令和8年度介護報酬改定を解説!臨時改定の背景や賃上げ措置について
著者: ゲートウェイ
更新日:2026/06/25
公開日:2024/09/20

介護報酬改定とは、介護サービスの報酬額や制度の仕組みを定期的に見直す仕組みです。
令和8年度の改定では、人材不足や賃上げへの対応を背景に、処遇改善加算の拡充などが実施されます。本記事では、令和8年度の介護報酬改定の概要や介護職員に与える影響などをわかりやすく解説します。
「介護報酬改定」とは?
介護報酬改定とは、3年ごとに介護サービス提供者に対する報酬の金額や仕組みを見直す制度です。
介護報酬改定は、介護サービス提供者に対する報酬の金額や仕組みを見直す制度です。社会保障審議会(介護給付費分科会)などで審議され、原則として3年ごとに見直されます。サービスごとに報酬単価が設定され、事業所の収入や現場の業務内容に影響を与えるため、毎回注目されます。
高齢化が続く日本社会において、持続可能性を確保し、サービスの質を向上させる目的で行われます。また、国の財政状況や介護サービスの需要と供給のバランスを見直す役割も含まれています。
令和8年度介護報酬改定は「期中改定」として実施

【期中改定が行われる背景】
・介護人材の不足が深刻化しており、人材確保が大きな課題となっている
・他産業との賃金格差が広がり、介護職員の離職防止や定着支援が急務となっている
・物価高や運営コスト増加により、介護事業所の経営負担が強まっている
令和8年度の介護報酬改定は、通常の3年ごとの改定とは異なり、「期中改定」として実施される臨時の改定です。
背景には、介護現場の深刻な人材不足や、他産業に比べて賃上げが追いついていない現状があります。
これらの課題に迅速に対応するため、本来の令和9年度改定を待たず、処遇改善を中心とした措置が実施されます。
なお、処遇改善加算の拡充は令和8年6月以降、基準費用額(食費)の見直しは令和8年8月から実施されます。
令和8年度介護報酬改定では最大月1.9万円の賃上げ措置を実施
【最大月1.9万円の賃上げの内訳】
| 内容 | 賃上げ額 |
|---|---|
| 介護従業者を対象とした幅広い賃上げ措置 | 月1.0万円(3.3%) |
| 生産性向上・協働化に取り組む事業者の介護職員に対する賃上げ措置 | 月0.7万円(2.4%) |
| 定期昇給分の措置 | 0.2万円 |
令和8年度の介護報酬改定では、全体の改定率が「+2.03%」とされ、介護従業者の処遇改善が強化されています。
内訳としては、基本の処遇改善に加え、生産性向上や協働化に取り組む事業者への上乗せ措置、さらに定期昇給分が含まれる設計です。
これらを合算すると介護職員について最大月1.9万円相当(幅広い賃上げ1万円、生産性向上等7,000円、定昇分2,000円)の賃上げとなりますが、一律ではない点に留意しましょう。
令和8年度介護報酬改定で見直される内容

令和8年度の介護報酬改定では、処遇改善加算の対象拡大や新たな加算区分の創設などが行われます。
主な見直し項目として、以下の4つのポイントが挙げられます。
介護職員等処遇改善加算の対象者の拡大
| 改定前 | 改定後 |
|---|---|
| ・介護職員 | ・介護職員 ・看護師 ・理学療法士 ・作業療法士 ・管理栄養士 ・ケアマネジャー |
令和8年度改定では、処遇改善加算の対象が、従来の介護職員から介護従事者へ拡大されます。介護従事者とは一般的に、介護職員に加え、指定の介護事業所で働く看護師、理学療法士、作業療法士、管理栄養士、ケアマネジャー等を指します。そのため、介護現場全体の処遇改善や人材定着につながることが期待されています。
一方で、介護事業所は賃金改善計画の作成・報告や適切な配分管理が必要です。
介護職員等処遇改善加算のサービス区分の拡大

| 改定前 | 改定後 |
|---|---|
| ・訪問介護 ・通所介護 ・特別養護老人ホーム ・介護老人保健施設 |
・訪問看護 ・訪問リハビリテーション ・居宅介護支援 ・介護予防支援 |
令和8年度改定では、これまで対象外だった訪問看護や訪問リハビリテーション、居宅介護支援、介護予防支援などが新たに加算対象へ追加されます。
これにより、ケアマネジャーや訪問系サービスの職員も処遇改善の対象となり、在宅サービスの人材確保やサービス維持につながることが期待されています。
生産性向上・協働化を評価する加算区分の新設

令和8年度改定では、生産性向上や協働化を評価する新たな加算区分が設けられます。
加算Ⅰ・Ⅱでは、訪問・通所サービス等はケアプランデータ連携システムへの加入、施設サービス等は生産性向上推進体制加算ⅠまたはⅡの取得、または社会福祉連携推進法人への所属などが令和8年度特例要件として設定されています。
これらの要件を満たすことで、加算率の上乗せを受けられる仕組みです。
今後は、生産性向上への柔軟な対応が事業運営において重要視されます。
基準費用額の見直し

| 改定前 | 改定後 |
|---|---|
| ・食費や居住費の基準が現状水準 ・地域差への対応が限定的 |
・物価高騰を踏まえた見直し ・地域差への対応が限定的 ・実態に応じた費用設定へ |
近年の食材料費の上昇などを踏まえ、介護保険施設等における基準費用額(食費)の見直しが行われます。
令和8年度改定では、特別養護老人ホームや介護老人保健施設などにおける食費について、1日あたり100円引き上げられます。
コスト増加に対応しつつ、低所得者へ配慮した調整が進められています。これは安定したサービス提供を維持するための措置です。
令和8年度介護報酬改定が介護職員に与える影響

令和8年度介護報酬改定では、介護職員等処遇改善加算の対象者や区分が拡大されます。
これにより、介護職員だけでなく、訪問看護や訪問リハビリテーションなどに携わる職種も、賃上げの措置を受けやすくなると想定されています。
生産性向上や協働化に関する要件を満たし、上位区分を取得する事業所では、加算率の上乗せ分が反映されるため、より処遇改善が実現しやすい環境が整います。
一方で、対象職員や配分割合は各事業所が柔軟に決定するため、勤務先によって実際の待遇に差が生じる点に留意しておきましょう。
令和8年度介護報酬改定を受け、転職先を選ぶ際のポイント
・施設が公開している情報を確認する(介護職員等処遇改善加算の取得状況など)
・ICT導入や研修制度など職場環境改善の内容を見る
・施設見学で現場の雰囲気や職員対応を確認する
令和8年度介護報酬改定を踏まえると、転職する際は各事業所の介護職員等処遇改善加算の取得状況を確認することが重要です。
処遇改善加算を取得する事業所では、職場環境等の改善に関する取組状況を公表する「見える化要件」が求められます。転職時は、ICT導入や研修制度、生産性向上への対応状況も確認しましょう。
また、制度面だけでなく施設見学で現場の雰囲気や職員の対応を確認しておくと、入職後のミスマッチを未然に防ぎやすくなります。
介護報酬改定に関するよくある質問
令和8年度の介護報酬改定については、「いつから始まるのか」「次回改定はあるのか」など気になる方も少なくありません。
こちらでは、介護報酬改定に関するよくある質問についてわかりやすく解説します。
令和8年度介護報酬改定はいつから実施される?
A. 処遇改善加算の拡充は令和8年6月以降、基準費用額(食費)の見直しは令和8年8月から実施されます。
届出対応やシステム改修などの準備期間を踏まえ、段階的に実施されます。これには処遇改善加算の見直しに伴う届出対応やシステム改修など、事業所側の準備期間を確保する目的があります。
令和9年度も介護報酬改定が実施される?
A.令和9年度にも通常の介護報酬改定が実施される予定です。
令和8年度の改定は、物価高騰や人材確保への緊急対応を目的とした臨時措置です。
そのため、3年ごとの改定サイクルに基づき、令和9年度には通常の介護報酬改定が実施される見込みです。
今後は、介護分野の賃上げ、経営の安定、離職防止、人材確保などに向けた見直しが検討されます。
新しい処遇改善加算を取得するには、どんな対応が必要?
A.計画書や実績報告書の提出などの手続きが必要です。
新たな加算の取得には、令和8年度の処遇改善計画書の作成・提出など所定の届出対応が必要です。
これらと並行して、賃金改善や職場環境改善などの算定要件を満たすことが求められます。
申請様式や最新情報は、厚生労働省のホームページで確認しておくと安心です。
介護報酬改定のポイントを理解して自分に合った転職先を見つけよう
令和8年度の介護報酬改定は期中改定として臨時に行われ、処遇改善加算の見直しを中心に人材不足や賃上げへの対応が強化されています。改定率は+2.03%で、最大月1.9万円の賃上げ措置や加算の対象となるサービス区分の拡大が行われます。
ただし、実際の処遇改善の度合いは事業所ごとに異なる点に留意しておきましょう。
これから転職を検討する際は、加算取得状況や職場の運用体制を確認し、自分に合った環境を見極めることが重要です。
改定内容の理解に加え、実際の職場環境や雰囲気まで確認することが、転職を成功に導くポイントです。介護職の求人を幅広く取り扱っているソラジョブ介護を活用し、理想の職場探しを進めましょう。
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著者プロフィール
ゲートウェイ
異業種含め、人事採用担当として15年以上のキャリアを積んだ経歴を持つ40代男性。現在はソラストの介護採用スタッフとして活躍している。スタッフの負担軽減のため、IT導入や業務ルールの改善に強みを持つ。