医療事務とは?仕事内容・資格・向いている人をわかりやすく解説
著者: そだねー
更新日:2026/09/29
公開日:2019/03/22
医療事務とはどのような仕事内容なのでしょうか。「未経験で働くには難しいのでは」と不安を感じる方向けに、医療事務の役割や具体的な仕事内容をわかりやすく解説します。医療事務職のメリットや勤務先ごとの特徴、向いている人の傾向も紹介するので、これから医療事務で働くにはどうすればよいか知りたい方はぜひ参考にしてください。
目次
医療事務とは?

医療事務とは…
病院やクリニックなどで受付、会計、医療費の請求、医師や看護師の事務作業のサポートなどを担う事務職です。なお、医師の事務作業を専門的に担う医師事務作業補助者とは異なる職種です。
医療事務は、医療機関の運営を支える重要な役割であり、患者さんへの応対と事務処理の両方を担当します。そのため、丁寧な接遇スキルと正確な作業への意識が求められる傾向があります。勤務先の規模や雇用形態によって、正社員やパートなど多様な働き方を選べる点も特徴です。
病院事務・医師事務・調剤薬局事務との違い
| 医療事務 | 患者対応と医療費請求を担う医療機関の窓口事務 |
|---|---|
| 病院事務 | 総務・人事・経理・経営企画など、病院全体の運営を支える幅広い事務職 |
| 医師事務 | 医師の事務作業を直接支える専門職 |
| 調剤薬局事務 | 薬局で処方箋と薬に関する事務を担う事務職 |
医療事務と似た仕事に病院事務や医師事務、調剤薬局事務があります。これらはすべて医療を支える事務職ですが、担当する相手や業務範囲が異なるため、仕事内容や勤務先、接する相手の違いをおさえて自分に合う仕事を見極めましょう。
医療事務の主な仕事内容
医療事務とは、病院やクリニックで働く事務職です。主に医療費の計算や患者対応を行います。医療事務の仕事内容は大きく次の4つに分けられます。
受付業務
患者さんの診察券や保険証を確認し、受付対応を行う仕事です。初診の患者さんには問診票をお渡しし、新しくカルテを作成します。再診の患者さんは、保険情報に変更がないか確認し、問題がなければ診療に必要な準備を進めます。
会計業務
診察料は、患者さんの診察後に、診療内容を点数化した「診療報酬点数」(1点=10円で全国共通)に基づいて計算し、請求します。また、薬が処方される場合には、必要に応じて会計手続きや案内を行います。
レセプト業務
医療費の審査・支払いを担う審査支払機関に提出する診療報酬明細書(レセプト)を作成する仕事です。保険診療の場合、患者さんは1~3割の自己負担分の診察料を支払っており、残りは審査支払機関へ請求します。
金額の計算はレセプトコンピュータ(レセコン)による自動計算が基本のため、医療事務が手計算する場面は多くありません。ただし、計算結果や入力内容に誤りがないかを確認し、患者さんごとに請求書類を作成して提出する点は重要な業務です。
クラーク業務
クラーク業務とは、患者さんと医師や看護師などの医療従事者をつなぐ仕事です。具体的にはカルテの整理、検査の準備、書類作成の補佐などを担当します。
病院の規模によっては、外来を担当する外来クラークや、入院患者さんと病棟スタッフをつなぐ病棟クラークのように、担当領域ごとに呼び方が分かれる場合もあります。ただし、これらの業務は医師事務作業補助者が専任で担当する場合もあり、勤務先によって担当職種は異なります。
医療事務の1日の流れ

医療事務の1日は、受付や会計対応、レセプト業務など複数の業務を時間帯ごとにこなしながら進みます。ここで、具体的な1日の流れを見ていきましょう。
なお、ご紹介する流れは一例であり、医療機関の規模や診療科、勤務形態によって業務内容やスケジュールは異なります。
午前の部
| 7:30 清掃 |
玄関、受付周りの清掃を行います。その後、朝に来院される患者さんのカルテを確認して、連絡事項などをスタッフ全員に情報共有します。 |
|---|---|
| 8:00 受付開始 |
来院した患者さんの診察券、月初めの場合には保険証の確認を行います。 初診の患者さんの場合には問診票を記載していただき、再診の患者さんの場合にはカルテと保険証に変更がないか確認します。 確認完了後に診察室にカルテをお渡しします。診察後、お会計を計算します。お薬が必要な患者さんの場合には医師が作成した処方箋を渡し、案内する場合もあります。 |
| 11:00 受付終了 |
患者さんの診療がすべて終わり次第午前の部が終了します。 |
| 11:30 休憩 |
1時間、休憩をします。 |
午後の部
| 12:30 午後の準備 |
午後診察に来院される患者さんのカルテの準備をします。 |
|---|---|
| 13:00 受付開始 |
午前の部と同様に受付業務を行います。 |
| 15:00 受付終了 |
来院している患者さんの診療がすべて終わり次第、受付業務終了です。 |
| 16:00 明日の準備 |
院内の清掃を行い、次の日のカルテを準備します。月初めにはレセプト業務を行う場合があります。 ※レセプト業務とは、診療報酬明細書(レセプト)の作成、点検、提出を行い、診療報酬を請求するための業務です。 |
| 16:30 帰宅 |
明日の準備が終わったら、帰宅! |
医療事務の勤務先ごとの特徴
| 勤務先 | 仕事内容・特徴 |
|---|---|
| 病院 | 受付や会計、レセプト業務などを担当。規模が大きいほど業務が分かれていることが多く、特定の仕事をじっくり覚えながら専門性を高めやすい。異なる部門間の連携コミュニケーションが必要。 |
| クリニック | 受付・会計・レセプト・予約対応など、幅広い業務を担当する傾向あり。少人数の職場も多く、医療スタッフ・患者さんと近い距離で関われるのが特徴。 |
| 調剤薬局 | 処方箋の受付や会計、調剤報酬の請求、薬剤師のサポートが主な業務。薬に関する基本的な知識が身につくことがある。 |
| 介護施設 | 介護報酬の請求やデータ入力、電話対応などを行う場合がある。利用者さんを支える現場を事務の立場から支える。 |
医療事務の主な勤務先と特徴については上記の通りです。このほかにも医療関連施設や保険関連機関など、医療事務の勤務先は多岐にわたります。どの職場であっても正確性とスピードが重宝される傾向にあります。自身の専門性や関わる人々、勤務時間の違いを踏まえて最適な職場を探すのがおすすめです。
医療事務の資格と未経験からの働き方

医療事務の仕事は、特別な資格を持たない未経験の方からでも応募可能な求人が多く存在します。一方で、入職後に覚える業務の範囲は専門的な内容も含まれるため、事前に「未経験歓迎」の求人における教育体制や職場環境を確認しておくと安心です。
資格の有無で変わること
医療事務の仕事は資格がなくても行うことが可能ですが、取得しておくと転職の際に有利に働く場合があります。資格があることで、医療事務に関する基礎知識が備わっていることを客観的に証明しやすくなるためです。医療事務の資格には複数の種類が存在し、取得に向けて診察料の計算や診療報酬明細書(レセプト)の作成、カルテ管理などの知識を学ぶことができます。
【医療事務で働くのにあると有利な資格の例】
・医療事務技能審査試験(メディカルクラーク)
・医事コンピュータ技能検定試験
・医療事務管理士®技能認定試験
・医科2級医療事務実務能力認定試験
未経験から働く際に押さえたいこと
・医療用語や保険制度など、最初に覚えることがある
・患者対応と事務処理を並行して進める場面がある
・教育体制や質問しやすい環境によって働きやすさが変わる
・勤務先によって担当業務の幅が異なる
医療事務は未経験からでも始められる仕事ですが、受付対応や会計に加え、医療用語や保険制度、診療報酬の基礎知識も少しずつ身につける必要があります。とくに入職直後は、患者さんへの対応と事務処理を並行して行う場面もあるため、教育体制やマニュアルの有無、周囲に質問しやすい環境かどうかが働きやすさに影響しやすいでしょう。
また、病院・クリニック・調剤薬局など勤務先によって担当業務の幅も異なるため、自分が無理なく慣れていける環境かを確認することが大切です。
医療事務で仕事をする4つのメリット
医療事務の仕事には、一般の事務職とは異なるどのような魅力があるのでしょうか。ここでは、ライフステージの変化に合わせながら長く活躍できる4つのメリットを紹介します。
職場復帰しやすい
医療事務は、医療費の計算など高い専門性が求められる仕事です。そのため、一度医療事務の仕事を経験しておくと、家庭の事情や病気などで離職してブランクがあったとしても、職場復帰しやすい傾向があります。
誰でも始めやすい
医療事務は働き始めるためのハードルが比較的低い仕事です。医療事務の求人には学歴、年齢不問のものも多く存在しています。また未経験、無資格でも応募可能な求人もあり、今まで別の業種から新しく転職を考える方でも挑戦しやすいでしょう。
体力に自信がなくても働ける
医療事務は、重たいものを運んだり長時間移動したりする業務が比較的少なく、体力に自信がない方でも働きやすい傾向がある仕事です。
ただし、繁忙期や担当する業務内容によっては、立ち仕事や書類対応などで忙しくなる場合もあるため、職種や勤務先による差がある点には注意しましょう。実際に、体力面の負担が少なく50代を超えて働いている方も多くいます。
全国どこでも働ける
病院は全国にありますので、医療事務の求人も全国で募集されています。そのため、地方勤務や、引っ越し先でも仕事を見つけやすいです。近年では老人ホームなど、病院以外でも医療事務を必要とする場所が増えているため、就職先に困ることは少ないとされています。
医療事務に向いている人

医療事務の仕事内容は多岐にわたるため、どのような人が適しているのか気になる方も多いのではないでしょうか。ここでは、医療事務に向いている人の特徴を3つ紹介します。
正確な作業を続けられる人
医療事務はデータ入力や会計をミスなく進める力が欠かせません。とくにレセプト業務では、記入漏れや確認不足を防ぐ丁寧さが重要とされています。数字や個人情報を扱うため、几帳面さと責任感が大きな強みになるでしょう。多忙な場面であっても、優先順位を整理して落ち着いて対応できる人が向いている傾向にあります。
患者対応に落ち着いて向き合える人
医療事務は、来院される患者さんの不安をやわらげる丁寧な対応が大切です。受付は病院の第一印象につながる部分でもあるため、明るく安心感のある接し方が求められます。体調や気持ちに配慮しながら分かりやすく案内できる力が役立つでしょう。落ち着きがあり、思いやりのあるコミュニケーションがとれる人が向いています。
学ぶ姿勢を持ち続けられる人
医療事務は、制度や診療報酬の知識を学び続ける姿勢が欠かせない仕事です。実務では覚えることが多く、分からない点を自分で調べる力が役立ちます。メモを取りながら知識を積み重ねられる人は業務を着実に覚えやすいでしょう。書類作成や院内の取り決めは改定も多いため、新しいルールに前向きに対応できる人ほど長く活躍しやすいといえます。
医療事務についてよくある質問
医療事務への就業を検討するにあたり、将来性や待遇などの疑問を抱く方は少なくありません。ここでは、転職活動前に解消しておきたい「よくある質問」についてQ&A形式で詳しく回答します。
Q.医療事務はきつい・やめとけと言われるのはなぜ?
A.患者さんへの接客対応と、ミスが許されない緻密な事務作業を同時にこなす場面があるためです。とくに月初めのレセプト時期は業務量が増えやすくなりますが、業務の優先順位を整理して丁寧に向き合うことで負担は軽減されやすいでしょう。
Q.AIの技術が進むと医療事務の仕事はなくなる?
A.自動受付やAI入力の普及で一部の定型業務は効率化されますが、仕事が完全になくなる可能性は低いとされています。体調の優れない患者さんを思いやる窓口対応や、複雑な医療費請求の点検など、人にしかできない業務の重要性は今後も残るためです。
Q.医療事務は正社員とパートのどちらが合う?
A.自身のライフスタイルや希望する働き方によって異なります。安定した収入やキャリアアップを重視する場合は正社員、家事や育児と両立しながら勤務時間を柔軟に調整したい場合はパートやアルバイトを選ぶのがおすすめです。
Q.医療事務の年収や時給の目安は?
A.勤務先や雇用形態によって異なりますが、常勤の事務職員では一般病院で年収約437万円、一般診療所で年収約329万円が目安です。時給の目安は、病院勤務の派遣で1,200~1,500円程度、パートで1,000~1,150円程度、クリニック勤務では1,000~1,300円程度とされています。
勤務先の種類や地域、入院診療の有無などによって差が出るため、求人情報もあわせて確認するとよいでしょう。
自分に合った職場で医療事務のキャリアをスタートしよう
本記事では、医療事務の基本的な仕事内容や資格、勤務先ごとの特徴について解説しました。医療事務は未経験や無資格からでも挑戦しやすく、一度スキルを身につければ全国どこでも長く活躍できる魅力的な職種です。自身の適性や理想のライフスタイルを考慮しながら、無理なく慣れていけるような自分に合った職場を探しましょう。
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著者プロフィール
そだねー
北国出身。前職はコールセンターの採用を担当し、ソラストに転職後、医療事務採用業務に6年従事している。営業や現場とのパイプを持ち、日々変化し続ける医療事務の情報をキャッチアップすることに強みを持つ。