介護職で妊娠したら?報告や妊娠中も夜勤で働けるのかなど取るべき対応をご紹介
著者: ゲートウェイ
更新日:2023/12/22
公開日:2019/06/25
更新日 2023/03/05
介護職として働いているときに妊娠が分かったら、どのタイミングでどのように行動すれば良いのでしょうか。職場の雰囲気によっては妊娠を報告しにくいこともあると思います。妊娠が発覚したら退職すべきか、働き続ける場合、入浴の介護や夜勤などの体に負担をかける仕事はいつまでできるのか気になりますよね。今回は介護職の方が妊娠したときに取るべき対応をご紹介します。
目次
夜勤や入浴介助などの介護の仕事は行える?妊娠中でも介護職をする場合の心得
妊娠に理解のない職場では「母性健康管理指導事項連絡カード」を活用しよう
介護職の女性は妊娠したらすぐに報告を
介護職の女性は、妊娠したことが分かったらすぐ上司に報告すべきです。世間的には「安定期に入ってから報告しよう」と考える方も多いですが、介護は体を動かす場面が多い仕事です。安定期に入るまでにも仕事量や仕事内容への配慮が必要になります。「安定期に入ってから……」「仕事がつらくなったら……」と妊娠報告を先延ばしにするのではなく、妊娠が分かったらすぐに報告するようにしましょう。
医師による「妊娠」の診断がでたらすぐに職場へ報告
本当に妊娠しているかどうかは、産婦人科に行って医師による検査を受けて判別します。医師が妊娠していると診断したときは、職場の上司に報告しましょう。
妊娠が分かったといっても、自分で妊娠検査薬などを使って判断しただけで職場に報告するのはおすすめできません。最近の妊娠検査薬は精度99%などと謳っていますが、あくまでも家庭で手軽に妊娠を判別する試薬です。しっかりと医師の診断を待つようにしましょう。
早い妊娠報告で今後の見通しが立てやすくなる
介護の現場は、人手が不足していることが多いです。早めに職場に妊娠を報告することで、シフトなど配慮してもらえる可能性があります。
また、早めに職場へ報告することで、自分自身の予定も組みやすくなります。「いつも人手が足りないって言っているから、報告しにくい…」とためらうのではなく、人手が足りない職場こそ、まずは直属の上長にだけでも、早めに妊娠を報告しましょう。
夜勤や入浴介助などの介護の仕事は行える?妊娠中でも介護職をする場合の心得
妊娠をした後も仕事をする場合、気になるのはどのような業務が適切なのかということ。夜勤や入浴介助といった業務は行っても良いのでしょうか。
基本的に医師から仕事を控えるようにと指示された場合を除き、妊娠したことが分かったからといってすぐに仕事を辞める必要はありません。しかし、働き方や仕事内容は、妊娠前と比べて少し変わります。次の4つに注意して介護の仕事に関わっていきましょう。
・妊娠後に夜勤や入浴介助の介護業務は難しい
・妊娠時期にできる介護業務を知ろう
・少しでも体調の変化がある場合はすぐに相談・報告を
・妊娠に理解のない職場の場合は「母性健康管理指導事項連絡カード」を活用しよう
妊娠後に夜勤や入浴介助の介護業務は難しい
体調に問題がないとしても、妊娠期は体を労わらなくてはならない時期です。そのため、入浴介助業務は難しく、避けるべきです。また、妊娠中の夜勤もできるだけ避けておきましょう。夜勤をすることで妊婦さん自身の体調を崩しやすくなるだけでなく、夜勤中は介護スタッフも減りますので、万が一、体調が悪くなったときに介護業務にあたる人が足りなくなる恐れがあるからです。
体力を過度に消耗する業務をすると、妊娠継続に影響を与えてしまうこともあります。妊娠期は体調が不安定になる時期です。疲労を感じやすくなり、動悸や息切れ、立ちくらみなどが起こりやすくなるため、上記の仕事は控えるようにしましょう。
妊娠時期にできる介護業務を知ろう
妊娠している間にできる業務を知るには避けるべき業務を知ることが大切です。妊娠中に避けるべき業務の特徴は主に3つです。
・重いものを持たない
・不安定な場所に立たない
・走らない
以上の3つに注意しましょう。「妊娠中期は安定期だから、いつもと同じように働いても大丈夫」と自己判断する方もいますが、実際のところは、妊娠期は時期に関わらず常に配慮が必要です。
個人差はありますが、制度上、出産6週間前までは働くことができるとされています。双子の場合は14週間前までと期間が前倒しされます。しかし制度上で働けるといっても、無理は禁物です。個人差があるため、あくまで目安として捉えてください。医師から安静指示があった場合には、働くのを控えましょう。また重いものを持つなど、お腹に負担のかかる姿勢になる仕事はなるべくしないようにしましょう。
連絡帳の記帳といった事務作業、レクリエーションや食事の介助といった仕事を中心に行うようにしましょう。
少しでも体調の変化がある場合はすぐに相談・報告を
男女雇用機会均等法では以下のように定められています。
第十三条:事業主は、その雇用する女性労働者が前条の保健指導又は健康診査に基づく指導事項を守ることができるようにするため、勤務時間の変更、勤務の軽減等必要な措置を講じなければならない。
もしも医師による訴えがあった場合、雇用主は休憩時間を伸ばす、回数を増やす義務があるのです。 「今日は調子が良い」と思っていても、いきなり不調になってしまうのが妊娠期の特徴です。介護職に従事しているときでも、少しでも体調の変化を感じたのならすぐに上司に相談し、休憩をとるようにしてください。無理をして仕事を続けることで、母体だけでなく赤ちゃんの体に負担をかけてしまうことがあります。
妊娠に理解のない職場では「母性健康管理指導事項連絡カード」を活用しよう
母性健康管理指導事項連絡カード(以下、母健連絡カード)は妊産婦への医師による指導を事業者に伝わりやすくするための連絡カードです。事業主は基本的に母健連絡カードの指示に従い適切な配慮をしなければいけません。
職場によっては、妊娠中だと伝えても配慮を得られないことがあるかもしれません。「みんな妊娠中でもいつも通りに働いている」と過去の例を引き合いに、配慮を求めるほうがおかしいと暗に伝えられることもあります。
しかし、妊娠期の体調は人それぞれです。影響が出ない人もいれば、配慮がないと仕事を続けられない人もいます。職場の理解を得ることが難しそうなときは、産婦人科の担当医に「母性健康管理指導事項連絡カード」を発行してもらい、上司に提示してみましょう。適切な対応を得られやすくなります。
妊娠中はいつまで介護の仕事を続けられる?
妊娠中は全期間にわたって体に負担をかけないように注意することが大切です。しかし、出産が近づく頃には、特に体調に注意をしなくてはなりません。厚生労働省でも妊娠24週を超えたら2週間に1度は妊婦検診を受け、妊娠36週を超えたら1週間に1度は妊婦検診を受けるように勧めており、さらなる体調への配慮が必要になります
産前6週間(42日前)まで働くと産休・育休手当が取得できる
労働基準法第65条では、産休について以下のように定められています。
第六十五条:使用者は、六週間(多胎妊娠の場合にあつては、十四週間)以内に出産する予定の女性が休業を請求した場合においては、その者を就業させてはならない。
産休は、産前6週間(多胎児の場合は14週間)・産後8週間です。産前休業は職場に請求して取得しますが、産後休業期間は原則として就業できません。また、育休は原則として子どもが1歳になるまで(2歳になるまで延長可能)取得できます。
また、産休中には国民健康保険以外の健康保険に加入している場合は、出産手当金が支給されます。育休中には雇用保険から育児休業給付金が支給されます。出産手当は1年以上継続して同じ職場で勤務していた場合、退職後であっても受け取れることがあります。不明な点は加入している健康保険組合に問い合わせましょう。
妊娠中に体調に不安を感じたら退職を検討するのも手
キャリアも大切ですが、妊娠中・出産後において、何よりも優先しなくてはならないのは体調です。母体の体調が優れないと、赤ちゃんの健康も脅かされてしまいます。体調に不安があるときは、出産前に退職することも検討してみましょう。介護職は比較的再就職が早く見つかる職種で、職場を見つけることにはあまり苦労しないというメリットがあります。
出産後は介護職に復帰?退職?出産後のキャリアプランを立てよう
出産後も介護職を続けていこうと考えている方なら、どのタイミングで復帰するのが良いのか、もしくは出産を機に退職するのかどうかについても考えておきましょう。早めに予定を立て、職場に伝えるとスムーズです。出産後は赤ちゃんのお世話や自分自身の体力回復のため、ゆっくりとキャリアについて考える時間がない可能性があります。体力的にも心理的にも余裕のある妊娠中に、出産後について考えておきましょう。
まずは産休、育休を取るのかそれとも退職するのかを決めよう
産休と育休を取得して職場復帰を目指すのか、また、産休と育休を取得しないで出産前に退職するのかかならず妊娠中に決めておきましょう。なお、出産前に退職すると職場復帰の時期を比較的自由に決められるというメリットがありますが、保育園に入りにくいというデメリットもあります。しっかりと吟味をして退職するかどうかを選びましょう。
復帰する場合、出産後のキャリアプランを立てよう
産休と育休を取得して介護職に復帰する場合は、出産後のどのタイミングで復帰するのかも具体的に決めておきましょう。保育園の送り迎えを誰が担当するのか、夜勤はどの程度組み込むのかについても家族で話し合っておきます。また、介護職を続けていく上で資格取得を目指すなら、勉強や受験についても具体的なプランを立てておきましょう。
介護職は妊娠したらまず報告・相談!働く環境を整えましょう
今回は介護職の女性が妊娠したときにすべきことと、考えるべきことについて紹介しました。医師に妊娠していることを診断してもらったら、すぐに職場に報告し、無理のない働き方ができるように上司と相談してください。夜勤や入浴介助といった業務は避けるのが無難です。妊娠していることを報告しにくいときや、適切な配慮を得られないときは母性健康管理指導事項連絡カードも活用しましょう。もちろん、「協力してほしい」という態度で職場の人に伝えることも忘れないようにしてくださいね。
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著者プロフィール
ゲートウェイ
異業種含め、人事採用担当として15年以上のキャリアを積んだ経歴を持つ40代男性。現在はソラストの介護採用スタッフとして活躍している。スタッフの負担軽減のため、IT導入や業務ルールの改善に強みを持つ。