介護再就職準備金とは|貸付対象者や金額、貸付までの流れを解説
著者: ゲートウェイ
更新日:2023/12/22
公開日:2021/11/01
介護需要が高まる中、人手不足が課題である介護業界では、潜在介護人材の獲得にも力を入れています。そこで現在は介護職を離れているが、再就職を検討している方が押さえておくべき制度に介護再就職準備金があります。今回は介護再就職準備金の対象者や貸付金額、貸付までの流れなどを詳しく解説します。
目次
介護再就職準備金とは
介護再就職準備金とは、厚生労働省による再就職準備金貸付事業で支給される補助金のことです。過去に介護職に就いていたものの、現在は離職している方が、再び介護職に就く際に必要となる準備金を最大40万円まで貸付します。貸付金は無利子、かつ一定条件を満たすことで返済が免除される点が特徴です。 介護業界は高齢化の進展に伴い需要が高まる一方、深刻な人手不足の状況にあります。厚生労働省では、高齢化がほぼピークになる2040年度には全国で約69万人の介護人材が不足するとの推計を公表しています。新規で介護人材を育成・獲得するのはもちろんのこと、離職している潜在介護人材を確保することを目的に介護再就職準備金の制度を設けています。
介護再就職準備金の用途
介護再就職準備金は、介護職に復帰する準備のために給付されます。自治体によって給付の判断にバラツキがありますが、以下のような内容は一般的に給付の対象となります。
・再就職に伴う教材購入や講習参加などの学習費
・就職活動中や就職後に利用する保育施設等を探すための活動費
・就職で必要な衣類やシューズ、道具などの購入費
・就職に伴う引っ越し費用や敷金、礼金、仲介手数料
・通勤に必要な自転車、自動車等の購入費など
上記は貸付の対象となる一般的な用途ですが、自治体によって細かい条件は異なります。具体的には、転居における敷金や礼金は対象外である、自動車の買い換えは準備金として認められないといった場合も。つまりご自身が再就職に必要な準備金と認識していても、自治体では認められないケースがあります。そのため自治体の提示する貸付条件と、ご自身の用途がマッチするかをあらかじめ確認しておくと安心です。
介護再就職準備金の貸付対象者と条件
ここでは介護再就職準備金の貸付対象者と、貸付に必要な条件をみていきます。
介護再就職準備金の貸付対象者
厚生労働省のホームページでは、介護再就職準備金の対象者を以下のように提示しています。
①次のいずれかに該当し、介護保険サービス事業所等で1年以上の勤務経験のある方
・介護福祉士の資格を持っている
・実務者研修を修了している
・介護職員初任者研修を修了している
②介護保険サービス事業所において介護職員等として再就職した方
③都道府県福祉人材センターに氏名及び住所などの届出を行い、再就職準備金利用計画書を提出した方
介護職としての勤務経験1年以上とは雇用期間365日以上のうち、介護業務に従事した期間が180日以上の場合に対象となります。また、介護資格なくして介護業務に従事していた場合や、主たる業務が介護でない管理者やケアマネージャー、生活相談員は対象外です。さらに同じ介護業務であっても、勤務先が障害者福祉サービス事業所の場合は対象外となります。なお、勤務形態は問わないため非常勤も貸付の対象になります。さらに県によっては上記項目以外にも条件を設けている場合もあり、千葉県の場合は以下の条件がプラスされています。
・直近の離職日から再就職までの間に、千葉県福祉人材センターに登録できる方
・生活福祉資金や母子父子寡婦福祉資金、その他国庫補助事業等を活用した制度を併用していない
介護再就職準備金の給付を検討している方は、お住まいの地域の社会福祉協議会のホームページを事前にチェックしましょう。
介護再就職準備金の貸付条件
上記条件に加えて、介護再就職準備金を借りるには連帯保証人が必要です。介護再就職準備金は一定条件で返済が免除になります。しかし、その条件を満たさない場合返済義務があることから、連帯保証人が必要です。介護再就職準備金の貸付を考えている場合には、連帯保証人になってくれる人をあらかじめ探しておくとよいでしょう。
介護再就職準備金の貸付額と返済免除条件について
ここでは介護再就職準備金の貸付額、返済免除の条件について解説します。
介護再就職準備金の貸付額
介護再就職準備金の貸付額は、最大で40万円です。2016年の施行段階では基本上限20万円、特に人手不足が問題となる首都圏・関西圏のみ上限40万円でしたが、2020年6月に一律40万円に引き上げられました。最大40万円であるため、用途に応じて個々に給付される額はさまざまです。
介護再就職準備金の返済免除条件
介護再就職準備金は返済義務のある給付金ですが、貸付後に介護職員等として継続して2年間勤務することで全額が返済免除となります。
また、「継続して働く」との条件は必ずしも同一事業所でなくとも問題なく、最初に再就職した事業所を辞めてもすぐに別の事業所で仕事を始めれば継続して働いているとみなされます。最初の再就職先が満足できる環境であるのがベストですが、そうでない場合でも安心して転職することが可能です。さらに、自治体によっては「介護職員処遇改善加算を算定している事業所や施設への就職」など、就職先や就職日数に関して細かい条件を設けている場合があります。 なお、返済義務が生じるのは以下のケースです。
・未就労
・再就職後、2年未満で他産業に転職
・自己都合にて介護職員を退職した場合
無利子で貸付される給付金といえど、最大40万円ともなると高額です。なるべく返済免除となるために、返済免除の条件は事前にしっかりと確認することが重要です。
介護再就職準備金の貸付までの流れ
下記は東京都を例にした、介護再就職準備金貸付までの流れです。
①離職 | 各都道府県の社会福祉協議会(福祉人材センター)に「離職介護人材」の届出 |
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②再就職内定 | 再就職後、申し込み書類を提出 ・貸付申込書 ・実務経験証明書 ・従事日数内訳書 ・資格証明書の写し ・申込者の住民票 ・離職介護人材届出を行なっていることが証明できる書類 |
③従事開始 | 3ヶ月以内に社会福祉協議会(福祉人材センター)に「再就職届」を提出 ※期日は都道府県によって異なる場合があるため要確認 |
④審査 | 書類受理後、審査の上貸付可否を決定 締切日の約2週間後を貸付決定日とする ※東京都の場合 |
⑤貸付決定 | 決定後、借用証明書等の書類を期日内に提出 |
⑥交付 | 提出書類に不備がなければ、指定口座に一括で振り込まれる |
提出に必要な書類は各都道府県の福祉人材センターの窓口で受け取れるほか、ホームページでもダウンロードできます。
(例:東京都社会福祉協議会「離職介護人材再就職準備金貸付事業」)
細かい流れや必要書類は都道府県によって異なる場合があります。そのため、お住まいの地域の社会福祉協議会(福祉人材センター)の窓口に問い合わせる、またはホームページを確認してミスのないよう手続きしましょう。
介護職へ復帰する際は介護再就職準備金を活用しよう!
介護再就職準備金は、過去に介護職として従事していた一定条件を満たす人が受給できます。受給条件や手続きは各都道府県によって異なるため、お住まいの地域の社会福祉協議会(福祉人材センター)の情報をしっかりと確認しましょう。ぜひ介護職への復帰を検討している方は、介護再就職準備金を活用してください。
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著者プロフィール
ゲートウェイ
異業種含め、人事採用担当として15年以上のキャリアを積んだ経歴を持つ40代男性。現在はソラストの介護採用スタッフとして活躍している。スタッフの負担軽減のため、IT導入や業務ルールの改善に強みを持つ。