【レセプト点検のマニュアル】レセプト点検のコツや役立つ資格などをご紹介
著者: そだねー
更新日:2023/12/22
公開日:2022/05/05
レセプトに関する重要な業務の1つに、レセプト点検があります。今回はレセプト点検のマニュアルとして、レセプト点検の仕事内容や点検のコツ、レセプト点検のスキルを上げる資格についてご紹介します。特に医療事務に初めて携わる方は、必見です。
目次
レセプト業務とレセプト点検
医療事務の重要な業務の1つに、レセプト業務があります。まずはレセプト業務とは何か、そしてその業務の1つであるレセプト点検についてお伝えします。
レセプト業務とは
医療機関の収入源にもなる診療報酬は、診療報酬点で決まります。この診療報酬点を計算し、必要機関に診療報酬を請求する一連の業務がレセプト業務です。レセプトはカルテにある診察内容などの情報から、医療保険制度に従って作成します。医療や保険に関する知識が必要であり、かつ医療機関の収入にも関わる重要なものであることから、専門性と正確性が求められる業務です。
レセプト点検とは
レセプト業務は作成だけでなく、作成されたレセプトの入力ミスや内容の不備をチェックする点検業務もあります。レセプト内容が正しくないと査定や差し戻しなどが発生し、医療機関の信用性や収入に影響が出てしまいます。そのため点検は、レセプト業務の中でもっとも重要な作業と言っても過言ではありません。
点検はシステムやソフトによって自動化されているケースもありますが、最終的には目視で行います。そのためそもそもレセプトの内容をしっかり理解していないとできない、専門的な業務なのです。
レセプト点検の仕事内容
レセプト点検は、以下が主な仕事内容となります。
・入力データに誤りがないか確認する
・入力データに漏れがないか確認する
・病名と診療内容に整合性があるか確認する
・医師に確認を求める
・必要であれば修正を行う
入力データに誤りがないか確認する
レセプトは、日々入力しているデータをもとにコンピューターが自動的に作成してくれます。しかし入力データがそもそも間違っていると、レセプト内容にも誤りが生じます。そのため第一に重要なのは、入力データに誤りがないかを確認することです。また入力データに誤りがあると、レセプト作成もスムーズにいかず、仕事に遅れが出てしまいます。
入力データに漏れがないか確認する
診療報酬は、「診療」「投薬」「手術」などさまざまな医療行為に設けられている点数をもとに決定します。そのためレセプト作成にあたり、患者さまが受けた医療行為に基づいて、正しい診療報酬点を計算しなければなりません。たとえば診療と投薬を受けたのに、投薬の点数が含まれていないようなケースは、医療機関の収入に損失を与えてしまいます。入力データの誤りと合わせて、漏れがないかを確認することも重要です。
病名と診療内容に整合性があるか確認する
病名において、妥当な医療行為がなされているかを確認することもレセプト点検の1つです。診療報酬点を計算するにあたり、患者さまが診断された病名と施された医療行為には整合性が求められます。診療報酬点を稼ぐための故意な操作はもちろん厳禁ですが、まれに医師が誤申告しているケースもあります。このようなミスを発見するためにも、病名と診療内容の整合性のチェックは欠かせません。
医師に確認を求める
病名と診療内容の整合性が取れていないことが確認できた場合は、医師へ確認を求めることが必要です。医療事務が実際の診療を担当しているわけではないため、医師しかわかりえない内容を勝手に修正してはいけません。
必要であれば修正を行う
医師に確認を求め、修正が必要との指示があればデータを修正します。そのほか、最終的な目視確認などでミスや漏れがあれば、その都度修正していきます。診療内容など医師の担当内容の修正は、修正後に医師に再確認してもらい、内容が適切だと判断してもらうことでレセプト作成が完了します。
レセプト点検のコツ
レセプト内容にミスや不備があると査定や返戻の対象となり、差し戻しや診療報酬点の減点が発生します。なかには防ぐことが難しい減点や返戻もありますが、大部分はレセプト点検で解決できる単純ミスによるものです。できる限り不備やミスがなく、請求通りの診療報酬を得るためには、以下ポイントを押さえることが大切です。
・詳細にチェックすべき項目に注力する
・医師への確認を怠らない
・レセプト審査の傾向を把握しておく
詳細にチェックすべき項目
レセプト点検のコツは、査定や返戻の対象となりやすい部分を確実にチェックすることです。そのためなんとなく全体をチェックするのではなく、以下のような項目を詳細にチェックしましょう。
・傷病名の記入漏れがないか
・過剰請求していないか
・算定漏れがないか
・コメントは入力されているか
・病状詳記が必要なケースは、記載があるか
医師への確認を怠らない
診療や処方を担当するのは医師であるため、診療内容などに関わるレセプト業務は本来医師の仕事です。しかし多忙であることから事務作業となるレセプト業務は、医療事務が代行します。そのためレセプトには、担当した医師にしかわからない内容も多くあります。たとえば検査記録があったとしても、検査病名が見当たらない場合は、検査代の診療報酬が得られません。また病名がないまま請求すると過剰請求と判断され、査定対象となってしまいます。検査病名は診断を下した医師にしかわからないため、確認をとるようにしましょう。多忙な医師に何度も確認を取るのは気が引けてしまうかもしれませんが、医療機関の利益に関わる重要なことです。そのためレセプト点検で不明点や誤っていると思われる内容は、必ず医師への確認を怠らないようにしましょう。
レセプト審査の傾向を把握しておく
保険財政が悪化していることもあり、レセプト審査は厳しくなっている傾向にあります。そのため、より一層正確なレセプト作成が必要です。とはいえ審査員によって査定基準に若干の違いがあります。つまり医療機関Aではパスした内容でも、医療機関Bでは査定対象になってしまう可能性があるのです。このように査定基準は明確でないことを把握し、毎月の審査傾向を押さえることで、点検すべきレセプト内容もだんだんわかるようになってきます。
レセプト点検ができる人の求人状況
未経験・無資格でも、医療事務として働けます。しかしレセプト業務は専門性が高いことからも、経験者や有資格者が重宝されます。資格がなくとも、レセプト点検の経験があると、医療事務の求人応募には有利です。最近では在宅勤務のレセプト点検の求人もあり、経験や資格があることで働き方の選択肢も豊富になります。
また未経験でも資格を取ることでアピールできるため、資格を取得して損することはありません。規模の大きい医療機関は有資格者を条件としている場合もあるため、職場の選択肢を広げるためにも資格は有効です。
レセプト点検のスキルを上げる資格
資格有無による壁を突破して就職先の選択肢を広げたい、スキル・キャリアアップに活かしたい場合には、以下の資格取得がおすすめです。
・レセプト点検業務技能検定試験
・診療報酬請求事務能力認定試験
・メディカルクラーク(R)
・医療事務認定実務者(R)試験
・医療事務管理士(R)技能認定試験
・医療事務技能士認定試験
レセプト点検業務技能検定試験
日本医療事務協会が実施している、レセプト点検に特化した試験です。認定講座の受講後に受験が可能となり、合格することでレセプト点検の実践的なスキルが証明できます。試験は学科と実技の2つから構成されており、合格率は84.6%と高い傾向にあります。
診療報酬請求事務能力認定試験
医療事務資格の中でも最難関と言われており、実務経験や他資格の取得を経て、最終的に取得を目指すケースが多い資格です。学科と実技による試験であり、実技では症例を見ながら実際にレセプトを書き上げます。合格率は約30%と難易度が高いですが、合格することで就職や転職時に高い評価が得られます。
メディカルクラーク(R)
レセプト点検や修正能力が評価される、医療事務の基礎資格です。レセプト以外にも現場で活かせる知識が取得できるため、スキルアップには最適な資格です。合格率は67.2%と、やや高い傾向にあります。
医療事務認定実務者(R)試験
医療事務の基礎知識と、レセプト作成の基本が習得できます。レセプト作成問題は他の試験に比べて比較的易しく、合格率も60〜80%と高い傾向にあります。そのため医療事務資格を取得したい初心者におすすめです。
医療事務管理士(R)技能認定試験
診療報酬請求事務能力認定試験の前段階で受験する人が多い試験です。やや難易度は高いですが、合格することでレセプトの点検能力や、窓口業務など医療事務全般の知識・技術が証明できます。試験は医科と歯科に分かれており、合格率は医科で57.5%、歯科で71.5%です。
医療事務技能士認定試験
診療報酬の基礎的な算定ルールや、要件の取得が証明できる試験です。合格率は約85%と高いため、未経験の方にもおすすめできます。診療報酬の基礎を身につけたい場合には、ぜひ受験してみてください。
レセプト点検はレセプト業務の中でも最重要!
レセプト点検は、適正なレセプト作成には欠かせません。レセプトは医療機関の利益にも関わる重要なものであるため、請求通りの診療報報酬を得るためにも、点検によりミスや不備をなくすことが重要です。今記事を参考に、レセプト点検の仕事内容とコツを押さえ、スキルアップのための資格取得も目指してみましょう。
またソラストでは、医療事務の求人を多数掲載しています。未経験・無資格から応募可能な求人も多いため、ぜひ参考にしてください。
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著者プロフィール
そだねー
北国出身。前職はコールセンターの採用を担当し、ソラストに転職後、医療事務採用業務に6年従事している。営業や現場とのパイプを持ち、日々変化し続ける医療事務の情報をキャッチアップすることに強みを持つ。