要介護1とは?一人暮らしは可能?支援内容や支給限度額についても解説
著者: ゲートウェイ
更新日:2023/12/22
公開日:2023/03/03
「要介護」はよく聞いたことがあるけれど、「要介護1」がどれくらいの状態をさすのかよくわからないという方も多いのではないでしょうか。そこで、ここでは要介護1にどのような方が対象となるのか(例えば、要介護1でも一人暮らしができるのかなど)について解説します。また、受けられる支援内容やかかる費用の軽減制度などについても解説します。
目次
要介護1とは
要介護度の中の位置
要介護度とは、介護の必要な度合いを要介護認定により判定する7段階の区分のことです。その中でも要介護1は、要支援1・要支援2に次ぐ3番目に支援の必要度が低い区分となります。
低 ←必要介護レベル→ 高 | |||||||
非該当 | 要支援 | 要介護 | |||||
1 | 2 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 |
要介護1とは
要介護1とは、自分でできることも多いが、毎日なにかしらの介助が必要となるレベル。
要介護認定で要介護1に認定されるのは、毎日なにかしらの介助が必要となる方です。例えば、立っていることや歩行が不安定で転倒のリスクがある方や、日常生活において一部の動作を自分ではできずに介助を必要とする方、心身状態が不安定で認知機能や思考力などの低下が認められる方などです。
ただし、要介護1の方は自分でできることも多く、介助が必要なのはごく一部の動作に限られます。
【具体例】
・歩行など日常生活の動作が不安定で、部分的な介助が必要
・心身の状態が不安定で、認知機能の障害などがある
要介護1と要介護2の違い
要介護1:日常生活に部分的な介助が必要だが、ほとんどのことを自分で行える
要介護2:調理や入浴など、身の回りのことを一人で行うことが難しい
要介護1の方と要介護2の方の違いは、生活を送るうえで必要となる介助の量です。要介護1の方の必要な介助は限定的ですが、要介護2となると生活の全般(食事・調理・入浴・買い物・掃除など)において支障が生じるようになります。要介護2では単純な生活動作に加えて、いくつかの動作を組み合わせた複合的な動作が難しくなるため、サポートがないと一人暮らしをするのが困難になります。
要介護1と要支援2の違い
要介護1:日常的に介護が必要
要支援2:日常的な介助は不要
要介護1と要支援2の違いは、介助を日常的に必要とするかどうかです。要介護1の方は、生活動作にできない部分があるため生活を送るうえで日常的に介助が必要です。対して、要支援2の方は支援を必要とする場面もありますが、日常的な介助は要りません。また、要支援2の方は介護度が上がるのを予防するために、介護予防サービスを利用できるのも要介護1との違いです。
要介護1は一人暮らし可能
要介護1の場合、一人暮らしは基本的にできると考えていてよいでしょう。日常的な食事、トイレ、お風呂などは一人で可能です。ただ、負担の大きい家事は難しいこともあります。助けが必要な部分は、介護サービスやその他の代行サービスなどを利用するのがおすすめです。
要介護1で受けられるサービス
要介護1で受けられるサービスには通所介護・訪問介護・短期入所※の3つと、それらを組み合わせたサービスがあります。ここでは、通所介護・訪問介護の種類と、要介護1でレンタルできる福祉用具について紹介します。
※短期入所は連続30日まで介護施設に宿泊できるサービスのことです。
要介護1が通所介護で受けられるサービス
通所介護(デイサービス)・地域密着型通所介護
通所介護は、食事や入浴などの日常生活上の支援と、リハビリテーションなどの生活機能の維持・向上を目的とした日帰りの介護施設です。レクリエーションなどのアクティブな活動も多く、会話や活動を通して他の利用者との交流を楽しみにしている方もいます。地域密着型通所介護は定員数が19名以下の通所介護で、住んでいる市区町村の方に利用が限られます。
通所リハビリテーション(デイケア)
通所リハビリテーションは、利用者の認知機能の回復や日常生活上の支援、生活機能向上の機能訓練を目的とした通所施設です。医師が在籍している点や、リハビリテーションなどの医療的ケアに重点を置いている点がデイサービスとの違いとなります。医師の指示のもと、利用者は理学療法士・作業療法士・言語聴覚士から症状に応じたリハビリテーションが受けられます。
療養通所介護
療養通所介護は、看護師の観察を必要とする重度の要介護者を対象とした通所施設のことです。利用者に対して食事や入浴などの日常生活上の支援や生活機能向上の機能訓練を提供します。療養通所介護を利用することで、重度の要介護者であっても可能な限り自宅で自立した生活を送れるようになるほか、家族の負担軽減にも役立ちます。
認知症対応型通所介護
認知症対応型通所介護とは、認知症患者に対して専門的なケアを提供する通所施設のことです。デイサービスでは、認知症などを含めた病気や障害により要介護判定を受けた方が利用していますが、認知症患者は環境になじめないこともあります。そこで、認知症患者も楽しみながら生活を送れるように、認知症専門の通所施設が必要とされています。
要介護1が訪問介護で受けられるサービス
訪問介護(ホームヘルプ)
訪問介護は、ホームヘルパーが利用者の自宅に訪問して身体介護と生活援助を提供する介護サービスです。身体介護は食事・排泄・入浴などで、生活援助は掃除・洗濯・買い物・調理などです。この2つ以外にも通院の付き添いを行う事業所もあります。住み慣れた自宅で介護サービスを受けることにより、自立した生活をできる限り長く続けやすくなります。
訪問入浴介護
訪問入浴介護とは、在宅で過ごされている利用者の身体を清潔にするために、介護職と看護職が訪問して入浴の介護サービスを提供するもの。訪問入浴介護の特徴は、自宅の浴槽で入浴するのが困難になっている利用者が対象となるため、浴槽を持ち込んで入浴の介護をすることです。訪問入浴介護は利用者の身体を清潔に保つだけではなく、気分のリフレッシュにもつながります。
訪問看護
訪問看護は看護師が利用者の自宅を訪問して、主治医の指示に従って療養上の世話や療養の補助をします。例えば、看護師が利用者の症状を確認したり、点滴や経管栄養などにより栄養補給をしたりといった専門的なケアをおこないます。病気などによって医療的ケアが必要な方や、最後まで自宅で過ごしたい方にとって通院せずとも適切なケアを受けられるメリットがあります。
訪問リハビリテーション
訪問リハビリテーションは、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士が利用者の自宅を訪問して、心身機能の維持・回復を目的とした機能訓練を提供するサービスです。通所リハビリテーションとの違いは、自宅で機能訓練を行うこと。実際に暮らしている生活環境に即した訓練をすることで、自立支援に役立つリハビリテーションができます。ただし、利用するためには主治医により必要性を認められる必要があります。
夜間対応型訪問介護
夜間対応型訪問介護は、ホームヘルパーによる訪問介護サービスを24時間提供します。提供するサービスは、夜間に定期的に利用者宅を訪問して安否を確認したり排泄介助をしたりする定期巡回と、利用者が必要とする際に訪問する随時対応の2種類。定期巡回・随時対応を組み合わせることで、利用者は夜間でも介護サービスを受けられるため安心して生活ができます。
定期巡回・随時対応型訪問介護看護
定期巡回・随時対応型訪問介護看護は、ホームヘルパーによる定期巡回・巡視対応の訪問介護サービスに加えて、看護師とも連携して提供するサービスのこと。介護と看護が連携することで、医療的なケアが要る利用者に対して24時間365日必要なときにサービスが提供できます。定期巡回・随時対応型訪問介護看護には、同じ事業者が介護・看護のどちらも提供する一体型と、異なる事業者による連携型の2種類があります。
要介護1で利用できる福祉用具
要介護1でレンタルできる福祉用具は、手すり・スロープ・歩行器・歩行補助杖の4種類です。また、医師がこれら以外の福祉用具が必要と判断した場合に限って他の種類もレンタルできることがあります。利用者が負担する費用は、所得に応じてレンタル費用の1割~3割となり、負担をしないレンタル費用は支給限度内に含まれます。
要介護1で入居できる施設
公的な施設:介護老人保健施設、介護療養型医療施設、介護医療院
民間施設:認知症高齢者グループホーム、有料老人ホーム
要介護1で入居できる施設は公的施設・民間施設ともに複数の施設がありますが、その中でも人気なのは有料老人ホームです。要介護1の利用者は自立度が高いため、自由に生活しやすいことが選ばれる理由の1つでしょう。また、一人暮らしをすることに不安があっても、サービス付き高齢者住宅のように介護サービスが付いている施設もあるため安心して暮らせます。
要介護1でかかる費用
要介護1の方が生活を送るうえで必要となる費用は、在宅介護にするか施設へ入居するかのどちらかによって異なります。そこで、それぞれの費用と要介護1の支給限度額について解説します。
要介護1の方の在宅介護でかかる費用
要介護1の方が在宅介護でかかる費用には、介護サービスを利用する費用と介護に必要な物品の購入費や医療費があります。要介護1であればこれらを合計すると平均月33,000円ほどですが、在宅で過ごすためにはこの費用に加えて光熱費や食費がかかることにも注意が必要です。また、要介護度が高くなるほどに費用も高くなります。
要介護1の方の施設入居でかかる費用
要介護1の方が施設入居する際は、公的な施設・民間施設のどちらにするかで費用が異なってきます。具体的に、公的施設へ入居すると月額6万~30万円、民間施設であれば月額10万~35万円ほどです。一般的に公的な施設の方が安く設定されており、民間施設は入居する際に入居一時金が必要となることもあるなど費用が高くなる傾向があります。
要介護1の支給限度額
要介護度 | 支給限度基準額(10割)※ |
---|---|
要支援1 | 50,320円 |
要支援2 | 105,310円 |
要介護1 | 167,650円 |
要介護2 | 197,050円 |
要介護3 | 270,480円 |
要介護4 | 309,380円 |
要介護5 | 362,170円 |
要介護1の支給限度基準額は167,650円で、介護保険サービスの費用に対して適用されます。
支給限度基準額を超えない介護保険サービスの費用は、所得に応じて1割~3割が自己負担となります。つまり、自己負担が1割の場合で上限まで使い切ると自己負担額は16,765円です。しかし、居住費・食費・日常生活費などは介護保険の適用外であることに注意をしましょう。
また、1か月の利用料が高額になった場合や所得の低い方については別の軽減措置があり、だれでも費用が重荷にならずに介護サービスを受けられるように制度化されています。
要介護1についての理解を深め、介護サービスをうまく活用しよう
要介護1の方は制度をよく理解したうえで、利用する介護保険サービスを選択しましょう。要介護1であれば、介護サービスや福祉用具を利用することで一人暮らしをすることもできますし、生活に不安があれば施設へ入居することもできます。制度をうまく活用しながら自分の望む生活スタイルを実現してください。
また、要介護1を含む要介護認定について知識を深めることは介護職への転職に役立ちます。介護職に興味がある方は、以下のソラジョブから求人をチェックしてみましょう。
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著者プロフィール
ゲートウェイ
異業種含め、人事採用担当として15年以上のキャリアを積んだ経歴を持つ40代男性。現在はソラストの介護採用スタッフとして活躍している。スタッフの負担軽減のため、IT導入や業務ルールの改善に強みを持つ。