介護で提供する食事の特徴・形態や介助の方法、簡単にできる介護食レシピをご紹介
著者: ゲートウェイ
更新日:2023/12/22
公開日:2020/03/13
介護を必要としている人に、安全で楽しい食事時間を提供するためには、介護食に関する知識を深めておくことが大切です。ここでは、介護する上で必要な食事形態の種類や、安全に食事介助をするコツ、家族への指導にも役立つ介護食の作り方や、アレンジ方法を紹介します。
目次
介護における食事形態の特徴について
介護食は食べる人の嚥下機能や好みによって、選ぶべき食事形態が変わります。
安全においしく食事を食べてもらうためにも、介護食について詳しく知っておくことが大切です。介護食には4つの種類があるので、それぞれの特徴を理解した上で、正しい食事形態を選べるようになりましょう。
4つの食事形態(種類)と正しい選び方のポイント
食事形態 | 概要 |
---|---|
きざみ食 | ・食材を2~5mmほどに細かく刻んだもの ・噛む力が弱い方に適している |
やわらか食(軟菜食・ソフト食) | ・歯茎や舌で簡単につぶせる固さのもの ・食べる方に合わせて柔らかさの調整が可能 ・食事の見た目が普通食と変わらない |
ミキサー食 | ・水分を含ませ、ミキサーでポタージュ状にしたもの ・ほとんど噛む力のない方でも食べられる |
ゼリー食 | ・ゼラチンや寒天を加えてゼリー状にしたもの ・高度な嚥下障害がある方に適している |
食事でむせやすい人や、嚥下能力の低下が見られる人は、食事形態が適していないことが考えられます。そのため安全に食事が摂取できるよう、食事形態を工夫するのも1つの方法です。介護食には主に4つの食事形態があるため、その人の状態に合わせて最適な食事形態を選んでみてください。
刻み食
刻み食は、食べる方の状態に合わせて食材を2〜5 mm 程度に細かく刻んだものです。飲み込む力はあるけれども、噛む力が弱いという人に適しています。しかし唾液が少ない方や飲み込む力が弱い方は、むせや誤嚥、喉のつまりを起こしてしまうリスクがあります。そのため水分を含ませ、適度なとろみをつけると安全です。
やわらか食(軟菜食・ソフト食)
やわらか食は、食材を歯茎や舌で簡単につぶせる固さにしたものです。噛む力が弱くなってきた人でも食べやすくなっており、食べる方に合わせて柔軟に柔らかさが調節できます。食材の形を残して調理できるため、食事の見た目が普通食と変わらない点は嬉しいポイントです。ただし作るのにノウハウが必要であり、準備の難易度が高い介護食でもあります。
ミキサー食
ミキサー食は、食材に出汁などで水分を含ませ、ミキサーでポタージュ状にしたものです。見た目はあまり美味しそうには見えませんが、噛む必要がないように作られているため、ほとんど噛む力がない方でも食事が取れます。しかし液状の場合、むせたり誤嚥してしまうリスクがあります。
また水分で満腹感が高まってしまうことから、十分な栄養が摂取できない可能性がある点もデメリットです。そのため適度にとろみをつけたり、栄養や盛り付けを工夫するなど配慮しましょう。
ゼリー食
ゼリー食は、ペースト状にした食事をゼラチンや寒天を加えてゼリー状にしたものです。喉への滑りも良く、安全に飲み込めるため、高度な嚥下障害がある人に適しています。
食事介助の手順と安全・快適に介助するコツ
食事介助をする際は、利用者が安全かつ快適に食事ができるようにしてあげたいものですね。ここからは、利用者が食事を進めやすいような食事介助方法を紹介します。
テーブルと椅子で食事介助をする場合
テーブルと椅子で食事をする場合は、安定した姿勢が保持できるように配慮することが大切です。椅子に深く腰かけた状態で足がしっかりと床についているか確認しましょう。膝や肘は90度程度になるようにセッティングし、なるべく前傾姿勢を保てるよう、クッションなどで調節すると、食事を進めやすくなります。
ベッドで食事介助をする場合
ベッドで食事をする場合は、リクライニング機能を使って、体を45度から80度程度に起こしましょう。リクライニングで体を起こすと、体がずり落ちてしまいがちなので、膝の下にクッションを入れると体が安定しやすくなります。
リクライニングの車椅子で食事介助をする場合
リクライニングの車椅子で食事をする場合も、ベッドと同様に体を45度から80度程度に起こしましょう。車椅子と体の間に隙間ができていると、姿勢が崩れやすくなってしまうので、クッションなどを活用して姿勢を安定させると、利用者の負担が少なくなります。
衣服が汚れないよう使い捨てエプロンを使用しよう
咀嚼機能や嚥下機能が低下していたり、姿勢が崩れていたり、どうしても食べこぼしが増えてしまいます。食べこぼしで衣服が汚れるのを防ぐために、あらかじめ使い捨てエプロンを使用しておくと、利用者に不快感を与えにくくなります。
介護食の作り方やアレンジの方法をご紹介
完成した介護食を利用者に与える機会はあっても、介護食を作る機会はあまりありません。介護食の作り方やアレンジ方法を知っておくと、家族への食事指導に役立つでしょう。
介護食を作る方法とは
介護食といっても、わざわざ手の込んだ食事を作る必要はありません。楽しい食卓にするためにも、家にある食材だけで作ったり、家族と同じ食事を介護食にアレンジしたりするなど、できるだけ負担の少ないレシピを知っておきましょう。
家族と同じ食事をアレンジしてみよう
家族が食べる食事と同じメニューでは、うまく噛んだり飲み込んだりできないのではないか、と思うかもしれません。そのような食事も、細かく刻んだりとろみ剤を利用したりすることで、噛みやすく飲み込みやすい介護食に変身させることができます。
簡単に作れる介護食レシピ
簡単にアレンジできる介護食レシピとして、肉じゃがムースがあります。玉ねぎや人参、じゃがいもを細かく刻んで、肉と調味料を加えてレンジで加熱し、フードプロセッサーにとろみ剤と一緒に入れて、ムース状になるまで細かくしたら完成です。時間がなかったり、火を使いたくなかったりする場合でも簡単に作れるので便利なレシピと言えます。
レトルトの介護食を利用するのもおすすめ
毎日介護食を作るのが、負担になってくる場合もあるでしょう。そのような場合は、市販されているレトルトの介護食を利用するのもおすすめです。レトルトの介護食は、レンジで温めたり湯煎するだけで食べられるようになっていたり、容器と一体型になっていて食器を準備する必要がないものもあるため、介護者の負担が大幅に少なくなります。
味や形状も様々な種類が販売されているため、食事の選択肢が豊富になっていますが、同じ商品が続くと飽きてしまう場合もあるため、注意が必要です。
介護食の宅配・配達サービスについて
介護食の宅配・配達サービスを利用するという方法もあります。このようなサービスを活用すれば、食材の買い出しのために外出する、介護食を作るといった手間を軽減できます。 また、食べたいメニューを選択できるため、利用者の嗜好に沿った食事を食べてもらうことができるのもメリットです。
病気によって食事制限がある人でも、塩分やカロリーを制限したメニューもあり、栄養コントロールが難しい人でも、安心して食事を摂取できます。
簡単にできる介護食レシピを紹介
ここでは簡単、かつ栄養も摂れる介護食レシピを2つご紹介します。
簡単介護食レシピ①「和風おじや」
市販のお茶漬けの素で簡単に味付けできる、お手軽おじやです。さっぱりとした味付けなので、飽きにくい点も嬉しいポイント。ぜひノーマルのおじやに飽きてしまった場合は、和風おじやを作ってみてください。
材料(1人分) | 作り方 |
---|---|
ごはん:100g お茶漬けの素:1袋 水:180ml 卵:1個 ほうれん草(葉部をみじん切り):10g |
①鍋に水とお茶漬けの素を入れて溶かす ②①にごはんを入れて、ダマにならないように混ぜる ③ほうれん草を入れて10分煮る(弱火10分) ④ボールに卵を割りほぐし、②に回し入れる ⑤蓋をして蒸らしたら完成 |
簡単介護食レシピ②「豆腐グラタン」
味付けに市販のレトルトシチューを使用した、簡単に作れるグラタンです。豆腐を使用しているため、噛む力が弱い方でも食べやすくなっています。いつもと違った豆腐の食べ方をしてみたい場合に、おすすめのレシピです。
材料(1人分) | 作り方 |
---|---|
絹ごし豆腐:1個 レトルトシチュー:1袋 冷凍ブロッコリー:30g |
①グラタンさらに絹ごし豆腐を盛る ②①にレトルトシチューをかける ③②に冷凍ブロッコリーをのせる ④オーブントースターで10分ほど焼いて完成 |
意外と知られていない?介護食と消費税の関係
介護保険で提供されている多くのサービスは、消費税が非課税になっています。しかし、食事によっては介護食の場合でも消費税が課税される場合もあるので、注意が必要です。実際のところ、介護食と消費税の関係についてしっかりと理解している人はあまり多くありません。ここからは介護食と消費税の関係について詳しく説明します。
基本的に施設で提供される介護食は非課税
訪問介護や通所介護はもちろん、施設に入居している場合であっても、そこで受ける介護サービスは非課税になっています。そのため、各施設で提供される介護食も非課税になるため、実際にかかった食事代のみを負担すれば良いということになります。
食事に関しても、会話サービスとして提供されている食事は消費税が非課税ですが、利用者の希望により提供してもらった特別食は、消費税がかかるということを理解しておきましょう。
介護食の特徴を理解した上で安全に食べてもらうことが大切
ここでは、介護食の種類や特徴、介護者の負担を軽減しながら楽しい食事ができるような介護食の作り方を紹介しました。安全に食事を摂取してもらうためにも、食事前のセッティングは重要なので、どのような姿勢が適しているかを意識しながら準備しましょう。ここで説明した内容を参考にして、より専門的な視点を持って食事が提供できるようになってくださいね。
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著者プロフィール
ゲートウェイ
異業種含め、人事採用担当として15年以上のキャリアを積んだ経歴を持つ40代男性。現在はソラストの介護採用スタッフとして活躍している。スタッフの負担軽減のため、IT導入や業務ルールの改善に強みを持つ。