「不穏」の意味とは?主な症状や原因、対応するときのポイントを解説
著者: ゲートウェイ
更新日:2024/08/27
公開日:2023/05/12
「不穏」は、高齢者の方にみられる症状を指す医療用語です。介護現場で遭遇することもあり、「不穏」について知らないうちは特に戸惑うこともあるでしょう。ここでは、「不穏」の意味や具体的な症状、原因、対応する際のポイントなどを解説します。
目次
「不穏(ふおん)」とは?
「不穏」とは、落ち着きがなく興奮して行動が活発になる状態のことを指します。医療用語のひとつで、病名ではなくその状態を指す言葉として使われています。高齢者の方に見られる症状で、介護現場で遭遇する場合もあります。
・そわそわと落ち着きがなく歩き回る
・大声で叫んだり暴れたりする
・攻撃的な行動や発言をする
・突然意味がわからないことを言い出す
不穏状態になると、突然上記のような症状が見られます。普段は穏やかな人なのに急に様子が変わった場合、不穏状態の可能性があるかもしれません。
不穏状態を招く主な原因
不穏状態は、不安や恐怖、痛みなど精神的・身体的なストレスを強く感じたときに起こる傾向にあります。ここでは、不穏状態のきっかけとなる4つの原因について、項目別にくわしく解説します。
疾患
不穏状態は精神的、身体的な疾患が原因となる場合もあります。不穏状態の引き金となる主な疾患は以下のとおりです。
精神疾患 | 統合失調症、認知症、うつ病など |
身体疾患 | 脳炎、甲状腺機能亢進症など |
精神疾患に起因する不穏状態は、認知症やうつ病などで現れる不安や緊張、幻覚や妄想などが原因です。
脳炎や甲状腺機能亢進症など、身体疾患による痛みや苦痛などがきっかけで不穏状態となる場合もあります。
せん妄
せん妄とは、急激に現れる意識障害のことです。せん妄を招く原因はさまざまで、高齢や持病、精神的なストレスなどがあります。せん妄になると、幻覚や妄想、不安、怒り、抑うつといったさまざまな症状が見られますが、不穏状態もその一つです。せん妄は認知症の症状によく似ていますが、夕方や夜間などに急激に現れて、持続時間も短い場合が多い傾向にあります。
薬やアルコールの副作用・離脱症状
薬やアルコールの副作用や離脱症状により、不穏状態が引き起こされるケースもあります。
不穏はステロイド系などの薬の副作用やアルコール中毒で起こりやすくなります。アルコールをやめた離脱症状でも、意識障害が起こるため不穏状態になる場合もあります。
その他身体的・精神的なストレス
不穏状態は病気ではなくても、大きなストレスがかかった場合にも発生する可能性があります。例えば、急激な環境の変化や強い痛み・息苦しさがストレスとなり、不穏になることも。強い不安や恐怖などのストレスがかかった場合も、不穏状態を招きやすいと言えるでしょう。
不穏状態を落ち着かせる方法
不穏状態を落ち着かせるためには、その原因となる要素を改善させることが有効です。不穏状態になる前の健康状態や生活状況を振り返ると、原因が推測できるでしょう。疾患が原因であれば、抗精神薬や抗不安薬など薬の投与や治療を行うのが先決です。薬やアルコールが原因であれば、医師に相談し原因となる物質の使用をやめるなどの方法があります。
病気以外のストレスが原因であれば、環境を変えるなどストレスを減らす行動を促します。このように、原因に応じて適切な治療や対応を行うことで、不穏状態の改善が見込めるでしょう。
不穏状態の人へ対応するときのポイント
不穏状態が見られる人を無理に抑えようとするのは逆効果です。ここでは、周りの人が意識しておきたい不穏状態への対応4つについて、くわしく解説します。
威圧感や過剰な刺激を与えない
不穏状態の人に、威圧感や過剰な刺激を与えないよう心がけましょう。
・大きすぎない穏やかなトーンの声で話しかける
・やさしい力で触れる
・目線を合わせて話を丁寧に聞く…など
ポイントは、過剰な刺激を与えないことです。不穏状態の人に接する時は、話しかける声や触れるときの力加減に気をつけましょう。大きな声で話しかけたり強い力で触れたりすると、不安や恐怖を感じて不穏状態を招く原因になります。
また、過ごす場所の音や光にも注意しましょう。騒音や強い光など周囲の環境による刺激もなるべく減らすことが大切です。
安心して過ごせる環境を作る
不穏状態が見られる人に対し、安心して過ごせる環境づくりにも配慮しましょう。
・カレンダーや時計など状況を把握できるものを見やすい場所に置く
・その人が好きなものや馴染みあるものをそばに置く
・介護や看護の現場では同じ人がケアを行う…など
上記のように、その人が安心して過ごせる環境作りを行うことが大切です。「自分が今いる状況がわからない」などの不安を強く感じると、不穏状態を招く原因になるためです。不穏状態の人は意識障害などで混乱している場合もあります。不穏状態の人に接する人を同じにしたり、状況確認できるものを置いたりして、不穏状態の原因である不安や恐怖を解消してあげましょう。
体調の変化をよく観察する
不穏状態の人は意識障害などで混乱している場合もあります。接する人を固定したり、状況確認できるものを置いたりして、不穏状態の原因である不安や恐怖を解消してあげましょう。
質の高い睡眠を提供する
不穏状態を予防するため、質の高い睡眠ができるよう心がけましょう。生活リズムを整えることで、不穏を防げる場合があります。特にせん妄が原因の不穏状態は、昼夜逆転した生活が原因の場合も。夜眠くならないので、夜間に不穏状態が起こるケースも見られます。
また、良い睡眠には適度な運動も大切です。日中に散歩や運動を行い、夜きちんと良質な睡眠をとれるようなケアをしましょう。
「不穏状態かな?」と思ったときの対応
「落ち着きがない」「叫んだり暴れたりする」などの不穏状態が現れたときは、まず医療機関へ相談しましょう。
「時間が経てば状態が落ち着くかも」「市販の薬を使おう」などと自己判断するのは危険です。また、不穏状態を招く原因はさまざまで、病気が隠れている可能性もあります。早期治療を行うためにも、できる限り早く医療機関を受診して治療を受けましょう。
不穏状態の正しい知識を身につけ、適切に対処しよう
不穏状態を目の当たりにすると、焦りうまく対応できないこともあるでしょう。刺激を与えないよう、優しく接したり環境を整えたりして落ち着かせましょう。不穏状態を引き起こす原因は、疾患やストレスなどさまざま。普段から様子を確認しておくと、原因が分かりやすく適切な対処ができるでしょう。また、不穏状態の正しい知識を身につけておけば、ご家庭での対応や医療・介護関係の転職にも役立ちます。
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著者プロフィール
ゲートウェイ
異業種含め、人事採用担当として15年以上のキャリアを積んだ経歴を持つ40代男性。現在はソラストの介護採用スタッフとして活躍している。スタッフの負担軽減のため、IT導入や業務ルールの改善に強みを持つ。