40代で介護職に転職できる?メリット・デメリットや未経験から活躍するポイントを解説
著者: ゲートウェイ
更新日:2023/12/22
公開日:2019/06/05
介護職は近年需要が高く、多くの人手が求められていますが、40代・未経験からの転職は可能なのでしょうか?今回は、40代・未経験で介護職に転職できるのか、実態をご紹介します。介護職に転職するメリット・デメリットや、転職を叶えるポイント、キャリアプランについても解説するので、介護職に興味のある方はぜひご参考にしてください。
目次
未経験の40代でも介護職に転職できるのか?
未経験の40代でも介護職への転職はできます。介護業界は人手不足に悩んでおり、男性、女性問わず積極的に採用をおこなっています。実際に高齢ながら介護業界で働いている人も多いです。介護労働安定センターによりますと、2021年の「介護労働実態調査」では、介護サービスに従事する従業員の63.0%が人材不足を感じていると報告されています。
未経験の40代でも介護職に転職しやすい3つの理由
なぜ未経験の40代でも介護職は転職しやすいのか、採用してもらえるのか、3つの理由を紹介します。
介護業界は人手不足
公益財団法人介護労働安定センターの「令和3年度事業所における介護労働実態調査」では、従業員が不足していると感じている事業所が合計で6割近くにのぼりました。このような結果からも介護業界が人手不足であることが伺えます。また離職率をみてみると約14.3%にものぼっており、これも人手不足に影響しているといえるでしょう。
慢性的な人手不足のため、どんな人でもまずはその人の能力に向き合って採用を決める傾向にあります。そのため、たとえ40代で未経験だったとしても熱意をアピールすれば転職を成功させることも夢ではありません。
介護職には中高年層が多い
厚生労働省では、無資格で就ける介護助手の人材として、主に60~75歳程度の高齢者を想定していました。そのような経緯もあり、介護職の現場は中高年層が多いです。年齢層の幅広い介護業界では40歳以降の職員も珍しくないので、年齢が原因で職場の雰囲気に馴染めない、という心配も少ないです。
未経験可、無資格可の求人が多い
介護職は「未経験可」と記載されている求人も多いです。さらに、介護助手職は無資格で就くこともできるので、未経験から介護職へ踏み出すハードルは高くありません。
また、介護に関する資格の中でも、介護職員初任者研修なら130時間の講義と演習を受け、1時間程度の筆記試験に合格すれば取得できます。1ヶ月ほどで取得できるコースもあるので、働きながら資格取得を目指すことも可能です。
40代で介護職へ転職する5つのメリット
介護職は、男性女性、年齢を問わず働ける仕事です。性別にかかわらず40代の方が介護職に転職することには、次の5つのメリットがあります。
働き方が選びやすい
無資格で介護職に就く場合、正社員として採用されることはあまり多くはありません。しかし、パート職員として採用されれば、返って自由度の高い働き方を選びやすくなります。
たとえば毎日10時から15時だけに時間を決めて働いたり、月曜日と金曜日だけ仕事をしたりするなど、家庭の事情に合わせて時間や曜日を選択できる可能性が高いです。
親の介護に活かせる
40代は、そろそろ親の介護が必要になり始める年代です。介護職で介護を学んでおくと、親や義父母に介護が必要となったときには、経験を活かして問題を対処することが可能になります。介護の仕事を単に「仕事」として捉えるのではなく、今後の生活に必要になる大切なことだと考えて取り組みましょう。
これまでの人生経験を仕事に活かせる
介護の仕事中でも、コミュニケーションの取り方や上司部下との連携など、介護職以外の仕事で身に付けたスキルを活かせるシーンは多いです。また、介護サービスの利用者との会話で話題を探すときには、20代、30代の方と比べて豊富な人生経験が役に立つでしょう。意外と介護には事務作業も多いので、デスクワークの経験であっても活かすことができます。
管理職を目指せる、高齢でも働ける
介護関連の資格を取得して経験を積むならば、管理職に就くことも可能です。介護の人材不足は深刻ですが、それに反して高齢者は増加中。今後も介護施設が増え、介護職員の求人も増えていくと考えられます。また、自身に健康上の問題がない限りは、介護の分野は高齢になっても働けます。
同年代が多い
介護の現場は40代、50代の方も多くいます。年代が違う人ばかりの職場は働きにくいと感じる40代の方も、介護職なら世代間格差を感じずに働くことができます。また、介護経験がない中高年スタッフも少なくないため、気持ちを理解してもらいやすく、年齢を気にせず分からないことを教えてもらえます。
40代で介護職へ転職する4つのデメリット
中高年になってから介護職に就くことにはデメリットもあります。介護職への転職を決める前に、特に次の4つのデメリットに留意してください。
給与は高くない
厚生労働省の介護従事者処遇状況等調査結果の概要によりますと、常勤の平均給与は297,450円、非常勤の平均給与は101,260円です。同じ介護職に従事する看護職員の平均給与が371,430円、非常勤でも125,670円であることを見ると、介護職の給与は比較的高くはありません。
意外と体力がいる
介護職は体が不自由な方を身体的に支えるため、体力が必要な職種です。力を入れることも多いので「まだまだ自分は若い」と思っていても、意外と体に負担はかかります。体力に不安を抱えたまま、無理に仕事を続けて体を壊しては元も子もありません。体力に不安がある方は、まずは週に3、4日程度から仕事を始めてみるのも良いでしょう。
自分より若い職員に指示されることもある
無資格かつ未経験でも介護職に就くことはできますが、やはり資格を持って経験が長い職員が管理職へと昇進します。同僚は40代、50代が多くても、上司は20代、30代ということも珍しくありません。自分よりも若い職員に指示されることが、心理的にストレスになる場合は、就業先の年齢層なども調べておきましょう。
未経験・無資格のまま正社員採用は難しい
未経験でも中高年でも転職しやすい介護職ですが、正社員での採用は難しくなっています。正社員での採用を目指すなら、介護職員初任者研修などの資格を取得し、ある程度の年数の介護経験を積むことが必要です。また、介護職員初任者研修の資格を取得している場合でも、ある程度の経験がない場合は正社員採用してもらえないケースが多いです。
【未経験者必見】介護職の種類とおすすめの職場
介護職に転職する前に、介護職の種類と職場の種類を理解しておきましょう。介護職と一口にいっても種類はさまざまです。しっかり調べて自分に合った仕事を選ぶと、初めての介護職も長続きしやすいです。
介護未経験の方は、まずはデイサービスセンターやデイケアセンターなどの通所型施設がおすすめ。比較的要介護度が低い方が多いので、介護者の体力的な負担が少ないです。通所型施設で経験を積み、働き方に合わせて滞在型施設への転職も検討してみましょう。
介護職の種類
介護職の種類 | 特徴 |
---|---|
介護助手 | 無資格でも就業できる |
介護職員初任者研修 | 130時間の演習を受け、試験に合格することが必要 |
介護福祉士実務者研修 | 介護職員初任者研修の上位研修。450時間の演習を受け、試験に合格することが必要 |
介護福祉士 | 国家資格。受験するためには、養成学校を修了していること、もしくは実務経験が3年以上かつ介護福祉士実務者研修(または介護職員基礎研修と喀痰吸引等研修(3号研修を除く))を修了していることが必要 |
ケアマネジャー | 受験するためには、特定の国家資格などを保有し、実務経験が5年以上かつ900日以上あることが必要 |
介護職は、取得している介護関連の資格よってできる職種は異なりますし、職場の種類によっても仕事内容は異なります。無資格の場合は介護助手(介護補助職)として働きますが、研修を修了している場合や資格を持っている場合は、責任あるポストを任されることが多いです。
職場の種類
滞在型施設 | 特別養護老人ホーム、有料老人ホーム、介護老人保健施設、グループホーム、ショートステイ施設 |
---|---|
通所型施設 | デイサービスセンター、デイケアセンター |
訪問型介護 | 訪問介護事業所 |
介護職が必要とされる職場には、滞在型施設と通所型施設、訪問型介護の3つの種類があります。利用者が施設内に宿泊する施設を滞在型施設、日中だけ通う施設を通所型施設、利用者の自宅に訪問する形で介護サービスを提供する職場を訪問型介護といいます。
40代未経験で介護職に転職するときの3つのポイント
介護の現場で働き、時間をかけてキャリアを築いていくなら、転職する前に次の3つのポイントを確認しておきましょう。
事前にきちんと情報収集する
介護職の仕事内容について、転職前にしっかりと情報収集しておきましょう。介護職は職場の形態によっても仕事内容が変わります。単に「介護職の仕事」を探すのではなく、職場の形態による違いを踏まえたうえで、細かく希望を考えて仕事を探してください。また、転職する前にかならず現場の見学をして、職場の雰囲気をつかんでおくことも大切です。
転職の動機は前向きに考える
転職をする際には「介護に関心がある」「介護経験を積んで、介護関連の資格を取得したい」などの前向きな動機を持ちましょう。「資格を持っていないから、介護しか転職できない」「年齢的に他の仕事は採用されにくい」といったネガティブな動機で介護職を選ぶと、仕事に対して意欲を持てず、長続きすることが難しくなります。
キャリアプランをきちんと立てる
最初の勤務形態や、介護職を始めた動機がどうであれ、キャリアプランはしっかりと立てておきましょう。特に、40代で介護職に転職するなら、10年、20年は続ける可能性があります。これからどのような経験を積み、どのような資格を目指し、どんな仕事に関わっていきたいのかについて、具体的に考えておきましょう。
介護職のキャリアプラン
介護職に転職し、長く続けていくためには、将来のキャリアプランを立てておきましょう。また、介護職の国家資格である「介護福祉士」を取得すると、管理職への道も開けて、さらに好条件の職場への転職にも有利になるのでおすすめです。
3年目まで:実務経験を積む
最初の3年間は実務経験を積みましょう。実務をこなしながら、もっとも短時間で取得できる介護職員初任者研修を取得。その後、介護福祉士実務者研修を取得します。福祉や介護の学校を卒業していない方でも、これら2種類の研修を修了し、3年間の実務経験を積むことで、介護福祉士の受験資格の取得が可能です。
4年目以降:キャリアアップにつながる資格取得を目指す
介護福祉士の資格を取得した後は、ケアマネジャーや認定介護福祉士、社会福祉士などの資格を目指せます。重度訪問介護従事者や精神保健福祉士などの特定の介護分野に関する資格を取得することで、さらにキャリアプランが広がるので、自分の希望する働き方を目指していきましょう。
おすすめの資格 | 特徴 |
---|---|
認定介護福祉士 | 国家資格ではないが、介護福祉士の上位資格として設定されている。受験するためには、介護福祉士の資格を持ち、実務経験が5年以上かつ100時間以上の現任研修歴があることが必須条件。 |
社会福祉士 | 国家資格。福祉関連の学校を卒業している場合は6ヶ月以上の養成施設での演習を経て受験資格獲得。福祉関連以外の学校を卒業している場合は1年以上の養成施設での演習を経て受験資格を獲得。 |
40代の介護職についてQ&A
介護職の給与や向いている人の特徴など、気になる疑問点をまとめました。介護職への転職を目指す40代の方はぜひ参考にしてください。
Q.40代の男性と女性の介護職の給与はどのくらい?
A. 介護職の平均月収は、40代男性で355,700円、40代女性で310,510円です。
厚生労働省が公表した令和3年の調査によると、同じ40代の介護職でも、女性と比べて男性の方がやや給与が高い傾向が見られます。なお、職種全体で見た40代男女の平均給与は下記の通りです。
年齢区分 | 男性の平均月収 | 女性の平均月収 |
---|---|---|
40〜44歳 | 約403,700円 | 約293,200円 |
45〜49歳 | 約424,800円 | 約297,200円 |
男性は、介護職に従事する人よりも職種全体の平均月収の方が高いです。一方女性に関しては、介護職に就く人の方が職種全体の平均月収を上回っています。
Q.資格がなくても介護職に転職できる?
A.無資格・未経験でも転職できますが、任される仕事は限定されます。
介護福祉士などの資格を持っていない場合、担当できる業務の範囲は主に以下の通りです。
【無資格でもできる業務の例】
・生活援助(食事の用意・片付け、洗濯、買い物、掃除など)
・送迎業務
・事務関連作業
・身体介護(有資格者の指導がある場合に限る)
食事や入浴の介助といった身体介護業務にも携われますが、資格を持つ介護職員からの指導がある場合のみに限られます。
よって、40代から介護職に転職してキャリアアップを図りたい方は、介護福祉士や着実に介護職へ転職したい40代の方は、介護職員初任者研修や介護福祉士実務者研修など経験に合わせて資格取得を目指すのがおすすめです。
Q.介護職に求められる能力や資質は?
A.特に、
・コミュニケーション能力
・相手の立場を考え、気持ちに寄り添う力
・新しいことに対する柔軟性
・年齢を問わず指導や注意を受け入れる謙虚さ
などが求められます。
介護職未経験の40代であっても、今までの仕事で培ってきたコミュニケーション能力は非常に役立つでしょう。施設利用者の気持ちに常に寄り添い、考えて行動できる人であれば、介護の現場でより高いパフォーマンスを発揮できます。
また、新しいことであっても前向きに取り組み、柔軟に対応できる姿勢を持っていれば、より必要とされる人材とみなされるでしょう。
さらに介護現場では、幅広い年齢層の人たちと仕事をします。業務の中では年齢の上も下もありません。ミスに対しては注意を受け、至らない部分には指導が入ります。こうした中でも年齢を気にせず素直に受け入れる謙虚さは大切です。
Q.介護職は何歳まで続けられる?
A.基本的に年齢制限はありません。
介護職は、正社員の定年制はあっても、再雇用や定年の延長制度を設けている事業所が多いです。よって、体力や気持ちがある限り長く続けられる仕事といえます。
しかし、40〜50代以上になると、身体介助業務などをきついと感じることも。自分の身体面と精神面を考えて、無理なく続けることがおすすめです。
介護職は40代からでも活躍・キャリアアップが期待できる!
介護職は、40代未経験の方でも転職可能な職種です。慢性的な人材不足の影響もあり、今後もニーズが増えることが予測されています。
経験を積んで資格を取得することで、高齢になってもキャリアアップが期待できます。40代で介護職を目指す際のメリットとデメリット両方を押さえた上で、転職を成功させましょう。
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著者プロフィール
ゲートウェイ
異業種含め、人事採用担当として15年以上のキャリアを積んだ経歴を持つ40代男性。現在はソラストの介護採用スタッフとして活躍している。スタッフの負担軽減のため、IT導入や業務ルールの改善に強みを持つ。