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認知症ケア専門士とは?資格取得のメリットや方法、合格率などをご紹介

著者: ゲートウェイ

更新日:2023/12/22

公開日:2022/07/29

厚生労働省によると、2025年には高齢者の5人に1人が認知症になると予測されています。特に介護施設では認知症の方と接する機会も多く、職員には認知症に対する専門性が求められます。そこで役立つ資格の1つが、認知症ケア専門士です。今回は認知症ケア専門士について、さまざまな観点から詳しく解説します。

認知症ケア専門士とは?

認知症ケア専門士は、2005年に創設された比較的新しい民間資格です。一般社団法人日本認知症ケア学会が、質の高い認知症ケアを社会に普及させることを目的に創設した資格です。認知症ケア専門士の資格で、認知症ケアに関する優れた学識・高度な技術・倫理観を備えた専門技術士であることが証明されます。まずは、認知症ケア専門士の役割や活躍場所についてみていきましょう。

認知症ケア専門士の役割

認知症ケア専門士は、認知症ケアのプロとして仕事に従事します。具体的には、専門的な知識・技術を持って、認知症当事者やそのご家族、認知症介護に携わる方に適切なサポートを行います。また、認知症の方への対応は難しく困難が多いため、当事者への直接的なサポートだけでなく、ご家族や介護スタッフへの指導やサポートも併せて行います。
認知症はまだまだ未解明な病気であり、完治することが難しいため、認知症介護は中長期的なものとなります。周囲の理解や適切な対応が重要な病気であるからこそ、認知症介護には専門的な知識・技術を有した認知症ケア専門士の指導が重要です。

認知症ケア専門士の活躍場所

認知症ケア専門士の活躍の場は、介護・医療・福祉とさまざま。認知症は高齢者に多い病気という点で、高齢者向けの介護施設では、認知症ケア専門士の知識・技術を発揮することができます。なかでも、グループホームのような認知症高齢者を専門とする介護施設や特別養護老人ホーム、介護老人保健施設などの介護保険施設では、多くの認知症ケア専門士が活躍。また近年は、医療現場でも認知症ケアの知識が求められつつあります。さらに、自治体の福祉関連機関であれば、認知症ケア専門士の資格があることで認知症ケアの公的サービスの立案・運営に役立てることができるでしょう。

認知症ケア専門士の資格概要

ここでは、認知症ケア専門士の資格概要についてご紹介します。

認知症ケア専門士の資格種類

認知症ケア専門士の資格には、下記3種類があります。

・認知症ケア専門士
・認知症ケア上級専門士
・認知症ケア准専門士

2009年度より認定試験が開始した認知症ケア上級専門士は、認知症ケア専門士の上位資格です。チームリーダーや地域のアドバイザーとして活躍する専門士の養成を目的に創設されました。一方、認知症ケア准専門士は「2022年3月31日までに満18歳以上に達する」「認知症ケアの実務経験がない」方が取得できる認知症ケア専門士資格です。そのため、認知症ケア専門士の初級にあたる認定資格といえます。

認知症ケア専門士資格の保有者状況

2020年6月時点で、認知症ケア専門士を取得している方の保有資格状況は以下の通りです。

認知症ケア専門士の資格を保有している方の多くは、介護福祉士や介護士専門員といった介護系上位資格の保有者です。次いで、ヘルパーや看護師に多く、その他社会福祉士や3大リハビリ専門職の方が認知症ケア専門士の資格を取得しています。保有資格状況をみてわかる通り、介護・医療・福祉とさまざまな分野で認知症ケア専門士の資格が役立つといえます。

認知症ケア専門士の資格の更新

認知症ケア専門士の資格は、自身のケアを見直す機会をもつこと、最新の知識・技術を学ぶ必要があることから、5年ごとに更新が必要です。そのため、1度取得して終わる資格ではありません。更新には5年以内に30単位以上の取得が必要であり、単位や論文投稿や発表、学会や講演などで単位を取得していきます。学会などへの参加費や更新費、時間がかかる点で、認知症ケア専門士は維持にもコストがかかる資格です。

認知症ケア専門士の資格取得のメリット

ここでは、認知症ケア専門士の資格取得のメリットをお伝えします。

転職で有利になる

認知症ケア専門士は知名度が高く、かつ認知症関連の資格の中では難易度が高い資格です。「認知症ケアのプロ」と証明される資格であることからも、介護・医療・福祉業界での転職で有利に働きます。

専門性の高い認知症ケアが提供できる

認知症ケア専門士の資格取得の過程で習得する知識・技術量は多く、更新が必要な資格であることから、常に最新の知識・技術を身につけることができます。勉強会などへの参加の機会も多いため、必然的にスキルアップ。常に高い専門性を維持でき、最先端の認知症ケアを提供することが可能です。

給料アップにつながる

職場によっては認知症ケア専門士の資格があることで、手当が上乗せされて給料アップになります。また資格手当がなくとも、認知症ケア専門士の資格があることで上位ポストを任されやすくなることも。その場合は基本給アップが見込めるため、結果的に給料アップが期待できます。

認知症ケア専門士の資格取得方法

認知症ケア専門士の資格を取得するには、認定試験に合格し、資格を登録申請する必要があります。ここでは、認知症ケア専門士の資格取得について、受験資格や試験内容などを詳しくご紹介します。

認知症ケア専門士認定試験の受験資格

認知症ケア専門士認定試験を受けるには、試験実施年の3月31日より過去10年間で3年以上の認知症ケアの実務経験が必要です。実務経験は認知症ケアに関する施設・団体・機関での経験が対象となり、家族の認知症ケアは該当しません。実務経験以外に受験資格に概要する条件はないため、介護・医療・福祉系の資格がなくとも受験可能です。

認知症ケア専門士認定試験の概要

試験日程 第1次試験:7月上旬
第2次試験:11月下旬
受験方式 第1次試験:五者択一のマークシート方式
第二次試験:論述/集団面接
受験料 第1次試験:3,000円
第二次試験:8,000円
合格基準 第1次試験:全分野で正答率70%以上

認知症ケア専門士認定試験は第1次試験と第二次試験に分かれており、第2次試験は第1次試験の合格者のみ受験することができます。

認知症ケア専門士認定試験の内容

認知症ケア専門士認定試験の内容は、下記の通りです。

第1次試験 ▼下記4分野から各5問・計200問
・認知症ケアの基礎
・認知症ケアの実際Ⅰ:総論
・認知症ケアの実際2:各論
・認知症ケアにおける社会資源
第2次試験 ・論述試験:事例問題に対する論述3題
・提示されたテーマをもとに6人1グループでの集団面接:ディスカッション・スピーチ

第1次試験は分野ごとの受験が可能であり、合格した分野の合格有効期限は5年間です。そのため1度に4分野の勉強が難しい場合は、受験年をずらすことで計画的に第1次試験の合格を目指すことができます。そして論述と面接に分かれる第2次試験では、下記5つの審査要件を満たすことで合格となります。

①適切なアセスメントの視点を有しているか
②認知症を理解しているか
③適切な介護計画を立てられるか
④制度および社会資源を理解しているか
⑤認知症の人の倫理的課題を理解しているか

認定試験合格後は資格の登録申請が必要

第2次試験に合格後、資格の交付・認定には登録申請が必要です。所定の書類を作成・提出することで、認知症ケア専門士カード等が送付され登録完了となります。なお、登録申請料として15,000円がかかります。

認知症ケア専門士の合格率

下記は、直近5年間の認知症ケア専門士認定試験の合格率です。

催年 受験者数(人) 合格者数(人) 合格率(%)
第17回試験
(2021年)
3,063 1,645 53.7
第16回試験
(2020年)
2,550 1,442 56.5
第15回試験
(2019年)
4,893 2,607 53.3
第14回試験
(2018年)
5,036 2,769 54.7
第13回試験
(2017年)
6,029 3,266 56.5

 

第1回試験からの最高合格率は2006年実施試験の64.9%、最低合格率は2011年実施試験の42.2%です。平均合格率は52.5%であり、直近5年間は平均以上の合格率をキープしています。民間資格でありながら合格率が平均50%台であり、資格取得後も維持が必要な点で難易度・専門性が高い資格です。

認知症ケア専門士は、認知症のプロと証明される民間資格!

認知症ケアは認知症関連資格の中でも、難易度・専門性が高い資格です。民間資格ではありますが難易度・知名度が高い分、介護・医療・福祉業界での就職・転職で有利に働きます。資格取得後も5年ごとに更新が必要であり、維持コストのかかる資格ですが、常に今活かせる専門性の高い知識・技術を持っていることを証明できます。今記事を参考に、認知症ケア専門士への理解を深めてみてくださいね。

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ゲートウェイ

ゲートウェイ

異業種含め、人事採用担当として15年以上のキャリアを積んだ経歴を持つ40代男性。現在はソラストの介護採用スタッフとして活躍している。スタッフの負担軽減のため、IT導入や業務ルールの改善に強みを持つ。

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