生活相談員に必要な資格は?資格の取得方法や資格なしでもなれる方法
著者: ゲートウェイ
更新日:2024/01/22
公開日:2019/03/28
生活相談員は、介護・福祉の窓口のような役割を担い、介護職のスキルアップとしてやりがいのある職種です。ここでは、生活相談員になるための必要な資格や取得方法についてご紹介します。資格なしで目指す方法についても解説していますので、ぜひ参考にしてください。
生活相談員とは
業務やサービスが円滑に進むようにサポートする仕事
生活相談員は、介護施設や介護事業所で働く職種のひとつです。特別養護老人ホームやデイサービス事業所などでは生活相談員、介護老人保健施設やデイケアでは支援相談員という名称で位置付けられ、どちらもソーシャルワーカーと呼ばれることもあります。
役割
生活相談員は、その所属する施設を利用したい要介護者やその家族の相談に乗ったり、利用手続きのためのサポートや連絡をしたりと、窓口のような役割を担っています。施設利用者さんが安心して過ごせるように、サービスの利用開始後にも継続して関わります。
仕事内容
・各種手続きの相談や援助
・援助計画の立案・実施
・関係機関との連絡・調整
・ケア計画の立案・実施
・入退所やボランティア、実習生の受け入れ調整
施設や事業所により、生活相談員の業務内容は多少異なります。通所系の事業所なら送迎や入浴介助、食事介助などを行う場合があります。とくに介護職員が少ない施設では、利用者さんの生活周りのサポートを求められやすい仕事です。
また、利用にあたり一人ひとりに合ったケア計画を立て、関係機関との調整も行います。さまざまな人と連携や調整が必要なためコミュニケーションスキルが必要です。
生活相談員になるための資格要件
・社会福祉士
・社会福祉主事任用資格
・精神保健福祉士
そのほか、介護職員として働いて経験を積み、介護福祉士や介護支援専門員(ケアマネジャー)の資格を取得して生活相談員になるケースも増えています。また、自治体によっては、一定の条件を満たせば生活相談員になることが可能ですが、一般的には社会福祉士などの資格を取得した方が働くケースがほとんどです。
生活相談員に必要な資格の取得方法
生活相談員になるためには、以下のいずれかの資格が必要です。ここでは、それぞれの資格の特徴や取得方法について紹介します。
社会福祉士
社会福祉士は、福祉・医療に関する知識や技術を証明できる、いわば相談援助の専門家です。児童から高齢者まで幅広い世代の人々に関わるため、高齢者施設や障害者施設、児童相談所、医療機関など、活躍の場は多岐に渡ります。
社会福祉士の資格は、年に1度実施される国家試験を受験し合格することで取得できます。社会福祉士の受験資格を取得するにはいくつかの方法があり、4年制の福祉系大学で指定科目を履修する流れが最短ルートです。その他、福祉系短大等を卒業し、指定科目の履修と相談援助の実務経験を経るか、福祉系大学以外の大学を卒業した後に一般養成施設で学習する方法もあります。
精神保健福祉士
精神保健福祉士は、幅広い人々が対象になる社会福祉士と違い、主に精神的な障害のある人への支援をサポートする専門職です。精神科のある医療機関や、精神障害者の生活支援サービス、行政機関、司法施設などで働くことができます。
精神保健福祉士の受験資格を得るには、11通りのルートがあります。4年制福祉系大学等で指定科目を履修する方法が最短ルートでおすすめです。出題範囲が重複する部分があるため、社会福祉士と精神保健福祉士の両方を受験する学生もいます。そのほか、福祉系大学等で基礎科目を履修した後に相談援助実務や短期養成施設などを経て受験する方法もあります。
社会福祉主事任用資格
社会福祉主事の仕事は、主に相談支援業務です。行う業務は同じですが、混同しやすい資格として社会福祉士があります。社会福祉主事任用資格は任用資格ですが、社会福祉士は国家資格です。より専門性が高い社会福祉士のほうが、取得が難しいといわれています。
社会福祉主事任用資格は、大学などで社会福祉に関する科目(厚生労働大臣が指定する科目)を3科目以上履修して卒業した人などが取得でき、試験はありません。そのほかに、都道府県などが行う講習会への参加など合計5ルートの方法があります。また、任用資格を取得した後、地方公務員試験に合格し福祉事務所に配属されることで、社会福祉主事としての業務も可能です。
自治体によって異なる生活相談員に必要な資格
生活相談員になる要件は、社会福祉士、精神保健福祉士、社会福祉主事任用資格のいずれかが必須です。しかし、自治体によってはこれらの資格を持っていなくても生活相談員として認められる場合があります。
たとえば、介護福祉士やケアマネジャー(介護支援専門員)、老人福祉施設の施設長経験者、一定期間の介護職経験者、保育士など、自治体独自の条件を設けているケースもあります。
そのため、社会福祉士や精神保健福祉士、社会福祉主事任用資格を持っていなくても自治体にこだわらない方はチャンスがあるかもしれません。
もし、生活相談員として働きたい場合は、その施設や事業所などがある自治体の資格要項をチェックしてみましょう。
必要な資格が異なる自治体
下記は、「社会福祉士」「精神保健福祉士」「社会福祉主事任用資格」以外の資格でも生活相談員になれる自治体の一例です。
自治体 | 資格要件 |
---|---|
千葉県 | ・介護福祉士 ・介護支援専門員(ケアマネージャー) |
山形県 | ・介護支援専門員 ・1年以上介護または相談業務に従事した人 ・介護保険制度施行前に特別養護老人ホームの生活相談員や老人保健施設の支援相談員であった人 |
福島県 | ・(通所介護のみ介護支援専門員 ・通所・入所系サービス事業所で5年以上実務経験のある介護福祉士 |
愛媛県 | ・介護支援専門員 ・社会福祉施設等において常勤職員として2年以上実務経験のある介護福祉士 |
資格なしでも生活相談員になれる自治体
下記は、「社会福祉士」「精神保健福祉士」「社会福祉主事任用資格」以外の資格のほか、無資格でも生活相談員になれる自治体の一例です。
自治体 | 資格要件 |
---|---|
東京都 | ・介護支援専門員 ・特別養護老人ホームや介 護老人保健施設等において実務経験が1年以上の介護福祉士 ・老人福祉施設等で介護の提供 に係る計画の作成に関し、1年以上の実務経験がある人 ・老人福祉施設において1年以上実務経験のある施設長経験者 |
青森県 | ・介護支援専門員 ・介護福祉士 ・社会福祉施設等で2年以上介護又は相談業務に従事した人 |
福岡県 | ・介護福祉士 ・介護支援専門員 ・社会福祉施設等で3年以上の実務経験がある人 |
横浜市 | ・介護支援専門員 ・介護福祉士 ・介護保険施設又は通所系サービス事業所において、常勤で2年以上、介護等の業務に従事した人 |
生活相談員として有利に就職するためのポイント
ここでは、生活相談員として有利に就職するためのポイントについて紹介します。生活相談員への就職や転職を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
普通自動車運転免許の取得をしておく
生活相談員は、利用者さんを車に乗せて運転することがあるので、普通自動車運転免許を取得しておくことがおすすめです。地方や職員が少ない施設で働く場合、送迎のサポートや入所前の面談などが業務に含まれるので、求人の応募条件に普通自動車運転免許の取得が必須な場合もあります。利用者さんを乗せるケースを想定し、事前に人を乗せた運転に慣れておくとよいでしょう。
介護福祉士や介護支援専門員(ケアマネジャー)の資格も取得する
生活相談員の資格要件として「介護福祉士」や「介護支援専門員(ケアマネジャー)」も加えている自治体が目立ちます。社会福祉士や精神保健福祉士などの資格を保有していなくても、上記の資格での実務経験があれば、即戦力として活躍できることがあります。そのため、就職でのアピールポイントになるでしょう。
コミュニケーションスキルや業務処理能力を高めておく
生活相談員は業務上、利用者さんや介護施設をはじめ、地域一帯もつなぐ役目があります。そのため、コミュニケーションスキルの高さを面接でアピールできると、とても有利になります。利用者さんの情報や業務のタスクを整理したり、トラブルを円滑に処理したりする力は生活相談員にとって重要な部分です。また、相談内容を受け止めるための傾聴スキルも求められます。
生活相談員の活躍できる職場
生活相談員は、さまざまな場所で働くことが可能です。実は、生活相談員の仕事内容は、施設や事業所等によって大きく異なります。介護職員との違いは、施設や事業所の中に限らず、利用者さんの自宅等へ出向いて面談をしたり、主治医や担当ケアマネジャーのもとへ出向き情報提供を受けたりと、施設や事業所の外で行う仕事も多い点が特徴です。
利用者さん確保のための営業や、入退所の管理・調整、相談業務など生活相談員しかできない業務に集中できる事業所があれば、介護業務全般や事務などを兼務する事業所もあります。
例として
・デイサービス(通所介護)
・病院
・特別養護老人ホームなどの老人福祉施設
・ショートステイ(短期入所生活介護)
・障害福祉施設
・介護老人保健施設※職種名称は支援相談員…など
生活相談員の求人事例
実際に生活相談員の求人を探す場合、どんな条件があるのでしょうか。ここでは、生活相談員の就職におすすめの求人事例を紹介します。
生活相談員の正社員求人例
施設名 | 認知症対応型デイサービス |
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雇用形態 | 正社員 |
仕事内容 | ・介護業務・送迎業務 ・ケアマネジャー、ご家族様との相談窓口 ・サービス担当者会議出席、月次報告作成 ・新規問い合わせ、見学、契約対応など |
給与 | 月給20万9000円〜20万9000円 |
勤務時間 | 8:30〜17:30(月〜土) 週5日 年間休日数 123日 |
応募資格 | 介護福祉士 学歴不問 未経験OK 必須PCスキル:PCスキル不要 送迎業務のできる方歓迎 |
社会保険 | 各種社会保険制度あり(法令通り) |
福利厚生 | 健康診断、資格取得支援制度、育児・介護休暇、育児・介護短時間勤務制度、制服貸与など |
認知症対応型デイサービスの生活相談員正社員求人です。夜勤がないので、お子さまが小さい方などプライベートと両立したい方にも働きやすい職場といえるでしょう。未経験の応募がOKなので、これから生活相談員として働きたい方にもおすすめの求人です。
生活相談員のパート・アルバイト求人例
施設名 | 地域密着型デイサービス |
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雇用形態 | パート・アルバイト 期間ごとに延長あり |
仕事内容 | ・計画書作成やモニタリング ・介護業務、送迎業務 ・ケアマネジャーとのやり取り ・利用者さんやご家族からの相談に対する援助業務など |
給与 | 時給 1125〜1125円 |
勤務時間 | ① 8:30〜17:30(月〜土) 実働4h〜/休憩1h ② 9:30〜18:30(月〜土) 実働4h〜/休憩1h ③ 10:00〜14:00(月〜土) 実働4h 1日4時間〜OK ※時間は相談可、午前or午後のみもOK! |
応募資格 | 介護福祉士・社会福祉主事任用(いずれかの資格でOK) 学歴不問 運転免許証:要(AT限定可) 未経験OK PCスキル不要 |
社会保険 | 各種社会保険制度あり(法令通り) |
福利厚生 | 健康診断、資格取得支援制度、育児・介護休暇、育児・介護短時間勤務制度、制服貸与など |
未経験OKの生活相談員パート・アルバイト求人例です。実働時間は最短4時間からで、3パターンの勤務時間から選べます。日曜休みでWワークも可能なので、プライベートや家庭と両立して働きたい方におすすめです。
生活相談員に関するQ&A
ここでは、生活相談員の仕事や給料に関する質問とその回答について紹介します。生活相談員の就職を検討している方は、ぜひチェックしてみてください。
Q.生活相談員の給料はどのくらい?
A.勤務形態によりますが、平均月給は25〜34万円です。
生活相談員の平均月給や平均年収は勤務形態によって以下のように異なります。
常勤の場合 | 非常勤の場合 | |
---|---|---|
平均月給 | 34万2810円 | 25万6310円 |
平均年収 | およそ411万円 | およそ308万円 |
たとえば、常勤の生活相談員だけでなく介護職として夜勤を行う場合、夜勤手当がもらえます。そのため、給料はアップする傾向にあります。
Q.デイサービスで働く生活相談員の仕事内容は?
A.介護業務や施設の窓口として相談や調整を図ります。
デイサービスで働く生活相談員は、以下のような仕事を行います。
・介護業務
・サービス計画書やモニタリングの作成
・利用者さんやご家族との情報共有や面談対応
・施設サービスの環境整備
上記に加え、介護職員として利用者さんのケアや送迎を兼務する場合がほとんどです。介護業務をメインで行いながら、生活相談員としての役割も担います。
Q.生活相談員は研修でどんなことをやるの?
A.相談や援助に関する知識、介護や福祉の状況などについて講義と実技で学習します。
生活相談員の研修では、講義と実技を通して以下のような内容を学習します。
・対人援助や相談援助に関する知識
・リスクマネジメント
・介護業界の現状
・グループディスカッション
・コミュニケーションスキル
研修は、専門的な知識や技術を学び、利用者さんの生活レベルの維持や向上につなげることを目的としています。
生活相談員に必要な資格を取得して介護福祉のスペシャリストを目指そう!
生活相談員は、「社会福祉士」「精神保健福祉士」「社会福祉主事任用資格」のいずれかの資格を取得すれば働けます。また、それらの資格でなく別の資格でも、自治体によっては生活相談員として勤務できる職場もあるので、興味のある方は一度求人を探してみるとよいでしょう。介護職との兼務が可能な求人もあるので、給料アップを目指したい方にもおすすめの職種です。
ソラジョブ介護では勤務形態や時間など、さまざまな条件に合わせた豊富な求人を紹介しています。生活相談員への就職や転職に興味のある方は、ソラジョブ介護を一度チェックしてみてください。
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著者プロフィール
ゲートウェイ
異業種含め、人事採用担当として15年以上のキャリアを積んだ経歴を持つ40代男性。現在はソラストの介護採用スタッフとして活躍している。スタッフの負担軽減のため、IT導入や業務ルールの改善に強みを持つ。