら、昼休み。忙しい日は、交代で昼休みを取る場合もある。 |
13:00 | 午後の受付開始 | 午後の診療が開始したら、午前と同じように担当業務を行う。 |
16:30 | 診療終了 | 最後の患者さまをお見送りし、片付けやレジ閉めを行う。院内の清掃や、業務中に終わらなかったレセプト業務なども診療後に実施。 |
17:00 | 退勤 | その日の業務が終了したら退勤。月初やレセプト作成などが立て込んでいる日には、残業が発生する場合がある。 |
上記は、受付をメインで担当している一般的な医療事務の例です。医療事務の1日のスケジュールは働く医療機関や担当する業務によって大きく異なることを押さえておきましょう。
医療事務の給料はいくら?
医療事務として働くことを考えたとき、やはりお給料のことは知っておきたいものです。
ソラスト医療事務の「東京都の求人」を参考にした医療事務の給料はおおよそ以下の通りです。
正社員 | 派遣 | パート |
---|---|---|
18~28万円程度 | 1,280~1,800円程度 | 1,013~1,500円程度 |
地域や医療機関の規模、役職の違いによって給与に幅があります。賞与や手当が出る場合や、保有資格の有無によっても差をつけるところなどもありますので求人先の待遇についてはよく確認しておきましょう。
医療事務関連の主な資格試験
医療事務は、医療関係の職種としては珍しく仕事をするのに必須の資格はありません。
しかし、医療事務のスキルを測る民間資格はいくつかあります。これらを取得することで採用や昇給の際に優遇されることも。
採用選考時に未経験者であっても、資格を持っていることで向上心や適性をアピールできます。働きながら資格を取得し、異業種から医療事務に転職する人も多くいるので、ぜひご参考にしてください。
ここでは医療事務の仕事に関係するおすすめの民間資格を4つ紹介します。
医療事務技能審査試験(メディカルクラーク)
全国に試験会場があり受験者数が多く、医療事務資格のなかでは比較的メジャーな資格です。受験資格は特にありません。医科と歯科があり、医科は年12回、歯科は年6回試験があります。
試験科目は診療報酬請求事務技能や窓口業務等で求められる患者接遇の技能などです。資格を得ると幅広く医療事務の知識を身につけている証明となるでしょう。
医科医療事務管理士技能認定試験
「医療事務管理士」は、日本で最初の「医療事務の資格」として幅広く医療機関に認知された資格です。学科試験と実技試験があり実技試験ではレセプトの点検・作成問題などが出題されます。資格を得ると診療報酬を正しく理解するエキスパートとしてレセプト業務の主力となれるでしょう。
受験資格は特になく、医科と歯科に分かれています。また、インターネット試験、在宅受験が可能なので、仕事をしながら資格取得を目指す方にとってはチャレンジしやすいでしょう。
診療報酬請求事務能力認定試験
診療報酬請求事務に携わる人材の資質の向上を図るための試験です。医科と歯科で別々に試験があります。それぞれ学科試験と実技試験が用意されており、試験は年に2回、日曜日または祝日に開催されます。また、受験資格は特にありません。
合格率は28~30%と比較的難易度の高い試験ですが、その分取得していると採用や昇給時に高い評価を得られるとの声が多い傾向です。
医療事務認定実務者試験
学科と実技の試験を通して、受付を主にした医療事務に関する幅広い知識、技能を求められる試験です。試験はすべてマークシート形式であり、難易度は比較的低いとされています。
受験資格は特にないため、未経験の方でもチャレンジしやすい資格でしょう。試験は毎月実施されており、医療事務の資格試験を初めて受ける人にもおすすめの資格試験です。また、認定機関のほか、在宅での受験が認められています。
医療事務で働くメリット
医療事務はライフステージの変化が大きい女性を中心に人気の仕事です。なぜでしょうか?ここでは医療事務として働くメリットを3点、紹介します。
全国どこでも働ける
医療事務として働いて身につけたスキルや経験は、全国どこにいっても通用します。
医療機関はどんなところにもあるので、配偶者の転勤や引っ越し、Uターン就職の際にも仕事を見つけやすいのが魅力です。
柔軟な働き方ができる
医療事務は正社員だけでなく、契約社員やパート、アルバイトなどさまざまな雇用形態で働くことができます。育児や介護をしている人でも、自宅近くの医療機関の時短やパート、アルバイトの仕事を選べば、時間に融通の利いた働き方ができます。知識と経験を積めば、一度離職しても職場復帰しやすいこともうれしいポイントです。
未経験でも働ける
医療事務は資格や経験がなくとも就ける医療関係の仕事です。これから医療系の専門スキルが得られる仕事をはじめたい人におすすめです。患者への接遇スキルも重要視されることから、接客・販売業経験者を歓迎している求人も見受けられます。他業界からのキャリアチェンジとして医療事務を選択するのもよいでしょう。
医療事務の大変なところは?
医療事務には受付以外にも会計やレセプト作成などさまざまな業務があります。業務内容の幅が広いため覚えるべきことがたくさんあるという点が大変なところと言えるでしょう。
また、患者以外にも医師や看護師など立場の違う多くの人達とコミュニケーションを取らなければいけません。多方面に気遣いをしながら仕事をすることが求められます。
しかし、幅広い業務に携わることで豊富な経験と知識を得ることができます。仕事を続ければ続けるほど新しいことを吸収でき、スキルアップにつながります。
医療事務に向いている人とは
ここでは医療事務に向いている人の特徴をご紹介します。医療事務への転職や就職を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
明るくコミュニケーション力が高い人
患者が来院して最初に訪れる場所は窓口です。そこで働く医療事務は、医療機関の顔として対応をします。患者の不安を少しでも取り除けるよう、明るくコミュニケーションができる人材が求められます。患者だけでなく、医師や看護師など多くのスタッフとも連携を図るポジションです。コミュニケーション力が高く、明るく笑顔で他者に接することができる人は医療事務に向いているといえるでしょう。
正確かつ迅速に仕事ができる人
医療事務の仕事のひとつ、レセプト業務やクラーク業務は、必要な業務を正確かつ迅速に捌く力が必要です。扱うデータや情報を正確に扱わなければ、重大なミスにつながりかねません。そのため正確に、かつ迅速に仕事に取り組める人は、医療事務として活躍できるでしょう。
臨機応変に対応できる人
医療機関は患者の急変など想定外の出来事が起こりやすい環境です。医療事務は医療処理が施せなくとも医療機関で働く立派な医療従事者の1人です。その自覚を持ち緊急時には臨機応変に適切な対応をする必要があります。そのため正しい状況判断ができ、状況に合わせて臨機応変に対応できる人は医療事務に向いているといえます。
数字が好き・扱いに慣れている人
医療医務はレセプト作成など、数字に関わる業務が多い点も特徴です。難しい計算はありませんが、診療報酬や医療費などはミスが許されないもの。数字が好きであったり、扱いに慣れていたりする方は医療事務の業務を苦に感じないでしょう。
実際に医療事務で働いた人の体験談
実際に医療事務で働いている人はどのような意見や感想を持っているのでしょうか。ここでは医療事務で働いた人の体験談について紹介します。
「病院によって任される業務や雰囲気に違いを感じた。小規模のクリニックだと広くさまざまな業務を任されるのでよい経験になった。医師、看護師、患者様との距離も近くフレンドリーな空気が自分に合っていた。見学ができる求人先は見に行ってみるのがおすすめです。」
「診療科によって患者に対するベストな接遇方法が違っていた。一般的な内科や小児科などでは笑顔でホスピタリティのある接遇が求められることが多かった。精神病棟は逆に淡々とした対応を取るように指示された。患者に対する接遇で悩んでいる場合でも、自分に合った接遇方法を取れる求人先を選ぶとよいと思います。」
「医療事務の仕事は苦労する点が多かったのですが、患者から「ありがとう」と感謝の言葉を貰えることが多くてやりがいを感じられた。仕事ではレセプト作成や会計、カルテ管理などミスが許されず、仕事の難易度が高い点は大変だった。職場によって残業の多さや業務量に違いがあるため注意して求人を選びましょう」
医療事務はこれからもニーズが増加される見込みあり!やりがいのある仕事です
医療事務はライフスタイルに合わせて働きやすく、人の健康を支えるやりがいのある仕事です。高齢化が進むこれからは、医療機関に通う患者が増え、ますますニーズが高くなることが予測されます。安心して長く働き続けたい方にとっても、メリットの大きい仕事です。未経験でも可能な求人があり、異業種からの転職やブランクありからの就職先としても人気です。これからのキャリアアップとして、医療事務にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
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著者プロフィール
そだねー
北国出身。前職はコールセンターの採用を担当し、ソラストに転職後、医療事務採用業務に6年従事している。営業や現場とのパイプを持ち、日々変化し続ける医療事務の情報をキャッチアップすることに強みを持つ。