看護助手の仕事内容は?配属先ごとの違いや向いている人の特徴を解説
著者: そだねー
更新日:2025/07/25
公開日:2023/07/21
看護助手の仕事内容は、病院やクリニックの現場で欠かせないサポート業務です。外来や病棟、オペ室、産婦人科、透析室など、それぞれに求められる役割が異なります。本記事では、看護助手とはどのような仕事なのか、無資格で働けるのか、給料や向いている人の特徴まで詳しく解説します。看護助手に興味のある方は、ぜひ参考にしてください。
目次
看護助手とは?主な仕事内容
看護助手のメインの仕事内容は、患者さんの介助や身の回りのケアなど看護師の補助的な業務です。その他、患者さんが安心して過ごせるように、病室の清掃やシーツなどの寝具交換、カテーテルなどの医療器具の洗浄、備品管理を行うこともあります。
患者さんの介助や身の回りのケア
看護助手は入院患者さんのケアとして、毎日の食事配膳・おむつ交換のサポート・車いすや松葉杖を使用する方の移動介助などを行います。
医療行為は医師と看護師が行うものであるため、看護助手は担当できません。よって、医療行為にあたらない範囲で、患者さんの介助や身の回りのお世話を任されることが大半です。
看護師の業務のサポート
看護助手は、看護師が円滑に業務を行えるようさまざまなサポートを行います。主に、医療器具の消毒や患者さんの処置に必要な備品の準備、片付けなどです。さらに、医師や看護師に患者さんの検査結果を伝えたり、診断書や紹介状などの必要な書類を患者さんに渡したりといった仕事も行います。
施設内の環境整備
看護助手は、入院患者さんが快適に治療に専念できるように、病室のリネン交換や洗濯、清掃やごみの片付けなども行います。医療機関内の清潔保持にも努め、患者さんやスタッフが気持ちよく過ごせるように、環境を整えることも大切な仕事内容です。
その他業務
看護助手は上記の他にも、必要なときにいつでも使用できるようにカルテの整理・運搬を行うことも。書類整理などの事務作業の補助を担い、周囲のスタッフがスムーズに仕事を行えるように環境づくりに取り組みます。
【配属先別】病棟・外来・部門の看護助手の仕事内容
看護助手の仕事内容は、基本的に大きく変わることはありません。しかし、働く医療機関や部署などによって、多少任せられる業務の範囲が異なる場合も。こちらでは、就業先や配属された部署別に、看護助手の仕事内容を比較しながらご紹介します。
病棟と外来の違い
病棟 | 外来 |
---|---|
・入院患者さんのお世話 ・看護師のサポート ・病室の環境整備 |
・診察室や処置室の環境整備 ・医療器具や備品などの管理 |
病棟勤務の看護助手は、メインとして入院患者さんの身体介助や身の回りのお世話を行います。入院患者さんが穏やかに過ごすために、病室の環境整備も欠かせない仕事です。
一方、外来勤務の看護助手は、通院や救急の患者さんを受け入れるための環境整備が多くなるでしょう。診察や処置を行うための備品準備が大半となり、患者さんの身体介助に関する業務は比較的少なめです。
部門ごとの違い
オペ室 | 内視鏡センター | 透析室 |
---|---|---|
・医療器具の準備や消毒 ・手術室の環境整備 |
・検査器具の準備 ・検査室の環境整備 |
・患者さんの身体介助 ・透析の準備や後片付け ・室内やベッドの環境整備 |
オペ室では安全に手術を行う準備として、医療器具の消毒や洗浄などを行います。オペ室や手術台の清掃など、環境整備を任されることも多いでしょう。
内視鏡センター勤務の看護助手の場合、検査器具の準備やベッドの環境整備を行い、検査を円滑に進めるサポートをします。患者さんから採取した検体の移送を担当することもあるでしょう。
また、透析室では、採血や透析器具の準備、カルテや備品の管理など、透析を円滑に進めるための作業が主な仕事内容です。患者さんの様子によっては、ベッドや車椅子への介助や歩行の補助を行うこともあります。
看護助手の主な勤務パターン毎の仕事内容
・2交代制
・3交代制
・シフト制
各医療機関や配属先によって違いはありますが、看護助手は主に上記3つのパターンで勤務することが多いです。病棟に配属された際は、看護助手にも夜勤や土日祝日の勤務を必要とされる場合があります。
なお、パートやアルバイト勤務などで時間を限定して仕事をする際は、シフトが日勤のみとなる可能性も。ここでは、病棟勤務の看護助手について、日勤・夜勤それぞれのスケジュール例をご紹介します。
日勤のスケジュール例
7:00 | 出勤・業務の引き継ぎ |
---|---|
9:00 | ナースセンターなどの清掃、医療器具の消毒や洗浄 |
11:00 | 病室の環境整備・シーツ交換 |
12:00 | 昼食の配膳・食事介助 |
13:00 | 休憩(60分) |
15:00 | 休入浴介助 |
17:00 | 夕食の配膳・食事介助、業務の引継ぎ・退勤 |
夜勤のスケジュール例
17:00 | 出勤・業務の引き継ぎ、夕食の配膳・食事介助 |
---|---|
19:00 | ナースセンターなどの清掃、医療器具の消毒や洗浄 |
21:00 | 患者さんの身体介助(オムツ交換や体交介助など) |
22:00~5:00 | 交代で仮眠を取りながらナースコール対応 |
6:00 | 洗面などの介助 |
7:00 | 朝食配膳・食事介助 |
9:00 | 業務の引継ぎ・退勤 |
看護助手の仕事内容がきついといわれる理由3選
看護助手は医療現場を支える重要な仕事ですが、きついと感じる声も多いです。ここでは、看護助手の仕事が大変だと言われる具体的な理由を解説します。
体力的に負担の大きい業務が多い
看護助手は、患者さんの移乗や体位変換といった力仕事が多く、体への負担が大きい仕事です。病院内を長時間歩き回ったり、立ち仕事が続いたりするため、足腰が疲れやすい傾向にあります。
さらに、排泄介助や入浴介助など身体を使う介護業務も発生するため、体力に自信がない方には厳しく感じることもあります。
患者さんやスタッフとのコミュニケーションに気を遣う
看護助手は、患者さん一人ひとりの体調や気持ちに配慮しながら接する必要があります。そのため、ただ作業をこなすだけではなく、常に相手の様子を観察しながら柔軟に対応する力が求められます。また、医師や看護師との連携も欠かせず、報告や相談のタイミングに気を配る場面も多いです。
夜勤や早朝勤務がある場合も多い
看護助手は、24時間体制で運営される病院や施設で勤務することが多いため、夜勤や早朝シフトが発生する場合もあります。不規則な勤務体系は生活リズムが崩れやすく、睡眠不足や疲労の蓄積につながることも。
また、夜間はスタッフの人数が少なくなるため、一人ひとりの業務負担が大きくなる場合もあります。
きついだけではない!看護助手の仕事のやりがい
看護助手の仕事は体力的にきつい面もありますが、その一方で多くのやりがいや達成感を感じられる仕事でもあります。ここでは、代表的なやりがいを紹介します。
「誰かの役に立つ」実感を得られる
看護助手の仕事では、病気やケガで不安を抱える患者さんの身の回りをサポートすることで、安心感を与えることができます。患者さんの回復を間近で見守れるため、大きなやりがいを感じられる場面が多いです。また、医師や看護師と連携しながら、チーム医療の一員として患者さんの支えとなることができます。
無資格・未経験から医療業界に貢献できる
看護助手は国家資格が不要であり、未経験からでも医療業界に携われる貴重な仕事です。医療現場の一員として、患者さんのケアやサポートを行うことで、重要な役割を果たすことができます。また、働きながら医療や介護に関する知識や経験が自然と身につき、将来的なキャリア形成にもつながります。
医療・介護分野の専門知識を学べる
看護助手として働くことで、医療用語や基本的な医療行為の補助について理解を深められるのもやりがいの1つです。日々の業務を通じて、医療現場で求められるマナーや、患者さんとのコミュニケーションスキルも習得できます。こうした専門的な知識や経験は、他の業界では得られない貴重なスキルとして、自身の成長に大きく役立ちます。
看護助手に向いている人・向いていない人の特徴
・体力に自信があり身体を動かすことが苦にならない ・思いやりがあり相手の気持ちに寄り添える ・チームで協力しながら働くことが好きである |
・体力に自信がなく力仕事や立ち仕事が苦手である ・人と接することが苦手である ・突発的な状況に対応するのが苦手である |
看護助手の仕事は人によって向き不向きがあります。自分に適性があるかを理解し、医療現場で無理なく働くための参考にしてください。
看護助手に向いている人
看護助手に向いているのは、思いやりを持って人と接することができる方です。患者さんの体調や気持ちを考え、相手に寄り添った対応が求められます。体力に自信があり、立ち仕事や力仕事が苦にならない人も活躍しやすいです。
また、コツコツと地道な作業を正確にこなせる人や、チームの一員として協力し合える姿勢を持つ方も、看護助手として適性があるといえます。
看護助手に向いていない人
看護助手の仕事は身体的にも精神的にも負担があるため、体力に不安がある方や、重い介助業務が苦手な方には向いていない場合があります。患者さんやスタッフと協力しながら働くため、コミュニケーションが苦手な方にはストレスを感じやすい環境です。医療現場では常に冷静な対応が求められるため、緊張感が苦手な方には負担が大きくなりがちです。
看護助手になるには?持っていると有利な資格も紹介
看護助手は、医療分野の資格や医療機関への就業経験がなくても勤務できる仕事です。
未経験・無資格から転職を目指せますが、介護系の資格や実務経験があると、より任せられる仕事が増えてさらに仕事の幅を広げられるでしょう。介護助手として勤務する際に持っておくと役立つ資格は下記の通りです。
メディカルケアワーカーR
メディカルケアワーカーとは、看護助手として求められる能力や技能を証明できる資格です。看護助手の他に、ホームヘルパーからスキルアップを目指す方も受験しています。
2級では看護助手論や看護マナー、医科薬科学などの基礎的な内容を、1級では基礎心理学や看護助手としての実技知識などを習得します。受験するには、実務経験や講座を修了していることなど一定の条件が必要です。
受験資格 | 2級:実務経験が1年以上の者(実務経験者) メディカルケアワーカー®️講座を修了した者(一般) 1級:メディカルケアワーカー®️検定試験2級の合格者 |
---|---|
受験費用 | 2級7,700円・1級8,700円(ともに税込) |
受験方法 | 在宅試験 |
合格率 | 2級62.5%・1級85.9% |
看護助手認定実務者試験
看護助手認定実務者試験は、医療機関などにおいて即戦力として仕事に従事するための知識や技能を判断する試験です。試験では、医療関係の制度や法律、人体の構造や疾病に関する内容、看護助手業務の基本的な技術などが問われます。
受験資格はないため、看護助手としての基礎を身につけたい方におすすめです。原則、正答率6割以上を合格としていますが、問題の難易度で変動する場合もあります。
受験資格 | 特になし |
---|---|
受験費用 | 一般受験5,000円・団体受験4,500円(ともに税込) |
受験方法 | 在宅または会場試験 |
合格率 | おおよそ60%~80% |
【資格がなくても働ける】看護助手の給料はどのくらい?
厚生労働省の調査によると、看護助手の平均給与は年間328.6万円とされています。看護助手は資格がなくても働けるため、医療業界が未経験の方でも始めやすい仕事です。
資格不要とはいえ、病院や介護施設で重要な役割を担うため、安定した収入が見込める職種です。経験を積むことで給与アップも期待でき、働きながら医療や介護の知識を身につけられる点も魅力といえます。
経験年数 | 平均基本給 | 平均賞与等 |
---|---|---|
0年 | 19万3,400円 | 10万8,000円 |
1〜4年 | 20万6,100円 | 34万5,800円 |
5〜9年 | 21万7,300円 | 45万8,000円 |
10〜14年 | 22万8,300円 | 52万4,000円 |
15年〜 | 23万2,000円 | 57万5,300円 |
看護助手の給与は、経験年数に応じて着実に上昇する傾向があります。未経験の場合、平均基本給は19万3,400円ですが、経験を積むことで収入が安定し、15年以上勤務すると基本給は23万2,000円、賞与は57万5,300円に達します。長く働くことで待遇改善が期待できる職種といえます。
看護助手の仕事内容についてよくあるQ&A
Q.なぜ看護助手は「きつい」といわれる?
A. 体力を使う仕事が多いこと、業務の対応範囲が広いことなどが挙げられます。
看護助手の仕事は、体力を使う仕事や雑務が多いため「きつい」といわれることがあります。また、患者さんの対応時に傷や血液などを目にする機会も多く、大変な仕事と思われてしまうケースも。
しかし、自身に合う勤務場所や日勤・夜勤などの勤務形態を選択すれば、やりがいを感じながら働ける仕事です。
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Q.看護助手の仕事内容は診療科によって違う?
A医療機関や勤務形態によって異なります。
看護助手の夜勤回数は、勤務形態で異なることがほとんどです。そのため、パートやアルバイトなどの勤務形態を選択した際には、日中のみの勤務を任されることもあります。
夜勤の回数は勤務先のシフトによって決定するため、希望がある際には事前に伝えておくとよいでしょう。
Q.看護助手の夜勤の回数は多い?
A. 医療機関や勤務形態によって異なります。
看護助手の夜勤回数は、勤務形態で異なることがほとんどです。そのため、パートやアルバイトなどの勤務形態を選択した際には、日中のみの勤務を任されることもあります。
夜勤の回数は勤務先のシフトによって決定するため、希望がある際には事前に伝えておくとよいでしょう。
Q.看護助手と関連職種の違いは?
A. 患者さんに医療行為を行えるかどうかという点が主な違いです。
看護助手 | 医療機関などで、患者さんの身体介助や看護師のサポートを行う |
---|---|
看護師 | 医師の指示のもと、患者さんに医療行為を行う |
介護士 | 介護施設などで、利用者さんの身体介助や生活面の支援をする |
看護助手は、医療行為にあたらない範囲での患者さんの身体介助を行います。看護師は医師の指示のもと注射や処置などを行えるため、この点が大きな違いといえるでしょう。
また、介護士は、基本的に介護施設などで、利用者さんが自分らしい生活を営めるように、生活面でのサポートを行います。
看護助手の仕事内容を理解して医療現場で働こう
看護助手は、看護師の補佐を行い、患者さんがスムーズに診察・検査・処置を受けられるように環境整備などのさまざまな仕事に取り組みます。
働く場所によって仕事内容が若干異なることもありますが、医療に関する資格や経験がなくても従事できる仕事です。取得しておくとスキルアップにつながる資格もあるため、幅広い仕事をこなしたい方は取得を検討するとよいでしょう。看護助手の仕事内容をしっかりと理解して、自分にぴったりの就業先を見つけましょう。
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著者プロフィール
そだねー
北国出身。前職はコールセンターの採用を担当し、ソラストに転職後、医療事務採用業務に6年従事している。営業や現場とのパイプを持ち、日々変化し続ける医療事務の情報をキャッチアップすることに強みを持つ。